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第1章 異世界召喚とギフト
1-5 ギフト②
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「いつまで腰を抜かしておる?」
じぃさんが、レオンとビンビンに向かっている。ここから見える二人の顔は、どう見ても引き攣っている。イジメなんてない、平和なクラスだからか、好き放題、やりたい放題する奴が多い中。唯一、皆んなに気を遣う事が出来るのが、レオンとビンビンだ。優しいと言ってしまえば、一言で片付いてしまうけど、レオンとビンビンにも、やっぱり攻撃魔法は似合わない。
「お前はビンビンだな。お前は台湾人だと聞いておるが」
「あっ、そうです。僕、台湾人です。でも、日本、もう5年住んでます」
ビンビンがじぃさんに向かって、微笑っている。引き攣っていたのは、少しの時間だけで、もう緊張も解れたのだろう。
「ビンビン。お前にはヒエルバーを与えよう。これは生活魔法じゃ。ヒエルバー、要はお前は薬剤師じゃ。どんな病気の薬でも調合できる魔法じゃ。人のためになる魔法じゃ。お前に向いておるじゃろう」
「あ、はい。僕、薬剤師ですね。分かりました」
色の付いたビンビンの顔を見ていると、ヒエルバーと言う、生活魔法に満足しているのが、分かった。
「お前はレオンじゃな?」
「はい」
「お前に与えるギフトも、生活魔法じゃ。お前にはコミルダーラを与える。他の者にとっても重要な魔法じゃ。食せぬ物も食せる物に変える事が出来る魔法じゃ。例えば通常、魔物の肉なんて不味くて食えぬが、お前の手に掛ければ、皆の腹を満たす事が出来るじゃろ」
ふと思った事がある。このじぃさんは、どれくらい俺達の事を知っているのだろうか? と。確かレオンの父親は三つ星レストランのシェフだと聞いた事がある。そんなレオンに食事に関する魔法を与えるなんて、そんな偶然があるのだろうか。
「それじゃ、次じゃの。お前はコタロウだな」
「そうだけど。それより、じぃさん。何か食う物持ってないの? 俺、腹が減って、今にも死にそうなんだけど」
じぃさんに食う物をねだるなんて、さすがにコタロウだと感心してしまう。
「じぃさんと呼ぶのは、タクミ一人で充分じゃ。わしは、ジィ老師じゃぞ」
「分かったよ。んじゃ、ジィさん。何でもいいから、食う物くれよ」
「ジィさんか……全然変わらん気もするが、まあ、よい。腹が減っておるなら、自分で獲物を狩ってこい。お前には狩猟魔法、カザーンを与えてやるか……」
んっ? じぃさんの話を最後まで聞かずに、コタロウがジャングルへと、消えていった。それにしても、すごい素早さだったな。
「まぁ、よい。あやつが何か食べる物を狩って来るだろう。お前達が飢える事はない。レオンもいるしな」
ソラ、ライト、フウマ、リョウ。
レオン、ビンビン、コタロウ。
そして、俺と。
8人にギフトが与えられたが、まだ攻撃魔法は俺だけじゃないか。魔物か何か知らないが、敵が現れた時、一人でどうすればいい?
じぃさんが続ける。
「お前はリュウセイだな。お前には建築魔法、アキーテを与える。アキーテと叫び、念じれば、どんな家もあっと言う間に建てられる。それとお前にはアイテムボックスも与えておこう」
アイテムボックス? リュウセイに特別に与えられた、アイテムボックスの意味は何となくは分かる。だけどそれがどうして、リュウセイに与えられたんだろう?
「老師様。何故、リュウセイにだけアイテムボックスを? こんなにも老師様を慕っているんですよ。俺にもアイテムボックスを与えてください」
フウマがまた、じぃさんの足に縋り付いた。本当に懲りない奴だ。
「えいっ! 鬱陶しい奴じゃのう。リュウセイに与えたアイテムボックスはお前達共用のアイテムボックスじゃ。アイテムボックスも安くはないから、16人全員には与えてやれんのじゃ! 理解せぃ!」
アイテムボックスはどうだっていい。それにしても、他に攻撃魔法が与えられる奴はいないのだろうか。確かに家がなければ、寝る所に困るけど、リュウセイの建築魔法は微妙過ぎる気がする。
じぃさんが、レオンとビンビンに向かっている。ここから見える二人の顔は、どう見ても引き攣っている。イジメなんてない、平和なクラスだからか、好き放題、やりたい放題する奴が多い中。唯一、皆んなに気を遣う事が出来るのが、レオンとビンビンだ。優しいと言ってしまえば、一言で片付いてしまうけど、レオンとビンビンにも、やっぱり攻撃魔法は似合わない。
「お前はビンビンだな。お前は台湾人だと聞いておるが」
「あっ、そうです。僕、台湾人です。でも、日本、もう5年住んでます」
ビンビンがじぃさんに向かって、微笑っている。引き攣っていたのは、少しの時間だけで、もう緊張も解れたのだろう。
「ビンビン。お前にはヒエルバーを与えよう。これは生活魔法じゃ。ヒエルバー、要はお前は薬剤師じゃ。どんな病気の薬でも調合できる魔法じゃ。人のためになる魔法じゃ。お前に向いておるじゃろう」
「あ、はい。僕、薬剤師ですね。分かりました」
色の付いたビンビンの顔を見ていると、ヒエルバーと言う、生活魔法に満足しているのが、分かった。
「お前はレオンじゃな?」
「はい」
「お前に与えるギフトも、生活魔法じゃ。お前にはコミルダーラを与える。他の者にとっても重要な魔法じゃ。食せぬ物も食せる物に変える事が出来る魔法じゃ。例えば通常、魔物の肉なんて不味くて食えぬが、お前の手に掛ければ、皆の腹を満たす事が出来るじゃろ」
ふと思った事がある。このじぃさんは、どれくらい俺達の事を知っているのだろうか? と。確かレオンの父親は三つ星レストランのシェフだと聞いた事がある。そんなレオンに食事に関する魔法を与えるなんて、そんな偶然があるのだろうか。
「それじゃ、次じゃの。お前はコタロウだな」
「そうだけど。それより、じぃさん。何か食う物持ってないの? 俺、腹が減って、今にも死にそうなんだけど」
じぃさんに食う物をねだるなんて、さすがにコタロウだと感心してしまう。
「じぃさんと呼ぶのは、タクミ一人で充分じゃ。わしは、ジィ老師じゃぞ」
「分かったよ。んじゃ、ジィさん。何でもいいから、食う物くれよ」
「ジィさんか……全然変わらん気もするが、まあ、よい。腹が減っておるなら、自分で獲物を狩ってこい。お前には狩猟魔法、カザーンを与えてやるか……」
んっ? じぃさんの話を最後まで聞かずに、コタロウがジャングルへと、消えていった。それにしても、すごい素早さだったな。
「まぁ、よい。あやつが何か食べる物を狩って来るだろう。お前達が飢える事はない。レオンもいるしな」
ソラ、ライト、フウマ、リョウ。
レオン、ビンビン、コタロウ。
そして、俺と。
8人にギフトが与えられたが、まだ攻撃魔法は俺だけじゃないか。魔物か何か知らないが、敵が現れた時、一人でどうすればいい?
じぃさんが続ける。
「お前はリュウセイだな。お前には建築魔法、アキーテを与える。アキーテと叫び、念じれば、どんな家もあっと言う間に建てられる。それとお前にはアイテムボックスも与えておこう」
アイテムボックス? リュウセイに特別に与えられた、アイテムボックスの意味は何となくは分かる。だけどそれがどうして、リュウセイに与えられたんだろう?
「老師様。何故、リュウセイにだけアイテムボックスを? こんなにも老師様を慕っているんですよ。俺にもアイテムボックスを与えてください」
フウマがまた、じぃさんの足に縋り付いた。本当に懲りない奴だ。
「えいっ! 鬱陶しい奴じゃのう。リュウセイに与えたアイテムボックスはお前達共用のアイテムボックスじゃ。アイテムボックスも安くはないから、16人全員には与えてやれんのじゃ! 理解せぃ!」
アイテムボックスはどうだっていい。それにしても、他に攻撃魔法が与えられる奴はいないのだろうか。確かに家がなければ、寝る所に困るけど、リュウセイの建築魔法は微妙過ぎる気がする。
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