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同居の御曹司は浮気を許さない
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しおりを挟むあっけらかんと笑う美麗さんに私は苦笑する。
「優磨が美麗を思わず呼び捨てにするほど怒るってことは、それだけ波瑠ちゃんが大切なんだよ。だから、優磨の大事な人は美麗も大事なの」
美麗さんは私に笑顔を向ける。そこまで言われては顔が赤くなってくる。
「波瑠ちゃんも優磨が大事だもんねー」
私は照れながらこくりと頷いた。ワインに酔ってきたようだ。
「波瑠ちゃんって人を癒す力があるよね」
「そうですか? そんな超能力なんてありませんよ」
「美麗の汚い心が洗われていく気がする」
なんですかそれと笑う。そういえば同じことを何度か言われた気がする。
美麗さんはスマートフォンを取るとどこかに電話をかけ始める。
「もしもしー」
数秒待つとスピーカーになった電話の向こうから優磨くんの声が聞こえた。
「何だよ……今仕事中なんだけど……」
「今美麗どこにいると思う? 優磨のマンションでーす!」
「は!?」
「今波瑠ちゃんとご飯食べてるのー」
「何!? 何かの冗談?」
「波瑠ちゃんが優磨のこと大好きだって」
「ちょっと美麗さん!」
「え、本当にうちにいるの? 今の波瑠の声?」
「ごめんね優磨くん、仕事中なのに……」
「いや、いいんだけど……姉さん今すぐ帰れ! 波瑠が汚される」
「何それ酷い! 帰らないもん! 今夜はお泊りするんだから」
「は? だめだって! マジでかえ……」
美麗さんは言葉の途中で通話を切った。
「優磨、今絶対ブチ切れてるよ。美麗の名前呼び捨てにしまくりだね」
ケラケラと笑う横で私もおかしくなって笑ってしまう。美麗さんに近づくなと言われているけれど、今とても楽しい。
城藤の人は私とは全然環境が違って戸惑う。でも私はもっと知りたい。
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