勇者から逃亡した魔王は、北海道の片田舎から人生をやり直す

栗金団(くりきんとん)

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【第8話】最強の魔王と、最弱の子猫

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気分が高揚していく禅に対して、マトンは期待外れの展開に幻滅していた。
あまりのショックと落ち込みから真っすぐ転移の魔法で帰る気になれず、わざわざ獣道を歩いて帰宅するほどだった。ため息と一緒に漏れ出た魔力を感じ取った森の生き物は息を潜め、鳥や虫ですら道を譲っていく。
新たな山の王者の前に出る命知らずは、ここにはいなかった。
「はぁ、防御もされずに魔法が直撃するなんて……しかも、魔法の耐性もなかった。
本当に魔法が使えないのだな。
これでは私が一人ではしゃいでいたようなものだ」
魔法に対する耐性を持たない魔獣は存在しない。
耐性があれば、直撃しても傷は浅いはずだ。
もちろん、いくら耐性があっても強大な魔族相手では肉体が壊滅する。
だから少しでも魔法が使えれば、魔法が直撃する前に防御魔法を展開するはずだ。
それをしないということは、答えは一つしかない。
「せっかく、勇者に受けた傷が治ってきたというのに。魔力を取り戻してもこれでは」
遊び相手となる相手はおらず、与えられた本は今日で読み終えた。
食材と本の在りかは既に知っている。
熊のように人間から奪って暮らし続けることも、人間を食らう生活も、魔王なら数百年続けることが可能だ。
しかしそれでは退屈だ。
「あるいは、再び世界を征服するか……暇つぶしには丁度いいかもしれないな」
麓まで下りてくると、祈生家の窓から明かりが漏れていた。
深夜に関わらず、室内からは話声や足音も聞こえる。
吹けば飛ぶような木造二階建て住宅は、最弱の魔法を落とすだけで塵と化すだろう。
元の世界でもほとんどの人間は魔法に対する耐性がない。あるとすれば、勇者くらいだ。
「『固有魔法・座標を変える魔法(ンテルパート)』」
蔵を素通りして玄関へ転移する。魔力制御のお陰か、タロウは吠えてこなかった。
靴を脱いで上がると、散々山で熊と戯れたときについた小石や土が室内にパラパラと落ちる。
リビングに足を踏み入れると、見慣れない場所にタマがいた。
「タマ?お前……血が出ているのか?」
最後にその肉球でも堪能しようかと近づくと、タマは血まみれの毛布の上に座っていた。
すぐ傍には別の生物がいた。あり得ない小ささの、猫でもない生物が一匹転がっている。
瞑った目は見えていないようだ。モゾモゾと動く生物をタマは愛おし気に舐め上げていた。
「何だこれは……虫?鼠か?タマが取ってきたのか?」
「あれ、マト……んん!?ななな何でそんなに汚れてるの!?」
マトンが子猫を見つけた瞬間、たまたま廊下を通りがかった禅もまた、ボロボロの服を身に着けた泥だらけのマトンを発見する。驚きのあまり、手に持ったタオルが数枚落ちる。
「禅、変な鼠がいる。タマが食べようとしているぞ」
「ちょちょちょ、説明するからこっち来て……!」
「うん、何だこれは」
手を引かれるまま廊下に連れ出された後も、マトンは初めて見る生物に興味津々だった。
「タマは今出産中だから、しばらく入っちゃだめだよ。静かにしていてね」
「出産?」
「子供を産んでいるんだよ、子猫がいたでしょう?」
「子……猫?あれが?」
「そう。まだ立てないし五感もはっきりしてないけど、れっきとした猫だよ」
「でも、あんなの、あれでは」
五感も鈍い状態では、ヒグマのような外敵を前にした時はどうするのか。
どうやってあの状態からフワフワモコモコの成猫になるのか。そもそも一匹でどうやって子供を作ったのか。
本には載っていない情報だった。そして、生まれたときから最強の魔王は知らない知識だった。
マトンの好奇心が刺激される。
「それで、この汚れはどうしたの?こんなに汚しちゃってもう……」
「山で散歩をしていた」
「散歩?夜中に?危ないから辞めておきなよ……散歩だけでこうなったの?」
「熊と会った」
「え!?大丈夫だった?」
「熊が?」
「いや、マトンが」
「私は大丈夫だ、でも服は汚れた。あ、穴開いてる」
「待って待って、穴広げないで。今土を払うから」
落下した拍子に枝にでも引っかけたのだろう。シャツに空いた穴に指を入れるマトン。
ヒグマと会ったというのに、その身体には外傷一つない。
だが、禅はタマの出産で頭がいっぱいだった。マトンの髪についた土埃を払い、持っていたタオルで顔についていた泥を拭く。
頬をもみくちゃにされながら、マトンは以前にもこうされたのを思い出す。
「むぅ……もっと丁寧に、乱暴にするな」
「熊と会うなんて大変だったね。無事でよかった」
「大変?熊が?」
「いや、マトンが。とにかく一旦お風呂に入っておいで」
「何で?」
「マトン、すごく汚いから」
「私もタマの出産を見たい」
「じゃあ、なおさら身体を綺麗にしないと。子猫に病原菌が移っちゃう」
「猫にだって病原菌に対する抗体があるだろう?タマはもともと野良猫だ」
「タマはね。でも子猫はまた抗体がないし、繊細で弱いから病気になりやすいんだよ」
「え?そんな……そんな状態で、どうやって生きていくんだ?」
「それは……いや、質問はお風呂を出てからね。
タマの様子を見て来る。その間、この本を貸すから。
その後だったらいくらでも質問に答えるよ」
「……わかった」
禅に教わった通りに服を脱いで浴室に入る。身体を洗い、かけ湯をして湯船に浸かる。
追い焚きする時間すら惜しい。早く本を読み子猫に会いたかった。
「いーち、にー、さーん」
冷えきった湯船に肩まで浸かって百秒数える。これも禅に教わったことだ。
「きゅうーじゅう、きゅうーじゅういち、きゅーじゅーに」
「マトン、替えの服を置いておくよ。
汚れた服についてだけど、これは捨てるかな。残りは明日洗うから」
「わかったぁ」
「ちゃんと髪も乾かすんだよ」
「はーい」
風呂から出て着替えると、マトンは真っ先に本に手をのばした。
片手でドライヤーを持って片手で本を開く。これなら髪を乾かしながら本を読める。
渡された本は猫の育て方に関するもので、蔵ではなく禅の部屋に置かれていたものだった。猫を迎えるときの準備や心構え、設備を頭から読んでいく。
髪が渇き始めたころ、ようやく出産と子育てに関する章に辿り着いた。
その冒頭の一文を読み、マトンは思わず復唱する。
「出産は、命の危険があります?」
魔族は卵生で、親は子供を生んだら生みっぱなしのまま立ち去る。
生まれた子供は初めこそ小柄だが、すぐに一人前の魔族と同じように自立する。
魔族は魔力と魂で構成されており、魔力を自由自在に操ることができる。
己の魔力を操作すれば、大きさは好きに変えることができる。
問題は魔力を得る方法だ。マトンの場合は、生まれたときにすぐそこにエサがあった。
膨大な魔力を手にしたマトンは、同じ場所を縄張りにしていた親にとって、ただの外敵でしかない。
マトンにとっても、詠唱を唱える見たことのない魔族は外敵だった。
共食いなんてよくあることだった。それが人間でも魔族でも。
さらなる魔力と血肉を得たマトンは、その時理解した。自分は強者であることを。
魔族には子供や大人という概念が無い。ただ強いか弱いだけで生存が決まる。
出産をするだけで死ぬなんて、子孫を残す上でマイナスでしかない。意味がない行為だ。
「禅!出産には命の危険があるって!
何で!?どういうことなんだ!?」
「しーっ!静かにね」
「わかった……あぁ、そうか!病院に行くのだろう?ならば」
「動物病院には行かないよ、この時間はもうやってないから。
それに、ここからだと車で二時間以上かかるよ」
「えっえっえっ?」
「大丈夫、タマは自分で子猫のへその緒を嚙み切って介抱していたから。
お世話を放棄しているわけじゃないし、子猫たちも息がある」
「でも、でもでも」
「大丈夫だよ、それよりタマの気が散っちゃうから静かにね。
出産が終わるまでは、リビングに入らないようにして欲しいんだ」
「やだ、私も子猫が見たい」
「子猫に何かあったら、子猫の成長が見られないよ」
「それは嫌だ……じゃあ、廊下で待ってる」
「ありがとう、マトンは良い子だね。終わったらすぐに呼ぶから」
タマの出産は一時間にも及んだ。その間、マトンは廊下でしゃがみ込んで待っていた。
「お待たせ、マトン。そっと入っておいで」
「……うん」
再び子猫と相見えることができたのは、羊膜や胎盤が全て片付けられてからだった。
禅に連れられて静かにリビングに入ると、ケージからタマが喉を鳴らす音が聞こえる。
子猫は全部で五匹だった。
禅に頭を撫でられるタマの顔は誇らしげで、腹にはパヤパヤと産毛を立てる子猫がくっついている。
毛並みが整えられた状態になって初めて、猫のようだと思える。柄は黒色、白色、まだら模様と、母親の三毛柄とは異なる模様の子もいる。
「ちっちゃい、猫だ」
「そうだよ、もしかして子猫を見るのは初めて?」
「うん、いつ猫になるんだ?来月か?」
「大人の猫になるには、一年半くらいかかるかな」
「ふーん、時間がかかるのだな」
「そうだよ、それまではみんなで見守らないとね。マトンも手伝ってくれる?」
「手伝い?何をするんだ?」
「うーん、そうだなぁ。
子猫が安心して過ごせるようにしたり、ご飯や水をあげたりとかかな」
「……むぅ、この私に?生まれて数時間の生き物の世話をしろと?」
「強制はしないよ。暇なときでいいから、お世話してくれたら嬉しいよ」
「……」
「子猫の時間は短いけど、お世話をしたら一番近くで子猫の成長が見られるよ?」
「……わかった、善処しよう」
「ふふふ、子猫が大きくなるのが楽しみだね」
マトンの瞳は光を浴びた宝石のように輝いていた。
子猫は牙も生えていないピンク色の口で一生懸命に母乳を吸い出す。何匹かは耳が反りあがってカールを描いており、時折兄弟に押し出されて全く別の方向に向かう子猫もいた。
不可思議で不条理で、面白い生き物。
タマは禅とマトンが近くにいても気にしなかったが、疲れから船をこぎ始める。
禅は離れてしまった子猫を母猫の元に移動させ、授乳を凝視するマトンに声をかけた。
「僕はそろそろ寝ようかな。念のため、タロウは僕の部屋に入れておくよ。
マトンも早めに寝るんだよ」
「私は子猫を見守る。禅は安心して寝ているといい。
ところで、コレは兄弟よりも小さくて弱いが大丈夫なのか」
「マトン、動物はコレって言わないよ。この子は末っ子だね。
お乳を飲めれば大丈夫だと思うけど、近いうちに動物病院に行こう」
「それまでは?」
「それまで僕らができるのは、タマと子猫のお世話くらいだよ」
「ふーん……そうだ、タマが眠そうだから電気は消して行ってくれ」
「いいの?」
「あぁ、大丈夫だ」
「そっか、マトンは夜目が利くもんね。
わかった、それじゃあ僕は戸締りをしてくるよ。おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
禅は部屋を出て風呂場や廊下の電気を消して回る。
残されたマトンは密かにタマの肉球に触れながら、子猫がもぞもぞと動く様子を人間や猫よりも優れた視力で見続ける。
子猫も何匹かは眠り始めたが、一匹だけ別の理由で眠らない子猫がいた。末っ子の黒猫だ。
最初の方に生まれた子猫と比べて、末っ子は身体が小さい。小さいだけならまだしも、力が弱く体力もないため、上手く母乳を吸うことができていなかった。
「これ……この子、は乳を飲めていないようだな」
「ムゥ―――!」
「うわっ、鳴いた。鳥みたいだなぁ」
「ピィ―――!」
「……お前、弱いのによく鳴くな」
末っ子を持ち上げると、母に舐められて柔毛が湿っているせいで、不思議な感触がした。
体温が低く動きも鈍い、声もどんどん小さくなっていく。子猫にとって唯一の栄養源である母乳を飲めなければ、朝を迎えずに死んでもおかしくないと直感でわかる。
マトンは、子猫が五匹いるなら一匹くらい死んでも構わないと考えていた。
自力で生きていけない生物が淘汰されていくのは自然の摂理、無理に生かす必要もない……と。
だが、頭に禅の顔が浮かぶ。
『子猫が大きくなるのが楽しみだね』
子猫を静かに母猫のもとに戻す。
「せっかく見守ると決めたのに死なれては困る。『回復魔法(ンマ)』」
「ピー……ミュ、ミュ……!」
「この借りは肉球で支払ってもらうぞ」
緑色の弱い光が母子を包む。即座に体力の摩耗はなかったことになり、身体に力が漲る。
マトンは他者にこの魔法を使ったことが無い。だが、本能的に使い方は知っていた。
そして、こういう時に使うのだろうと学ぶ。
子猫の動きが激しくなり声もけたたましくなる。末っ子は元気に母乳を吸い出した。
「早く大きくなるんだぞ、それまで命は保証してやる」
マトンは子猫の寝息を聞きながら、夜明けまでそうして見守るつもりだった。
家の外から、砂利が巻き上げられる音とエンジンの音が聞こえた。一台の白塗りのバンが家の前に止まる。
知らない車だ。乗っている人間の気配は全部で五人。
寝室に戻るため二階に上ろうとしていた禅が振り返る。扉の向こう側から人の声がした。
「こんな夜更けになんだろう?誰か、道に迷ったのかな?」
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