伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ

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第39話:栄誉と新たな幕開

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王都の門が開き、衛兵が敬礼する。ミアが窓から顔を出す。ペンダントはもう光っていない。彼女が呟いた。  
「王都だ……やっと帰ってきたね」  

エマが馬車の中で跳ねる。  
「ミア! やっと帰ってきたね! 」  

ルカが穏やかに笑う。  
「エマ、少し落ち着いて。街が賑やかだね。レオニスの話が広まってるみたい」  

リチャードが書類から顔をあげ。肩の傷を押さえながら頷く。  
「レオニスからの魔力の帯が消えた。王宮も一安心だろうな」  

エリシアがリチャードに寄り添う。紫のドレスが揺れる。  
「そうね、リチャード。これで学院も再開されるでしょうね。」  

馬車が王都の広場に停まる。人々が集まり、拍手が響く。ミアが馬車から降りる。春風が髪を揺らし、笑顔が広がる。  
「みんな、ありがとう。私たち帰ってきたんだね」

---

数日後、宮廷からの呼び出しが届いた。王との謁見の日だ。ルナリス別邸の大広間で、ミアがドレスを整える。青い絹の衣装にペンダントが映える。エリシアが髪を梳き、リチャードが報告書を手に持つ。  
「ミア、緊張するなよ。王が直接会うなんて、滅多にないことだ」  

エリシアが微笑む。ミアの肩に手を置く。  
「リチャード、ミアなら大丈夫よ」  

馬車が宮廷へ向かう。王宮の門が開き、赤い絨毯が敷かれる。衛兵が槍を掲げ、一行が中へ進む。謁見の間は天井が高く、金と白の大理石が輝く。玉座にグランディア国王が座る。白髪に金の冠、深い青のローブを纏う。王の隣に宰相が立ち、羊皮紙を手に持つ。  

ミアが一歩進む。ペンダントが胸で揺れる。  
「グランディア国王陛下、ルナリス伯爵家のミアです。レオニスの危機を救い、無事帰還しました」  

国王が頷く。声が低く、威厳に満ちる。  
「ミア・ルナリス、そして一行よ。レオニスの瘴気を浄化し、魔族を倒した功績を聞いている。魔力の帯が消え、王国に平和が戻った。見事だ」  

リチャードが膝をつく。頭を下げる。  
「陛下、ルナリス伯爵家のリチャードでございます。この度は妻エリシアと娘ミアの尽力により、無事に事態を収束する事ができました」  

エリシアが優雅に礼をする。紫のドレスが光る。  
「陛下、エリシア・ルナリスです。先祖の力を借り、瘴気を癒しました。皆の協力があってこそです」  

クライン男爵が豪快に胸を張る。  
「陛下、クライン男爵でございます! 息子レオンと共に戦いました」  

レオンが敬礼する。  
「クライン男爵家のレオンです無事に魔族を打ち倒しました」  
エマが目を輝かせる。  
「フィオーレ子爵家のエマです! 陛下、歌でみんなを助けたよ!」  

ルカが静かに頭を下げる。  
「ディーン子爵家のルカです。同じく、一緒に戦いました。ミアの力が大きかったです」  

国王が手を上げる。謁見の間が静まる。  
「貴公らの功績は計り知れない。よって、栄誉を授ける。宰相、読み上げろ」  

宰相が羊皮紙を広げる。声が響く。  
「ルナリス伯爵は侯爵へ、クライン男爵は子爵へと陞爵する。また、フィオーレ、ディーン両子爵へは褒美を授ける。これは王命なり」  

リチャードが目を丸くする。立ち上がる。  
「陛下、侯爵に!? 恐縮です……感謝します」  

クライン男爵が笑う。杖を振り回す。  
「子爵!? レオン、わしら昇ったぞ! 陛下、ありがたく、お受けいたします!」  

ミアが微笑む。  
「ありがとうございます、陛下。私たちで平和を守れたなら、光栄です」  

国王が立ち上がる。玉座から一歩進む。  
「ミア、エリシア、リチャード、その仲間たちよ。レオニスの王家からも感謝が届いている。学院も再開し、王国は新たな時代を迎える。お前たちがその礎だ」  

謁見の間から拍手が沸く。衛兵が槍を打ち鳴らし、一行が礼をする。春の日差しが窓から差し込み、金色の光が大理石を照らす。

---

その夜、ルナリス邸で祝宴が開かれた。燭台の火が揺れ、テーブルに料理が並ぶ。ミアが青いドレスで立つ。エマが歌う。  
「♪勝利の星~♪」  

柔らかな声が響き、皆が笑顔になる。ルカがグラスを掲げる。  
「ミア、侯爵家になったね。おめでとう」  

レオンが静かに言う。  
「ミア様、子爵家のレオンとして、これからもお守りします。おめでとうございます」  

クライン子爵が肉を頬張る。豪快に笑う。  
「ミア様、侯爵ですぞ! わしは子爵だ! レオニスでの戦いが報われたな!」  

リチャードがエリシアの手を握る。目を細める。  
「エリシア、ミアのおかげだ。侯爵か……荷が重いな」  

エリシアが笑う。リチャードの肩を叩く。  
「リチャード、似合うわよ。誇らしいわね」  

ミアが窓に近づく。夜空に星が輝く。  
「イーサンがレオニスで頑張ってる。私たちもグランディアで頑張ろう。学院も楽しみだね」  

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