チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―自炊スキルを生かし、俺は異世界で養護施設を切り盛りしながら魔王も討伐する―

小春かぜね

文字の大きさ
25 / 56
攻勢をかけ始める魔王軍

第24話 敵の侵入を許す

しおりを挟む
「……///」

「……」

「……(泣)」

 教会内(礼拝堂)は、養護施設の子どもたちが集合していた。
 そして、子どもたちの表情は、みな不安そうで有った。

 養護施設は木造で有るが、教会はレンガで作られている。
 万が一の事を考えて、神父やシスターが、早期に教会へ子どもたちを避難させたのだろう。

 後は……王国軍が、ゴブリンを退治してくれれば良いのだが…… 

 ……

 俺とリンは現在。教会の礼拝堂にいる。
 礼拝堂には養護施設の子どもたち及び神父、シスターも居る。

 シスターはアスと共に、子どもたちの見守りをしており、神父は祭壇でお祈りをしている?
 魔王軍のゴブリン30体以上が、パプテトロンに接近中で有るが、王国軍も迎撃部隊を出して……間もなく戦闘が始まるのだろう。

 もし、王国軍が迎撃に失敗したら、間違いなく市街戦に突入してしまう///

「…………///」

 リンは不安そうな表情で、俺の側にいる。
 本来ならリンも、子どもたちの見守りをしなければ成らないのだが、其処まで気が回らないのだろう……

 俺は尋ねる表情で、リンに話し始める。

「リン……こんな時に聞くのは何だけど、魔王軍に襲撃されるのは今まで有ったの?」

「無いと言えば嘘に成りますが、ゴブリン30体以上の数で襲ってくるのは初めてです」
「今までは、魔王軍が現われてもスライムや、大鼠おおねずみが程度でしたから……」

 リンは悲しい表情で俺に話す。
 俺の知っているゴブリンは、RPGの中では、初期配置のモンスターに成るのだが、この異世界では中盤以降の位置づけに成っている?

「~~~」

「~~~」

 その時。神父は何かを察知(?)した様で、俺には聞き取れない何かを呟いている。
 神父の表情は、凄く険しい表情をしているから、これはかなり不味い状況か?

 神父は険しい表情をしながら、祭壇から急に話し始める。

「みなさん…。落ち着いて聞いてください!」
「神からのお言葉に依りますと……ゴブリン数体が、P1ゲートを突破した模様です……」

「P1ゲートは、王国城や教会への最短ルートと成ります」
「ゴブリンは王国城に向うと思われますが、こちらに来る可能性も非常に高いです……」

「……」

(神父は『神からのお言葉』と言ったが、どうやって近況情報を得ているのだ?)
(神父だから、千里眼や地獄耳(!?)の能力でも持っているのか??)

 ゴブリン数体が、パプテトロン市街に入るゲート(P1)を突破した。
 だが、ゴブリン30体以上が接近中の方向は、P4ゲート方向と成る。

(考えたくも無いが、ゴブリン30体側の方は陽動作戦か!?)

 王国軍の迎撃隊は、既に30体側の方に向っているから、王国城の防備はかなり手薄に成っている。
 魔王も、タダの筋肉馬鹿ではなさそうだ……

 すると……神父が祭壇から下りて来て、俺の方やって来て『言いにくい』表情で俺に話し始める。

「……スズヤ」
「あなたは唯一。この中でいる青年だ!」

「教会の裏には、先日殺した魔物の匂いがまだ残っている……」
「ゴブリンはこの匂いを嗅ぎつけて、教会に間違いなく来るだろう」

「そして、同時に子どもたちの匂いへも気付く……凄く済まないがスズヤ。遊撃に出てくれないか?」
「武器を渡しますから……」

「!??」

(なんで、そうなるの!?)
(スライムも倒した事が無い俺に、どうやってゴブリンを倒せと言うのだよ!///)

(ゴブリンだけど、素手では無く棍棒こんぼうとかをどうせ持っているんだろ!?///)
(犬死も良い所だよ!(泣))

 俺は頭の中で混乱していると……アスが澄ました表情と冷静な口調で、神父に話し始める。

「神父…! スズヤは確かに青年ですが、戦士の様な風貌は見られません…」
「此処はスズヤでは無く、黒魔法が使える、私が出るべきでは無いでしょうか!?」

「……」

 神父はアスの言葉を聞いて、難しい表情で黙ってしまう。
 神父の中では、アスはまだ未成年の女性で有るから、戦地には出したくないだろう。←俺は大人だから良い!?

 でも、アスがゴブリンの迎撃に出るのに、俺が安全な教会内にいたら、それを見た子どもたちは間違いなく、俺を失望するだろう……

(アスを出汁にして俺も迎撃に出るか。アスは攻撃魔法が使えるから、もしかしたら、俺は何もしなくても戦いが終わるかも知れない?)

 心の中で決めた俺は、意を決した表情で、神父に話し始める。

「神父! では、俺は遊撃に出ます!!」
「但し、補佐として、アスも参戦させてください!!」

「単体のゴブリンでしたら、俺でも対処可能ですが、複数で来られますと厳しいですから!」

「スズヤさんが出るなら、私も出ます!」
「私は一応。白魔法使いですから、スズヤさんのサポートが出来ます!!」

 俺が参戦を表明すると、リンも強気の表情で参戦表明をする。
 リンは回復魔法である『スイスイ』が使えるから、後方支援には持って来いだ。

「……リンが白魔法使いで有る事は、リンの母親であるマリコから聞いていました」
「では、スズヤ、アス、リン。三人で、教会周辺の監視と教会防御をお願いします…!」

 神父は決断した表情で、俺たち三人に向けて話す。
 俺の、真の異世界デビューの時でも有った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

処理中です...