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38.じいじ、川から人を拾って後悔する
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「桃太郎か?」
「じいじ、桃から生まれてないから、たぶんただの太郎だよ?」
「ああ、そうか……」
川から流れてきた少年は意識を失って倒れている。
まさかポンが咥えた拍子に殺したんでは――。
『にゃあああああ!』
どうやらそれは違うようだ。
疑ったわしを今にでも頭からかぶりつきそうな雰囲気を醸し出している。
さすが、ワールドボス。何かを感じたようだな。
「ポンはえらいね!」
一方、そんなポンに対して、ハルキは優しく撫でている。
『にゃー!』
甘えた声でハルキに体を押し付けているが、今は体が大きいため、ハルキも押し潰されそうだ。
「とりあえず、家に連れて行った方がいいか」
「このままだと危ないもんね」
わしらは少年を連れて、隠しの家に戻ることにした。
もちろんその間もわしは――。
『キィー!』
ゴマにじいじ狩りをされておった。
川魚を採ってきたお礼だから文句も言えない。
本当に追いかけるのが好きなんだな……。
隠しの家に着くとすぐに少年をベッドに寝かせて様子を見る。
「うっ……」
少年が声を漏らし、苦しそうに眉間にシワを寄せていた。
みんな興味津々なのか、少年が窮屈に感じるレベルだ。
「大丈夫?」
『にゃ……?』
『キィ……?』
心配そうにみんなで顔を覗いているが、それが問題のような気がする。
「とりあえず、ポンとゴマはそこから降りるのじゃ」
『にゃ!?』
『キュ!?』
少年の上に載っていることに言われるまで、気づいていなかったようだ。
わしとハルキでポンとゴマを持ち上げると、少年の顔は少し穏やかになっていた。
「ねー、じいじ?」
「なんだ?」
「このゲームって倒れたら、ゲームオーバーにならないの?」
言われてみたら気になるところだ。
少年の頭の上にはプレイヤー同様に同じマークが記載されている。
それでプレイヤーとNPCを見極めている。
プレイヤーなら倒れたら、ゲームオーバーになるはず。
もしくは、気絶という状態異常があるのだろうか。
チラッと少年の顔を見ると、再び眉間にシワを寄せていた。
ポンとゴマはもうベッドの上で寝転んでいるしな……。
「中々起きないなー。ポンのおやつの材料にでもしようかなー」
わしは小さな声で呟く。
「へっ!?」
『にゃ!?』
『きゅ!?』
だが、聞こえてしまったのか、ハルキもポンもゴマも、一斉に目を丸くしていた。
わしの冗談は少し効きすぎたようだ。
ゲームオーバーになっていなければ、気絶しているふりをしているのかもしれない。
問題ないと伝えるために、ハルキ達に向けてニヤリと笑った。
だが、その顔を見て、みんな遠ざかって行ってしまう……。
さすがに生きた状態で食べられるとわかれば――。
「ヒイイィィィ!? 食べないでくださいー!」
少年は勢いよく起き上がり、わしらに頭を下げていた。
どうやらわしの考えは当たっていたようだ。
「ははは、食べるわけないぞ?」
「へっ!?」
『にゃ!?』
『きゅ!?』
ハルキ達の態度にわしは時間が止まったように感じた。
本当にわしが少年を食べると思ったのだろうか。
まるで、わしが殺人鬼じゃないか。
「気絶したふりなんぞして、関心せんのぅ」
「ごめんなさい」
少年は素直に謝ってきた。
「うっ……」
だが、ハルキと歳の近い子に謝られると、罪悪感に襲われそうだ。
見た目からして、現実世界と変わらないキャラクターなら小学生低学年だろう。
「じいじ、いじめちゃダメだよ?」
「いっ……いじめてなぞおらんわい!」
最終的にわしがいじめているように勘違いされてしまったようだ。
「川から人を拾ってくるなんぞ、昔話の中だけで十分じゃ……まったく、骨が折れるわい」
「じいじ、骨が折れてたの?」
「いや……、なんでもないぞ」
こうしてまた一つ、わしの威厳が失われていくのだった。
「じいじ、桃から生まれてないから、たぶんただの太郎だよ?」
「ああ、そうか……」
川から流れてきた少年は意識を失って倒れている。
まさかポンが咥えた拍子に殺したんでは――。
『にゃあああああ!』
どうやらそれは違うようだ。
疑ったわしを今にでも頭からかぶりつきそうな雰囲気を醸し出している。
さすが、ワールドボス。何かを感じたようだな。
「ポンはえらいね!」
一方、そんなポンに対して、ハルキは優しく撫でている。
『にゃー!』
甘えた声でハルキに体を押し付けているが、今は体が大きいため、ハルキも押し潰されそうだ。
「とりあえず、家に連れて行った方がいいか」
「このままだと危ないもんね」
わしらは少年を連れて、隠しの家に戻ることにした。
もちろんその間もわしは――。
『キィー!』
ゴマにじいじ狩りをされておった。
川魚を採ってきたお礼だから文句も言えない。
本当に追いかけるのが好きなんだな……。
隠しの家に着くとすぐに少年をベッドに寝かせて様子を見る。
「うっ……」
少年が声を漏らし、苦しそうに眉間にシワを寄せていた。
みんな興味津々なのか、少年が窮屈に感じるレベルだ。
「大丈夫?」
『にゃ……?』
『キィ……?』
心配そうにみんなで顔を覗いているが、それが問題のような気がする。
「とりあえず、ポンとゴマはそこから降りるのじゃ」
『にゃ!?』
『キュ!?』
少年の上に載っていることに言われるまで、気づいていなかったようだ。
わしとハルキでポンとゴマを持ち上げると、少年の顔は少し穏やかになっていた。
「ねー、じいじ?」
「なんだ?」
「このゲームって倒れたら、ゲームオーバーにならないの?」
言われてみたら気になるところだ。
少年の頭の上にはプレイヤー同様に同じマークが記載されている。
それでプレイヤーとNPCを見極めている。
プレイヤーなら倒れたら、ゲームオーバーになるはず。
もしくは、気絶という状態異常があるのだろうか。
チラッと少年の顔を見ると、再び眉間にシワを寄せていた。
ポンとゴマはもうベッドの上で寝転んでいるしな……。
「中々起きないなー。ポンのおやつの材料にでもしようかなー」
わしは小さな声で呟く。
「へっ!?」
『にゃ!?』
『きゅ!?』
だが、聞こえてしまったのか、ハルキもポンもゴマも、一斉に目を丸くしていた。
わしの冗談は少し効きすぎたようだ。
ゲームオーバーになっていなければ、気絶しているふりをしているのかもしれない。
問題ないと伝えるために、ハルキ達に向けてニヤリと笑った。
だが、その顔を見て、みんな遠ざかって行ってしまう……。
さすがに生きた状態で食べられるとわかれば――。
「ヒイイィィィ!? 食べないでくださいー!」
少年は勢いよく起き上がり、わしらに頭を下げていた。
どうやらわしの考えは当たっていたようだ。
「ははは、食べるわけないぞ?」
「へっ!?」
『にゃ!?』
『きゅ!?』
ハルキ達の態度にわしは時間が止まったように感じた。
本当にわしが少年を食べると思ったのだろうか。
まるで、わしが殺人鬼じゃないか。
「気絶したふりなんぞして、関心せんのぅ」
「ごめんなさい」
少年は素直に謝ってきた。
「うっ……」
だが、ハルキと歳の近い子に謝られると、罪悪感に襲われそうだ。
見た目からして、現実世界と変わらないキャラクターなら小学生低学年だろう。
「じいじ、いじめちゃダメだよ?」
「いっ……いじめてなぞおらんわい!」
最終的にわしがいじめているように勘違いされてしまったようだ。
「川から人を拾ってくるなんぞ、昔話の中だけで十分じゃ……まったく、骨が折れるわい」
「じいじ、骨が折れてたの?」
「いや……、なんでもないぞ」
こうしてまた一つ、わしの威厳が失われていくのだった。
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