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最終章 孫を追いかけ最後の追い込みで御座います。
8-8 国王在位10周年8の日後半で御座います。
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「探偵さんよぅ。わしが空だと言ったから、乗り物が飛んで来たんじゃないのか?」
「そうかもしれないですね」
じぃじの言葉に、探偵さんも苦笑いのようです。ですが本当に私のテレパシーで呼んだのかもしれません。
「……タキン先生。先程、ワイバーンはテレパシーで人間と意思疎通が出来るとおっしゃっていましたよね」
「ええ。申し上げた通り、ワイバーンの知能は計り知れないほど高いんです」
「そうですか。もしかしたらあのワイバーンは、私が呼んだのかもしれません。先程、私、もう一度姿を見たいって、心の中で呟いたんです」
「……光江さん。もしかして?」
探偵さんはお気付きのようです。
「ええ。そうです。あのおチビちゃんだと思います」
「それならここに呼んでください。もしかしたら、作戦に協力してもらえるかもしれない」
「おい、ヨーフ。ここはダメだ。裏庭に回ろう」
ローグさんがおっしゃいました。確かにここは、町の通りに面しております。幾ら庭があると言っても、人の目に付きやすい場所で御座います。サイレンが鳴っていたと言う事は、町の人も警戒しているはずで御座います。
「……光江さん。あのワイバーンに、裏庭に下りて来るよう、テレパシーを送ってください。……そして私達も裏庭に回りましょう」
探偵さんとレオンさんが走り出しました。その姿を見たじぃじも走り出しましたが、私はローグさんとタキン先生と一緒に、ゆっくり参ります。……なので、どうかおチビちゃんも、ゆっくり下りて来てくださいね。あ、そうで御座います。アイテムボックスに、米粉のお団子を収納したままですわ。……おチビちゃんに食べてもらいますね。
おチビちゃんの事を考えながら、裏庭に着いた時で御座います。大きく翼を拡げたワイバーンさんが、ゆっくり舞い降りて来ました。……えっ? あのおチビちゃんで御座いますか? ママさんほどは大きくありませんが、それでも随分成長したように見えます。
「……おチビちゃん。大きくなりましたね。元気にしていましたか?」
そう言って、おチビちゃんの頬を撫でると。
『ばぁばさん、僕も会いたかったです』
そんな声が頭の中に響きました。
「あら。おチビちゃんは男のコだったんですね。……あ、はい。米粉のお団子ですよ」
『ありがとうございます。とても美味しいです』
「喜んでくれて、私も嬉しいです」
再会を喜んで、いつまでもおチビちゃんと話をしていたかったのですが、そうもいかないようで御座います。
「光江さんはこのワイバーンとテレパシーでお話出来るようですね。……どうか協力してもらえないか頼んでもらえませんか?」
「あ、はい。分かりました」
もう一つ、お団子を口に運びながら、おチビちゃんに話かけます。
「おチビちゃん。久々に会って、いきなりのお願いで申し訳ないですが、ご協力いただけませんか?」
『何でも言ってください。僕はばぁばさんのお役に立ちたいです』
「おチビちゃん。ありがとう。あのローグさんを乗せて、王宮まで飛んで欲しいの。そして息子の聖人と美羽さんを乗せて、ここに帰って来て欲しいの」
『分かりました。僕、王宮に行って、またここに戻って来ます』
「おチビちゃん。ありがとう。本当にありがとう」
『僕はばぁばさんが喜んでくれるのが嬉しいです。ばぁばさん、喜んでくれてありがとう』
おチビちゃんの言葉をタキン先生に報告しようと思いましたが、その必要はなかったようで御座います。……私の言葉で、タキン先生も、探偵さん、ローグさんも理解してくださっていたようです。
「おチビちゃん。このローグさんをよろしくお願いしますね。振り落としたりしたらダメですからね」
『分かってます。大丈夫です。僕に任せてください』
おチビちゃんの頼もしい言葉に、安心して送り出す事が出来ます。
「……光江さんには驚かされました。まさか意思疎通出来るワイバーンがいるなんて。是非、魔導師ギルドに登録なさってください」
あら。大変で御座います。タキン先生から、魔導師ギルドへのお誘いを受けました。興味は御座いますが、私の願いは孫と息子夫婦と元の世界に戻る事です。今は魔導師ギルドはお預けで御座います。
「そうかもしれないですね」
じぃじの言葉に、探偵さんも苦笑いのようです。ですが本当に私のテレパシーで呼んだのかもしれません。
「……タキン先生。先程、ワイバーンはテレパシーで人間と意思疎通が出来るとおっしゃっていましたよね」
「ええ。申し上げた通り、ワイバーンの知能は計り知れないほど高いんです」
「そうですか。もしかしたらあのワイバーンは、私が呼んだのかもしれません。先程、私、もう一度姿を見たいって、心の中で呟いたんです」
「……光江さん。もしかして?」
探偵さんはお気付きのようです。
「ええ。そうです。あのおチビちゃんだと思います」
「それならここに呼んでください。もしかしたら、作戦に協力してもらえるかもしれない」
「おい、ヨーフ。ここはダメだ。裏庭に回ろう」
ローグさんがおっしゃいました。確かにここは、町の通りに面しております。幾ら庭があると言っても、人の目に付きやすい場所で御座います。サイレンが鳴っていたと言う事は、町の人も警戒しているはずで御座います。
「……光江さん。あのワイバーンに、裏庭に下りて来るよう、テレパシーを送ってください。……そして私達も裏庭に回りましょう」
探偵さんとレオンさんが走り出しました。その姿を見たじぃじも走り出しましたが、私はローグさんとタキン先生と一緒に、ゆっくり参ります。……なので、どうかおチビちゃんも、ゆっくり下りて来てくださいね。あ、そうで御座います。アイテムボックスに、米粉のお団子を収納したままですわ。……おチビちゃんに食べてもらいますね。
おチビちゃんの事を考えながら、裏庭に着いた時で御座います。大きく翼を拡げたワイバーンさんが、ゆっくり舞い降りて来ました。……えっ? あのおチビちゃんで御座いますか? ママさんほどは大きくありませんが、それでも随分成長したように見えます。
「……おチビちゃん。大きくなりましたね。元気にしていましたか?」
そう言って、おチビちゃんの頬を撫でると。
『ばぁばさん、僕も会いたかったです』
そんな声が頭の中に響きました。
「あら。おチビちゃんは男のコだったんですね。……あ、はい。米粉のお団子ですよ」
『ありがとうございます。とても美味しいです』
「喜んでくれて、私も嬉しいです」
再会を喜んで、いつまでもおチビちゃんと話をしていたかったのですが、そうもいかないようで御座います。
「光江さんはこのワイバーンとテレパシーでお話出来るようですね。……どうか協力してもらえないか頼んでもらえませんか?」
「あ、はい。分かりました」
もう一つ、お団子を口に運びながら、おチビちゃんに話かけます。
「おチビちゃん。久々に会って、いきなりのお願いで申し訳ないですが、ご協力いただけませんか?」
『何でも言ってください。僕はばぁばさんのお役に立ちたいです』
「おチビちゃん。ありがとう。あのローグさんを乗せて、王宮まで飛んで欲しいの。そして息子の聖人と美羽さんを乗せて、ここに帰って来て欲しいの」
『分かりました。僕、王宮に行って、またここに戻って来ます』
「おチビちゃん。ありがとう。本当にありがとう」
『僕はばぁばさんが喜んでくれるのが嬉しいです。ばぁばさん、喜んでくれてありがとう』
おチビちゃんの言葉をタキン先生に報告しようと思いましたが、その必要はなかったようで御座います。……私の言葉で、タキン先生も、探偵さん、ローグさんも理解してくださっていたようです。
「おチビちゃん。このローグさんをよろしくお願いしますね。振り落としたりしたらダメですからね」
『分かってます。大丈夫です。僕に任せてください』
おチビちゃんの頼もしい言葉に、安心して送り出す事が出来ます。
「……光江さんには驚かされました。まさか意思疎通出来るワイバーンがいるなんて。是非、魔導師ギルドに登録なさってください」
あら。大変で御座います。タキン先生から、魔導師ギルドへのお誘いを受けました。興味は御座いますが、私の願いは孫と息子夫婦と元の世界に戻る事です。今は魔導師ギルドはお預けで御座います。
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