転生したら第13皇子⁈〜構ってくれなくて結構です!蚊帳の外にいさせて下さい!!〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

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第1章 とにかく普通と平穏を 騒がしいのはお断り!

1.皇子様って、、、普……………………通?

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ハッと目が覚めた。
仰向けに寝た俺の眼に映るのは、天蓋ベッドの天井部。
勢いよく起き上がり、辺りをキョロキョロ。
華美ではないが、品良く整えられた調度品。柔らかくふんわりとしたいい匂いのする部屋。
自分を見下ろすと、簡素ではあるが肌触りのいい寝間着と寝具に、意図せず溜め息が漏れた。

「庶民……ではないわけか」

一体全体、自分の立場はなんだろうか?
探ろうと、体を動かした瞬間、何かがバサリと目の前に落ちてきて視界が遮られた。

「うわっ⁉︎」

思わずあげた悲鳴。パタパタと聞こえる足音。
勢いよく開いた部屋の扉から、女性が入ってくる。

「カナデ様!如何なさいましたか⁈」

見知らぬ顔に声。
が、呼ばれた名は間違いなく自分の名で。二の句が継げず、押し黙る俺に構わず、女性がベッド脇の床にひざまずく。

「寝所に立ち入りました非礼、お許し下さいませ!なれど、事の後にございますので」
「こ……と?」

声が出た。
いつもの自分の声より若干高くか細いそれに、思わずギョッとなった。

「貴妃様は決して廃される事はございません!ですから、これ以上は心配なされませぬよう。でなければ、またお倒れに…」
「た、おれたって、俺?」
「さよう、にございます…が………あ、の?カナデ様?」

戸惑ったように呼びかけられる。
まるで、何かが間違っているかのような訝る声音。
が、あいにくと、俺には何が違うのかは分からない。
目の前を遮る、すだれのようなモノの隙間から見える女性の姿。見えにくい視界の合間から見ても、やっぱり知らない顔。

「あの、さ」
「はい?」
「俺、何で?それに、俺の名前……」
「カナデ様?一体、どうなさったのですか?」

一体何を言ってるんだとばかりな女性の言葉だが、それは俺が言いたい。
あの子どもとの会話を思えば、これが新しい世界での俺の生って事は確かだ。
元の世界での俺の名前が、白織しらおりかなで
なのに、何で今も同じ名前?

「お倒れになった時に頭をお打ちあそばされましたか⁈よもや、ご自分がお分かりになりませんか?」
「あ~~………う、ん。そうかも」

説明すればいい話だが、上手く説明できるとも思えないし、何より、話が突飛とっぴすぎて信じてもらえる気がしない。俺だって、人からそんな話されたら、鼻で笑い飛ばす自信がある。
気が触れたのかと、狂人きょうじん扱いされてはたまらない。
女性の話では、どうやら俺は倒れて頭を打った事になっているらしい。話に便乗し、情報を得ようと上手く誤魔化す。

侍医じいを呼びますわ。お待ち下…」
「あー…それはいい。大丈夫。具合悪いわけじゃないから。ただ、いろいろ知りたいだけ。聞けば思い出すかもだし」
「さ、ようにございますか?」
「うん!」

なおも心配そうな女性に、力強く頷いてみせる。

「俺の名前はカナデ、なんだよな?」
「左様にございます。カナデ様は、このエディル・ルーンの皇子殿下。今は滅亡した東国の血を引く貴妃様と、我が国の国帝殿下との間にお生まれになった、第13皇子殿下にございます」
「じゅ…ッ⁉︎」
「はい?」
「な、何でもない。うん……そっか。そうだったん…そうだったな。そうだった…」

危ない。あまりな事に、思わず頓狂とんきょうな声をあげかけた。
皇子ってだけでも驚きなのに、13番目って……
とりあえず何でもない風を取り繕う。

「お倒れになったのは、貴妃様が帝の御不興を買い、御謹慎を言い渡されたからにございます」
「不興?って……?」

ところどころ、言い回しが堅くてむずい。
多分、何か王様とやらの気に触る事を、貴妃(どうやら、この世界での俺の母親おかん)がした。でもって、反省しろと説教喰らったって事らしい。
それが、俺が倒れる意味とは?

「カナデ様は貴妃様をとても大切に思ってらっしゃいますから、無理もありません。皇位継承権を剥奪されたカナデ様のお側に残ったのは貴妃様のみ。元々、争い事をいとわれる貴妃様と、何に対しても後ろ向き……ではなく!慎ましやかなカナデ様ですから。幽閉された貴妃様を思うあまりお倒れに……思い出されましたか?」
「うん……(事情は分かった)」

女性曰く、俺はこの国の王と貴妃との間に生まれた13人目の母親思いの王位を継ぐ資格のない後ろ向きな皇子だと分かった。名前は偶然か、つけてくれた条件のオプションかは知らないが……
あの子ども。
生を与えてくれるにしても、もちっとマシな……と、まで考えてからハタと気づく。

「あれ…でも、考えたらこれ都合良くね?」
「カナデ様?」

ぶつぶつ言う俺に、女性が心配そうに声をかけてくる。

「俺、頭ぶつけたせいか、いろいろおかしくなってるっぽい。忘れてたり、元の俺とは違う事したり言ったりするのもそのせいで…」
「確かに……カナデ様は元々あまりハキハキ仰る方ではありません。今日のカナデ様は随分しっかりなさっておいでですわ」
「……………………」

元々って事は、前の俺はどうも性格が違うらしい。
何でこんな妙ちきりんな事になってるのかは分からないが、聞こうにもあの子どもはもう居ないし、用意された生は自分で何とかしろと言われてる。
今は、頭を打って倒れたという事実がある。そのせいで、多少好きに行動したとしても理由になる。
子どもと約束した条件を成功させつつ、俺がこの世界でやる事は……ーーーーーーーーーーーー

「とにかく普通に平穏に!当たり障りなく、セクハラお断り!地味に目立たず、質素万歳!俺は、この世界ではモブの如く生きる!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーだ!!!











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