堕天使

カモミール

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  その日の午後、朱石はアメリカに旅立って行った。



  グループでは、5人での雑誌撮影があった。



 神谷「今頃槙は、アメリカに向かってるのか…。 なんか寂しいな。」

 大河これ以上、グループを引っかき回されなくて良かったよ!」

 神谷「光司…。そんな言い方…するなよ。」



 ガチャ…と楽屋の扉が開いた。


 中川「おはよー。」

 上原「あ、中川、おはよ。珍しいな、ギリギリじゃん?」

 中川「うん。 空港で、朱石を見送ってた。」

 神谷「え?中川一人で?」

 中川「うん。」

 大河「行く必要ねーじゃん。あんな勝手な奴!」



 中川は、何か言いたげに悲しそうな顔をした。

 上原「…中川?」


 中川「…何でもない。」



 朱石のいない間、メンバー5人での結束力も高まり、仕事も無難にこなしてきた。











 そして、半年後
  朱石は戻ってきた。




 すっかり元気な、以前の朱石だった。


 半年前の覇気のない姿ではなく、デビュー前のようなやる気あふれる姿で。



 中川「お帰り、朱石。」

 朱石「ただいま。半年間 すみませんでした。」

 神谷「お帰り!待ってたよ!」

 神谷は、嬉しくて 朱石の腕に飛び込んだ。


 大河「おう…。久しぶり。」

 朱石「光司…。悪かったな。  ただいま。」



  久しぶりにあった仲間たちは、温かく迎えてくれた。
 
 帰国してしばらくは、朱石も以前通りの、元気でやる気に溢れる男に戻っていた。


 そんな日が何日か続いた。


6人でのCMが決まり、その撮影であるスタジオに来ていた。

 6人は、リラックスモードで楽屋にいた。


 
 マネージャー「…朱石、ちょっと…。」



 朱石がマネージャーに呼ばれた。

 その途端、朱石の表情が曇った。
 その様子を見た中川も、何かに気付く。


 中川「…朱石、いいか?何かあれば、必ず相談するんだぞ?」

 朱石「サンキュ。   ちょっと行ってくるわ。」



 マネージャーと一緒に入った部屋には、山城が居た。


 「やあ、久しぶりだね。元気だったか?」


 朱石「おひさしぶりです。」


 「今夜あたりどう?  仕事の話もしたいし。」

 朱石「わかりました。 撮影が終わり次第、いつものところに行きます。」


 「待ってるよ。」


  朱石「はい。  僕は撮影があるので、失礼します。」



 部屋から出ると、そこには中川が立っていた。


 中川「…また続けるのか? この関係を。」

 朱石「…うん。 もう少し。 このグループが、あの人力を借りなくても、不動のものになるまで。」

 中川「その前に、お前の心が壊れちゃうんじゃないか?」

 朱石「大丈夫。 半年間、いろいろ考えたし、今は 中川が俺を理解してくれてる。それだけで十分。」

 中川「朱石…。」

 朱石「さあ!撮影あるし。 頑張ろう。」


 その日の朱石は、いつもよりハイテンションだった。

6人でいるのが楽しい、そんな思いが 周りに者にも分かるくらいに。
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