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第五話:閉じた扉の向こう側
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結局、あの不気味な鳴き声のようなものは、それきり聞こえなかった。
でも、一度気になってしまうと、なかなか寝付けない。
窓の外の暗闇が、まるで何か得体の知れないものが潜んでいるように思えてきて、私は何度もベッドの上で身を起こした。
鉄格子が嵌められた窓は、安心感よりも、むしろ檻の中にいるような息苦しさを感じさせる。
(本当に、私はここで生きていけるのかな……)
不安が波のように押し寄せては引いていく。
いつの間にか眠っていたようで、次に目を覚ましたのは、窓から差し込む淡い光が部屋を照らし始めた頃だった。
二つの月が支配する夜が明け、異世界の朝が来たのだ。
しばらくすると、案の定、リリアさんが朝食を持って現れた。
今日のメニューは、昨日とは少し違う、お粥のようなものと、果物だった。
「おはようございます、リリアさん」
「……おはようございます」
挨拶をしても、彼女の態度は相変わらず冷たい。
食事をテーブルに置くと、また部屋の隅で直立不動になる。
その姿は、まるで感情のない人形のようだ。
「あの……昨日の夜、変な鳴き声みたいなのが聞こえたんですけど……」
思い切って聞いてみる。
もしかしたら、この世界の動物か何かなのかもしれない。
リリアさんは、眉ひとつ動かさずに答えた。
「さあ。存じません。
気のせいではないですか」
「でも、確かに……」
「そのような詮索は無意味です。
カイ様からも、そうお聞きのはず」
やはり、取り付く島もない。
彼女にとって、私は監視対象でしかなく、それ以上の関わりを持つつもりはないのだろう。
諦めて、黙々とお粥を口に運ぶ。
味は、やっぱりよく分からない。
でも、食べなければ生きていけない。
リリアさんが食器を下げて出ていくと、部屋にはまた私一人になった。
静寂が、重くのしかかる。
することがない、というのは、思った以上につらいことだった。
(……そうだ、日記)
ベッドの下から、再び日記帳を取り出す。
昨日読んだページを、もう一度注意深く読み返してみた。
『騎士団の人がたまに様子を見に来る。銀色の髪の人だ。何を考えているのか分からないけど、少しだけ、他の人とは違う気がする』
この記述。
カイさんのことを指しているのは、ほぼ間違いないだろう。
この日記の書き手は、カイさんとどんな関係だったのだろうか。
そして、カイさんは、この日記の存在を知っていて、私にわざと与えたのだとしたら、その目的は何なのだろう。
(もしかして、カイさんも、元の世界に帰る方法を知っている、とか……?)
淡い期待が胸に込み上げる。
でも、すぐに打ち消した。
彼ははっきりと「帰る方法は基本的に存在しない」と言っていた。
それに、もし知っていたとしても、私のような『外れ』に教えてくれるはずがない。
(でも、何か知っている可能性は、あるかもしれない……)
諦めきれない気持ちが、心の隅に残る。
そのためにも、まずはこの世界のことをもっと知らなければ。
そして、できれば、カイさんとの関係を少しでも変えたい。
今のままでは、何も情報を引き出せないだろう。
(何か、私にできることは……)
考えた末、私は次のリリアさんが来た時に、あるお願いをしてみることに決めた。
昼食の時間。
リリアさんが無言で食事を運んできたタイミングで、私は意を決して口を開いた。
「あの、リリアさん。お願いがあるんですけど……」
「……何でしょう」
「何か、本を貸していただけませんか?
時間を持て余してしまって……。簡単なものでいいんです。この世界の文字とか、少しでも勉強できたら……」
ダメ元だった。
どうせ、「余計なこと」と一蹴されるだろうと思っていた。
ところが、リリアさんの反応は、意外なものだった。
彼女は少しの間、黙って私を見ていたが、やがて小さくため息をつくと、こう言った。
「……カイ様に、確認してみます」
「えっ……!?」
「ただし、許可が下りるかは分かりません。
期待しないでお待ちください」
それだけ言うと、リリアさんはまた無表情に戻り、部屋を出て行った。
(確認してくれるんだ……!)
少しだけ、驚いた。
そして、ほんの少しだけ、希望が湧いてきた。
もしかしたら、カイさんは、私がこの世界に適応しようとしている姿勢を見せれば、少しは態度を軟化させてくれるかもしれない。
午後の時間、私はそわそわしながらリリアさんの再訪を待った。
廊下から、時折、他の侍女たちの話し声が聞こえてくる。
耳を澄ませていると、どうやら『聖女様』の話題のようだった。
「……本当に、聖女様はお優しいわよね」
「でも、少し我儘をおっしゃる時もあるような……」
「まあ、仕方ないわよ。あんなに若くて、突然異世界に連れてこられたんだもの」
「それに比べて、もう一人の方ときたら……」
「しっ! 聞こえるわよ!」
ヒソヒソと交わされる会話。
その内容は、聖女様への賛辞だけではないようだった。
少しだけ、胸がすくような気持ちと、同時に複雑な気持ちになる。
彼女も彼女で、大変な思いをしているのかもしれない。
……いや、でも、私よりはずっと恵まれているはずだ。
そんなことを考えていると、扉がノックされ、リリアさんが入ってきた。
その手には、数冊の古びた本が抱えられている。
「カイ様より、許可が出ました。
ただし、これらの本は持ち出し厳禁。部屋の中だけで読むように、とのことです」
「! ありがとうございます!」
思わず、声が弾む。
リリアさんから本を受け取ると、ずしりと重みを感じた。
「それから、これも」
リリアさんは、本と一緒に、一枚の羊皮紙のようなものと、インク、ペンを差し出した。
「文字の練習にでも、お使いくださいとのことです」
「……!」
カイさんが、そこまでしてくれるなんて。
驚きと、少しの戸惑い。
彼の真意は分からないけれど、今は素直に受け取るしかない。
「ありがとうございます、と、カイ様にお伝えください」
「……承知いたしました」
リリアさんは、それだけ言うと、今度こそ部屋を出て行った。
テーブルの上に、本と筆記用具を広げる。
本は、子供向けの絵本のようなものから、簡単な歴史書のようなものまで、いくつか種類があった。
文字は、アルファベットに似ているけれど、形が違う、見たことのない文字だ。
読めるようになるには、相当時間がかかりそうだ。
でも、ただ閉じ込められて、何もすることがなかった時に比べれば、ずっといい。
目の前に、やるべきことができた。
それが、今の私にとっては、大きな救いだった。
羊皮紙に、ペンで文字を書き写してみる。
ギザギザした、不思議な形の文字。
これを読めるようになって、書けるようになって、いつか、あの日記の謎や、カイさんの秘密に、少しでも近づけるだろうか。
窓の外を見ると、空の色がオレンジ色に染まり始めていた。
異世界の夕暮れ。
昨日までとは少し違う気持ちで、私はその景色を眺めていた。
閉ざされた扉の向こう側にある世界へ、ほんの少しだけ、足を踏み出せたような気がしたからだ。
でも、一度気になってしまうと、なかなか寝付けない。
窓の外の暗闇が、まるで何か得体の知れないものが潜んでいるように思えてきて、私は何度もベッドの上で身を起こした。
鉄格子が嵌められた窓は、安心感よりも、むしろ檻の中にいるような息苦しさを感じさせる。
(本当に、私はここで生きていけるのかな……)
不安が波のように押し寄せては引いていく。
いつの間にか眠っていたようで、次に目を覚ましたのは、窓から差し込む淡い光が部屋を照らし始めた頃だった。
二つの月が支配する夜が明け、異世界の朝が来たのだ。
しばらくすると、案の定、リリアさんが朝食を持って現れた。
今日のメニューは、昨日とは少し違う、お粥のようなものと、果物だった。
「おはようございます、リリアさん」
「……おはようございます」
挨拶をしても、彼女の態度は相変わらず冷たい。
食事をテーブルに置くと、また部屋の隅で直立不動になる。
その姿は、まるで感情のない人形のようだ。
「あの……昨日の夜、変な鳴き声みたいなのが聞こえたんですけど……」
思い切って聞いてみる。
もしかしたら、この世界の動物か何かなのかもしれない。
リリアさんは、眉ひとつ動かさずに答えた。
「さあ。存じません。
気のせいではないですか」
「でも、確かに……」
「そのような詮索は無意味です。
カイ様からも、そうお聞きのはず」
やはり、取り付く島もない。
彼女にとって、私は監視対象でしかなく、それ以上の関わりを持つつもりはないのだろう。
諦めて、黙々とお粥を口に運ぶ。
味は、やっぱりよく分からない。
でも、食べなければ生きていけない。
リリアさんが食器を下げて出ていくと、部屋にはまた私一人になった。
静寂が、重くのしかかる。
することがない、というのは、思った以上につらいことだった。
(……そうだ、日記)
ベッドの下から、再び日記帳を取り出す。
昨日読んだページを、もう一度注意深く読み返してみた。
『騎士団の人がたまに様子を見に来る。銀色の髪の人だ。何を考えているのか分からないけど、少しだけ、他の人とは違う気がする』
この記述。
カイさんのことを指しているのは、ほぼ間違いないだろう。
この日記の書き手は、カイさんとどんな関係だったのだろうか。
そして、カイさんは、この日記の存在を知っていて、私にわざと与えたのだとしたら、その目的は何なのだろう。
(もしかして、カイさんも、元の世界に帰る方法を知っている、とか……?)
淡い期待が胸に込み上げる。
でも、すぐに打ち消した。
彼ははっきりと「帰る方法は基本的に存在しない」と言っていた。
それに、もし知っていたとしても、私のような『外れ』に教えてくれるはずがない。
(でも、何か知っている可能性は、あるかもしれない……)
諦めきれない気持ちが、心の隅に残る。
そのためにも、まずはこの世界のことをもっと知らなければ。
そして、できれば、カイさんとの関係を少しでも変えたい。
今のままでは、何も情報を引き出せないだろう。
(何か、私にできることは……)
考えた末、私は次のリリアさんが来た時に、あるお願いをしてみることに決めた。
昼食の時間。
リリアさんが無言で食事を運んできたタイミングで、私は意を決して口を開いた。
「あの、リリアさん。お願いがあるんですけど……」
「……何でしょう」
「何か、本を貸していただけませんか?
時間を持て余してしまって……。簡単なものでいいんです。この世界の文字とか、少しでも勉強できたら……」
ダメ元だった。
どうせ、「余計なこと」と一蹴されるだろうと思っていた。
ところが、リリアさんの反応は、意外なものだった。
彼女は少しの間、黙って私を見ていたが、やがて小さくため息をつくと、こう言った。
「……カイ様に、確認してみます」
「えっ……!?」
「ただし、許可が下りるかは分かりません。
期待しないでお待ちください」
それだけ言うと、リリアさんはまた無表情に戻り、部屋を出て行った。
(確認してくれるんだ……!)
少しだけ、驚いた。
そして、ほんの少しだけ、希望が湧いてきた。
もしかしたら、カイさんは、私がこの世界に適応しようとしている姿勢を見せれば、少しは態度を軟化させてくれるかもしれない。
午後の時間、私はそわそわしながらリリアさんの再訪を待った。
廊下から、時折、他の侍女たちの話し声が聞こえてくる。
耳を澄ませていると、どうやら『聖女様』の話題のようだった。
「……本当に、聖女様はお優しいわよね」
「でも、少し我儘をおっしゃる時もあるような……」
「まあ、仕方ないわよ。あんなに若くて、突然異世界に連れてこられたんだもの」
「それに比べて、もう一人の方ときたら……」
「しっ! 聞こえるわよ!」
ヒソヒソと交わされる会話。
その内容は、聖女様への賛辞だけではないようだった。
少しだけ、胸がすくような気持ちと、同時に複雑な気持ちになる。
彼女も彼女で、大変な思いをしているのかもしれない。
……いや、でも、私よりはずっと恵まれているはずだ。
そんなことを考えていると、扉がノックされ、リリアさんが入ってきた。
その手には、数冊の古びた本が抱えられている。
「カイ様より、許可が出ました。
ただし、これらの本は持ち出し厳禁。部屋の中だけで読むように、とのことです」
「! ありがとうございます!」
思わず、声が弾む。
リリアさんから本を受け取ると、ずしりと重みを感じた。
「それから、これも」
リリアさんは、本と一緒に、一枚の羊皮紙のようなものと、インク、ペンを差し出した。
「文字の練習にでも、お使いくださいとのことです」
「……!」
カイさんが、そこまでしてくれるなんて。
驚きと、少しの戸惑い。
彼の真意は分からないけれど、今は素直に受け取るしかない。
「ありがとうございます、と、カイ様にお伝えください」
「……承知いたしました」
リリアさんは、それだけ言うと、今度こそ部屋を出て行った。
テーブルの上に、本と筆記用具を広げる。
本は、子供向けの絵本のようなものから、簡単な歴史書のようなものまで、いくつか種類があった。
文字は、アルファベットに似ているけれど、形が違う、見たことのない文字だ。
読めるようになるには、相当時間がかかりそうだ。
でも、ただ閉じ込められて、何もすることがなかった時に比べれば、ずっといい。
目の前に、やるべきことができた。
それが、今の私にとっては、大きな救いだった。
羊皮紙に、ペンで文字を書き写してみる。
ギザギザした、不思議な形の文字。
これを読めるようになって、書けるようになって、いつか、あの日記の謎や、カイさんの秘密に、少しでも近づけるだろうか。
窓の外を見ると、空の色がオレンジ色に染まり始めていた。
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昨日までとは少し違う気持ちで、私はその景色を眺めていた。
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