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「銀貨五枚…銀貨五枚ですって…!」
わたくしは自室の豪華な(匂いだけがまだ微かに残る)天蓋付きベッドの上で
手の中にある なけなしの銀貨を数え 絶望に打ちひしがれていた。
これでは 黄金の噴水どころか 叔父上の好物である安酒一本さえ買えやしない。
(あの お花畑王子と女狐は
今頃 王都で『百年物の薔薇』だの『婚約披露パーティー』だので 浮かれているというのに!)
(わたくしは!この辺境で!
『聖女様(笑)』と呼ばれ!
護衛には『苦行日誌』で馬鹿にされ!
挙げ句の果てにはこの金欠!)
「屈辱だわ…!悪役令嬢史上 最大の屈辱よ!」
わたくしはベッドの上で足をバタバタさせる。
コンコン。
「お嬢様。お昼寝のお時間()は終わりです」
扉の外から セシリオの忌々しい無表情な声がする。
「うるさいわね!
わたくしは今 復讐の炎を燃やしているのよ!」
わたくしはベッドから飛び起き 扉を勢いよく開けた。
「なによセシリオ!
わたくしがお金がなくて困っているのを見て 笑いに来たの!?」
「いいえ。叔父上より伝言です。
『金がないなら 畑でも耕して働け。聖女様()』とのことです」
「(グサッ!)…あの脳筋熊オヤジ…!」
わたくしは怒りに震えた。
公爵令嬢であるわたくしに 畑仕事ですって!?
悪役令嬢の心得ノートに そんな項目はないわよ!
「とにかく!わたくしは諦めませんわ!」
わたくしはセシリオの前で高らかに宣言する。
「あの二人(エドワードとリリア)を見返す 悪の晩餐会は絶対に開きます!」
「…銀貨五枚でございますか」
「うっ…!そ それは今から何とかするのよ!」
「ほう。具体的には?」
「ぐっ…」
セシリオの冷徹なツッコミに わたくしは言葉に詰まる。
強盗?恐喝?
(どちらもセシリオに物理的に止められるわね…)
わたくしが頭をフル回転させていると
ふと あの時の記憶が蘇った。
(そうよ…!)
(わたくし あの『嘆き』で 莫大な利益を上げたじゃないの!)
(あれは事故よ!事故だったけれど!
結果としてお金が手に入ったのは事実!)
わたくしはニヤリと笑みを浮かべた。
「フフ…フフフ…!
忘れていたわ セシリオ」
「何をでございましょう」
「わたくしには 商才(悪役令嬢には不要な)があったことをよ!」
わたくしは胸を張り 言い放った。
「こうなったら!わたくし自ら 金策に乗り出しますわ!」
「…金策 と申されますと」
セシリオの目が(気のせいか)ジト目になった。
「また あの『嘆き』を買い占めるのですか。
生憎ですが 市場の余剰分はすでにお嬢様が買い尽くされました。
今買い占めれば 今度こそ領民の皆様から恨まれますぞ」
「ふん!誰がそんな(前回と同じ)失敗をするとお思い?」
わたくしはセシリオをビシッと指差す。
「無いなら!作ればいいのよ!」
「…は?」
「わたくしが!あの『ヴォルフの嘆き』を改良し!
もっと邪悪で!もっと高値で売れる
『真・ヴォルフの嘆き』を開発してやるというのよ!」
わたくしの完璧な(そしてまたもや悪役令嬢から逸脱した)計画に
セシリオは目に見えて深いため息をついた。
「お嬢様。
悪役令嬢が 復讐のために 漬物開発に乗り出すというのは
いかがなものかと」
「うるさいわね!背に腹は代えられませんの!
悪の晩餐会のためなら わたくしは漬物職人にだってなってやるわ!」
「(…本当に それでいいのか この人は)」
「何か言った?」
「いいえ。お嬢様の新たな門出を 心よりお祝い申し上げます」
(絶対に思ってないわね!)
わたくしはセシリオを引きずり 再び厨房へと向かった。
---
「なっ!お嬢様!また厨房でございますか!」
料理長が わたくしの姿を見るなり(前回のペペロンチーノと嘆きの悪夢を思い出して)顔を引きつらせる。
「いいから場所をお借りしますわよ!
わたくしは今 新商品の開発で忙しいの!」
わたくしは料理長を追い出し
厨房の隅に山と積まれた「嘆き」の原料(謎の野菜)と向き合う。
(フフン…あの『嘆き』がなぜ売れたか…
それは『公爵令嬢(わたくし)が買い占めた』という話題性!)
(ならば!次は!わたくし自らが開発したという
『悪役令嬢(聖女様)謹製』というブランドで売り出すのよ!)
「まずは…あの忌まわしい匂いを もっと邪悪にしなくてはね!」
わたくしは悪役令嬢心得ノート(最近は家計簿になりつつある)を取り出す。
「『相手を不幸にする調合リスト』…
これよ!
『硫黄の香り』と『腐った魚の匂い』を足せば…」
「お嬢様。それは商品ではなく 毒ガスです」
セシリオが冷静に わたくしの手から怪しげな薬草(ただの香草)を取り上げる。
「キーッ!邪魔しないでよ!
悪役令嬢の商品は 邪悪な匂いがしてこそだわ!」
「売れなければ 金策になりませんが」
「ぐっ…!」
(こいつ いちいち正論を…!)
「では!こうよ!
あの『嘆き』の酸っぱさを 百倍にしてやるわ!
食べた者の顔が 恐怖で歪むくらいに!」
わたくしは棚にあった酢(ビネガー)の大瓶を掴み 樽に注ごうとする。
「お待ちください」
セシリオがわたくしの手を掴む。
その無表情な顔が いつになく真剣だ。
「な なによ!離しなさい!」
「お嬢様。悪役令嬢とは 何かと」
「は?わたくしに決まってるじゃない」
「いいえ。悪役令嬢とは
『結果として』周囲を不幸にするのではなく
『意図して』人を貶める者のことでは?」
「そ そうよ!だから今から…」
「ですが 今のお嬢様は ただ
『不味い食べ物を作ろうとしている人』にしか見えません」
「(グサッ!)」
「悪役令嬢ならば もっと狡猾に
『美味なる物』と見せかけて『実は恐ろしい効果がある』
そういうものを作るべきでは?」
「な…!なるほど…!」
わたくしは目から鱗が落ちた。
(そうよ!セシリオの言う通りだわ!)
(ただ不味いだけでは 三流の悪役よ!)
(フフフ…ありがとうセシリオ!
あなたの助言() 無駄にはしないわ!)
「決めたわ!
わたくしが目指すのは
『一口食べたら最後 止まらなくなる 禁断の美味』よ!」
「…は?」
今度はセシリオが目を丸くした。
「そうよ!その美味(と高カロリー)で 王都の貴婦人たちを太らせ
健康診断で絶望させる!
これぞ まさに悪役令嬢の所業!」
(わたくしって 天才じゃないかしら!?)
「…お嬢様。それは悪役令嬢というよりは
ただの食品開発者では…」
「うるさいわね!
黙ってわたくしの指示に従いなさい!」
わたくしは計画を変更し
厨房にあるスパイスや蜂蜜 秘伝の調味料(叔父上の酒)などを
次々と樽に投入し始めた。
「フフフ…もっとコクを出すのよ…!
もっと中毒性を高めるのよ…!」
わたくしは鍋の前で 怪しげな笑みを浮かべる。
その姿は 悪役令嬢というよりは マッドサイエンティストだったかもしれない。
数時間後。
厨房には あの『嘆き』の異臭とは似ても似つかぬ
甘酸っぱく 食欲をそそる香りが充満していた。
「で できたわ…!
これぞ『悪役令嬢(カタリナ)の誘惑(テンプテーション)』よ!」
わたくしは煮詰められて 艶やかな飴色になった『嘆き』の改良版を小皿に取り
セシリオの前に差し出した。
「さあ!毒見(テイスティング)なさい!」
「……」
セシリオは 小皿とわたくしの顔を(心の底から嫌そうに)見比べる。
「わたくしは…護衛騎士であり 毒見役では…」
「いいから食べるのよ!
これも業務命令よ!」
セシリオは観念したように 小さなスプーンで
その物体を恐る恐る口に運んだ。
そして 無表情のまま 咀嚼する。
「……」
「ど どうなのよ!
美味すぎて言葉も出ない?
それとも 邪悪すぎて舌が痺れた?」
わたくしがワクワクしながら尋ねると
セシリオはゆっくりと スプーンを置いた。
そして 一言。
「……うまい」
「え?」
「…いえ。
非常に 不本意ながら…
美味です」
セシリオはそう言うと 再びスプーンを取り わたくしが止めるのも聞かず
残りを全て平らげてしまった。
「ちょっ!わたくしの分が!」
(わたくし まだ味見してないのに!)
こうして わたくしの金策(という名の新商品開発)は
護衛騎士の胃袋を掴むという 予想外の(?)成功を収め
『悪の晩餐会』の予算獲得に向け 大きく前進したのだった。
わたくしは自室の豪華な(匂いだけがまだ微かに残る)天蓋付きベッドの上で
手の中にある なけなしの銀貨を数え 絶望に打ちひしがれていた。
これでは 黄金の噴水どころか 叔父上の好物である安酒一本さえ買えやしない。
(あの お花畑王子と女狐は
今頃 王都で『百年物の薔薇』だの『婚約披露パーティー』だので 浮かれているというのに!)
(わたくしは!この辺境で!
『聖女様(笑)』と呼ばれ!
護衛には『苦行日誌』で馬鹿にされ!
挙げ句の果てにはこの金欠!)
「屈辱だわ…!悪役令嬢史上 最大の屈辱よ!」
わたくしはベッドの上で足をバタバタさせる。
コンコン。
「お嬢様。お昼寝のお時間()は終わりです」
扉の外から セシリオの忌々しい無表情な声がする。
「うるさいわね!
わたくしは今 復讐の炎を燃やしているのよ!」
わたくしはベッドから飛び起き 扉を勢いよく開けた。
「なによセシリオ!
わたくしがお金がなくて困っているのを見て 笑いに来たの!?」
「いいえ。叔父上より伝言です。
『金がないなら 畑でも耕して働け。聖女様()』とのことです」
「(グサッ!)…あの脳筋熊オヤジ…!」
わたくしは怒りに震えた。
公爵令嬢であるわたくしに 畑仕事ですって!?
悪役令嬢の心得ノートに そんな項目はないわよ!
「とにかく!わたくしは諦めませんわ!」
わたくしはセシリオの前で高らかに宣言する。
「あの二人(エドワードとリリア)を見返す 悪の晩餐会は絶対に開きます!」
「…銀貨五枚でございますか」
「うっ…!そ それは今から何とかするのよ!」
「ほう。具体的には?」
「ぐっ…」
セシリオの冷徹なツッコミに わたくしは言葉に詰まる。
強盗?恐喝?
(どちらもセシリオに物理的に止められるわね…)
わたくしが頭をフル回転させていると
ふと あの時の記憶が蘇った。
(そうよ…!)
(わたくし あの『嘆き』で 莫大な利益を上げたじゃないの!)
(あれは事故よ!事故だったけれど!
結果としてお金が手に入ったのは事実!)
わたくしはニヤリと笑みを浮かべた。
「フフ…フフフ…!
忘れていたわ セシリオ」
「何をでございましょう」
「わたくしには 商才(悪役令嬢には不要な)があったことをよ!」
わたくしは胸を張り 言い放った。
「こうなったら!わたくし自ら 金策に乗り出しますわ!」
「…金策 と申されますと」
セシリオの目が(気のせいか)ジト目になった。
「また あの『嘆き』を買い占めるのですか。
生憎ですが 市場の余剰分はすでにお嬢様が買い尽くされました。
今買い占めれば 今度こそ領民の皆様から恨まれますぞ」
「ふん!誰がそんな(前回と同じ)失敗をするとお思い?」
わたくしはセシリオをビシッと指差す。
「無いなら!作ればいいのよ!」
「…は?」
「わたくしが!あの『ヴォルフの嘆き』を改良し!
もっと邪悪で!もっと高値で売れる
『真・ヴォルフの嘆き』を開発してやるというのよ!」
わたくしの完璧な(そしてまたもや悪役令嬢から逸脱した)計画に
セシリオは目に見えて深いため息をついた。
「お嬢様。
悪役令嬢が 復讐のために 漬物開発に乗り出すというのは
いかがなものかと」
「うるさいわね!背に腹は代えられませんの!
悪の晩餐会のためなら わたくしは漬物職人にだってなってやるわ!」
「(…本当に それでいいのか この人は)」
「何か言った?」
「いいえ。お嬢様の新たな門出を 心よりお祝い申し上げます」
(絶対に思ってないわね!)
わたくしはセシリオを引きずり 再び厨房へと向かった。
---
「なっ!お嬢様!また厨房でございますか!」
料理長が わたくしの姿を見るなり(前回のペペロンチーノと嘆きの悪夢を思い出して)顔を引きつらせる。
「いいから場所をお借りしますわよ!
わたくしは今 新商品の開発で忙しいの!」
わたくしは料理長を追い出し
厨房の隅に山と積まれた「嘆き」の原料(謎の野菜)と向き合う。
(フフン…あの『嘆き』がなぜ売れたか…
それは『公爵令嬢(わたくし)が買い占めた』という話題性!)
(ならば!次は!わたくし自らが開発したという
『悪役令嬢(聖女様)謹製』というブランドで売り出すのよ!)
「まずは…あの忌まわしい匂いを もっと邪悪にしなくてはね!」
わたくしは悪役令嬢心得ノート(最近は家計簿になりつつある)を取り出す。
「『相手を不幸にする調合リスト』…
これよ!
『硫黄の香り』と『腐った魚の匂い』を足せば…」
「お嬢様。それは商品ではなく 毒ガスです」
セシリオが冷静に わたくしの手から怪しげな薬草(ただの香草)を取り上げる。
「キーッ!邪魔しないでよ!
悪役令嬢の商品は 邪悪な匂いがしてこそだわ!」
「売れなければ 金策になりませんが」
「ぐっ…!」
(こいつ いちいち正論を…!)
「では!こうよ!
あの『嘆き』の酸っぱさを 百倍にしてやるわ!
食べた者の顔が 恐怖で歪むくらいに!」
わたくしは棚にあった酢(ビネガー)の大瓶を掴み 樽に注ごうとする。
「お待ちください」
セシリオがわたくしの手を掴む。
その無表情な顔が いつになく真剣だ。
「な なによ!離しなさい!」
「お嬢様。悪役令嬢とは 何かと」
「は?わたくしに決まってるじゃない」
「いいえ。悪役令嬢とは
『結果として』周囲を不幸にするのではなく
『意図して』人を貶める者のことでは?」
「そ そうよ!だから今から…」
「ですが 今のお嬢様は ただ
『不味い食べ物を作ろうとしている人』にしか見えません」
「(グサッ!)」
「悪役令嬢ならば もっと狡猾に
『美味なる物』と見せかけて『実は恐ろしい効果がある』
そういうものを作るべきでは?」
「な…!なるほど…!」
わたくしは目から鱗が落ちた。
(そうよ!セシリオの言う通りだわ!)
(ただ不味いだけでは 三流の悪役よ!)
(フフフ…ありがとうセシリオ!
あなたの助言() 無駄にはしないわ!)
「決めたわ!
わたくしが目指すのは
『一口食べたら最後 止まらなくなる 禁断の美味』よ!」
「…は?」
今度はセシリオが目を丸くした。
「そうよ!その美味(と高カロリー)で 王都の貴婦人たちを太らせ
健康診断で絶望させる!
これぞ まさに悪役令嬢の所業!」
(わたくしって 天才じゃないかしら!?)
「…お嬢様。それは悪役令嬢というよりは
ただの食品開発者では…」
「うるさいわね!
黙ってわたくしの指示に従いなさい!」
わたくしは計画を変更し
厨房にあるスパイスや蜂蜜 秘伝の調味料(叔父上の酒)などを
次々と樽に投入し始めた。
「フフフ…もっとコクを出すのよ…!
もっと中毒性を高めるのよ…!」
わたくしは鍋の前で 怪しげな笑みを浮かべる。
その姿は 悪役令嬢というよりは マッドサイエンティストだったかもしれない。
数時間後。
厨房には あの『嘆き』の異臭とは似ても似つかぬ
甘酸っぱく 食欲をそそる香りが充満していた。
「で できたわ…!
これぞ『悪役令嬢(カタリナ)の誘惑(テンプテーション)』よ!」
わたくしは煮詰められて 艶やかな飴色になった『嘆き』の改良版を小皿に取り
セシリオの前に差し出した。
「さあ!毒見(テイスティング)なさい!」
「……」
セシリオは 小皿とわたくしの顔を(心の底から嫌そうに)見比べる。
「わたくしは…護衛騎士であり 毒見役では…」
「いいから食べるのよ!
これも業務命令よ!」
セシリオは観念したように 小さなスプーンで
その物体を恐る恐る口に運んだ。
そして 無表情のまま 咀嚼する。
「……」
「ど どうなのよ!
美味すぎて言葉も出ない?
それとも 邪悪すぎて舌が痺れた?」
わたくしがワクワクしながら尋ねると
セシリオはゆっくりと スプーンを置いた。
そして 一言。
「……うまい」
「え?」
「…いえ。
非常に 不本意ながら…
美味です」
セシリオはそう言うと 再びスプーンを取り わたくしが止めるのも聞かず
残りを全て平らげてしまった。
「ちょっ!わたくしの分が!」
(わたくし まだ味見してないのに!)
こうして わたくしの金策(という名の新商品開発)は
護衛騎士の胃袋を掴むという 予想外の(?)成功を収め
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