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3. エルフ女子だけど質問ある?
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――エルフ女子だけど質問ある?
寝付きの悪い夜もすがら、エル子、裏垢でそんなことを呟いてみる。
『ネカマ乙』
返信第一号が、これ。
――ネカマじゃねーし! 女子だし!
『ネルフ乙』
『エルフなんて珍しくねーだろ』
『だな。ネットじゃ俺もエルフだし』
――ネットでだけの自称エルフじゃねーし! マジもんだし!
『証拠もなしにマジ言われても』
『だな。ソースだせ』
『あと女子だっつー証拠もな』
『だな。同意』
『よし出せ』
――あーあー! そこまで言うなら見せてやんよー!
ネルフ呼ばわりされるのはいつものことだから、べつに本気でイラッたわけじゃない。
うなじの髪をさらりと掻き上げ、尖った耳を背中側から自撮りする。拾い画じゃないことの証拠に、日付と時刻を入れた紙切れも、きちんと添えた。
――ほれ、証拠。エルフ耳だぞおら
『おー、エルフ耳』
『でも、こういう整形もあるよな』
『そこまで疑ったら切りがないし、まーエルフってことでいーんじゃね?』
『だな。この写真だと角度的に分かりにくいけど、すげー貧乳ぽいし』
『あー、ぽいぽい』
『色白ガリ貧乳。エルフだな』
『間違いない』
『だな』
――それ以上はセクハラぞ。訴訟も辞さぬぞ
『エルフを俎板と呼ぶと戦争になる……あれはマジだったか』
――マジ泣くぞ!?
『分かった。もう言わないから、な?』
『それより質問。エルフは天然パイパンってま?』
――おうよ!
『マジか!』
『証拠画像はよ!』
――よーし、ちょっと待ってろ
『全裸待機』
――って見せるわきゃねーだろ、ばーか!!
『ひどい……』
『裏切りだろ、これ』
『風邪ひいたらどうすんだよ……』
――知るか! 服着ろ! いや着ないで風邪ひいて寝込め!
『ひどすぎる……』
『でも、ツンデレ貧乳エルフに罵られていると思ったら……?』
『……ふぅ』
――こいつ、逝きやがった……!
『明日も平日なんだから、みんなも早く寝ろよ』
――賢者、乙
『つか、エルフって仕事すんの?』
『あ、それ俺も聞きたい』
――まー、ひとによるとしか言えないけど、わたしの場合はエルフが仕事という感じかな
『つまり無職、と』
『ニート、と』
――羨ましかろう?
『くそ裏山』
『俺もエルフに生まれたかった』
『エルフじゃなくていいから美少女に生まれたかった』
『ほんそれ』
――ごめんね生まれながらの勝ち組でー♪
『悪いと思ってるならパイパン画像はよ』
『はよはよ!』
――……そんなに見たいの?
『その反応!?』
『見たいです!』
『先生、パイパンが見たいです……!』
『溜まってるってやつです!』
――あ、先に言われたし……
『そんなことより、はよぅ!』
『全裸紳士が風邪ひいちゃう前に、はよおぉ!!』
――しょうがないにゃあ・・
――いいよ。
この流れは読めていたから、すでに画像は用意してある。
いいよ、のチャットに合わせてアップした割れ目の接写画像に、感謝のチャットが乱舞した。
『うおおおお!!』
『ありがとうごぜえますありがとうごぜえます!!』
『ふぅ……』
『早撃ち乙』
『ぺろぺろぺろぺろ』
――はい、ねたばらしー
ここでさっきの割れ目画像を、もっと引きで撮ったものをアップ。
――割れ目じゃなくて、しゃがんだ膝裏でしたー。ヌいたやつ、ぷぎゃーw
エル子は勝利を確信していた。
だが……
『この画像、パンツだよな?』
『だよな』
『見えてるってか、見せてるよな』
「はぁ?」
エル子、リアルに声を上げちゃう。慌てて、いま自分が上げた画像を確認。
「……マジ見えてるしーッ!!」
画像のエル子は、ベッドの上で片方の膝だけ立てた体育座りをしている。いわゆる立て膝の体勢だ。
そして、携帯を弄り始めるまでは就寝するつもりで横になっていたから、服装はパジャマ代わりのTシャツと――パンツだった。ズボンの意味でのパンツではなく、ショーツとか下着とかの意味でのパンツだった。
三枚千円セットで通販した、苺柄だった。たっぷり穿き込んで穴開きになった、くたくたパンツだった。
「ぎ……」
エル子の喉がぎりりと呻いて、
「ぎにゃああぁああッ!!」
気がつけば夜明けも近い静かな夜空に、その慟哭は空しく響いた。
こうして、エル子の裏垢はその後しばらく封印されるのだった。
寝付きの悪い夜もすがら、エル子、裏垢でそんなことを呟いてみる。
『ネカマ乙』
返信第一号が、これ。
――ネカマじゃねーし! 女子だし!
『ネルフ乙』
『エルフなんて珍しくねーだろ』
『だな。ネットじゃ俺もエルフだし』
――ネットでだけの自称エルフじゃねーし! マジもんだし!
『証拠もなしにマジ言われても』
『だな。ソースだせ』
『あと女子だっつー証拠もな』
『だな。同意』
『よし出せ』
――あーあー! そこまで言うなら見せてやんよー!
ネルフ呼ばわりされるのはいつものことだから、べつに本気でイラッたわけじゃない。
うなじの髪をさらりと掻き上げ、尖った耳を背中側から自撮りする。拾い画じゃないことの証拠に、日付と時刻を入れた紙切れも、きちんと添えた。
――ほれ、証拠。エルフ耳だぞおら
『おー、エルフ耳』
『でも、こういう整形もあるよな』
『そこまで疑ったら切りがないし、まーエルフってことでいーんじゃね?』
『だな。この写真だと角度的に分かりにくいけど、すげー貧乳ぽいし』
『あー、ぽいぽい』
『色白ガリ貧乳。エルフだな』
『間違いない』
『だな』
――それ以上はセクハラぞ。訴訟も辞さぬぞ
『エルフを俎板と呼ぶと戦争になる……あれはマジだったか』
――マジ泣くぞ!?
『分かった。もう言わないから、な?』
『それより質問。エルフは天然パイパンってま?』
――おうよ!
『マジか!』
『証拠画像はよ!』
――よーし、ちょっと待ってろ
『全裸待機』
――って見せるわきゃねーだろ、ばーか!!
『ひどい……』
『裏切りだろ、これ』
『風邪ひいたらどうすんだよ……』
――知るか! 服着ろ! いや着ないで風邪ひいて寝込め!
『ひどすぎる……』
『でも、ツンデレ貧乳エルフに罵られていると思ったら……?』
『……ふぅ』
――こいつ、逝きやがった……!
『明日も平日なんだから、みんなも早く寝ろよ』
――賢者、乙
『つか、エルフって仕事すんの?』
『あ、それ俺も聞きたい』
――まー、ひとによるとしか言えないけど、わたしの場合はエルフが仕事という感じかな
『つまり無職、と』
『ニート、と』
――羨ましかろう?
『くそ裏山』
『俺もエルフに生まれたかった』
『エルフじゃなくていいから美少女に生まれたかった』
『ほんそれ』
――ごめんね生まれながらの勝ち組でー♪
『悪いと思ってるならパイパン画像はよ』
『はよはよ!』
――……そんなに見たいの?
『その反応!?』
『見たいです!』
『先生、パイパンが見たいです……!』
『溜まってるってやつです!』
――あ、先に言われたし……
『そんなことより、はよぅ!』
『全裸紳士が風邪ひいちゃう前に、はよおぉ!!』
――しょうがないにゃあ・・
――いいよ。
この流れは読めていたから、すでに画像は用意してある。
いいよ、のチャットに合わせてアップした割れ目の接写画像に、感謝のチャットが乱舞した。
『うおおおお!!』
『ありがとうごぜえますありがとうごぜえます!!』
『ふぅ……』
『早撃ち乙』
『ぺろぺろぺろぺろ』
――はい、ねたばらしー
ここでさっきの割れ目画像を、もっと引きで撮ったものをアップ。
――割れ目じゃなくて、しゃがんだ膝裏でしたー。ヌいたやつ、ぷぎゃーw
エル子は勝利を確信していた。
だが……
『この画像、パンツだよな?』
『だよな』
『見えてるってか、見せてるよな』
「はぁ?」
エル子、リアルに声を上げちゃう。慌てて、いま自分が上げた画像を確認。
「……マジ見えてるしーッ!!」
画像のエル子は、ベッドの上で片方の膝だけ立てた体育座りをしている。いわゆる立て膝の体勢だ。
そして、携帯を弄り始めるまでは就寝するつもりで横になっていたから、服装はパジャマ代わりのTシャツと――パンツだった。ズボンの意味でのパンツではなく、ショーツとか下着とかの意味でのパンツだった。
三枚千円セットで通販した、苺柄だった。たっぷり穿き込んで穴開きになった、くたくたパンツだった。
「ぎ……」
エル子の喉がぎりりと呻いて、
「ぎにゃああぁああッ!!」
気がつけば夜明けも近い静かな夜空に、その慟哭は空しく響いた。
こうして、エル子の裏垢はその後しばらく封印されるのだった。
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