駆け抜けて異世界

藤雪たすく

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お薬のお時間

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口を開いてなるものかと、押し付けられる丸薬を必死に拒否をするが、ギシギシと骨が軋むほど顎を掴まれ……無理矢理開かされた口の中に薬を押し込められる。指で喉奥へ押し込まれ……苦しさのあまり飲み込んだ俺に満足そうに笑いながら俺の身体から手を離した。

「何を……飲ませた……」

這いつくばる俺を余裕の笑みで見下ろす魔王。

「毒ではないよ?あ~……でもギガントオーガにも効くぐらい強力なヤツをお願いしたから、ルカちゃんの身体には毒かなぁ?」

『女神の祝福』でシュウシュウと僅かな煙を出しながら回復していく俺の身体を魔王は楽しそう眺めている。

「ルカちゃん、常時回復があるからどれぐらいなら効くか分かんなかったからさ……薬師に特別に作ってもらった超強力な催淫剤。マグマドラゴンの鱗剥がすの硬くて面倒だったよ」

催淫剤!?ふざけるなっ!!
無理矢理吐き出そうと喉の奥に指を突っ込もうとしたがその手を掴まれ、木に両手を縄で拘束された。

「……はっ……くっ……」

息が荒くなるのを唇を噛んで隠すが、肩が忙しなく上下する。

「無駄だよ、超即効性。いまさら吐き出しても遅いよ……そろそろ効いてきたんじゃない?特にハーフリングは苦痛と快楽に弱い種族だもんねぇ……どう?しんどくなってきた?」

身体が疼く……熱が身体の中から溢れ上がってくる。その熱は……身体の中心へと集まって……出したい……熱を放出したい。

痛いぐらいに膨張したペニスの射精を促したいが、縛り付けられた両手では叶わない。必死に腿を擦り合わせて苦痛なほどの快楽を逃がそうとするが、余計に疼きが激しくなる。

「縄……解いて……」

「辛そうだね?苦しい?楽になりたいの?そうだよねぇ……服の上からも分かるぐらい、こんなぐちょぐちょになっちゃってるもんねぇ」

「あっ!!」

膨らみきった股間を軽く指で弾かれて、大袈裟なぐらいに身体が跳ねた。それを面白がる様に魔王は俺の身体を突いていく……全てに過剰に反応し、自分の身体なのに自分の身体ではないみたいに感じる。

「イキたいよね?全部吐き出したいよね……すげ……全身性感帯みたい」

「イキたい……」

上衣の前を開けられ、ゆっくりと焦らす様にズボンと下着を脱がされていき……触れる外気の冷たさすら刺激のよう。

「片手だけね……ルカちゃんすぐ逃げようとするから」

自由にされた左手。
不躾に浴びせられる視線。

僅かに残された理性の駄目だと叫ぶ声など届かず、左手で自身のモノを握り締めた。

「あ……はぁ……」

不快な自身の吐き出したぬるぬるとした液体だが、それらが自らシゴく動きの摩擦を救け、刺激の元となり……。

「気持ち良い?すっげ……エロ……」

魔王の好奇の視線すらスパイスの様に感じてしまう……。込み上げてくる射精感。

「んんんっ!!」

頭の中で何かが真っ白に弾け、身体の震えと共にビクビクと震えながら精を吐き出した……。

「あ……あぁ…………」

目の前が霞んでくるほどの恍惚とした快感。
しかし……余韻も虚しく、治まらない熱が次へ次へと打ち寄せてくる。

「大変よくイケました。一人でちゃんとイケたルカちゃんにご褒美ね」

「え……?」

魔王の手に視線を向けると……その手にはまたあの丸薬が……。

「やだっ!!やっ!!いらない!!」

身をよじり逃げようとするが、脚を掴まれて晒されたアナルへと無慈悲に押し込められた。

「口は一つしかないって言ってたけど……ほら、こんなに上手に飲み込めたよ?じわじわと溶けてきた……」

「やだやだやだっ!!熱い!!お腹……中……熱い!!」

溶け出す薬が内臓を灼いているのではないかと思うぐらいに熱く、目の前はチカチカと星が瞬き、頭の中は虫に這いずられているかの様にザワザワと疼く。

「やっ!!助けて!!やだぁっ!!」

頭を掻きむしり、激しく振っても治まらない。

「助けてほしい?」

「助けて……魔……お……頭……壊れそ……」

救いの手を差し伸べてくれるなら……神でも魔王でもその手に縋りたい。

「魔王じゃないでしょ?俺の名前は……?」

「助けて……奏……」

その手を取ってしまった俺に、魔王は嬉しそうに俺の身体を引き寄せた。

ーーーーーー

「あ、あ………はぁ……あ……ん」

拘束する縄を解かれた腕は、自らの意思で魔王の首に絡んでいる……意思……俺の意思?
何かに身体を乗っ取られたと思いたかった。

「ルカちゃんので俺の腹の上もドロドロ……」

にやにやと笑う魔王、殺してやりたいぐらい憎いのに……俺は自ら魔王に口付け舌を差し出して求めている。砂漠でたった一滴の水を求める様に……。

「もっと……もっと奏の……ほしい……んん……いっぱい、奏ので壊れるぐらい……ほし……あっ!!」

魔王は余裕の笑顔で俺をゆっくり、ゆっくり犯していく、俺の中の内壁を擦られ、突かれ……何度精を吐き出しても冷めることのない熱に、もう幾つの思考が焼き切れただろうか。

魔王の突き上げに簡単に弾む身体には全く力が入らない……入れる気もなくなった。
ただ魔王に揺さぶられるだけの人形になった様な気分だった。

熱、快感、刺激……それがもうなんなのかもわからない……。

「ルカちゃん……愛してる……」

何処か遠くから魔王の声が聞こえる……愛……愛ってなんだっけ?

「あ……う……ぅ……」

喋るのも億劫だ……言葉ってなんだっけ?

身体が揺れる……。
頭が揺れる……。

波だ……一定のリズムで押しては引いて繰り返す波に身体をさらわれている……。

沈んでいく……何処へ?
海の底へ……深い……深い……これは快楽の海……。

遠のいていく意識を追う事は諦め、全てを手放した。
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