【CHANGEL】魔界姫マリーと純粋な見習い天使ジャスの不思議な魔界記

黒山羊

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ニートのち魔界王

029・king of neat devil NEET

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ニルヴァーナ・アース
・エイルシッド・トライアス

天魔界の住人であれば、彼を知らない者はいない。
彼は、全宇宙最強の破壊者であり、全宇宙最高の友人でもあった・・・。




この話は、まだマリーが幼いころの話である。








~天界にある館~

立派な館の中では、黒髪の幼い少女マリーと、金髪アフロの男性が一緒に本を読んでいる。
幼いマリーは 金髪アフロの膝の上に ちょこんと座り、楽しそうな表情を見せている。


「ねえ、お父様。
 そろそろジャーちゃんの所に遊びに行きたいんだけど・・・。」

「えー、まだパパと一緒にいる時間って約束したじゃないか。
 この本を読み終わるまでは、一緒にいて欲しいんだけど。」

金髪アフロの手にする本は、百科事典のように分厚い本で、読み終わるまでに数日はかかってしまうだろう。


「・・・いや、さすがに無理よ。
 また帰ってきたら、お父様と一緒に遊んであげるから、ジャーちゃんのところに遊びに行きたいなー。」


「・・・分かった。もし変な人に声をかけられたら、この笛を吹くんだよ。
 どんな時でも、絶対にパパが飛んで行ってマリーを助けるよ。
 これは、パパとマリーだけの秘密の契約だからね。」


「はい。分かりました。
 お父様、愛してるわ。」

「パパは 嬉しくって涙がでちゃうよ。」


幼いマリーは、金髪アフロの膝の上からピョンっと飛び降りると、自分で髪を結び、家を飛び出していった。
一人残された金髪アフロは、手のひらの上に炎を召喚し、駆けていくマリーの様子を監視していた。
しばらくすると、部屋の扉が開いて、満面の笑みの女神ディーテが入ってくる。

「やっぱり家にいた。
 エイルは絶対に家を出ないと思ってたんだよね。」

「お帰りディーテ。仕事は順調みたいだね。
 何か楽しいことがあったのかなー?」

エイルと呼ばれた金髪アフロは、手のひらの上の炎をディーテにばれないように、握りこんで消火した。


「そうなのよ。分かっちゃう?」

「そりゃ分かるよ。ディーテの事は全部、御見通しさ。」

「じゃあ、当ててみて。
 今日、私は人間界で素敵な人と巡り合えたの!」

「・
 ・
 ・
 素敵な人?
 え、それって、浮気宣言みたいなやつ?
 結構、女神様って・・・。」

「うふふっ、
 何を言ってるのよ。
 まったく見通せてないじゃない。」

口をとがらせて拗ねているエイルに、笑顔のディーテが近づき、抱き着きながら話を進める。

「実はね、未来からきたマリエルに会ったの!」

「未来からきた、マリエル?
 マリエルって、可愛いマリーのことだよね?」

「もちろん!
 でね、未来のマリエルは、貴方の目によく似た、真紅の瞳に黒髪で、魔界の使い魔を従えてたわ。
 それから魔王城から来たって言ってたの。」

「魔界の使い魔を従えて、魔王城に住む・・・。
 可愛いマリーが魔王になるってことかな・・・。」

「そうかもしれないけど、他にも魔界の使い魔を従える方法があるんじゃない!?」

「ディーテが魔王になるってこと?」

「はぁ!
 なんでそうなるのよ!
 もっと魔王になるのに相応しい人がいるでしょ!
 あなたも よく知ってる人よ。」


エイルは、ディーテの言葉を聞き、自分の指を3本立てて、指とディーテを見比べている。

「ちょ、ちょっと待って、あなたの知り合いって、3人しか居ないの?」


「・・・い、いや、さ、3億人くらいの3だから!」


「・・・仕方ないわよね。
 エイル、いま何年くらい家から出てないの?」

「えっと、マリーが産まれてからだから・・・。」


「ざっと4000年くらい家に引きこもってるんじゃない?」

「・・・そうなるね。」



「・・・近い将来、家に引きこもる人の事をNEETって呼ぶ時代が来るわよ!」

「NEET?」

「そう、ニルヴァーナ・アース・エイルシッド・トライアスの頭文字。」

「まさか、たぶん NEETは 至高の人物を差す言葉になるはずだよ。
 ・
 ・
 ・
 で、さっきの問題なんだけど、可愛いマリーの友達のジャスちゃんかな。」

「なんで、天使のジャスちゃんが魔王になるのよ。
 魔王になるのは、エイルシッド、あなたよ!」


「俺が・・・?
 いや、でもまだ心の準備が・・・。」


「もう、グダグダ言ってると、私たちの愛しのマリーに悪魔の特徴が出始めて、周りの天使から迫害されるわよ。
 そうすると、きっと思春期を迎えたマリーが、エイルを逆恨みしちゃって、
 エイルシッドを血祭りにあげるわよ。ゲヘヘヘッ!なんて言っちゃうかもよ!」



「ゲヘヘヘ・・・。
 だ、ダメだ!
 マリーにそんな笑い方は似合わない!
 もっと可愛らしく、うふふっ、世界で一番 愛してる お父様を血祭りにあげちゃうわ。くらいじゃないと!」

(あ、あれ?
 気になるのは、笑い方なんだ・・・。)


「ディーテ、俺は少し魔界に行って魔王になってくる!
 魔王になって、魔界を住みやすくしたら2人を呼ぶから、また一緒に暮らそう!
 ・・・それまで、待っててくれるかい?」

「そんなの余裕よ。
 私は、エイルが英気を養うのを5000年近く待ってたんですから。」

エイルは、金髪アフロのカツラを取り、長めの黒髪を後ろで一つに結ぶ。
エイルシッドには、竜人種の特徴である角はなく、2対の竜の翼がなければ、人間と見間違えてしまう外見である。
その瞳は、マリーの瞳よりも、赤く輝き、見るものを魅了してしまう。


コンコン!



「女神様、来客の方が・・・。
 キャー!悪魔よ!悪魔の襲撃よ!」


運悪く、部屋を訪れた下級天使が、エイルシッドの姿を見て騒ぎ始める。
エイルシッドは、慌てるようすもなく、芝居をした。


「女神ディーテの力、さすがだな!
 今回は、エイルを始末できただけだが、次は、ディーテも連れ去ってくれるわ!」

「魔界王エイルシッド、貴方の好きにはさせないわ!
 さあ、あなたの罪を数えなさい!」

「お、おのれー!
 また迎えにくるからな!
 さらばだ!」

エイルシッドは、捨て台詞をはき、カーテンと窓を開け、外に飛び出していった。

「女神様、お怪我はありませんか!?」

「ええ、大丈夫よ。」
(ちょっと、芝居が下手すぎるよね。
 窓を突き破っていけば100点なんだけどな。)

「こ、これは!!!」

バタン!

下級天使は、床に落ちた金髪アフロのカツラを生首と見間違えたのだろう。
その場で気を失ってしまったようだ。
ディーテは、窓から身を乗りだし、遠くの空を飛ぶエイルシッドにつぶやく。

「エイル、行ってらっしゃい。」


エイルシッドは、声が聞こえたのだろうか、振り返り大きく手を振っていた。








~魔王城~

午前中に出発したエイルシッドは、迷いながらも その日の夕方には魔王城に到着していた。
エイルシッドは、魔王城に来るのは初めてのようで、周囲をキョロキョロと見渡している。

「どのような ご用件なのかニャン。」

エイルシッドを不審に思ったのだろう、半透明の使い魔が声をかけてきた。

「ああ、よかった。
 ここは魔王城で間違いないかな?」

「そうニャン。
 大魔王ベルゼブイ様に使えに来たのかニャン?
 ここだけの話、ベルゼブイは性根が腐ってるニャン。
 契約してしまうと最悪ニャン。
 いまなら まだ間に合うから帰った方がいいニャン。」

「よかった。
 いい魔王なら、どうしようか悩んでいたんだ。」

「は?
 お前、バカなのかニャン?」



エイルシッドは、声をかけてきた半透明の使い魔に笑顔を見せ、魔王城の正門の前に立ち、周囲に響き渡る大きな声で名乗りをあげた。

「俺は 魔界王エイルシッド!
 大魔王ベルゼブイ、俺と勝負して、この魔王城を俺に譲れ!」

「あわわわ、やっぱりバカなんだニャン!」


半透明の使い魔は、エイルシッドの暴挙に巻き添えを喰らわないように、隠れるように移動する。
半透明の使い魔が隠れ終わったころ、魔王城の中から、悪魔たちが現れた。


「さて、どれがベルゼブイなんだ?」

「わしだ。
 わしが偉大なる大魔王ベルゼブイだ。」


ベルゼブイと名乗った合獣種の悪魔は、蠅の頭に、竜人種のような体に4本の腕、巨大なワニの尻尾を持ち、背中にはカブトムシのような装甲に覆われた羽をもっている。
ベルゼブイは、エイルシッドの前にたちはだかると、威圧するように話し始める。

「竜人種の悪魔か。
 威勢だけはいいようだな。
 貴様はなぜ、魔王の座を狙う。力を誇示するためか?
 己の欲望を満たすためか?
 それとも、無知がゆえ無茶をするのか・・・。
 ぐふっぐふっぐふっ!」


大魔王ベルゼブイが気味の悪い笑い声をあげると、周囲の悪魔たちも作り笑いを始めた。


「さすが!
 大魔王ベルゼブイ様!」
「無知と無茶、ぴったりでございます。」
「さすが智を司るベルゼブイ様ですな!」


周囲の悪魔は、必死に大魔王ベルゼブイをおだてあげる。
そんな大魔王ベルゼブイの方に指を向け、エイルシッドは笑顔で声をかける。

「なに難しいことを言ってるんだ?
 それに、ぜんぜん面白くないぞ。」

「き、きさま・・・!
 お前たち、殺ってしまえ!」

ベルゼブイは 腹を立て、くるりと魔王城の方を向き、城内に引き返していった。
魔王城の正門がしまると、周囲の悪魔たちはエイルシッドに襲い掛かる。
エイルシッドは、その攻撃を腕を組んだまま全て受けていた。

「オラァー!」
「死ね!」
「くたばりやがれ!」

(なぜ、こいつらは、俺の体を触りまくるんだ?
 これは戦う前の儀式なのだろうか・・・。)



~10分後~

エイルシッドは、微動だにしない。
エイルシッドに攻撃をしていた周囲の悪魔たちにも疲労の様子がうかがえる。

(まだ続くのかな・・・。
 早く儀式、終わらないかな・・・。)

「はぁ、はぁ、く、くそが!」
「これでどうだ!」
「ま、魔法を詠唱して焼き殺そう!」

悪魔たちの放った魔法に身を焼かれても エイルシッドは微動だにしない。



~30分後~

「・・・スピースピー。」

「し、死んだのか・・・?」
「気を失ったんじゃねーのか?」
「おい、このまま埋めちまおうぜ。」
「そうだな、死んだことにして埋めちまおう。」
「だな。
 おい、そこの使い魔。
 何匹か使い魔を連れてきて、このアホを埋めちまえ。」

「分かったニャン。」

悪魔たちは、エイルシッドが目を覚まさないように、ゆっくりと優しく抱きかかえ、迷いの森の外れにエイルシッドを運び、使い魔たちに穴を掘り、その穴に埋めるように指示した。




~1時間後~

使い魔たちが穴を掘り終わり、エイルシッドを埋め始める。
半分ほど埋まったときに、エイルシッドが目を覚ます。

「・・・地面に埋められてるところを見ると、やはり儀式だったようだな。」

「生きてたのかニャン?」

「ん?」

「もう死んだと思ってたニャン。」

「病気か何かで?」

「い、いや、殴られすぎて・・・。
 本当に無傷なのかニャン?」

「とにかく、穴から出してほしいんだが・・・。」


不思議そうな顔をするエイルシッドを使い魔たちは、再び掘り起こす。
穴から出てきたエイルシッドは、その場に座り、使い魔たちに声をかける。

「助けてくれて、ありがとう。
 俺はエイルシッド。お前たち、名前は?」

「俺らは使い魔ニャン。」

「使い魔にだって名前くらいあるだろ。
 別に本名じゃなくってもいいから、名前くらい教えろよ。」

「えっと、俺はモモって呼んでくれればいいニャン。」

半透明の使い魔は、モモと名乗った。
それ以外の3匹の使い魔たちも、それぞれに名乗る。
偽名なのか、本名なのかは分からなかったが、エイルシッドは気にする様子もない。

「じゃあ、改めてよろしくな。
 モモ、ポチ、ケーン、エンマ。」


「「「よろしくニャン。」」」


エイルシッドは、悪魔でありながら 魔界の事をよく知らないようで、4匹の使い魔に質問をする。
モモ、ポチ、ケーン、エンマは、それぞれに知っていることをエイルシッドに説明し始めた。
そんな中、モモが気になっていたのか、逆にエイルシッドに質問する。

「エイルシッドさんは、悪魔っぽくないニャン。
 どうしてなのかニャン?」

「おれ?
 ああ、俺は人間界、アスガルドで生まれた悪魔だからな。
 珍しいだろ。
 ちなみに、俺の本名は、ニルヴァーナ・アース・エイルシッド・トライアス って言うんだけど、アースってのは、アスガルドで生まれたって意味らしい。」

エイルシッドは、楽しそうに説明する。

「人間界・・・。
 懐かしい響きニャン。
 もし、願いが叶うなら、人間をやり直したかったニャン。
 そしたら、もっと慎重に行動して、鬼退治のあとに騙されることもなく、人を恨むこともなく・・・。」

「モモさん、それ以上は口にしない方がいいニャン。
 俺らは立派にやり遂げたニャン。」


誰の目から見ても、使い魔たちは 酷く落ち込んでいるようだった。
そんな使い魔のモモに、エイルシッドが声をかける。

「まあ、そうくよくよするなよ。
 徳を溜めて人間に転生すればいいじゃないか。
 天界の使い魔は人間に転生してるぞ。
 モモの体が薄くなってるのも、転生する時間だぞって合図なんじゃないのか?」

「・・・違うニャン。
 半透明になってるのは、もうすぐ消滅するぞって、意味ニャン。
 それに、魔界の使い魔は、ほぼ100%消滅してるニャン。
 俺らが消滅することを悪魔たちは楽しそうに見てるニャン。
 使い魔は どんなに努力しても、最後には殺されて悪徳がたまって、報われることがないニャン。」

「なにそれ、なんで誰も助けねーんだ?
 使い魔たちが困ってるんだったら助ければいいのに。」

「仕方ないニャン。
 それが魔界なんだニャン。」


エイルシッドは 立ち上がり、魔王城を見つめる。
しばらく魔王城を見つめた後、振り返り 話し始めた。


「・・・こんな魔界にマリーは呼べねーな。
 俺が大魔王になって、魔界を変えてやるから。
 モモ、もう少し踏ん張れよ!」

「・・・俺はエンマだニャン。」


「・・・ごめん、こっちがモモだっけ?」


「・・・俺はポチだニャン。
 モモは、あいつニャン。」

「分かりにくいな。
 ・
 ・
 ・
 そうだ!」


エイルシッドは、近くに咲いていた桃色の花を摘むと、その花をモモの服の胸元辺りに押し当てて すり潰す。
モモの服に、桃色のシミが付いた。

「こ、これは・・・?」

「誰が見てもモモだって分かるだろ。」

「こんなことしたら、悪魔に標的にされてしまうニャン!
 早く消さなくっちゃ マズイニャン!」

慌てて消そうとするモモの手を、エイルシッドが掴み、やめさせる。

「消さなくっていい。その印がモモの生きる証だ。
 モモが転生するまで、俺が ずっと守ってやるよ。」

「エイルシッドさ、ま・・・。」


胸元に着いた シミは、まるで桃の実のようなシミとなっていた。





~魔王城~

エイルシッドは、魔王城の城門を蹴破り中に入り、大声をあげる。

「大魔王ベルゼブイ!
 今日が貴様の命日だ!」


再び殴り込んできたエイルシッドに群がるように、魔王城の悪魔たちがエイルシッドを取り囲む。
そんな悪魔たちにも、エイルシッドは忠告する。

「次は、殴り返す。
 死の覚悟ができた奴だけ かかってこい。」

エイルシッドの言葉には、殺意が込められていた。
魔王城の悪魔たちは 固唾をのみ、大魔王ベルゼブイや 他の悪魔の動向を見守る。


「ぐふふふっ、
 なかなか打たれ強い竜人種のようだな。
 しかし、歴代の大魔王の中でも最凶にして最強の大魔王ベルゼブイの攻撃を受けても同じことが言えるかな?」

「その最強の攻撃を受けてみようかな。
 お前を殺すことは 朝飯前みたいだから・・・。」

「ぐぬぬぬぬぅっ!
 最凶にして最強の大魔王ベルゼブイ様をバカにしおって!
 ぬぅおぉぉぉぉ!」

大魔王ベルゼブイは、腰の両手剣を引き抜き、魔力を込めてエイルシッドに叩き付ける!

ジュッ!

エイルシッドに触れた両手剣が、一瞬にして蒸発していった。
魔王城の中の気温が激しく上がり始める。

「な、なにが起きたのだ!?」

「もう終わりか?」

「クソが!
 クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ!」


ベルゼブイは、4本の腕に魔力を纏わせ、エイルシッドを連続で殴打していく。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

床一面、血の色で染まっていた。

「な、なぜだ、なぜ、貴様のような悪魔が・・・。
 い、いったい、」

「もう終わりか?」

無傷のエイルシッドと、4本の腕から血を流す大魔王ベルゼブイ。

「ま、待ってくれ、望みの物をなんでもやろう!
 だ、だから見逃してくれ!」

「お前らみたいな魔王がいるから、魔界は変われない。
 魔王なら、魔王らしく死ね。
 これから俺が、この魔王城の主だ。」


エイルシッドが、大魔王ベルゼブイの肩に手をかけると、大魔王ベルゼブイは激しく燃え上がり、灰も残らないほどに燃え尽きてしまった。
大魔王ベルゼブイの配下たちは、ベルゼブイの敗北に、我先にと魔王城から逃げ出していく。
事情を知らない使い魔たちも、配下の悪魔たちと共に逃げていく。

そんな中、モモ、ポチ、ケーン、エンマたち、残された使い魔が、エイルシッドに声をかけてきた。

「魔王エイルシッド様、俺らに仕事を与えてほしいニャン。」
「俺ら、魔王エイルシッド様と一緒に生きてみたいニャン。」
「魔界が変わる瞬間に立ち会えるなんて夢みたいだニャン。」
「魔王エイルシッド様、モモは、一生涯お仕えするニャン!」

「あのさ、魔王エイルシッドって呼ぶのやめようよ。
 俺は魔界王を名乗るつもりだし・・・。」


「「「分かったニャン。魔界王エイルシッド様!」」」


「・・・言いづらいよね。
 エイルシッド王でもいいよ。」


「・・・エイルシッド王は、かなり ゆるい魔王なんだニャン。」
「でも楽しくなりそうだニャン。」


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