私、異世界で保護されました! 〜やりたいことのために猪突猛進です〜

星宮歌

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第二章 本当の心

第四十話 検査

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 リアン魔国の魔王城へと着いた私達は、すぐに謁見の間へと通される、かと思いきや、何やら検査が必要とのことで別室に通された。


「はじめまして。私はメリサと申します。これから検査するのは、お二人が魅了魔法に掛かっていないかどうか、及び、片翼判定機能の確認となります。検査方法は魔導具によるものですので、その都度ご説明致します。何か、質問はございますか?」


 別室で待ち受けていた白衣を纏う医者であろう女性魔族の言葉に、私は困惑する。
 魅了魔法に掛かっていないかどうか、というのは分かる。しかし、片翼判定機能の確認というのはすなわち、私が受けるかどうか悩んでいた検査のことだった。


「はい、片翼判定機能の確認はどうして受けるのですか?」


 どうすれば良いのか分からず、その場に立ち尽くしていると、ロレーヌが手を挙げてそんな質問をしてくれる。


「そうですね。確かに、説明不足でした。片翼判定機能の確認については、魅了魔法の特性が関係しております。魅了魔法が発動されると、その周囲に居た魔族の片翼判定機能が低下することが確認されていまして、また、自らの片翼が魅了魔法を受けていた場合でも、片翼判定機能の低下が現れるとの研究があるのです」

「え? それじゃあ、私の片翼判定機能も……」

「可能性は高いかと。そして、ミオ嬢に関しても、片翼ではなくとも身内が魅了魔法を受けているということで、確認が必要です」


 思わぬ内容に青ざめるロレーヌだったが、私も、片翼判定機能の確認が避けられないと知って、上手く頭が働かない。


「ですがご安心ください。元凶となった魅了魔法使いが魅了を解けば、その片翼判定機能の低下も徐々に回復しますので」


 そう言われて、ロレーヌはようやくホッとした表情を見せたものの、私の問題が解決していないことにすぐに気付いたのか、悩むような表情を浮かべる。


「あ、あの、私は、元々片翼判定機能が働いていないらしく、今まで片翼に対する欲求とかも感じたことがなかったのですが、最近になって、もしかしたら回復しているのかもしれないと思うようになっていたんです」

「それは……いつ頃からのことか分かりますか?」

「少なくとも、弟が魅了魔法を使われるよりは前かと。おかしいと感じ始めたのは、学院に入学する前くらいからなので」


 そう告げると、メリサ様は少し考え込んだ様子で黙り込む。


「ロットール嬢は、検査結果を知ることに関しては大丈夫でしょうか? もし、まだ心の準備が整っていないようであれば、ロットール嬢自身にお伝えするのは後日という形を取ることも可能です。ただ、信頼できる家族などにはお伝えさせていただこうとは思いますが」


 それはきっと、メリサ様が私の心情を必死に理解してくれようとしたからこと出た提案だ。そして、私はきっと、それを望んでいたはずなのに、素直には頷けなかった。


「ミオ?」

「……いいえ、検査結果を、聞かせてください。きっと、早く向き合うべきことだと思うので」

「承知しました。それでは、これより検査を開始します」
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