【完結・番外編更新】魔法書の創り手 〜無属性で落ちこぼれの烙印を押された僕が魔法書を創ったら、なぜか最強たちの中心にいた件〜

はぴねこ@5月中旬書籍発売

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37 精霊の掟

「魔法書を作り直させて欲しい!」

 ファングボアを倒し終えたガルフレッドに僕はそう頼んだ。
 今の状態では魔法書がなかった頃の方がよほど戦い易かったはずだ。
 ガルフレッドのために作った魔法書なのに、彼の足を引っ張るようなものでは意味がない。
 ダニアンの盾に直接魔法を書き込んだように、何か、ガルフレッドの装備に魔法を書き込もう。

「悪いけど、エノク、その時間はなさそうだ」

 僕の言葉に答えたのはガルフレッドではなく、いつの間にか森に来ていたオスカーだった。
 ゼノビアとシーラもいる。

「どういうこと?」
「どうやら、ジョン兄上が自分の管理下にある第二騎士団たちを連れてこちらに向かってきているらしい」

 とうとう内乱が起こるようだ。

「それで、エノクには悪いんだけど、ニーナを連れて、精霊の森に隠れてもらえないかな? ジョン兄上が直接出てくるのなら私よりもニーナの方が危ない」
「どうして、エノクがお姫様の面倒なんて見ないといけないのよ!」

 そう叫んだミラの口を、空気を読んだネルが急いで塞いだ。

 僕としては自分の作った魔法書が本当に戦いの場で有用なのかどうかを自分の目で確認したい気持ちはあったけれど、僕自身が戦えるわけでもないから邪魔だし、ニーナと一緒に精霊の森に避難した方がいいだろう。
「わかった」とニーナを連れて精霊の森に行くことを了承した。

 万が一、ニーナが精霊の森に入れない場合には、エルフの里に避難するということでグラーツも一緒に行動することになった。
 グラーツも戦いは得意な類ではないため、シーラに厄介払いされたとも言う。
 しかし、グラーツとしては精霊の森に入ることができるかもしれないということで大興奮していた。

 エルフの里は里とはいうけれど、それは森の中にあるため、エルフも森に住む森の民と言える。
 精霊の森以外の森に住む森の民からすると精霊の森は憧れの地らしい。

「そういえば、私たちもそろそろパーティー名決めようと思うんだけど」

 ゼノビアが急にそんなことを言い出した。

「これまでパーティー名はなかったの?」
「パーティー名がなくてもわかるからまぁいいかなってなってたのよ」
「パーティー名がなくてもわかる?」
「だいたい、ゼノビアとそのご一行とか、お嬢様と護衛とか、パルミラの守護者とか、ひどいのだとパルミラの三女とか言われてたわ」
「まぁ、どれを言われてもゼノビアのパーティーだということはわかるね」

 最後のはなんかゼノビアのことしか表していないような気はするけど。
 でも、きっと冒険者の人々にとってはゼノビアを思い出せば芋蔓式に他のメンバーのことを思い出すのだろう。

「パーティー名なんだけど、エノクが作ってくれた魔法書に恥じないように、『精霊の掟』にしない?」
「いや、僕のことは気しないで決めて」

 僕は撤回してほしかったけれど、僕の言葉に被せるようにして他のメンバーが盛り上がった。

「それ、いいわね! 私は賛成!」
「わしも賛成だ」
「俺も! スッゲェかっこいいと思うぜ!」

「エノク、魔法書は邪な気持ちで使えば、魔法は自分に跳ね返ってくるのよね?」

 僕は頷いて答える。
 精霊の言葉で書かれた魔法書は、精霊の意思に反することに使われた場合には魔法が発動しないか、自身に魔法が跳ね返ってくる。
 よほど精霊を怒らせるような使い方をしない限りは命までは奪わないはずだが、邪な気持ちで魔法書を使う場合には完全自己責任でお願いしたい。

「エノクが頑張って作ってくれたその想いに応えられるように、私たちは真摯な思いでこの魔法書を使わせてもらうわ」
「ゼノビアたちなら大丈夫だと思うけれど、精霊を怒らせてはいけない……これだけは覚えておいて」

 別に精霊に媚びる必要はないけれど、怒らせるようなことは決してしてはいけない。




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