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第八話:知識の海への第一歩
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翌日の午後。
私は、リリアさんに伴われて、初めて自分の部屋以外の場所へと足を踏み出した。
目的地は、第一図書室。
許可された時間は、二時間だけ。
コツ、コツ、と廊下に響く二人の足音。
昨日までとは違い、今日は少しだけ胸を張って歩ける気がした。
もちろん、すれ違う兵士や侍女たちの視線は相変わらずで、好奇心や、中にはまだ侮蔑の色を隠さない者もいる。
でも、私の隣にはリリアさんがいて、そして私は、カイ様の許可を得て図書室へ向かっているのだ。
それだけで、少しだけ気持ちが強くなれた。
長い廊下をいくつか曲がり、重厚な両開きの扉の前にたどり着く。
扉には、複雑な模様――おそらくエルドラ王国の紋章だろう――が彫り込まれていた。
リリアさんが、その扉を静かに押し開ける。
「……わぁ……」
思わず、息を呑んだ。
目の前に広がっていたのは、想像を遥かに超える光景だった。
天井まで届く巨大な本棚が、壁一面にずらりと並んでいる。
古い紙とインクの匂い、そして、静謐で、どこか厳かな空気。
高い窓からは柔らかな光が差し込み、空気中の埃をキラキラと輝かせていた。
まるで、知識の海に迷い込んだようだ。
「……時間は限られています。
無駄にしないように」
私の感動を打ち破るように、リリアさんが背後から冷たく言った。
彼女は、図書室の入り口近くにある閲覧用の長椅子に腰を下ろし、じっと私の方を見ている。
ここからでも、監視の目を光らせるつもりらしい。
(……分かってる)
私は気を取り直し、本棚の間へと足を踏み入れた。
膨大な数の本。
一体、どこから手をつければいいのだろうか。
(まずは、この世界のことを、もっと広く知りたい……)
地理、文化、魔法、精霊……。
キーワードになりそうな言葉を頭の中で反芻しながら、背表紙のタイトルを読んでいく。
まだ読めない文字も多いけれど、カイさんにもらった単語帳と、絵本で覚えた知識を総動員して、意味を推測していく。
しばらく歩き回り、子供向けと思われる地理の絵本と、生活魔法の基礎について書かれた薄い本を見つけ出した。
それから、精霊に関する伝承を集めたような本も。
(聖女や召喚についての本も探したいけど……まずは、基本的なところからかな)
選んだ三冊の本を抱え、リリアさんが座っている長椅子から少し離れた、窓際の閲覧席に腰を下ろす。
ドキドキしながら、最初のページを開いた。
地理の絵本には、エルドラ王国の地図が載っていた。
私が今いる王都は、大陸の中央部に位置しているらしい。
北には険しい山脈が連なり、南には広大な森と、隣国ヴァルハルト帝国との国境線が引かれている。
東は海に面していて、西には未開の地とされる砂漠が広がっているようだ。
(結構、広い国なんだ……)
絵本には、各地の特産品や、そこに住む珍しい動植物の絵も描かれていて、見ているだけでも面白い。
日本の地図とは全く違う、ファンタジーの世界の地図。
次に、生活魔法の本を開く。
火を起こしたり、水を綺麗にしたり、物を軽くしたり……。
この世界の人々は、魔法を日常的に使っているらしい。
ただし、魔法を使うには『魔力』が必要で、その量は人によって差があること、そして、魔法を使うための『詠唱』や『魔法陣』が必要な場合もある、と書かれていた。
(私にも、魔力ってあるのかな……? 使えたら便利だろうな……)
『外れ』の私には、聖女のような特別な力はない、と言われた。
でも、魔力までゼロとは限らないかもしれない。
淡い期待を抱く。
最後に、精霊に関する本。
この世界には、火、水、風、土など、様々な属性の精霊が存在し、人々はその恩恵を受けて暮らしている、とある。
精霊は気まぐれで、姿を現すことは滅多にないけれど、敬意を払い、信仰を捧げることで、力を貸してくれることがあるらしい。
聖女の力も、精霊、特に光の精霊からの強い加護によるものだと考えられている、とも書かれていた。
(精霊……。本当に、いるのかな……)
まるでおとぎ話のようだけど、ここはそういう世界なのだ。
信じるしかない。
ふと、あの日記帳のことを思い出す。
日記の書き手は、この世界のことをどれくらい知っていたのだろうか。
もしかしたら、私が今読んでいるような本も、読んでいたのかもしれない。
(あの記述……『帰還の魔法陣』……起動には膨大な魔力が必要、聖女様クラスの……)
聖女の力が精霊の加護によるものなら、帰還の魔法陣を動かすのにも、精霊の力が必要なのかもしれない。
あるいは、膨大な魔力そのものが、精霊の助けなしには得られない、ということなのか。
考え込んでいると、不意にリリアさんの声がかかった。
「……時間です」
見ると、窓から差し込む光の色が変わっている。
もう二時間も経ってしまったらしい。
あっという間だった。
「……はい」
名残惜しい気持ちで本を閉じ、元の棚に戻す。
もっと読みたい本はたくさんあった。
聖女や召喚について、もっと詳しく書かれた本も探したかった。
図書室を出て、再びリリアさんと二人で廊下を歩く。
行きとは違い、私の足取りは少し重かった。
もっと時間が欲しい。
もっと知りたい。
知識への渇望が、胸の中で渦巻いている。
部屋に戻り、扉が閉められ、鍵がかかる音を聞く。
いつもの静寂が戻ってきた。
でも、私の頭の中は、今日得たばかりの情報でいっぱいだった。
(地図、魔法、精霊……)
覚えたことを忘れないように、カイさんにもらった羊皮紙に書き留めていく。
地図を思い出しながら描き写し、魔法の種類をリストアップし、精霊について気づいたことをメモする。
その時、ふと、あることに気がついた。
地理の絵本に描かれていた、王都の近くにある古い森の名前。
『忘却の森』。
その名前が、あの日記帳にも書かれていたような気がする。
慌ててベッドの下から日記帳を取り出し、ページを捲る。
そして、見つけた。
『×月○日 『忘却の森』の奥にある遺跡に、何か手がかりがあるかもしれないという古い言い伝えを聞いた。危険な場所らしいが、行ってみる価値はあるだろうか……』
(やっぱり……!)
日記の書き手は、この森に何か特別な意味を見出していたのかもしれない。
帰還の魔法陣と、何か関係があるのだろうか。
『忘却の森』……何かを忘れさせるような、不吉な名前だ。
(もっと、この森について調べないと……)
新たな目標ができた。
明日の図書室では、この『忘却の森』について書かれた本を探してみよう。
そして、いつか、カイさんに、その森について尋ねてみることはできるだろうか……。
考えは尽きない。
閉ざされた部屋の中でも、私の世界は、今日、ほんの少しだけ、確実に広がったのだ。
知識という、見えない翼を手に入れたような、そんな高揚感を覚えていた。
私は、リリアさんに伴われて、初めて自分の部屋以外の場所へと足を踏み出した。
目的地は、第一図書室。
許可された時間は、二時間だけ。
コツ、コツ、と廊下に響く二人の足音。
昨日までとは違い、今日は少しだけ胸を張って歩ける気がした。
もちろん、すれ違う兵士や侍女たちの視線は相変わらずで、好奇心や、中にはまだ侮蔑の色を隠さない者もいる。
でも、私の隣にはリリアさんがいて、そして私は、カイ様の許可を得て図書室へ向かっているのだ。
それだけで、少しだけ気持ちが強くなれた。
長い廊下をいくつか曲がり、重厚な両開きの扉の前にたどり着く。
扉には、複雑な模様――おそらくエルドラ王国の紋章だろう――が彫り込まれていた。
リリアさんが、その扉を静かに押し開ける。
「……わぁ……」
思わず、息を呑んだ。
目の前に広がっていたのは、想像を遥かに超える光景だった。
天井まで届く巨大な本棚が、壁一面にずらりと並んでいる。
古い紙とインクの匂い、そして、静謐で、どこか厳かな空気。
高い窓からは柔らかな光が差し込み、空気中の埃をキラキラと輝かせていた。
まるで、知識の海に迷い込んだようだ。
「……時間は限られています。
無駄にしないように」
私の感動を打ち破るように、リリアさんが背後から冷たく言った。
彼女は、図書室の入り口近くにある閲覧用の長椅子に腰を下ろし、じっと私の方を見ている。
ここからでも、監視の目を光らせるつもりらしい。
(……分かってる)
私は気を取り直し、本棚の間へと足を踏み入れた。
膨大な数の本。
一体、どこから手をつければいいのだろうか。
(まずは、この世界のことを、もっと広く知りたい……)
地理、文化、魔法、精霊……。
キーワードになりそうな言葉を頭の中で反芻しながら、背表紙のタイトルを読んでいく。
まだ読めない文字も多いけれど、カイさんにもらった単語帳と、絵本で覚えた知識を総動員して、意味を推測していく。
しばらく歩き回り、子供向けと思われる地理の絵本と、生活魔法の基礎について書かれた薄い本を見つけ出した。
それから、精霊に関する伝承を集めたような本も。
(聖女や召喚についての本も探したいけど……まずは、基本的なところからかな)
選んだ三冊の本を抱え、リリアさんが座っている長椅子から少し離れた、窓際の閲覧席に腰を下ろす。
ドキドキしながら、最初のページを開いた。
地理の絵本には、エルドラ王国の地図が載っていた。
私が今いる王都は、大陸の中央部に位置しているらしい。
北には険しい山脈が連なり、南には広大な森と、隣国ヴァルハルト帝国との国境線が引かれている。
東は海に面していて、西には未開の地とされる砂漠が広がっているようだ。
(結構、広い国なんだ……)
絵本には、各地の特産品や、そこに住む珍しい動植物の絵も描かれていて、見ているだけでも面白い。
日本の地図とは全く違う、ファンタジーの世界の地図。
次に、生活魔法の本を開く。
火を起こしたり、水を綺麗にしたり、物を軽くしたり……。
この世界の人々は、魔法を日常的に使っているらしい。
ただし、魔法を使うには『魔力』が必要で、その量は人によって差があること、そして、魔法を使うための『詠唱』や『魔法陣』が必要な場合もある、と書かれていた。
(私にも、魔力ってあるのかな……? 使えたら便利だろうな……)
『外れ』の私には、聖女のような特別な力はない、と言われた。
でも、魔力までゼロとは限らないかもしれない。
淡い期待を抱く。
最後に、精霊に関する本。
この世界には、火、水、風、土など、様々な属性の精霊が存在し、人々はその恩恵を受けて暮らしている、とある。
精霊は気まぐれで、姿を現すことは滅多にないけれど、敬意を払い、信仰を捧げることで、力を貸してくれることがあるらしい。
聖女の力も、精霊、特に光の精霊からの強い加護によるものだと考えられている、とも書かれていた。
(精霊……。本当に、いるのかな……)
まるでおとぎ話のようだけど、ここはそういう世界なのだ。
信じるしかない。
ふと、あの日記帳のことを思い出す。
日記の書き手は、この世界のことをどれくらい知っていたのだろうか。
もしかしたら、私が今読んでいるような本も、読んでいたのかもしれない。
(あの記述……『帰還の魔法陣』……起動には膨大な魔力が必要、聖女様クラスの……)
聖女の力が精霊の加護によるものなら、帰還の魔法陣を動かすのにも、精霊の力が必要なのかもしれない。
あるいは、膨大な魔力そのものが、精霊の助けなしには得られない、ということなのか。
考え込んでいると、不意にリリアさんの声がかかった。
「……時間です」
見ると、窓から差し込む光の色が変わっている。
もう二時間も経ってしまったらしい。
あっという間だった。
「……はい」
名残惜しい気持ちで本を閉じ、元の棚に戻す。
もっと読みたい本はたくさんあった。
聖女や召喚について、もっと詳しく書かれた本も探したかった。
図書室を出て、再びリリアさんと二人で廊下を歩く。
行きとは違い、私の足取りは少し重かった。
もっと時間が欲しい。
もっと知りたい。
知識への渇望が、胸の中で渦巻いている。
部屋に戻り、扉が閉められ、鍵がかかる音を聞く。
いつもの静寂が戻ってきた。
でも、私の頭の中は、今日得たばかりの情報でいっぱいだった。
(地図、魔法、精霊……)
覚えたことを忘れないように、カイさんにもらった羊皮紙に書き留めていく。
地図を思い出しながら描き写し、魔法の種類をリストアップし、精霊について気づいたことをメモする。
その時、ふと、あることに気がついた。
地理の絵本に描かれていた、王都の近くにある古い森の名前。
『忘却の森』。
その名前が、あの日記帳にも書かれていたような気がする。
慌ててベッドの下から日記帳を取り出し、ページを捲る。
そして、見つけた。
『×月○日 『忘却の森』の奥にある遺跡に、何か手がかりがあるかもしれないという古い言い伝えを聞いた。危険な場所らしいが、行ってみる価値はあるだろうか……』
(やっぱり……!)
日記の書き手は、この森に何か特別な意味を見出していたのかもしれない。
帰還の魔法陣と、何か関係があるのだろうか。
『忘却の森』……何かを忘れさせるような、不吉な名前だ。
(もっと、この森について調べないと……)
新たな目標ができた。
明日の図書室では、この『忘却の森』について書かれた本を探してみよう。
そして、いつか、カイさんに、その森について尋ねてみることはできるだろうか……。
考えは尽きない。
閉ざされた部屋の中でも、私の世界は、今日、ほんの少しだけ、確実に広がったのだ。
知識という、見えない翼を手に入れたような、そんな高揚感を覚えていた。
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