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第4章 世界攻略編
第121話 邪神樹攻略戦5・決着
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リヴァイアサンを倒して、ようやく邪神樹に登れると思ったら、幹に触れた途端に棘のようなものが出て鎧兵が破壊されてしまった。
クソ。せっかくたどり着いたのにこれかよ。
幹を爆破がいいのか? でも根と同様に多分再生するよな。数で押し続ければ行けるか? うーん、何時間かかるか分からないし、俺の体力と集中力がもたないかもな。
そもそも木ってどこに心臓的な部位があるんだよ。根か、幹か、枝か?
困っていると、目の端に真珠色のセフィラを捉えた。よく眺めると、ツルのようなものが宝玉を突き刺しており、常時、脈を打っている。
「やはりセフィラからエネルギーを得ているのか……!」
ならば邪神樹とセフィラを分断すれば弱まって倒せるはず。
しかし幹の上部にあって、下からでは届きそうもない。
かといって、上から鎧コウモリだとベルゼブブが邪魔をしてくる。
「……いや、待てよ」
ベルゼブブを逆に利用するか。ベルゼブブ、占い師オイチのヒントである五感、属性鎧兵。全てが繋がる。うん、これで行こう。
策を思い付いた俺はさっそく行動に移る。
まずは陽動。鎧コウモリを邪神樹の遥か上空から降下させる。樹にくっついていたハエが防衛のためか撃墜に飛び上がる。
一方、湖畔南側の戦いは膠着状態だった。金と銀のハエの遠距離射撃に鎧コウモリが破壊され続けているが、常時俺本体が召喚し続けていてどうにかなっている。
「ここしかない!」
折を見て、俺がとあるキーを押すと、畔の南側で戦っていた鎧兵が“全て消失”した。
急にエサが消えたことで困惑するハエ達。
「透明化解除……!」
俺が呟いた瞬間、“邪神樹上部にいる鎧兵”が一斉に姿を現した。
——どのようにして邪神樹の上へたどり着いたか。
まず、木の根は鎧兵が触れると攻撃してきた。つまり、触覚が敏感というわけだ。でも、その割に常時くっついているベルゼブブは攻撃されていないことに気づいた。
そこで俺はそこら中に落ちているハエの死骸から足を切り取って鎧兵に持たせた。邪神樹に触れる部分だけハエの足を使えばいい。そう考えたのだ。
それから気づかれないよう透明にした鎧兵を作った。透明なものは氷鎧兵を使えば作成できる。それを他の鎧兵に合成すれば別種の特性を得た鎧兵が使えるのだ。
その透明鎧兵にハエの足を取り付けて邪神樹の幹にくっつけると、狙い通り棘は出てこなかった。後はハエの注意を逸らしている間にせっせと頂に登ったというわけだ。
「さぁ仕上げだ」
鎧兵をセフィラの周囲に陣取らせる。木鎧兵に花を咲かせて臭いを周囲にばら撒いた。すると、南側にいた金と銀のハエを含む全てのハエが新たなエサを発見したと勘違いして帰還してきた。
もっと分かりやすくするため、雷鎧兵をピカピカ光らせて視覚を刺激し、風鎧兵に穴を開けてピューピュー笛のような高い音で聴覚を刺激してやる。
それらのお陰でハエ達は、魅力的なメスに群がるオスの獣のように最短距離で向かってきた。
「じゃあな」
そして金と銀のベルゼブブが幹に差し掛かった瞬間。爆破。セフィラの周りだけでなく、幹の上部から下部まで置いておいた火鎧兵に誘爆していく。
邪神樹は、特撮映画のビル爆破のように炎と黒煙と破片を撒き散らせながら崩壊した。ハエも火の玉になり、花火の残滓のように湖へ落下していく。
残った根が黒い灰となって空に舞う。どれだけ時間が経ったか定かではないが、気づいた時には山風が耳に届くくらいに静かになっていた。
「ふぅぅ! やったぁぁぁ!」
思わず両手を上げてガッツポーズした。踊りだしたいところだが帰るまで我慢しよう。油断大敵だからな。たまに旅行先で、はしゃいで変なケガするやついるだろ? 俺です。
それより邪神樹を破壊したし、巨獣は減るかな? 今のところ劇的な変化は見られない。
「まぁいいか」
とにもかくにも俺は全てのセフィラを集めることに成功した。
クソ。せっかくたどり着いたのにこれかよ。
幹を爆破がいいのか? でも根と同様に多分再生するよな。数で押し続ければ行けるか? うーん、何時間かかるか分からないし、俺の体力と集中力がもたないかもな。
そもそも木ってどこに心臓的な部位があるんだよ。根か、幹か、枝か?
困っていると、目の端に真珠色のセフィラを捉えた。よく眺めると、ツルのようなものが宝玉を突き刺しており、常時、脈を打っている。
「やはりセフィラからエネルギーを得ているのか……!」
ならば邪神樹とセフィラを分断すれば弱まって倒せるはず。
しかし幹の上部にあって、下からでは届きそうもない。
かといって、上から鎧コウモリだとベルゼブブが邪魔をしてくる。
「……いや、待てよ」
ベルゼブブを逆に利用するか。ベルゼブブ、占い師オイチのヒントである五感、属性鎧兵。全てが繋がる。うん、これで行こう。
策を思い付いた俺はさっそく行動に移る。
まずは陽動。鎧コウモリを邪神樹の遥か上空から降下させる。樹にくっついていたハエが防衛のためか撃墜に飛び上がる。
一方、湖畔南側の戦いは膠着状態だった。金と銀のハエの遠距離射撃に鎧コウモリが破壊され続けているが、常時俺本体が召喚し続けていてどうにかなっている。
「ここしかない!」
折を見て、俺がとあるキーを押すと、畔の南側で戦っていた鎧兵が“全て消失”した。
急にエサが消えたことで困惑するハエ達。
「透明化解除……!」
俺が呟いた瞬間、“邪神樹上部にいる鎧兵”が一斉に姿を現した。
——どのようにして邪神樹の上へたどり着いたか。
まず、木の根は鎧兵が触れると攻撃してきた。つまり、触覚が敏感というわけだ。でも、その割に常時くっついているベルゼブブは攻撃されていないことに気づいた。
そこで俺はそこら中に落ちているハエの死骸から足を切り取って鎧兵に持たせた。邪神樹に触れる部分だけハエの足を使えばいい。そう考えたのだ。
それから気づかれないよう透明にした鎧兵を作った。透明なものは氷鎧兵を使えば作成できる。それを他の鎧兵に合成すれば別種の特性を得た鎧兵が使えるのだ。
その透明鎧兵にハエの足を取り付けて邪神樹の幹にくっつけると、狙い通り棘は出てこなかった。後はハエの注意を逸らしている間にせっせと頂に登ったというわけだ。
「さぁ仕上げだ」
鎧兵をセフィラの周囲に陣取らせる。木鎧兵に花を咲かせて臭いを周囲にばら撒いた。すると、南側にいた金と銀のハエを含む全てのハエが新たなエサを発見したと勘違いして帰還してきた。
もっと分かりやすくするため、雷鎧兵をピカピカ光らせて視覚を刺激し、風鎧兵に穴を開けてピューピュー笛のような高い音で聴覚を刺激してやる。
それらのお陰でハエ達は、魅力的なメスに群がるオスの獣のように最短距離で向かってきた。
「じゃあな」
そして金と銀のベルゼブブが幹に差し掛かった瞬間。爆破。セフィラの周りだけでなく、幹の上部から下部まで置いておいた火鎧兵に誘爆していく。
邪神樹は、特撮映画のビル爆破のように炎と黒煙と破片を撒き散らせながら崩壊した。ハエも火の玉になり、花火の残滓のように湖へ落下していく。
残った根が黒い灰となって空に舞う。どれだけ時間が経ったか定かではないが、気づいた時には山風が耳に届くくらいに静かになっていた。
「ふぅぅ! やったぁぁぁ!」
思わず両手を上げてガッツポーズした。踊りだしたいところだが帰るまで我慢しよう。油断大敵だからな。たまに旅行先で、はしゃいで変なケガするやついるだろ? 俺です。
それより邪神樹を破壊したし、巨獣は減るかな? 今のところ劇的な変化は見られない。
「まぁいいか」
とにもかくにも俺は全てのセフィラを集めることに成功した。
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本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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