願わないと決めた

蛇ノ目るじん

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設定紹介

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※最後に世界観というか、環境観とでも言うべきささやかな紹介と、当代の王子・王女に限ったものですが、キャラクター設定を下に記させていただきます。
作中の説明だけでは些か不十分と思われましたので。……いやはや、番外2まで書いた時点での当時の自分をはっ倒したいと思った回数は数知れません。深く考えずにあれこればらまくから、こう、収拾に苦労する…。

今しばらくお付き合い下されば嬉しいです。






【オモルフォ王国における前提】
・男女共に継承権はあるが、よほどの例外を除いて男子の方が継承権の優先度が高く、その一方で母方の血筋が最も優先されるため、必ずしも年齢順ではなく、男女順になるとも限らない。王と王妃、宰相、総帥の合議によって優先度が変更される場合もある。基本的には三歳を迎えられれば継承権が認められ、王子・王女として正式に遇されるようになる。
・オモルフォにおいて公爵家は、王家が断絶した場合、その時点で最も王家に近い家から新しい王を輩出する権利ないし責務を負う、代替者である。その特殊性の為、数世代に一度は必ず王家の人間と婚姻もしくは養子縁組を行い、後継者は王家の血を引く者に限定され、場合によっては選定される。公爵は原則として五家であり現在の顔触れは百五十年ほど変わっていないが、過去には素行不良や他国との内通、一族間での内紛等の理由により、公爵位を剝奪された前例もそれなりに存在しており、選定の基準に満たなかったため公爵位のいずれかが空席になった時代も一度ならずある。
継承権や王族としての利権・権限は原則として、オモルフォの王籍から抜けた場合(他国に嫁ぐ(婿入りする)、臣下の家に降嫁する(婿入りする)、降下して爵位を継ぐ、出家するなど)その時点で消滅するが、例外としてオモルフォ内の公爵家のいずれかに何らかの理由で籍を移した場合、上記の特殊性により、順位は下がるが継承権自体は保持される。王族としての利権・権限もある程度までは引き継げる。サダルスードは、母も他国の王家出身であるため、継承権は放棄されているが王家に籍自体は残っているという、特例中の特例。


【王子・王女紹介】
第一王女:王の子として初めて生まれ、また数年間ただ一人の子でもあった為、第一王位継承者と目された時期もあった。当人もそう信じていたため傲慢に育ち、両親――というよりは母親によく似た、色情狂の権力欲の塊。後に国家転覆を企てて廃され、現在は辺境で幽閉の身。

第二王女:読書家の理想主義者で、潔癖症。父と異母姉を反面教師として育った一面がある。婚姻を本格的に取り沙汰されるようになった頃、同腹の妹の死他、多くの要因が重なった結果、自ら継承権を放棄して出家。国内で最も戒律が厳しいとされる修道院に入る。現在は次期院長と目されている。

第一王子(クレスレイド):元王太子。継承権を認められた者達の中では、一番母親の身分が低かった。合議により王太子候補に推され、最終的に認知される。長らく後見に恵まれず、最終的に実質後見となった第二王子の母である王妃との不貞が噂された時期もある。現在は王太子として事態を裁ききれず継承争いを起こした責任を問われ、王宮内の「坎の塔」で幽閉の身(とされている)。

第二王子(サダルスード):王妃の産んだ唯一の子であり、本来であれば継承順位一位のはずだった。生まれながらの絶大な魔力と引き換えに、虚弱体質。当初は一つの節目である三歳も迎えられないのではないかと危惧されたが、年を重ねるにつれて、多少は丈夫になった模様。第一王子と王太子の地位を争うこともなく継承権を放棄し、魔法師へ転向。現在は国立アナズィトン学院の院生且つ講師の一人であり大賢人(魔法師階級の第一位)の有力候補と見なされているが、当人はあまり乗り気ではない。

第三王女(エスメラルダ):母は決して有力な家の出では無かったが、合議によりクレスレイド・サダルスードに次ぐ継承権を与えられていた元王女。クレスレイドとは後宮の隅にある図書室で知り合い、親しくなった。読書家である一方で実践主義者でもあり、クレスレイドの良き相談相手でもあった。本来他国に嫁ぐ予定は無かったが第二王女の出家から始まり巡り巡って彼女にしわ寄せが行き、子に恵まれないまま妃が没した同盟国の王に二番目の正妃として嫁いだ。以降、基本的には嫁ぎ先の王妃としての立場を崩さなくなったが、継承争い時はアストロードの支援に回った。「坎の塔に居る廃太子」とは、今でも密かに文面をやり取りしている。

第四王女(ノディアマンテ):当代随一の美貌と謳われた元王女。この代の王室の人間の中で唯一恋愛結婚を「許され」、政略的に何の価値もない自国の伯爵家に降嫁。継承争い時に夫の生家に旗印として担ぎ出された、「美しいばかりの神輿」。現在は離宮の一つに隠棲(という名の幽閉)。

第五王女:ノディアマンテのように恋愛結婚を許されず同盟国に嫁ぐよう命じられ、恋人とも引き離されて、教育のため閉じ込められた先で儚くなった。自殺であったとも言われる。

第六王女:サダルスードとは対照的に、年を重ねるにつれて次第に体が蝕まれていった病弱の王女。第二王女の同腹の妹。第五王女より早くに没している。

第三王子(オルテア):幼少から武芸に親しみ、王子というよりは騎士として名が知れていた。エスメラルダの同腹の弟。一団の長ではあったが、副団長から上ってくる報告をほぼそのまま採決としていた為、政治的には無能であり剣しか取り柄が無いと陰口を叩かれていた。実際は宮廷内の事情にも相当通じており、自身が王位に就く野望も無かったため敢えて凡愚を装っていた。継承争いでは、自らにすり寄った者を冷徹に判断し処断すべき者の情報を秘密裏にサダルスードに流した後アストロードと対峙し、配下の助命と引き換えに自らの命を差し出す。
クレスレイドを兄上、サダルスードを小兄上と慕っており、クレスレイドを自らの王と仰いでいた。内心ではアストロードを認めてはいたが主とは仰げないと、幻と消えた王に殉じた。

――この間の出生には数年の開き。これ以降に育った王女では子を成せるようになるまで時間が掛かりすぎ、それを許されない同盟国の情勢により、エスメラルダが嫁ぐことになる――

第四王子(メテオリット):母は侯爵序列第一位(当時)の家の生まれ。実家は継承権を持たない貴族の中では最も権勢があり広大な荘園を抱え、一統を率いて手広く商売も行っていた。
自尊心が高く、横暴。特に年のころが近く立場が弱かったアストロードに対しては、露骨に見下していた。他の兄弟姉妹達に対しても、横柄であったり慇懃無礼であったりして評判は最悪だった。これはアストロードが髪に旭日色を現し、王の実子であると明らかになっても変わらず、むしろ拗らせ悪化した。
継承争いの際は、直接の対決を避けるアストロードをせせら笑っていたが、その間に外堀を埋められ、有能な人材を引き抜かれ、牙城を突き崩され、最後は見るも無残に屈した。母は自裁を命じられ、当主であった侯爵は処刑。門閥自体が取り潰し。当人は現在は監獄島にて、他の一族・側近共々幽閉されている。分家の分家辺りから大半は幽閉は逃れたが、ほとんどが庶人に落とされるか、出家させられた。なお、完全に巻き込まれただけと判断された家については、貴族籍は剥奪されたが、自前の商会は残されるなどの融通はされている。

第七王子(アストロード):出生時期はメテオリットとそこまで差があるわけではないが、父親の判別を付けずらい時期に生まれたため、序列の最下位に置かれた「灰色の王子」。母は王家以外に王位継承権を有する五つの公爵家の内の一家の出身ではあったが、他家に嫁いでいた未亡人であった為、継承権は喪失しており、また生まれてくる子の処遇を巡って揉めた事で実家との関係性は険悪だった。この関係性は子にも引き継がれた。なお、彼当人の庇護を求めたのは当の母だったがこれは彼女の口から語られる事は無く、それを頼まれた王の乳兄弟も口外しないまま没した為、永遠に本人が知る事は無い。
魔力は高いが、魔法への適性が致命的に無い。後に金色がかった赤茶色だった髪が、暗殺未遂時に制御不能の魔力を放出し続けた結果か、始祖と同じ旭日色を現した事により、強力な継承者とみなされ、最終的には継承争いを勝ち残って玉座に着いた。

第七王女:エスメラルダが嫁いだ先の王の、一番初めの婚約内定者。菓子に中り、辛うじて一命は取り留めるが廃人に近い状態に。(毒殺未遂)
第八王女:逍遥中に池へ落ち、そこから病を得て死去。(池に流した毒で床に臥させる第一段階、買収した侍女に少しづつ毒を盛らせて病に見せかけ殺害する第二段階)
第九王女:散策で上った鐘楼から落下し、死去。(直球に突き落とし)
(この三人の王女の災禍の背後では、メテオリットの母及びその実家が糸を引いていたとされる。また、本編で処断された財務省の長官(当時は財務省の一官人)も噛んでいた模様。本命はアストロードと、クレスレイドの相談相手だったエスメラルダの排除でもあったと思われる(財務省長官の目的は、先王の乳兄弟を単独で鉱山におびき出す事)
犠牲になった順は、九→七→八。時期がそれなりに離れて起こった事件であったため、当初は同一犯とは考えられていなかった。第九王女については、不幸な事故との見方が主流でさえあった。最終的には首謀者にまでは手が届かず、それぞれの実行犯の処断で終わった。ただし黒幕達の暗躍は、王妃が後宮全体の風紀の改革に本腰を入れ取り組み始めた事もあって、この時点では鳴りを潜めた)

第五王子:幼少期は神童と謳われた。継承争い時はメテオリットと一時期連携をしていたが、メテオリットが落ち目と見ると切り捨て、他国に領土割譲を条件に助力を仰ぎ玉座を得ようと目論むが失敗。後に、新王に対する反逆罪・外患誘致罪に問われ、処刑された。母と、実家の家長も連座。本家は取り潰しになり、それ以外は恩赦により罪一等減じられるも一党は離散した。
本当に愚かだったのは、第四と第五王子だったという話。

第十王女(ジルレイシア):公爵家に降嫁した(エスメラルダが本来嫁ぐ筈であったが、順番の繰り下げ。八と九の王女が健在でも、恐らく彼女が選ばれた)。継承争い時は家を初手で掌握し、返す手で郎党諸共アストロードに恭順し、尽力。即位の助けとなると共に、当世の権力基盤を確立した。婚約成立までに何悶着かした、五つ年上の夫を尻に敷くと噂される烈女ではあるが、夫婦仲は良好。

第十一王女:継承争いでは右往左往した結果、最終的にアストロードの側に取り込まれる。争い前から同盟国(近隣国ではなく同盟を組んでまだ浅い、中継部にほど近い位置にある国。第五王子が助力を仰いだのも此処)の王の三番目の王妃となる事が元々内定しており、継承争いが収束して国情が安定するのと前後して嫁いだ。

第十二王女:継承争い時は母方の実家が中立を保った事により特にお咎めは無し。同盟国の王弟との婚姻が確定している。齢十六を以て嫁ぐ予定。

第六王子:母方の実家に特筆したものがなく、当人も目立つ事なく控えめだったため、王族の中ではひどく地味な存在だった。継承争い時は早い段階でアストロードに下り、収束後は継承権を放棄して臣籍降下し、断絶していた母方の血縁の爵位を継いだ。

第十三王女:実家がメテオリットの母方の傘下にあったため、継承争い当初からそちらへ属していたが毒にも薬にもならず、捨て置かれていた。収束後は、辺境の修道院に軟禁。

第十四王女:継承争い時は、そもそも周囲に担がれさえしなかった中庸。第十三王女が内定していた、同盟国王子との婚約を引き継いだ。齢十六を以て嫁ぐ予定。

第十五王女:継承争い時は存在さえほとんど認識されていなかった中庸。齢十六を以て、第十一王女の嫁ぎ先である同盟国の、王孫に嫁ぐ内定。なお、どの孫に嫁ぐかもまだ未定。

第十六・十七王女:一括されているが、母は異なる。幼さ故に、継承争いの舞台に立つ事さえ無かった。両者共に、まだ婚姻の内定さえ定まっていない。
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