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第三章 リベラティオへの旅路
第273話 念願
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「さて、まずはようこそ勇者の孫とそのお連れの方、とでも挨拶をさせてもら……」
「──貴方が遊んでいる間に、もう既になさいました」
女王様のまさかの突っ込みが入った。
彼女は隣に座る、リベラティオ王に冷たい視線を浴びせたのだ。
なんだろう……この素直に緊張させてくれない雰囲気は。
「お、おほん! そうかそうか、ではトゥナタ……フォルトゥナよ。勝手に城を抜け出すやつがいるか! 私とフォルテアが、どれだけ……」
「──それも既に申し上げました!」
目の前で、文字通り夫婦漫才が繰り広げられているのだが……。──この国、本当に大丈夫なのか?
「そ、そうなの? じゃぁ私は何を話したらいいのだろうか?」
女王とトゥナが同時に頭を抱えた。
血が繋がった親子と言うわけでもないのにまったくの同時にだ。
彼女のこの癖、もしかしたら王様が原因なのかもしれないな……。
「知りません……と、言いたいところですが御客人が困っておりますね。まだアレの事は話しておりませんので、それをなされたらいかがでしょうか?」
あれ? あれとは何の事だろうか?
リベラティオ王は彼女の言葉を聞くと、先程までの緩みきった顔ではなく、その眼光は鋭いものへと変わっていく。
「──フォルトゥナよ、どのような形であれ結果は結果だ。実のところそなたの動き……つまり、カナデ殿を連れ出したことで、グローリアとの緊張状態が少し緩和しておる」
「やはり……グローリアはカナデ君を祭り上げようとしていたのね?」
「おそらくは、その通りだ。しかしそれで全てが解決したわけではない。とある筋から連絡は受けているが、グローリアは未だ裏で怪しい動きを見せている。油断は出来ない状況だ」
そこまで話すと、彼の表情が急に崩れた。
何て言うか、本当にオンとオフの激しい人だ、疲れないのか?
「そこでだ。ここで報酬と言う訳ではないが、フォルトゥナ、カナデ君。二人には一つずつ、面白い話をしよう」
「面白い……話ですか?」
俺の問いかけに、「よいよい、そんな畏まらなくても。普通に話してくれ」と言い放った。
トゥナには悪いけど……何て言うか、その辺のオッサンみたいだな、この人。
「お父様、あまりふざけないで下さい。皆が困ってるでしょ?」
「はっはっは、まったく嫌われたものだ……パパ寂しいぞ? フォルトゥナ、いいから少しだけ黙って聞きなさい」
リベラティオ王はその場で立ち上がり、両手を広げ空をあおいだ。
「この度、君が予てより願っていた混血の待遇の改善を、エルフの国、獣人の国と共同で行うことが決定した」
「──う……嘘?」
「嘘ではない、我がリベラティオを含め三国の敷地の交わる場に、混血達の村を作ることを各国が合意してくれたのだよ」
──驚いた……。
俺の認識では混血は忌み嫌われ、人権もなく、それどころか迫害を受けるような人達だと思っていたが。
そんな彼らに、自国の領地を与えるなんて……実はこのオッサン、やるときはやるタイプなのか?
「キサラギ殿からの強い希望もあって、何とか落とし所が決まったのだよ。残念ながら、厄介払いにも似た方法になってしまったがな?」
「キ、キサラギ……さんが?」
な、なんだって! まさかこんなところで彼女の名を聞こうとは……。
まったく、あの人は本当に人を驚かすのが好きだな?
「お父様、ありがとうございます! それにしても、良くそんな無理を各国が聞いてくれたわね……信じられないわ……」
驚き、手で顔を覆いながらも彼女が心から喜んでいる事が分かった。
声が弾み、耳がピクピクしてるからな。──本当におめでとう、トゥナ。
「しかし、誉められた方法じゃないけどね。彼の存在……つまり、勇者の孫存在が、各国の重い腰を上げさせたのさ」
…………はっ?
「──貴方が遊んでいる間に、もう既になさいました」
女王様のまさかの突っ込みが入った。
彼女は隣に座る、リベラティオ王に冷たい視線を浴びせたのだ。
なんだろう……この素直に緊張させてくれない雰囲気は。
「お、おほん! そうかそうか、ではトゥナタ……フォルトゥナよ。勝手に城を抜け出すやつがいるか! 私とフォルテアが、どれだけ……」
「──それも既に申し上げました!」
目の前で、文字通り夫婦漫才が繰り広げられているのだが……。──この国、本当に大丈夫なのか?
「そ、そうなの? じゃぁ私は何を話したらいいのだろうか?」
女王とトゥナが同時に頭を抱えた。
血が繋がった親子と言うわけでもないのにまったくの同時にだ。
彼女のこの癖、もしかしたら王様が原因なのかもしれないな……。
「知りません……と、言いたいところですが御客人が困っておりますね。まだアレの事は話しておりませんので、それをなされたらいかがでしょうか?」
あれ? あれとは何の事だろうか?
リベラティオ王は彼女の言葉を聞くと、先程までの緩みきった顔ではなく、その眼光は鋭いものへと変わっていく。
「──フォルトゥナよ、どのような形であれ結果は結果だ。実のところそなたの動き……つまり、カナデ殿を連れ出したことで、グローリアとの緊張状態が少し緩和しておる」
「やはり……グローリアはカナデ君を祭り上げようとしていたのね?」
「おそらくは、その通りだ。しかしそれで全てが解決したわけではない。とある筋から連絡は受けているが、グローリアは未だ裏で怪しい動きを見せている。油断は出来ない状況だ」
そこまで話すと、彼の表情が急に崩れた。
何て言うか、本当にオンとオフの激しい人だ、疲れないのか?
「そこでだ。ここで報酬と言う訳ではないが、フォルトゥナ、カナデ君。二人には一つずつ、面白い話をしよう」
「面白い……話ですか?」
俺の問いかけに、「よいよい、そんな畏まらなくても。普通に話してくれ」と言い放った。
トゥナには悪いけど……何て言うか、その辺のオッサンみたいだな、この人。
「お父様、あまりふざけないで下さい。皆が困ってるでしょ?」
「はっはっは、まったく嫌われたものだ……パパ寂しいぞ? フォルトゥナ、いいから少しだけ黙って聞きなさい」
リベラティオ王はその場で立ち上がり、両手を広げ空をあおいだ。
「この度、君が予てより願っていた混血の待遇の改善を、エルフの国、獣人の国と共同で行うことが決定した」
「──う……嘘?」
「嘘ではない、我がリベラティオを含め三国の敷地の交わる場に、混血達の村を作ることを各国が合意してくれたのだよ」
──驚いた……。
俺の認識では混血は忌み嫌われ、人権もなく、それどころか迫害を受けるような人達だと思っていたが。
そんな彼らに、自国の領地を与えるなんて……実はこのオッサン、やるときはやるタイプなのか?
「キサラギ殿からの強い希望もあって、何とか落とし所が決まったのだよ。残念ながら、厄介払いにも似た方法になってしまったがな?」
「キ、キサラギ……さんが?」
な、なんだって! まさかこんなところで彼女の名を聞こうとは……。
まったく、あの人は本当に人を驚かすのが好きだな?
「お父様、ありがとうございます! それにしても、良くそんな無理を各国が聞いてくれたわね……信じられないわ……」
驚き、手で顔を覆いながらも彼女が心から喜んでいる事が分かった。
声が弾み、耳がピクピクしてるからな。──本当におめでとう、トゥナ。
「しかし、誉められた方法じゃないけどね。彼の存在……つまり、勇者の孫存在が、各国の重い腰を上げさせたのさ」
…………はっ?
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