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第1章 異世界召喚とギフト
1-4 ギフト①
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ポカンと口を開けたクラスメイト達の輪の中に戻ると、すでにその輪の中央にじぃさんが立っていた。
「一つ聞くが、今すぐ元の世界へ戻るだの、言い出す奴は他におらぬか?」
じぃさんの言葉に、皆んな首を横に振っている。確かにじぃさんに叩きのめされるのは癪だけど、言いなりになるのも癪に触る。
もう一回。拳に力を入れて、立ち上がろうとした時。
「やめておけって」
ライトに強く腕を掴まれた。
「おお、タクミよ。お前も懲りない奴だな。だが、お前のような奴は嫌いじゃない」
「何がだ。俺は嫌いだけどな」
「本当にお前は良い目をしておる。お前にはさっきのアランカールをギフトとして与えよう。攻撃魔法の一種じゃ。単体での威力はさっきお前が受けた程度だが、火、水、風、土。そう言った自然現象をお前が操れるようになった時。数百倍、いや、数千、数万倍と威力を発揮するだろう」
アランカール。さっき受けた衝撃の何万倍だって?! そんな力が俺に宿ったと言うのだろうか? いや、んな訳ないか。さっきじぃさんが形を示したように、両腕を突き出す。
「おい、タクミ。こっちへ向けるな。お前の友達が吹き飛ぶぞ!」
「タクミ! こっちへ向けないで!」
ちょうど対面に座るレオンが叫んだ。
「ああ、ごめん」
振り返り、海へと両手を突き出す。
「アランカール!」
叫んだと同時。掌に何か大きな力が集中した。……気なのか? その気のような大きな力が放出され、海面を滑るように走っていった。衝撃を与える対象物がないからだろう。
「初めてにしては筋がいい」
試してはみたけど、じぃさんに褒められても、喜べるはずもない。
「次はお前じゃ。ライト。お前はタクミと親友なんだな」
「まぁ、仲はめちゃくちゃいいっすよ」
ライトは緊張してるようだった。ライトの口調が軽くなる時は、緊張している時だ。いつも近くに居るから、ライトの事はよく分かっている。
「ライトよ。お前には防御魔法のレックパラースだ。防御魔法と言っても、このレックパラースは相手の攻撃を跳ね返す魔法じゃ。使い方次第では、攻撃魔法になる」
「攻撃魔法にですか……」
ライトの顔は暗かった。誰かを傷付ける事を、誰よりも嫌っているのがライトだ。そんなライトに防御魔法は似合っても、攻撃魔法は似合わない。
「老師様ー! 俺達も攻撃魔法がいいんですけど!」
フウマとリョウが二人して、突然、じぃさんの膝にしがみついた。普段、アニメを観慣れている二人には思うところがあるのかもしれない。
「お前がフウマで、お前がリョウだな」
「はい! 憧れだった異世界に召喚されたんです。どうか攻撃魔法をお与えください。必ず老師様が望むような、立派な勇者になってみせます」
……キモオタ? クラスメイトを悪く言うのも、なんだけど。二人の姿はちょっとキモチ悪い。たかだかじぃさんに、そこまで縋らなくていいのに。
「いや、お前たちに攻撃魔法は与えぬ。お前達が努力したところで、底がしれている。攻撃魔法をお前たちに与えても、然程の役には立たんだろう。……お前達に与えるのは知識魔法じゃ」
「知識魔法……ですか?」
「ああ、そうだ。フウマよ、お前にはアブソールを与えよう。見た物、聞いた事、読んだ物。全てがお前の知識として、蓄積されていく魔法じゃ。能力が上がれば、見えなくとも、聞かなくとも、どんな情報もお前の知識となる」
「老師様、ありがとうございます。一生、老師様にお仕え致しますぅ」
泣きながら膝に縋るフウマを蹴飛ばすじぃさん。一体、さっきから何を見せられているんだろう。
「それで、老師様。俺には何を?」
じぃさんの左足に縋ったまま、リョウが目を輝かせている。
「リョウじゃの。お前にはオルヴィードを与えよう」
「オルヴィード? ですか?」
「ああ、そうじゃ。これは知識魔法の中でも特別な魔法じゃぞ。これは相手の知識を奪い取り、自分の知識に変える魔法じゃ。どうじゃ? すごいだろ?」
「すごい? ですか? ん? すごいんですよね?」
リョウ自身、分かっていない様子だった。もし目の前に敵がいて、その敵の知識を奪って、何になるんだろう?
「一つ聞くが、今すぐ元の世界へ戻るだの、言い出す奴は他におらぬか?」
じぃさんの言葉に、皆んな首を横に振っている。確かにじぃさんに叩きのめされるのは癪だけど、言いなりになるのも癪に触る。
もう一回。拳に力を入れて、立ち上がろうとした時。
「やめておけって」
ライトに強く腕を掴まれた。
「おお、タクミよ。お前も懲りない奴だな。だが、お前のような奴は嫌いじゃない」
「何がだ。俺は嫌いだけどな」
「本当にお前は良い目をしておる。お前にはさっきのアランカールをギフトとして与えよう。攻撃魔法の一種じゃ。単体での威力はさっきお前が受けた程度だが、火、水、風、土。そう言った自然現象をお前が操れるようになった時。数百倍、いや、数千、数万倍と威力を発揮するだろう」
アランカール。さっき受けた衝撃の何万倍だって?! そんな力が俺に宿ったと言うのだろうか? いや、んな訳ないか。さっきじぃさんが形を示したように、両腕を突き出す。
「おい、タクミ。こっちへ向けるな。お前の友達が吹き飛ぶぞ!」
「タクミ! こっちへ向けないで!」
ちょうど対面に座るレオンが叫んだ。
「ああ、ごめん」
振り返り、海へと両手を突き出す。
「アランカール!」
叫んだと同時。掌に何か大きな力が集中した。……気なのか? その気のような大きな力が放出され、海面を滑るように走っていった。衝撃を与える対象物がないからだろう。
「初めてにしては筋がいい」
試してはみたけど、じぃさんに褒められても、喜べるはずもない。
「次はお前じゃ。ライト。お前はタクミと親友なんだな」
「まぁ、仲はめちゃくちゃいいっすよ」
ライトは緊張してるようだった。ライトの口調が軽くなる時は、緊張している時だ。いつも近くに居るから、ライトの事はよく分かっている。
「ライトよ。お前には防御魔法のレックパラースだ。防御魔法と言っても、このレックパラースは相手の攻撃を跳ね返す魔法じゃ。使い方次第では、攻撃魔法になる」
「攻撃魔法にですか……」
ライトの顔は暗かった。誰かを傷付ける事を、誰よりも嫌っているのがライトだ。そんなライトに防御魔法は似合っても、攻撃魔法は似合わない。
「老師様ー! 俺達も攻撃魔法がいいんですけど!」
フウマとリョウが二人して、突然、じぃさんの膝にしがみついた。普段、アニメを観慣れている二人には思うところがあるのかもしれない。
「お前がフウマで、お前がリョウだな」
「はい! 憧れだった異世界に召喚されたんです。どうか攻撃魔法をお与えください。必ず老師様が望むような、立派な勇者になってみせます」
……キモオタ? クラスメイトを悪く言うのも、なんだけど。二人の姿はちょっとキモチ悪い。たかだかじぃさんに、そこまで縋らなくていいのに。
「いや、お前たちに攻撃魔法は与えぬ。お前達が努力したところで、底がしれている。攻撃魔法をお前たちに与えても、然程の役には立たんだろう。……お前達に与えるのは知識魔法じゃ」
「知識魔法……ですか?」
「ああ、そうだ。フウマよ、お前にはアブソールを与えよう。見た物、聞いた事、読んだ物。全てがお前の知識として、蓄積されていく魔法じゃ。能力が上がれば、見えなくとも、聞かなくとも、どんな情報もお前の知識となる」
「老師様、ありがとうございます。一生、老師様にお仕え致しますぅ」
泣きながら膝に縋るフウマを蹴飛ばすじぃさん。一体、さっきから何を見せられているんだろう。
「それで、老師様。俺には何を?」
じぃさんの左足に縋ったまま、リョウが目を輝かせている。
「リョウじゃの。お前にはオルヴィードを与えよう」
「オルヴィード? ですか?」
「ああ、そうじゃ。これは知識魔法の中でも特別な魔法じゃぞ。これは相手の知識を奪い取り、自分の知識に変える魔法じゃ。どうじゃ? すごいだろ?」
「すごい? ですか? ん? すごいんですよね?」
リョウ自身、分かっていない様子だった。もし目の前に敵がいて、その敵の知識を奪って、何になるんだろう?
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タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
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楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
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