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第25話 混ざらないアオ同士
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「はぁ、はぁ…」
走っているうちに、天気は雨になっていた。
傘も差さず、二人は手を握って走り続けている。
「ミロウ、大丈夫?」
「はぁ…っだいじょーぶ!」
雨とかなりの疲労のせいか、進むスピードは遅い。
ふらりとミロウの足元がおぼついたことで、完全に進む足は止まった。
「…あと少しで国境だ。ログフラクタならきっと宿屋に泊まれるはずだよ」
レイゼがミロウを励ますも、反応は鈍い。
「うん…でも、ちょっと休ませて。もう誰かに追いかけられることは無いと思うし」
「それもそうだね。雨宿りしよう」
辺りを見渡すと、ちょうど休憩が出来そうな木陰を見つける。
人気も無いことから最適だと判断し、レイゼはミロウを手招く。
一息吐いて落ち着くと、ミロウは濡れた草むらに体を横たわらせる。
「濡れてるけど…」
「ちょっと疲れちゃった」
「そっか」
レイゼも同じようにミロウの横に倒れると、ふふっと彼女は笑い出す。
「昔もこうやって遊んだよねぇ」
「……そうだっ……ね」
「…でも、レイゼは昔と変わったね」
「あはは…」
様子のおかしいレイゼに、ミロウは思わず彼の顔を見る。
彼女の目には、赤い髪がくすんで見えた。
「…」
ふと起き上がり、再度レイゼを凝視する。
不可解なミロウの行動に、レイゼは不思議そうに顔を傾げる。
「どうしたの、ミロウ?」
「あの時の約束、覚えてる?」
曇天で暗いせいか、彼女の顔はレイゼに見えない。
「絶対に叶えるって言ってくれた、あの約束」
レイゼ──否、斑鳩玲にとって、レイゼとしての記憶は"響素"の教えを乞うた時点からしか存在しない。
過去の記憶はレイゼがこまめに記録していた手帳から照合したものだ。
しかし、その日記にはミロウの言う"約束"は書かれていなかった。
レイゼ、もとい玲は冷や汗を垂らしながらすっとぼける。
「う…うん。覚えてるよ。けど今は…疲れてあんまり考えたくないな…」
「…」
苦笑いをする玲に、逃げ場を無くすように無言で真顔を保つミロウ。
「み、ミロ──」
やりきれなくなり思わず声を掛けると、ミロウは玲にただの魔力の塊を翳す。
「貴方は、誰?」
走っているうちに、天気は雨になっていた。
傘も差さず、二人は手を握って走り続けている。
「ミロウ、大丈夫?」
「はぁ…っだいじょーぶ!」
雨とかなりの疲労のせいか、進むスピードは遅い。
ふらりとミロウの足元がおぼついたことで、完全に進む足は止まった。
「…あと少しで国境だ。ログフラクタならきっと宿屋に泊まれるはずだよ」
レイゼがミロウを励ますも、反応は鈍い。
「うん…でも、ちょっと休ませて。もう誰かに追いかけられることは無いと思うし」
「それもそうだね。雨宿りしよう」
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「濡れてるけど…」
「ちょっと疲れちゃった」
「そっか」
レイゼも同じようにミロウの横に倒れると、ふふっと彼女は笑い出す。
「昔もこうやって遊んだよねぇ」
「……そうだっ……ね」
「…でも、レイゼは昔と変わったね」
「あはは…」
様子のおかしいレイゼに、ミロウは思わず彼の顔を見る。
彼女の目には、赤い髪がくすんで見えた。
「…」
ふと起き上がり、再度レイゼを凝視する。
不可解なミロウの行動に、レイゼは不思議そうに顔を傾げる。
「どうしたの、ミロウ?」
「あの時の約束、覚えてる?」
曇天で暗いせいか、彼女の顔はレイゼに見えない。
「絶対に叶えるって言ってくれた、あの約束」
レイゼ──否、斑鳩玲にとって、レイゼとしての記憶は"響素"の教えを乞うた時点からしか存在しない。
過去の記憶はレイゼがこまめに記録していた手帳から照合したものだ。
しかし、その日記にはミロウの言う"約束"は書かれていなかった。
レイゼ、もとい玲は冷や汗を垂らしながらすっとぼける。
「う…うん。覚えてるよ。けど今は…疲れてあんまり考えたくないな…」
「…」
苦笑いをする玲に、逃げ場を無くすように無言で真顔を保つミロウ。
「み、ミロ──」
やりきれなくなり思わず声を掛けると、ミロウは玲にただの魔力の塊を翳す。
「貴方は、誰?」
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