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最終章 孫を追いかけ最後の追い込みで御座います。
8-7 国王在位10周年8の日前半で御座います。
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「探偵さんよぅ。作戦はうまくいくかのぅ」
じぃじが言う作戦とは、昨日、探偵さんとローグさん。そしてタキン先生との3人が立てられた作戦で御座います。お料理コンテストで優勝をして、息子夫婦と感動の再会できたのですが、私達はすぐに離され、帰らされてしまったのです。そこで聖人と面識のあるタキン先生が王宮に出向いてくださったのです。
「何としても、うまくいかせます。なので康夫さんて光江さんは、ここで3人を待っていてください」
探偵さんが言う3人とは、雷人と聖人と美羽さんの事で御座います。孫と息子夫婦奪還の作戦なのに、私とじぃじに出番がないのは寂しいものです。
「……それで俺はヨーフさんと一緒に行けばいいんだな」
「はい。お願いします」
立てられた作戦では、雷人奪還を行うのは、探偵さんとウーグルさんだそうです。王宮親衛隊の隊長だったウーグルさんは、親衛隊ジュニア発足プロジェクトの催しに参加できるそうです。そこに探偵さんが同行するとの事で御座います。
「……ですが、お二人とも雷人の顔はご存知ありませんよね?」
「それは大丈夫です」
つい口を挟んでしまいましたが、タキン先生が答えてくださいました。
「……現国王、聖人さんの話では、雷人君を召喚して、そのまま王宮に迎える事は出来なかったそうです。突然14歳の子を息子には出来なかったと。そこで親衛隊ジュニアなるものを発足させ、雷人君を隊長にし、養子に迎える算段だったようです。……今日のお披露目で、親衛隊ジュニアの隊長にはマジック・サンダー・ソードが授与されます」
「マジック・サンダー・ソードですか?」
私が首を傾げると、今度は探偵さんが答えてくれました。
「マジック・サンダー・ストーン。雷人君が授けてくれた、あの石ですよ。ルラちゃんのお父さん、マキオさんがマジック・サンダー・ストーンで造った剣です。……今日マジック・サンダー・ソードを授与されるのは雷人君なんです。なので雷人君の顔が分からなくても連れて来る事が出来ます」
「分かりました。探偵さん。どうぞ宜しくお願いします。……それで聖人達は?」
「それは私とタキン先生にお任せください。ですが一つまだ厄介事がありまして」
「厄介事とは?」
聖人夫婦奪還を行うのは、ローグさんとタキン先生のようですが、ローグさんが少し顔を顰めておいでです。
「……私が聖人さんと入れ替わるつもりです。聖人さんを王宮の外に出し、私が王宮に残るつもりですが、私はこの顔です。王宮に入る事は難しい。誰かに見られれば怪しまれるでしょう。それは聖人さんも同じです。簡単には王宮の外には出られない」
ローグさんは顔を顰めたままです。雷人奪還は難なく行えそうですが、現国王となっている聖人夫婦の奪還は難がありそうで御座います。……その時で御座います。何かを思いついたように、じぃじが口を開きました。
「空じゃ。空から入って、空から出てくればいい」
まぁ、じぃじったら。こちらの世界では、飛行機もヘリコプターも見た事が御座いません。それなのに空からだなんて無謀な提案で御座います。
「……確かに空から王宮に入れれば、顔が差す事はないが」
「ローグさん。じぃじの意見は間に受けなくて大丈夫で御座います。空を飛ぶ飛行機もヘリコプターもないんですから」
「そうですね。この世界で空を飛ぶのはワイバーンくらいですからね」
ローグさんがまた顔を顰めてしまいました。ですが、今度はタキン先生がじぃじの意見を間に受け始めました。
「……その考えには及びませんでした。ワイバーンでローグが王宮に入り、聖人さん達がそのワイバーンで出てくる。これは可能な方法です」
「ですがワイバーンって、ドラゴンさんの事で御座いますわよね? 簡単に背中に乗せてもらって飛行機のように利用できるとは思えないんですが」
「いえ、可能です。この世界には自由にワイバーンを操る魔導師もおります。……ワイバーンはとても知能が高い生き物なんです。テレパシーで人間と意思疎通も出来るんです」
「テレパシーですか?」
ふと、あのおチビちゃんを思い出しました。卵から孵ったあのおチビちゃん。無事、ママさんに会えましたが、もし会えないままなら、一緒に旅をしていたかもしれません。もしそうなっていたら、テレパシーでお話できたのでしょうか? おチビちゃん、元気にしていますか? もう一度、あの可愛いらしい姿を見たいものですね。……その時で御座います。
ウーーーーーー、ウーーーーーー。と、けたたましい音が耳を劈いたではありませんか。
「……緊急のサイレンです」
探偵さんとレオンさんが外に飛び出して行きました。それに続いてローグさんとタキン先生も。一体、何事でしょうか? 私も慌てて追いかけます。
「……ワイバーンです。ワイバーンがこの王都の上空を飛んでいます」
探偵さんの言葉に、私、一瞬ドキッと致しました。テレパシーでしょうか? 私がおチビちゃんの姿を見たいものだなんて思ったから、会いに来てくれたのでしょうか?
じぃじが言う作戦とは、昨日、探偵さんとローグさん。そしてタキン先生との3人が立てられた作戦で御座います。お料理コンテストで優勝をして、息子夫婦と感動の再会できたのですが、私達はすぐに離され、帰らされてしまったのです。そこで聖人と面識のあるタキン先生が王宮に出向いてくださったのです。
「何としても、うまくいかせます。なので康夫さんて光江さんは、ここで3人を待っていてください」
探偵さんが言う3人とは、雷人と聖人と美羽さんの事で御座います。孫と息子夫婦奪還の作戦なのに、私とじぃじに出番がないのは寂しいものです。
「……それで俺はヨーフさんと一緒に行けばいいんだな」
「はい。お願いします」
立てられた作戦では、雷人奪還を行うのは、探偵さんとウーグルさんだそうです。王宮親衛隊の隊長だったウーグルさんは、親衛隊ジュニア発足プロジェクトの催しに参加できるそうです。そこに探偵さんが同行するとの事で御座います。
「……ですが、お二人とも雷人の顔はご存知ありませんよね?」
「それは大丈夫です」
つい口を挟んでしまいましたが、タキン先生が答えてくださいました。
「……現国王、聖人さんの話では、雷人君を召喚して、そのまま王宮に迎える事は出来なかったそうです。突然14歳の子を息子には出来なかったと。そこで親衛隊ジュニアなるものを発足させ、雷人君を隊長にし、養子に迎える算段だったようです。……今日のお披露目で、親衛隊ジュニアの隊長にはマジック・サンダー・ソードが授与されます」
「マジック・サンダー・ソードですか?」
私が首を傾げると、今度は探偵さんが答えてくれました。
「マジック・サンダー・ストーン。雷人君が授けてくれた、あの石ですよ。ルラちゃんのお父さん、マキオさんがマジック・サンダー・ストーンで造った剣です。……今日マジック・サンダー・ソードを授与されるのは雷人君なんです。なので雷人君の顔が分からなくても連れて来る事が出来ます」
「分かりました。探偵さん。どうぞ宜しくお願いします。……それで聖人達は?」
「それは私とタキン先生にお任せください。ですが一つまだ厄介事がありまして」
「厄介事とは?」
聖人夫婦奪還を行うのは、ローグさんとタキン先生のようですが、ローグさんが少し顔を顰めておいでです。
「……私が聖人さんと入れ替わるつもりです。聖人さんを王宮の外に出し、私が王宮に残るつもりですが、私はこの顔です。王宮に入る事は難しい。誰かに見られれば怪しまれるでしょう。それは聖人さんも同じです。簡単には王宮の外には出られない」
ローグさんは顔を顰めたままです。雷人奪還は難なく行えそうですが、現国王となっている聖人夫婦の奪還は難がありそうで御座います。……その時で御座います。何かを思いついたように、じぃじが口を開きました。
「空じゃ。空から入って、空から出てくればいい」
まぁ、じぃじったら。こちらの世界では、飛行機もヘリコプターも見た事が御座いません。それなのに空からだなんて無謀な提案で御座います。
「……確かに空から王宮に入れれば、顔が差す事はないが」
「ローグさん。じぃじの意見は間に受けなくて大丈夫で御座います。空を飛ぶ飛行機もヘリコプターもないんですから」
「そうですね。この世界で空を飛ぶのはワイバーンくらいですからね」
ローグさんがまた顔を顰めてしまいました。ですが、今度はタキン先生がじぃじの意見を間に受け始めました。
「……その考えには及びませんでした。ワイバーンでローグが王宮に入り、聖人さん達がそのワイバーンで出てくる。これは可能な方法です」
「ですがワイバーンって、ドラゴンさんの事で御座いますわよね? 簡単に背中に乗せてもらって飛行機のように利用できるとは思えないんですが」
「いえ、可能です。この世界には自由にワイバーンを操る魔導師もおります。……ワイバーンはとても知能が高い生き物なんです。テレパシーで人間と意思疎通も出来るんです」
「テレパシーですか?」
ふと、あのおチビちゃんを思い出しました。卵から孵ったあのおチビちゃん。無事、ママさんに会えましたが、もし会えないままなら、一緒に旅をしていたかもしれません。もしそうなっていたら、テレパシーでお話できたのでしょうか? おチビちゃん、元気にしていますか? もう一度、あの可愛いらしい姿を見たいものですね。……その時で御座います。
ウーーーーーー、ウーーーーーー。と、けたたましい音が耳を劈いたではありませんか。
「……緊急のサイレンです」
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「……ワイバーンです。ワイバーンがこの王都の上空を飛んでいます」
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