稀代の魔導士は皇太子の溺愛に微笑む

「ミレイア、お前との婚約を破棄させてもらう!」
 王国の由緒ある学園の卒業パーティーで、突き付けられた婚約破棄。
 婚約者である王子の隣には、『渡り人』であるマリナの姿があった。
 王家からの強引な婚約であったにも関わらず、婚約破棄を宣言されたミレイアの心は冷めている。
 心にあるのは「貴様如きが」という感情。
 けれども、王子との婚約を無かったことにしたかったミレイアにとっては、渡りに船。
 婚約の白紙を受け入れ、かねてから計画していた通りに、領民とジュピタル公爵家に所属している者を連れて、隣国である皇国に移住した。
 そこには、ミレイアの事を可愛がってくれる皇族、そして一心に愛してくれる婚約者になった皇太子がいる。
 稀代の魔導士、聖女の生まれ変わりとも言われるミレイアは、自分の非常識さを棚の上にあげて、自分の周りには非常識な人しかいないのだろうかと悩みつつ、マイペースに暮らしていく。

 一方、ミレイアを、その実家であるジュピタル公爵家を失った王国は、『渡り人』のマリナを担ぎ上げるもうまくいかず、国民は不満の感情をあらわにしていく。
 焦った国王が、ジュピタル公爵一族を取り戻そうと、皇国にミレイアの元婚約者のマロンと、その婚約者になったマリナを使者として送り込んだが、ミレイア達が頷くわけもなく、さっさと帰れとぞんざいに扱う。
 しかしながら、ミレイアの新しい婚約者であるワーグナーに一目惚れしたマリナが、「あたしと結婚してください。聖女であるあたしと結婚したほうがいいですよ」と言い始めた。
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