明治～大正ロマンシニズム ２つの恋の行方

お嬢様

「おお！あれは」先程の異国の男達が降りてきて、はしゃいでる二人に声をかける

「ムッシュ・小野寺！」

「ああ！ノワール様ですか！いつ日本へ？」

「先日、船でね　香港経由で長崎から入った。何度来ても、日本は素晴らしいね」

「おや、君・・いや人違いか・・」「・・・」
思わず、相方に目くばせする
あちらも同じ事を思ったらしい

最初に会った　てまりとよく似ている
しかし・・身なりに、感じもまるで、違う

てまりの方は、おどおどして、めがねをかけて、身なりも地味
花に例えるなら、野に咲く可憐な白い花

こちらの少女は　生き生きとして、元気で
華やかで、大事に育てられた温室の貴重な薔薇の花だった


ありさは　きょとんとして、異国の二人組を見てる
「あ、ノワール様　紹介します
彼女は、ありさ・・僕の幼馴染です」

「綺麗で可愛い人ですね　手にキスをしても？京矢？」

「え！」「ええ！」

すばやく手の甲に紳士として、キスをする
「レデイ・ありさ　どうぞ宜しく」
ウインクひとつ

まっ赤になる　ありさ

「す、すいません　ノワール様　日本人はそのような風習があまりなくって」
と京矢

「おお！それは大変失礼を！　あまり素敵なレデイだったので、つい！」
「しかし、このような素敵なレデイに対して、どのように日本では、礼をつくしてるのですか？
京矢？ぜひ紳士として、今後のために聞いておきたいですね」

「いえ・・それは、お国のフランスと違いますから・・
ほめ言葉だけで、十分かと」
あせりながら、京矢は答える

こっそり小声で会い方は耳打ちする

「ちょっとルシャルさま！相手は日本人で
もしかしたら京矢さんの恋人かもしれないですけど！」

「・・あはは」


そして
先に店に到着した　てまりは・・

「ここが　君の部屋だ」

「はい」

「仕事は店の掃除に　他は・・」

「はい　出来る限りなんでもいたします」
はにかみながらも　小声で答える

[よろしく頼むよ」

「はい」

そして・・


付き添いの者たちを先に屋敷へと送り　
二人は買い物と食事を楽しむ事となった

誰より　愛らしく　可愛い　大事な妹のような存在の・・ありさ

京矢は久しぶりにあえて嬉しくてたまらない・・

運転手付きの車で　横浜へと向かう


「まあ！　横浜の食事が出来るお店へ？」「そうだよ」

「欧州から来たコックが作るレストランさ」

「素敵だわ　有難う　京矢お兄さま」

「ありさ　　お祝いだから　遠慮しなくていいんだよ」

「その前に　服を見立ててあげよう
幾つか仕立て屋があるんだ」

「学校では　ハイカラな着物も　もっと必要だからね
それにドレスに帽子　靴もね」

「まあ！そんな」

「いいから　行くよ　ありさ」

買い物に　食事　楽しい時間を過ごす二人

お店では・・
「どうだい？このエンジの袴（はかま）は？それに合わせで
淡い薄紅色の花模様の着物に・・そうそう

青の着物と・・赤い白地の花の模様の着物　
薄紫の着物もいいね　ぜひ仕立ててもらおう！」

「ええ！そんなに沢山」

「ふふ　まだ沢山必要だよ　ありさちゃん」

「あちらの店にも行かなくちゃね
あちらは　洋装の店だよ」

「ドレス？」

「そうそう！　それに身体にあったコルセットも必要だ・・
モスリンの刺繍の入った白のドレスに　靴と帽子　　
ああ、バックも必要だね
パーテイ用には　
淡い薄紅色のドレスか若草色のドレスもいいかな？」

「ドレスの色にあった　靴に小物・・そうそう絹の靴下も」


「まあ！京矢お兄さま！　そんなに散財させては　申し訳ないわ！」

「大丈夫だよ　心配ないからね」楽しげに笑う

「食事の店では　なにがいいかな？　白いクリームのケーキは？」

「大好き！」

「それはよかった」