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第14話 唐突な軋轢と猜疑心
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「…あら?」
その兵に紛れ、見覚えのある姿が見えた。
リタヤータに肩を貸され、傷だらけの少年がこちらを見下ろしている。
アネモネの反応にミロウも壊れた天井を見上げると、目を見開いて思わず叫んだ。
「レイゼ?!」
その声にレイゼは気まずそうな表情をしながらはにかむ。
「や、やあ…」
満身創痍であるせいか、それともただ気恥ずかしいだけか。
弱々しい姿で地下へ向かって来ようとする彼に、アネモネは言った。
「来てはなりません」
「え…あ、はい…」
強い語尾で牽制するアネモネには、どうしてか警戒心があった。
懐から再度あの時の朱色の杖を取り出し、ミロウを守るようにレイゼに突き出す。
「どうして御前は生きているの?何故地下から出られているの?」
「お、王女様?」
アネモネの雰囲気が一変したことに、ミロウはひどく困惑する。
レイゼが質問に答えようと手振りをするも──
「爆発に巻き込まれないように、転移用の座標を事前に取得して──」
「彼を捕らえなさい。決して逃がしてはなりません」
「え?」
と、質問したにもかかわらず、有無を言わせない口調で兵に命令するアネモネ。
それにミロウは黙っておけず、彼女の腕から体を剥がして王女を見据える。
「どういうことですか?!どうして急にそんなこと…!」
「王室に最も近い牢に遣りなさい」
ミロウの言葉を弾き、アネモネは自身の魔法で地下から兵の集まっている一階へと飛んだ。
「リタヤータ、アスターを応接間へ」
「承知しました」
レイゼを兵に預け、リタヤータはミロウに手を伸ばす。
「取り敢えず来なよ。話はそれからだ」
その兵に紛れ、見覚えのある姿が見えた。
リタヤータに肩を貸され、傷だらけの少年がこちらを見下ろしている。
アネモネの反応にミロウも壊れた天井を見上げると、目を見開いて思わず叫んだ。
「レイゼ?!」
その声にレイゼは気まずそうな表情をしながらはにかむ。
「や、やあ…」
満身創痍であるせいか、それともただ気恥ずかしいだけか。
弱々しい姿で地下へ向かって来ようとする彼に、アネモネは言った。
「来てはなりません」
「え…あ、はい…」
強い語尾で牽制するアネモネには、どうしてか警戒心があった。
懐から再度あの時の朱色の杖を取り出し、ミロウを守るようにレイゼに突き出す。
「どうして御前は生きているの?何故地下から出られているの?」
「お、王女様?」
アネモネの雰囲気が一変したことに、ミロウはひどく困惑する。
レイゼが質問に答えようと手振りをするも──
「爆発に巻き込まれないように、転移用の座標を事前に取得して──」
「彼を捕らえなさい。決して逃がしてはなりません」
「え?」
と、質問したにもかかわらず、有無を言わせない口調で兵に命令するアネモネ。
それにミロウは黙っておけず、彼女の腕から体を剥がして王女を見据える。
「どういうことですか?!どうして急にそんなこと…!」
「王室に最も近い牢に遣りなさい」
ミロウの言葉を弾き、アネモネは自身の魔法で地下から兵の集まっている一階へと飛んだ。
「リタヤータ、アスターを応接間へ」
「承知しました」
レイゼを兵に預け、リタヤータはミロウに手を伸ばす。
「取り敢えず来なよ。話はそれからだ」
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