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元カレ御曹司は元カノの元カレを許さない
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しおりを挟む今更そんなことを言うなんてずるい。話したいときには聞いてくれなかったのに。
優磨くんの熱を込めた視線に耐えられなくて話題を変えた。
「なんで下田くん、私を脅したんだろう。お金は必要なさそうなのに……」
「波瑠に会うためだよ」
「え?」
「下田はまだ波瑠が好きだから、お金を口実にして連絡を取るのが目的。たとえ憎悪でも波瑠の中に少しでも下田への思いがあればよかったんだと思う。波瑠を苦しめるのは分かってても、そうしてしまう」
「何それ……歪んでる……」
「俺はわからなくもないよ。波瑠と離れるのはしんどいって思い知ったから」
「…………」
優磨くんは寂しそうな目を向ける。
「波瑠が俺に何も言ってくれないことは悲しかったし寂しかった」
「言いづらくて……優磨くんに心配かけたくなかった」
「俺のことを思ってくれてなのはちゃんと理解したから。本音は頼ってほしかったよ」
その言葉に私も下を向く。
「ごめんなさい……」
「俺も、波瑠を傷つけることしてごめんなさい」
「…………」
「俺、学生の時に付き合ってた子に浮気されたことあって……姉さんと慶太さんのこともあって、波瑠もそうじゃないかって……」
「…………」
「勘違いして反省してる。もう一度やり直したい」
「…………」
「波瑠?」
目が潤み始める。欲しかった言葉がやっともらえた。それなのに全然嬉しいと思えないのが辛い。
「今更だよ……あんなに拒絶したのに……」
「信じなくてごめん……波瑠の首にあったキスマークも、なんとなく状況がわかったから……」
思わず首に手当ててしまう。もうとっくに痣は消えたけれど、今でも吸われた痛みは蘇る気がする。
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