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しおりを挟むそれからも俺たちはなんというか、遊びの関係とやらを続けている。
俺の休みをどうやって把握しているのか、彼は俺に休みを合わせて取るんだ。そして休みの前日になると俺の部屋に泊まりに来る。
リティちゃんもすっかり彼に懐いて、彼が来ると体によじ登って彼の手の中に収まったりするんだ。
リティちゃんも美しく若い男がいいのか?
「枕が違う!」
彼が俺のベッドの上にある新品の枕を指差して声を上げた。
「ああ、あれはだいぶ使い込んだから買い替えたんだ」
自分で匂ってみて臭かったから変えたとは恥ずかしくて言えなかった。こんなおじさんの匂いがする枕で彼が寝るとか嫌がらせでしかない。今日は新品の枕だから彼もぐっすり眠れることだろう。
「古い枕はどうしたんです?」
急に距離を詰められて、俺は焦って後ずさったんだが壁だった。狭い部屋だ、俺に逃げ場なんかない。
「あ、明日捨てようと思って、まだそこにある」
俺が入口の扉の横に置いた古い枕を指差すと、彼は「これは私がいただきます」と古い枕を抱えた。
「そんな古い枕ではなく、新しい枕の方がいいだろ?」
「こんな枕はダメです。ローマンさんの匂いがしない」
俺の匂い……
どう考えてもいい香りではないはず。
だが彼は俺の古い枕を本当に持ち帰った。
「体拭くか?」
「はい、お願いします」
もう彼の体を拭くのも手慣れたものだ。井戸から桶に水を汲んできて、布を浸して背中から拭いていく。右腕の内側に小さなホクロが二つ並んでいることだって知っている。
「今度公衆浴場に行くか? 新しくなったと聞いた」
「そうですね。昼間の空いている時間に行きましょう」
昼から風呂とは贅沢なことだ。
なんというか、20も離れていると息子というような感覚にすらなる。
俺に子どもがいたら、こうして一緒に遊んだり体を拭いてやったり、大人になった息子と酒を酌み交わしたり。
そう考えると結構楽しい。
「どうぞ」
「あ、ああ……」
だが、この瞬間はいつも慣れない。彼が俺が寝る場所を空けて、腕を広げて待っている。
ゆっくりとベッドに体を沈めて、彼の逞しい腕に頭を預ける。
最近彼は、俺のパサついた剛毛を撫でたりもするんだ。
そしてキスをする。全然親子ではない。
「んッ……」
「最近肌の艶がよくなりましたか?」
そんなことはないと思う。この歳になると衰えることはあっても、回復することなどないんだ。
だが彼に不快な思いをさせないために唇にオイルを塗るようになった。
まるでキスを期待しているみたいで恥ずかしいが、カサついて割れたら痛い。ただそれだけだ。
彼が撫でる優しい手の動きが心地よくて、俺はいつもすぐに眠ってしまう。
朝は俺の方が少し早くて、朝食を作ったりするんだが、大して美味しくもない男の料理を彼は美味しい美味しいと食べてくれる。彼は本当にいい子だ。
川には何度も行ったし、釣竿を持っていくこともあった。暑い日は足を川に浸して涼んだり、その場で魚を焼いて食ったり。
王都を出て森に入ったこともある。木の実拾いはしなかったが、手を繋いで木漏れ日の中を歩いた。
小さな魔物や鳥を狩ったりもした。
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