転生したら第13皇子⁈〜構ってくれなくて結構です!蚊帳の外にいさせて下さい!!〜

白黒ニャン子(旧:白黒ニャンコ)

文字の大きさ
26 / 37
第1章 とにかく普通と平穏を 騒がしいのはお断り!

17.もしかしてだけど………

しおりを挟む



口を塞がれ言葉を封じられた。
出鼻をくじかれ、文句を言いたいところだが、何せその口を塞がれている今は叶わない。
ムッとしたまま、視線を肩越しに向け、不愉快極まりないとばかりに睨んでやる。
はたして相手が困ったように(見えるだけで、実際少ッッッしも!困ってないのだろう)微笑を向けてきた。
鼻をかすめた水とハーブみたいな爽やかな香りに、一瞬で誰だかは分かったが、当たったからといって嬉しくない。

「カレス様!何故、こちらへお越しですか⁈」
「兄上。闘技場へのお越し前に、父上の所に向かわれるのでは?時間浪費していてよろしいのでしょうか?」

アニエスの問いに、カレスは応える事なく、ニッコリ柔らかく微笑んだまま、レグルスを見据える。
筆頭侍女は無視され、ギリギリと唇を噛み、俺を物凄い形相で睨みつけてくる。
八つ当たりもいいとこだ。
辟易へきえきし、溜め息つきたくなる俺に構わず、兄2人は会話を続ける。

「お前こそ、時間には早いようだが?尤も、お前が時間をきっちり守った事もないが」

眉を顰め、胡乱に見つめるレグルスに、カレスが曖昧あいまいな笑みを浮かべた。
どうでもいいが、そろそろ塞いだ口を離してほしい。
解こうと軽く首を振り無言の抗議をする。

「おっ、と!ごめんごめん」

手を外され、謝られた。
再度捕まらないよう、カレスから距離を取り離れる。

「で?これは何の騒ぎでしょうか?」

状況を確認するように、カレスが穏やかに腕を組みつつ聞いてきた。
緊迫した空気に水を差したクセに随分能天気とも取れる発言。
正直、何でここにカレスこいつが居んのか分からない。偶然、通りかかったにしてはタイミングが良すぎる。
まさか、俺を監視して?
そこまで考え、自分のそれに首を振る。
そこまでする理由が思い浮かばないし、俺にそんな価値があるとも、そこまでカレスこいつが俺に執着しゅうちゃくしてるとも思わない。というか、ハッキリ言って思いたくない!
事実なら、そんなストーカーじみたの怖すぎるわ!!
1人考えに冷や汗をかき、自意識過剰とも取れる思いに、若干の羞恥しゅうちを覚えてからあおいだ。

と、お前の所の侍女が起こした騒動だ」

のところで、レグルスが俺をちらりと見てきた。
はっきり言う。

感じ悪ッ!!

確かに騒ぎの渦中にいるのは間違いないが、よりによって”それ”ときた。
もうちょっと言い方はないのだろうか?
唖然となり言葉を失ってしまう。

「そうですか。兄上のお手を煩わせてしまい、申し訳ありません」
「自覚がないのが悪い」

ふんと吐き捨てるように言い、レグルスがすでに興味なしとばかり顔を背ける。
あー、、、駄目だ。そろそろ限界。
こちらをまるで見てない、明らか格下扱い丸分かりなレグルスにも、場を勝手に仕切ろうとするカレスにも、いい加減そろそろ俺のイラが募る。

「いい加減にしてくんね?」

そう思っていたら言葉が出た。
アニエスは相変わらず敵意剥き出しに睨んで、ギョッとしたようにリリヤが俺をみやり、レグルスが視線を向け、カレスが僅か目を瞠る。
それぞれが、おもいおもいに俺を見てくるが、気にはならなかった。
放っておいてほしい思いは今も変わらない。が、勝手に構ってきておいて、勝手に放り出されて、こんな扱いを受けるいわれはない。
事なかれ主義ではあるが、元々、大人しいだけの性格ではないのだ。

「何で一方の話ばっか聞くんだよ?そっちの話だけじゃなくて、こっちの言い分もキチンと聞け!この頭でっかち!!」

キッと睨みつけ言い放つ俺に、それまでまともにかち合わなかったレグルスの視線がヒタと合わさった。
第一印象でも感じた通り、整った顔立ちだ。
深いあおと紫の入り混じる光彩が俺の目を射抜く。
それまでとは違い、妙な力と熱が入りだしたそれに、気後れすんのは気のせいか……

「な、何だよ…?」

焦る必要もないのに狼狽うろたえてしまう。
思わず周りを見ると、アニエスは悔しそうにジト目で睨んでくるし、リリヤは何故かアワアワし、カレスは苦々しさを僅か含んだ苦笑を浮かべ、額を手で押さえて首を振る。

何?その反応……

「恐れ気もなく、俺に向かってそのような口を聞いたのはお前が初めてだ。なるほど………これは、確かに」

クッと喉で小さく笑い、レグルスが先程までの態度とは一変、どこか楽しそうに呟いた。
えー、、っと………
何か、分かんないけど、、これって、、、、、

ーーーーーーーーーーーーーーやっちゃった???












しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました

多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。 ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。 ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。 攻め ユキ(23) 会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。 受け ケイ(18) 高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。 pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

悪役の運命から逃げたいのに、独占欲騎士様が離してくれません

ちとせ
BL
執着バリバリなクールイケメン騎士×一生懸命な元悪役美貌転生者 地味に生きたい転生悪役と、全力で囲い込む氷の騎士。 乙女ゲームの断罪予定悪役に転生してしまった春野奏。 新しい人生では断罪を回避して穏やかに暮らしたい——そう決意した奏ことカイ・フォン・リヒテンベルクは、善行を積み、目立たず生きることを目標にする。 だが、唯一の誤算は護衛騎士・ゼクスの存在だった。 冷静で用心深く、厳格な彼が護衛としてそばにいるということはやり直し人生前途多難だ… そう思っていたのに─── 「ご自身を大事にしない分、私が守ります」 「あなたは、すべて私のものです。 上書きが……必要ですね」 断罪回避のはずが、護衛騎士に執着されて逃げ道ゼロ!? 護られてるはずなのに、なんだか囚われている気がするのは気のせい? 警戒から始まる、甘く切なく、そしてどこまでも執着深い恋。 一生懸命な転生悪役と、独占欲モンスターな護衛騎士の、主従ラブストーリー!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

処理中です...