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あの日、静馬は最後まで戦っていた。
次々に仲間が屠られながらも、人ではない悍ましい怪物の首を狩り、必死に城を守っていた。
しかし外なるものの将、自らをヌェイザと名乗る異形が城主の首を静馬の前に投げたとき、彼の動きは止まった。
ヌェイザはその一瞬の隙を見逃さず、首筋を打ち据え気絶させ、部下に運ばせた。
静馬が次に目覚めたのは、石造りの牢であった。
後ろ手に手を縛められ片脚にも鎖をつけられていた。
ヌェイザは静馬が自分に気づくまで、彼の前でその目覚めを待っていた。
静馬は灰色の肌の巨漢が視界に入った瞬間、身構えた。
「貴様……ッ」
「ようやくお目覚めか、静馬。待ちくたびれたぞ」
ヌェイザは他の外なるものとは違い知性があるようで、言葉を介することが出来る。だがその上で人間を容赦なく屠れる様から、まともな会話や交渉が出来る相手ではないことは確かだ。
今でも瞼の裏に焼き付く民の無残な姿や恐怖の表情の張り付いた城主の首の姿が蘇る。
静馬は理解した。こいつらは存在してはいけないものだと。
「敵の将を打ち取ったのは我々だ。故にこの国はこのヌェイザが頂く」
「何を言ってやがる!」
「これはお前ら人間の理でもあるだろ? 我らはそれに従って付き合ってるだけだぞ」
彼の言うことは一理ある。
戦国の世では、外なるものがした仕打ちは当然のことだ。強者が弱者を貪る。それが理であるのだ。
「なにが望みだ。何が欲しくて、お前らは戸羽に攻め込んだ」
「胎だ」
「……はあ?」
「丈夫な我が子を産める胎をもった存在が欲しい。我はそれを探していた」
胎。つまり、子を宿す子宮を持った者。雌を探しているのだ。
「そこで見つけたのがお前だ。静馬。戦場での活躍。敗北が決まった今でも死なない目。その全てが気に入った」
「なに、言って。俺は男だぞ」
「その程度他愛ないことよ。時間はかかるが子を孕めるように出来る術を我々は持っている」
そこまで言うとヌェイザは静馬の衣服を剥ぎ取り、あっという間に肌も露わな状態にさせる。
その瞬間、これから奴がするであろう行為に静馬は寒気を覚えた。
「どうした固くなって。初めてか?」
「だま、れ!」
「初物か。まあ、それもいいな」
ヌェイザは鎖を引いて静馬を仰向けに寝かせ、その足を自身の大腿に乗せて何も纏わない下を晒した。
まだ誰も触れたことがない菊門を暴かれ、抵抗も出来ず、静馬は羞恥に顔を歪ませた。
「安心しろ、我は雑魚とは違う。生娘には優しくしてやるさ」
まるで恋人同士の睦み合いであるかのように優しく、そして甘く声をかけて頭を撫でる。首を振ってヌェイザの手を拒む。しかしその手が自分の秘所に伸びることは避けられなかった。
孔の入り口に触れられ、不快感から漏れそうな声を唇を噛み締めて堪えた。
「本当に初物なんだなぁ。随分慕われているようだから『相手』してやってるのかと思っていたよ」
怒りで頭に血が昇る。
戸羽の国の武将たちの純粋な絆を茶化され、この灰色の大男に殺意が湧く。だがそれに対してヌェイザはまるで子猫にでも手を噛まれたように飄々と笑うだけだ。
南蛮のギヤマンに似た質感の入れ物を取ると、そこから液体を自身の指に垂らした。
それは蜜のようにトロリとした質感で長く節くれだったヌェイザの指に絡んだ。
「さぁ、力を抜け。慣らしてやるから」
「っ、いやだ、来るなっ、あ゛、うっぐぅ」
排泄以外で使われることのなかった孔に、異形の指が侵入していく。
内側から迫りくる圧迫感と異物感に吐き気が込み上げる。誰も触るべきでない恥部を広げられ、また突き上げるように弄んでいく。
胃の中のものが出てきそうで、口の中が酸っぱくなる。
そうして顔を顰める静馬に、ヌェイザは満足げに微笑んだ。
「キツいなあ……ここを我で染めるのだから、昂ぶりが止まらんな」
「う、ッカハ、ふざ、けるな!」
異物の侵入に咳き込みながら静馬は気丈に抗議する。
それは武士としての矜持であるが、それがヌェイザの嗜虐心を煽ることを彼は知らない。
「う゛くゥ、あぁっ」
「ククク、笑わせないでくれ、手元が狂う」
「ぁう、ンン」
「……ほらぁ、もう二本咥えたぞ? 偉いな、静馬。これは母胎として期待できるぞ」
自分を嘲笑い続ける男の言葉に、苛立ちながら静馬はその指の動きを受け入れ続けた。
次第にヌェイザの指は戯れのような動作から真剣な様相に変化し、全体を慎重に解きほぐしていく。優しささえ感じてしまうその動きに、静馬は更に拒否感を抱いた。
「っ、どうせ、孕み袋にするんだろ。だったら、ン、ささっとヤれよ」
「我は他の低能な雑魚とは違うと言ったろ? 静馬は我の子供を宿してくれる、お前らの言葉で言うなら愛しき妻なんだ。丁重に扱うに決まっているだろ」
「なにを――ンっふぁ!」
また抗議しようと声をあげた静馬は、孔に入れられた指を抜かれ仰け反った。
急に異物を抜かれ、ゾクゾクとした初めて感じる痺れに戸惑う。
息が荒くなることを悟られぬように、静かに息をする。ヌェイザは静馬から視線を外し、自分の背後から壺を取り出した。
「……!」
そこから取り出したものに、目を見開いた。
それは虫だった。
子供の腕程の大きさの、白い、百足のような形をした虫がヌェイザは手に持っている。
次々に仲間が屠られながらも、人ではない悍ましい怪物の首を狩り、必死に城を守っていた。
しかし外なるものの将、自らをヌェイザと名乗る異形が城主の首を静馬の前に投げたとき、彼の動きは止まった。
ヌェイザはその一瞬の隙を見逃さず、首筋を打ち据え気絶させ、部下に運ばせた。
静馬が次に目覚めたのは、石造りの牢であった。
後ろ手に手を縛められ片脚にも鎖をつけられていた。
ヌェイザは静馬が自分に気づくまで、彼の前でその目覚めを待っていた。
静馬は灰色の肌の巨漢が視界に入った瞬間、身構えた。
「貴様……ッ」
「ようやくお目覚めか、静馬。待ちくたびれたぞ」
ヌェイザは他の外なるものとは違い知性があるようで、言葉を介することが出来る。だがその上で人間を容赦なく屠れる様から、まともな会話や交渉が出来る相手ではないことは確かだ。
今でも瞼の裏に焼き付く民の無残な姿や恐怖の表情の張り付いた城主の首の姿が蘇る。
静馬は理解した。こいつらは存在してはいけないものだと。
「敵の将を打ち取ったのは我々だ。故にこの国はこのヌェイザが頂く」
「何を言ってやがる!」
「これはお前ら人間の理でもあるだろ? 我らはそれに従って付き合ってるだけだぞ」
彼の言うことは一理ある。
戦国の世では、外なるものがした仕打ちは当然のことだ。強者が弱者を貪る。それが理であるのだ。
「なにが望みだ。何が欲しくて、お前らは戸羽に攻め込んだ」
「胎だ」
「……はあ?」
「丈夫な我が子を産める胎をもった存在が欲しい。我はそれを探していた」
胎。つまり、子を宿す子宮を持った者。雌を探しているのだ。
「そこで見つけたのがお前だ。静馬。戦場での活躍。敗北が決まった今でも死なない目。その全てが気に入った」
「なに、言って。俺は男だぞ」
「その程度他愛ないことよ。時間はかかるが子を孕めるように出来る術を我々は持っている」
そこまで言うとヌェイザは静馬の衣服を剥ぎ取り、あっという間に肌も露わな状態にさせる。
その瞬間、これから奴がするであろう行為に静馬は寒気を覚えた。
「どうした固くなって。初めてか?」
「だま、れ!」
「初物か。まあ、それもいいな」
ヌェイザは鎖を引いて静馬を仰向けに寝かせ、その足を自身の大腿に乗せて何も纏わない下を晒した。
まだ誰も触れたことがない菊門を暴かれ、抵抗も出来ず、静馬は羞恥に顔を歪ませた。
「安心しろ、我は雑魚とは違う。生娘には優しくしてやるさ」
まるで恋人同士の睦み合いであるかのように優しく、そして甘く声をかけて頭を撫でる。首を振ってヌェイザの手を拒む。しかしその手が自分の秘所に伸びることは避けられなかった。
孔の入り口に触れられ、不快感から漏れそうな声を唇を噛み締めて堪えた。
「本当に初物なんだなぁ。随分慕われているようだから『相手』してやってるのかと思っていたよ」
怒りで頭に血が昇る。
戸羽の国の武将たちの純粋な絆を茶化され、この灰色の大男に殺意が湧く。だがそれに対してヌェイザはまるで子猫にでも手を噛まれたように飄々と笑うだけだ。
南蛮のギヤマンに似た質感の入れ物を取ると、そこから液体を自身の指に垂らした。
それは蜜のようにトロリとした質感で長く節くれだったヌェイザの指に絡んだ。
「さぁ、力を抜け。慣らしてやるから」
「っ、いやだ、来るなっ、あ゛、うっぐぅ」
排泄以外で使われることのなかった孔に、異形の指が侵入していく。
内側から迫りくる圧迫感と異物感に吐き気が込み上げる。誰も触るべきでない恥部を広げられ、また突き上げるように弄んでいく。
胃の中のものが出てきそうで、口の中が酸っぱくなる。
そうして顔を顰める静馬に、ヌェイザは満足げに微笑んだ。
「キツいなあ……ここを我で染めるのだから、昂ぶりが止まらんな」
「う、ッカハ、ふざ、けるな!」
異物の侵入に咳き込みながら静馬は気丈に抗議する。
それは武士としての矜持であるが、それがヌェイザの嗜虐心を煽ることを彼は知らない。
「う゛くゥ、あぁっ」
「ククク、笑わせないでくれ、手元が狂う」
「ぁう、ンン」
「……ほらぁ、もう二本咥えたぞ? 偉いな、静馬。これは母胎として期待できるぞ」
自分を嘲笑い続ける男の言葉に、苛立ちながら静馬はその指の動きを受け入れ続けた。
次第にヌェイザの指は戯れのような動作から真剣な様相に変化し、全体を慎重に解きほぐしていく。優しささえ感じてしまうその動きに、静馬は更に拒否感を抱いた。
「っ、どうせ、孕み袋にするんだろ。だったら、ン、ささっとヤれよ」
「我は他の低能な雑魚とは違うと言ったろ? 静馬は我の子供を宿してくれる、お前らの言葉で言うなら愛しき妻なんだ。丁重に扱うに決まっているだろ」
「なにを――ンっふぁ!」
また抗議しようと声をあげた静馬は、孔に入れられた指を抜かれ仰け反った。
急に異物を抜かれ、ゾクゾクとした初めて感じる痺れに戸惑う。
息が荒くなることを悟られぬように、静かに息をする。ヌェイザは静馬から視線を外し、自分の背後から壺を取り出した。
「……!」
そこから取り出したものに、目を見開いた。
それは虫だった。
子供の腕程の大きさの、白い、百足のような形をした虫がヌェイザは手に持っている。
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