性技の指

乙巴じゅん

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101黒井麻衣

黒井麻衣を騙して部屋へ連れ込んだ

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 1

 黒井麻衣くろい まいをガラス越しに見つめると、美しい女の悶える表情を想像してしまう山下賢やました まさる
(麻衣ちゃんのことは調べたからな)
 心でつぶやき、ショッピングモールの玄関から出てくるのを確かめた。彼女は鼻筋が通り、美人と呼ばれる顔立ちだ。結んだ唇から、どのような喘ぎ声が出るのか予想もしてみる。
 麻衣が美容室の前を通る。青い半袖ブラウスから細く白い腕が規則正しく前後する。
(パンツか。脱がすのには苦労するかな)
 女性には理解できない『男の性』だろうか。山下は建物の柱の影から出てきて会釈した。staffと書かれた白いTシャツに夏用ジャケットを着ける。
「麻衣ちゃん、おはよう。お買い物ですか」
 彼女とは顔見知りだし、男の下心は気づいてないだろう。
「おはよう、山下さん」
 白い歯を見せる彼女の表情はあどけない。無邪気さを併せ持つ23歳。
(食べごろな女だ)
「そうだね、まだ、朝かー」
 男の下心は知らない、社交性も豊かで話をつなげたい質だ。正午まで一時間ぐらいはある。
「可愛い柄のシャツがあったから」
 紙袋を左肘で上げて見せる。濃いピンクの唇が柔らかそうに動くので、縦割唇だいいんしんを想像してしまう。

 彼女が気軽に話すのは、山下が慈善団体で活動をしているから。この助駒すけこま市では、彼もちょっとした有名人だ。
(それより、早く話そう) 
 世間話をするために声をかけたのではない。
「麻衣ちゃんの彼氏、東京へ逃げたんでしょ」
「そのこと」ちょっと視線をずらした。
「もう、いいんだ」
「でも、寂しそうにしてたよ。話を聞いてあげるから」
「自分のことだから。それに。もう忘れたよ」
 こんどは無理に笑顔を作るのが見てもわかる。
 そうか、とうなづきながら足を動かして、窮屈になるパンツの中を楽にした。
「これも慈善活動なんだ。市民のためだよ。そうだ」
 ジャケットのポケットから割引券を取り出す。
「岡下レストランの割引券があるからさ。食べながら話を聞かせて。うん、気持ちが楽になるよ」
 誰かに何かを話したい、と予想はしている。
(付け込みどころ満載だよ、麻衣ちゃん)

 レストランへ行く気になったらしい表情の麻衣は紙袋を持ち直す。
「あそこは高いし、手軽には行けなかったね」
「知り合いもいるから半額券がもらえたんだ。麻衣ちゃんを慰めたいからさ」
 それには頬も緩める麻衣。ちょっと軽そうで人畜無害な顔の山下は29歳。彼女からは相談に乗れる先輩の立場にもなる。
「それじゃ、ご馳走に、違うか。半額を払うのか」
 腹からでるような笑い声が響く。美人が豪快に笑うのも人柄をあらわしているのだろう。

 大雨のときに、ボランティアで一緒になったこともあり、食事をするのは自然な流れ。
(9割は成功だな。自動車に乗せればゼンマイ仕掛けで麻衣ちゃんの柔らかい肌を頂ける)
 左に並ぶ山下。買い物袋を右手から左へ持ちかえる由衣。距離を置きたくなるのは自然かと思う。
「車で5分ぐらいかな。ドライブだね」
 うなづく麻衣は考え事もしているようだ。
(男の車へ乗るのに警戒したかな)
 安心させるために、山下は慈善活動もしていたし、市民に、信用できると思わせていた。
「疑われてるんだなあー」残念そうにいうが半ば冗談。
「ちょっとは遠慮するでしょ」
 ポーズだと軽く笑う。鼻にかかった笑いかたも似合う麻衣。

 車に乗ると彼女の髪から香るフローラルな匂いはシャンプーだろう。ショッピングモールをでると、山下は思いだしたように言う。
「忘れてた、冷凍ホウレンソウを買ってたんだ。早く冷蔵庫にいれないと」
 まずはアパートへ寄っていいか、助手席の麻衣に訊く。横から眺めれば、胸は丸みに重量感があり、たっぷりと詰まっているようだ。あまりみつめると女性に気付かれるし、運転へ集中。
「近いの。夏場はすぐ溶けちゃう」
 困ったふうにする彼女を今でも抱きしめたい衝動に駆られる。
「槍杉アパートさっ。ほら見えるだろ」
 自動車工場の向こう側にアパートは見える。壁に大きく書かれている文字はyarisugi。

 麻衣は車で待つことにして、男性の部屋へ入らなくていい、と安心もさせる。槍杉アパートの駐車場に着くと、一人の男性が近づいてきた。山下は知っている、宮川三太みやかわ さんた,39歳だ。
(作戦通りだな)
 胸内で囁き、車を停めてドアを開ける。
「刑事さん。なにか有ったのですか」
 いかにも真面目そうで気難しい顔の宮川。
「女が二人組に襲われた。犯人は逃亡中だ」
 深刻そうな表情で言う。麻衣が話を聞いていたらしい。怯えるように紙袋を引き寄せて膝に乗せる。
 山下は車の外に出て小声でやり取りする。
「演出はお願いするよ宮川さん」
「山下くん、楽しみたまえ」
「盗聴器は聞き逃さないで。タイミングよく効果音を使えるだろ」
「俺はビデオ作製のプロだぜ。任せな」
 長話はしていられない。宮川は犯人を捜す仕草で、駐車場をあとにする。

 山下は後部座席から買い物袋を取りながら言う。
「大変だ。包丁を持った変態たちが隠れ家を探してる。車に居たら襲われちゃうよ」
「女性が。この近くで?」
 麻衣が震え声でいうと、心細いように山下をみつめる。
「俺の部屋へ避難して。ここにいたら何をされるか」
「そうね。一階だったかな?」
 麻衣はドアを開けて周りをうかがう。
「早く」急かす山下。笑顔になるのを堪えるから、引きつる顔も、危機感を伝えたのだろう。
 彼女は部屋へ急ぎ足で向かった。
(脱がされて弄ばれるとは知らないだろう)
 横に並び思いながらも、麻衣に近づくはずの元彼を止める方法を考えていた。彼女を置き去りに東京へ行った男性が戻ってきている。女性へ貢がせて遊ぶ奴だと調べはついていた。相談に乗るついでに女体を抱くという計画だ。
 山下がドアを開けると、麻衣は迷いもないように、柔らかい身体が触れ合う距離で部屋へ入ってしまう。めすの甘い体臭を感じて目まいがするぐらいだ。

    2

 麻衣を座敷へ案内しようとしたが、部屋の奥を警戒したようだ。キッチンテーブルを挟んで座る。
「ひどい男だよ。よそに女も居たんだろ」
「金も借りたまま」不満げに尖らせた唇で喋る麻衣。
「10万だけど、諦めるしかないかな」
 やはり金ずるにされていた。山下は調べた情報もある。
「あの男が帰ってきたらしい」
「そうなの。たまに待ち伏せされて」
 告白するような表情が真剣で、美女はいつも美女だし、身体を貫かれた顔が早く見たい。いまは平静を装う。
(そうか、知ってたんだ、それは)
 麻衣の悩みは、別れた男性の付きまといらしい。
「俺は麻衣ちゃんを守るよ。愛してるから」
「ありがと。簡単に、愛してる、かー」
 聞きなれた言葉らしく、軽くあしらう。
(何人の男を振ってきたか知らないが、振られ慣れているから、口説き方も分かる)
「ちがうよ。休みの日はボランティアで養老院へいってるだろ。格好いい女性だと思うし、好きだよ」
「そうか。内緒にしてたけど」
 (内面を好きと言われると女は嬉しいと思う)

 そのとき外で響く足音が部屋の前に近づく。
「女がいたぜ」「この部屋か」小声で言い合う。
「ゆっくり、座敷へ。黙っていたら帰るだろう」
 小声で言う。そうね、と麻衣は立ち上がり足音を消すようにすり足で畳の上へついて来た。
(よし。うまい具合に、袋は置いたままだ。スマホとかも入れていた)
 しかし、ちゃぶ台を前に立ったままの麻衣。
「障子は開けっ放しね」
 左側に開け放たれた障子からベッドが見える。
(寝具は良からぬことを想像させて警戒したのか)
 戸惑いと緊張の、眉間に微かな皺の表情は美しい顔を引き立てる。
「だらしない生活をみせてしまったね。麻衣ちゃんを愛しているから、守りたい。そして、愛にはふたつの意味があるんだ」
(脱がすには、立ったままが都合も良いはず)
 ここでパンツを脱がそうと考えた。ベルトはつけてないのを喜ぶしかない。
「ふたつって。座りましょうか」
 まずは落ち着いてからと思ったようだ。姉御肌のところもあるが勝手に話をすすめられては困る。
「もうひとつは。すべて自分のものにしたい。麻衣ちゃん良いね」
 両腕を彼女の肩へ触れれば、ぴくっ、と動いた。
「いやっ」吐いた息からペパーミントの香りが鼻をくすぐる。
 麻衣は肘を曲げて胸を押さえ、首を竦める。山下の胸元にあるのは彼女の額だ。叩いたり引っ張たりしたら観念して股を開くが、いまは焦らない。
(そうだろうなー)
 予想はしていた。小刻みに震える肩から手を離した。
「むりやり乱暴はしないから。俺が恐くなって帰るかい。どうする」
「私。まだ。ごめんなさい」
 無理に笑おうとした唇が歪んだ。そして背を向ける。狭いキッチン越しに玄関が見える。
「送ろうか。でも、俺一人で、あの二人は防げない」
 そのときノックの音が軽く3回響く。麻衣が息を飲むのも聞こえる。静かに叩くのは、相手が冷静で残酷な計画を持っているような恐怖心も掻きたてる。
「大丈夫」彼女の背中へ近づき小声で囁く。長い髪が唇にかかる。
「あの。山下さん」
 小声の麻衣は髪を掬って、深呼吸した。動かないで顔を横に向ける。柔らかそうな唇が何か問いたげに小さく開いていた。
(外の見えない恐怖は避けることができる)
 外の危険より安心できると思わせれば、股と心も開かせられる。麻衣が覚悟を決めればいいだけだ。彼女の耳へ唇を近づけて囁く。
「ここに居て良いんだよ。でも我慢できるかな俺」
「し、ら、な、い」
 艶の帯びた声を誤魔化すように途切れながら喋り、反対へ顔を向ける。ここで、ちょっと強引にしたほうがいいだろう。
(そろそろ観念しろって)
「麻衣ちゃんを抱きたい」
 細い腰へ左手を回した。女体が柔らかくくねる。
「だめ」
 彼女の右手が上から押さえる。斜め後ろになる形で動きやすい山下。
「外へ出ていく? 俺に抱かれたいよな」
 右手を伸ばしてパンツのファスナーへ指をかける。彼女の左手が抑えに来るが、あしらいながら、耳元で囁く。
「もう帰ろうか。怖い男たちがいるが」
「そんな」顔が上がり玄関を見るふうだ。彼女の手は動けない。
(そりゃ、帰れないだろう。もう遅いんだよ)
「やろうよ。抱いて、と言ってごらん」
 ファスナーを下ろすと湿って温かな布切れに人差し指が触れる。
「だめ。だめ」外を気にしてか囁くような声が響く。
 どうせ抵抗できない、と緩んだパンツを右手で剥がしていく。釣り針にかかった魚のように彼女の上半身が左右に揺れる、髪が乱れて肩から前へ落ちる。足もふらつく。
「麻衣ちゃんが脱いで。俺は大切にしたいんだ、麻衣ちゃんを」
 喋りながらも、むき出しにした丸みのあるベージュ色のショーツを、上から指をかけてずり下ろしていく。生尻が温かい。
「やさしくね」
 観念したように彼女の指がショーツを下ろし始める。
(外にいるはずの変態たちは何をするか分からないからな)
 叩かれるより効果よく麻衣を怖がらせているようだ。
「おりこうさん。ほら全部脱いで」
 それを聞いたのか、息を整えるように口から微かに吐き出す。ブラウスのボタンも外している動き。山下は服を脱ぎ捨てた。松茸みたいなものが誇らしげに上を向いている。
「取ってあげる」
 麻衣が胸まで捲り上げたブラウスを引き上げる。髪がパラパラ広がり肩先から胸に毛先が散らかる。ベージュ色のブラが包む胸を早く触りたい。
「これも」後ろから胸元へ腕をまわした。
 溢れるような柔らかい乳房が波打つ。フローラルの匂いが、これ以上の楽しみを期待させる。
「あっ。いや」小さな声だが、何かに驚く麻衣。
 山下は欲棒を彼女の背中に当てるが、熱く脈打っていた。山下が裸だと気づいたらしい。
「麻衣ちゃんのおっぱいが見たい」
 (女が好む、ムードのあるエッチ、なんてしないよ)
 ブラの中へ指を滑らせる。
「やさし、くっ」
 探し当てられた乳首を弄られて呻いた。
「もう、戻れないよ」
 両方のふくらみを掘り起こすように剝き出しにした。掌から溢れる柔らかな乳房が肩ごしに見える。
「ここじゃ、いや」
「下着も脱いで。見せて、まっぱだかな麻衣ちゃん」
 もう大丈夫だろう、彼女の前に回り込む。
 釣り鐘型の乳房に二つのグミが付いているようだ。
「山下さんっ」
 彼の下半身に視線を向けるようにしたが、うつむく。上目なのが瞼でわかる。直視はできないが、興味はあるという感じか。
「それじゃ俺が脱がせるよ」
 もう待てない。ブラの紐を乱暴に引っ張り、引き剥がす。
「そんな、しないで」
 胸を押さえる麻衣。やはり女性は胸を隠したいのか。
「ベッドへ行こう」
 お姫様抱っこで歩き出す。ここまできたら、手荒くしても同意したようなものだろう。

    3

 ベッドの淵で麻衣を軽く転がすように下ろした。
「あん、やだー」
 半身を起こそうとする。乳房が跳ねて揺れる。その間に電気を明るくした。
「ぁわっ、何、ガラス」ガラス張りの部屋だ。
 正座を崩した座り方で、呆然としているらしい。
「麻衣ちゃんの喘ぎ顔がよく見えるようにだよ」
 言うと、ベッドへ上がり彼女を押し倒した。仰向けの女体へくっつくと、麻衣の後頭部から左手で抱きつく。彼女の冷静を装うような表情がまじかに迫る。息遣いも聞こえて、ペパーミントの匂いは歯磨きなのか、エチケットガムなのかは知らない。
「あの。電機は消し」
 それを遮るように唇を合わせた。鼻で息を吸う音、細い喉が蠢いた。
(柔らかい。こういう顔をするんだ)
 瞼は閉じられたが、引きつるように蠢く。
(我慢してるのかな?)
 麻衣の柔らかな唇に吸付きながら眺める。瞼の動きは何かに反応するように、ぴくっ、と動く。
(そうか。麻衣さんも、とっくに諦めてたな)
 高まる性の嵐に耐えているかのもしれない。
(女は胸より唇が奪われたくないはず。奪った今は、もう遠慮もいらないな)
 唇を放すと、彼女の口から溜めた息が漏れる。緩めた唇が、何かを求めるように窄まる。
「麻衣、俺の女になれ」
 返事を待たずに、彼女の唇を貪る。
 はっ、うんっ、麻衣の息継ぎが繰り返される。彼女の唇が積極的に吸い付き、喉から、ううん、と低音が響く。
 唇が吸い付き離れる破裂音が大きく響く。若い張りのある乳房を揉み上げて、乳首をこねくり回しながら、ちゅっ、ちゅっ、ぶじゅ。彼女の唇から涎も溢れ身体がくねる。それに性感も性欲も高まる。
(ディープキッスは次だ)
 すっかり勃起したグミの実を確認して、麻衣の太腿へ右手を這わす。
「まさるさん、ああー」
 切ない声が響き股が開く。
「麻衣。愛してるよ」
 耳元で囁いて、うなじに舌を這わせると、右手で彼女の太腿を持ちあげて、脹脛を肩に乗せる。横向きになる麻衣。
「まさる、好き。まさるきて」
 うわ言のように唇を微かに動かして言う。半ば閉じたまつ毛から潤む瞳がうかがえた。
 ぽっかり開いたピンクの縦割唇。恐怖から性欲に逃れたい女の性かも知れないが、奪いたいのは麻衣の心。
(忘れられない男にさせやる)
 右手で縦割唇をなぞるが、中指と人差し指で、狭い谷間を香門へ散歩させる。
「それ、だめ」
 尻がプルプル揺れた。香門は苦手な女性も多い。
「愛してるよ。麻衣のすべて、俺のもの」
「まさる。それっ」
 言うが、背中を反り返しプルンと乳房が跳ねる。蟻の門渡りを攻めている山下。弄られて快楽の膣と挿入を嫌がる香門の狭間は、女性の隠れた性感だ。恥ずかしさは(感じる)ことに繋がる。
「ぁ。いや。ぁ、ぁ」太腿がぴくぴく蠢く。
 縦割唇の中へ指を進める。愛液がしっとりと潤っていた。
「もう、ぐじゅぐじゅだね」
「いや、いや」腰を振りせがむ彼女。
「男に飢えてただろう、麻衣」
「ちが」敏感な雷粒を指で押した。「うっ」呻き、横向きでいられないらしく腰をよじり、仰向けになった。
「麻衣、もうエッチ人形だな」
 彼女は膝を立てて太腿を大開き。汗ばんで赤らみ、臍辺りが蛍光灯にきらめく。乳首が勃起してプルプル震えて、彼女の指は、触って欲しいように乳房へはわせている。
「愛撫はしない。自分で弄り回せよ」
 腰を進めて、跳ねて反り返る欲棒を彼女の縦割唇へねじ込む。松茸の傘を温かい軟肉が包む。
「まさる、して、して」
 掠れた声で言うと、口元へ白い指を添える麻衣。
「麻衣、愛してるよ」
 ぐいっ、欲棒で蕾を押し開く。
「あぐっ、ううっ」喉が潰れたような響きで、麻衣の顎が仰け反る。
(美人でも、そういう声をだすのか)
 牝になった彼女は顎を揺らせて、ううん、ううん、と呻る。挿入を深くするたびに、息も荒くなっていく。男性を楽しませる敏感な女性だ。
 傘を咥えて吸い付き、丸ごと奥へ引っ張られていく。
「蛸つぼか、麻衣。凄いよ」
「言わ、ない、で」
 顔を隠してしまう麻衣。もったいない、と思う。
「ほら根元まで嵌められたね麻衣。何してる?」
「ま。いやっ」
 横へ向き、形の良い鼻筋へ乱れた髪がいく本かかかる。
 恥ずかしがるところで、彼女の腕を臍辺りまで引き寄せる。狭まる腕の間で乳房が谷間を作り、丸まる。半ば開いた唇と瞼。
「ほれほれ」山下はピストンで攻め始めた。吸い付きが強くなり、欲棒も荒っぽくいきりたつ。
 麻衣は短く息を吐きながら、あっ、あん、あっ、かん高く喘ぐ。
 左右に振られる頭で髪が頬やうなじに流れ乱れる。
 乳房がぷるぷる揺れて、乳首は硬そうに尖る。
「素敵だよ。もっとイヤらしく」
 彼女の太腿を上げて、腰を抱きかかえた。もっと深く嵌っていく。
「あんっ」麻衣の肩が跳ねる。
 額が汗ばんできらめき、頬がピンクに染まる。
「麻衣の奥まで食べてあげる」
 彼女の脚を曲げ、縦割唇を打ち据える。愛液の摩擦音が卑猥に響き、甘い喘ぎと香しい息が目の下からくる。胸に手を置き、震わせるのは性を堪能しているからだろう。
「麻衣は淫乱だ。なんてイヤらしいんだ」
「ち、が、う」はっ、はっ、息をしながら健気に答える。
「そうかな。もう、俺の雌狗だ」
 彼女の脚を下ろして、欲棒を引いてピストンを止めてみる。
「いやいやいや」両膝を曲げ、山下を捕らえようとする。
 そこで、ぐいっ、強く押し込む。
「ぉごっ」麻衣の喉が叫び腕も跳ね上がった。浅い深いを繰り返しピストン。
「あうっ、あうっ」麻衣が応えて喘ぎ悶える。
「んんっ。んんんっ」閉めた唇から零れる麻衣。小刻みに身体が震えて来る。
「イクのか。麻衣イクのか」
 言っても答える余裕はないらしい。肉蕾の吸引力も増してきた。山下も滾るのが我慢できないぐらいに迫っている。
「麻衣。麻衣」激しく腰を動かす。
「まさるっ」叫び、反り返る麻衣。山下の滾るのが彼女の中へぶちまけられた。この征服感が男性の悦びだ。

 麻衣は半ば唇を開けて白目のまま時間が止まっているようだ。
「素敵だったよ」
 彼女の唇にかかる髪の毛を優しく払いのける。セイコーしたあとを女性は覚えるらしい。吸引を弱める蕾の中、彼女が我に返るまでそのまま。
 満足したような長い息を始める麻衣。一度は目を伏せてから開ける。
「山下さん。わたし」そして照れるように笑う。
「愛してるから。これからも」
 抱きしめて、軽いキスをする。汗ばんだ身体同志は名残を楽しんでいた。

 黒井麻衣がエロ女優になる日は近いだろう。
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