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第十三話:内なる微かな光
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聖女様の浄化の儀式が始まったことを告げる鐘の音が鳴り響いた後、城の中は奇妙な静けさに包まれた。
部屋の中にいても、外の緊迫した空気が伝わってくるようだった。
私は窓に寄り添い、遠くに見える神殿の方角をただ見つめていた。
淡い光が、夜空をぼんやりと照らしているように見える。
(聖女様……大丈夫かな……)
あの華やかで、少しわがままそうに見えた彼女。
今、この国の期待と運命を一身に背負って、たった一人で戦っているのかもしれない。
そう思うと、以前のような複雑な気持ちとは別に、純粋な心配が湧いてくる。
そして同時に、自分の無力さを痛感する。
私には、祈ることしかできない。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
神殿方面の光が、ふっと弱まったように見えた。
儀式が終わったのかもしれない。
良い結果だったのか、それとも……。
結局、その夜は、不安な気持ちを抱えたまま、なかなか寝付けなかった。
翌朝、いつも通りリリアさんが朝食を運んできた。
彼女の表情は、相変わらず硬い。
「あの……リリアさん。昨日の儀式は……」
思い切って尋ねてみる。
リリアさんは、一瞬だけ動きを止め、そして、淡々とした口調で答えた。
「……滞りなく、終了したと伺っております」
「そうですか……。聖女様は……」
「さあ。私には分かりかねます」
それだけ言うと、彼女は足早に部屋を出て行った。
儀式は、無事に終わった。
でも、リリアさんの歯切れの悪い言い方や、どこか重苦しい城の空気から、何か素直に喜べない事情があったのではないか、という気がした。
侍女たちの間でも、儀式の話題はどこか避けられているような雰囲気だった。
(……今は、私のやるべきことを)
気持ちを切り替える。
今日から、カイさんの訓練が始まるのだ。
朝食を済ませ、身なりを整え(といっても、いつもと同じ簡素なワンピースだけど)、緊張しながらその時を待った。
やがて、約束の時間通りに、カイさんが部屋を訪れた。
彼はいつもと同じ、白い騎士服に身を包んでいる。
表情も冷静そのものだけど、気のせいか、目の下に僅かな隈があるような……?
昨日の儀式に、夜通し立ち会っていたのかもしれない。
「……準備は、いいか」
カイさんの第一声は、それだった。
「は、はい! よろしくお願いします!」
私は、背筋を伸ばして答える。
カイさんは、部屋の中央あたりを指さした。
「そこに、楽な姿勢で座れ。
胡座(あぐら)がいいだろう」
言われた通りに、床に直接胡座をかいて座る。
カイさんは、私の正面に立ち、腕を組んだ。
「最初の訓練は、君自身の『魔力』を感じ取ることからだ」
「魔力……ですか」
「ああ。この世界の全ての生物は、多かれ少なかれ、魔力をその内に宿している。
魔法を使う第一歩は、まず、己の中に眠るその力を認識することから始まる」
カイさんの説明は、明快で分かりやすい。
「目を閉じろ。
そして、意識を、自分の体の内側に向けるんだ」
言われた通りに、ゆっくりと目を閉じる。
シン、と静まり返る部屋。
自分の呼吸の音だけが聞こえる。
「体の力を抜き、深く、ゆっくりと呼吸しろ。
吸って……吐いて……。
意識を、体の中心……腹の少し下あたりに集中させろ」
カイさんの落ち着いた声が、耳に心地よく響く。
言われた通りに、呼吸を整え、意識を集中させる。
でも、何も感じない。
ただ、自分の体の温かさと、心臓の鼓動があるだけだ。
「……何も、感じません……」
不安になって、小さく呟く。
「焦るな。
魔力は、普段意識していない、微かなエネルギーの流れだ。
最初は、感じ取れなくて当然だ」
カイさんは、冷静に続ける。
「雑念を払え。
外の音も、自分の思考も、全て意識の外へ追いやるんだ。
ただ、己の内側だけを見つめろ。
そこに流れる、微かな……温かいような、あるいは、ピリピリとした痺れのような……そんな感覚を探せ」
もう一度、意識を集中させる。
深く、深く、自分の内側へ。
カイさんの言葉を頼りに、微かな感覚を探る。
温かいもの……ピリピリするもの……。
(……あ……)
その時、ほんの一瞬だけ。
お腹の奥の方で、何か、本当に小さな、陽だまりのような温かさを感じた気がした。
すぐに消えてしまったけれど、確かに、何かを感じた。
「……何か、感じたか?」
カイさんが尋ねる。
彼は、私が微かに息を呑んだのを見逃さなかったらしい。
観察眼が鋭い。
「は、はい……。一瞬だけ、何か、温かいような……」
「……ほう。思ったより、早いな」
カイさんの声に、ほんの少しだけ、感心したような響きが混じる。
「それが、君の魔力だ。
まだ、生まれたての赤子のように、弱く、不安定だがな」
(これが……私の、魔力……!)
信じられない気持ちと、同時に、確かな喜びが込み上げてくる。
私の中にも、力が眠っていたんだ。
『外れ』なんかじゃない、かもしれない。
「その感覚を、忘れるな。
もう一度、集中して、その温かさを捉えろ。
今度は、それを少しだけ、長く維持してみろ」
カイさんの指示に従い、再び意識を集中させる。
さっき感じた、あの温かい感覚。
それを、もう一度……。
難しい。
意識すればするほど、かえって遠ざかってしまうようだ。
「力を入れるな。
掴まえようとするのではなく、ただ、そこにあることを、受け入れろ」
カイさんのアドバイスが飛ぶ。
そうだ。
力んではいけない。
自然に、ただ、感じるだけ……。
何度も、何度も、挑戦する。
集中力が途切れそうになるのを、必死で繋ぎ止める。
汗が、額を伝った。
そして……。
(……あった……!)
さっきよりも、もう少しはっきりと。
お腹の奥に、小さな、でも確かな温かさが宿っているのを感じる。
それは、まるで、暗闇の中に灯った、小さな蝋燭の炎のようだ。
頼りないけれど、温かくて、優しい光。
「……感じています……!」
目を開けずに、そう報告する。
「よし。そのまま、維持しろ。
呼吸を意識しろ。
その温かさが、呼吸と共に、体の中を巡るイメージを描け」
言われた通りに、イメージする。
吸う息と共に、温かい光が体に取り込まれ、吐く息と共に、それが全身に広がっていく……。
難しいけれど、なんとなく、体全体が、ほんのりと温かくなっていくような気がした。
どれくらいの時間が経ったのか。
カイさんの「……そこまでだ」という声で、私はゆっくりと目を開けた。
体は、どっと疲れていたけれど、心は不思議と満たされていた。
「……どう、でしたか……?」
おそるおそる尋ねる。
カイさんは、腕を組んだまま、私をじっと見ていた。
「……初日としては、上出来だ。
君には、魔力を感知する素質があるらしい。
魔力量そのものは、おそらく、多くはないだろうがな」
「……そうですか……」
魔力量が多くない、というのは少し残念だけど、それでも、素質があると言われたのは嬉しかった。
「だが、油断するな。
これは、ほんの入り口に過ぎん。
魔力を感じ取れても、それを制御し、魔法として形にするには、更なる訓練が必要だ」
「はい!」
「今日の訓練は、ここまでとする。
疲れているだろう。少し休め」
カイさんは、そう言うと、踵を返した。
「明日も、同じ時間に始める。
遅れるなよ」
それだけ言い残して、彼は部屋を出て行った。
一人残された部屋で、私はまだ、自分の内に感じた、あの微かな温かさの余韻に浸っていた。
疲労感はあるけれど、それ以上に、大きな達成感と、未来への希望が胸を満たしている。
(私にも、できるかもしれない……!)
カイさんの訓練は厳しいだろう。
三ヶ月という時間は、短い。
それでも、私は、諦めない。
自分の内に灯った、この小さな光を、もっと大きく、強くしていくんだ。
そして、いつか必ず……。
部屋の中にいても、外の緊迫した空気が伝わってくるようだった。
私は窓に寄り添い、遠くに見える神殿の方角をただ見つめていた。
淡い光が、夜空をぼんやりと照らしているように見える。
(聖女様……大丈夫かな……)
あの華やかで、少しわがままそうに見えた彼女。
今、この国の期待と運命を一身に背負って、たった一人で戦っているのかもしれない。
そう思うと、以前のような複雑な気持ちとは別に、純粋な心配が湧いてくる。
そして同時に、自分の無力さを痛感する。
私には、祈ることしかできない。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
神殿方面の光が、ふっと弱まったように見えた。
儀式が終わったのかもしれない。
良い結果だったのか、それとも……。
結局、その夜は、不安な気持ちを抱えたまま、なかなか寝付けなかった。
翌朝、いつも通りリリアさんが朝食を運んできた。
彼女の表情は、相変わらず硬い。
「あの……リリアさん。昨日の儀式は……」
思い切って尋ねてみる。
リリアさんは、一瞬だけ動きを止め、そして、淡々とした口調で答えた。
「……滞りなく、終了したと伺っております」
「そうですか……。聖女様は……」
「さあ。私には分かりかねます」
それだけ言うと、彼女は足早に部屋を出て行った。
儀式は、無事に終わった。
でも、リリアさんの歯切れの悪い言い方や、どこか重苦しい城の空気から、何か素直に喜べない事情があったのではないか、という気がした。
侍女たちの間でも、儀式の話題はどこか避けられているような雰囲気だった。
(……今は、私のやるべきことを)
気持ちを切り替える。
今日から、カイさんの訓練が始まるのだ。
朝食を済ませ、身なりを整え(といっても、いつもと同じ簡素なワンピースだけど)、緊張しながらその時を待った。
やがて、約束の時間通りに、カイさんが部屋を訪れた。
彼はいつもと同じ、白い騎士服に身を包んでいる。
表情も冷静そのものだけど、気のせいか、目の下に僅かな隈があるような……?
昨日の儀式に、夜通し立ち会っていたのかもしれない。
「……準備は、いいか」
カイさんの第一声は、それだった。
「は、はい! よろしくお願いします!」
私は、背筋を伸ばして答える。
カイさんは、部屋の中央あたりを指さした。
「そこに、楽な姿勢で座れ。
胡座(あぐら)がいいだろう」
言われた通りに、床に直接胡座をかいて座る。
カイさんは、私の正面に立ち、腕を組んだ。
「最初の訓練は、君自身の『魔力』を感じ取ることからだ」
「魔力……ですか」
「ああ。この世界の全ての生物は、多かれ少なかれ、魔力をその内に宿している。
魔法を使う第一歩は、まず、己の中に眠るその力を認識することから始まる」
カイさんの説明は、明快で分かりやすい。
「目を閉じろ。
そして、意識を、自分の体の内側に向けるんだ」
言われた通りに、ゆっくりと目を閉じる。
シン、と静まり返る部屋。
自分の呼吸の音だけが聞こえる。
「体の力を抜き、深く、ゆっくりと呼吸しろ。
吸って……吐いて……。
意識を、体の中心……腹の少し下あたりに集中させろ」
カイさんの落ち着いた声が、耳に心地よく響く。
言われた通りに、呼吸を整え、意識を集中させる。
でも、何も感じない。
ただ、自分の体の温かさと、心臓の鼓動があるだけだ。
「……何も、感じません……」
不安になって、小さく呟く。
「焦るな。
魔力は、普段意識していない、微かなエネルギーの流れだ。
最初は、感じ取れなくて当然だ」
カイさんは、冷静に続ける。
「雑念を払え。
外の音も、自分の思考も、全て意識の外へ追いやるんだ。
ただ、己の内側だけを見つめろ。
そこに流れる、微かな……温かいような、あるいは、ピリピリとした痺れのような……そんな感覚を探せ」
もう一度、意識を集中させる。
深く、深く、自分の内側へ。
カイさんの言葉を頼りに、微かな感覚を探る。
温かいもの……ピリピリするもの……。
(……あ……)
その時、ほんの一瞬だけ。
お腹の奥の方で、何か、本当に小さな、陽だまりのような温かさを感じた気がした。
すぐに消えてしまったけれど、確かに、何かを感じた。
「……何か、感じたか?」
カイさんが尋ねる。
彼は、私が微かに息を呑んだのを見逃さなかったらしい。
観察眼が鋭い。
「は、はい……。一瞬だけ、何か、温かいような……」
「……ほう。思ったより、早いな」
カイさんの声に、ほんの少しだけ、感心したような響きが混じる。
「それが、君の魔力だ。
まだ、生まれたての赤子のように、弱く、不安定だがな」
(これが……私の、魔力……!)
信じられない気持ちと、同時に、確かな喜びが込み上げてくる。
私の中にも、力が眠っていたんだ。
『外れ』なんかじゃない、かもしれない。
「その感覚を、忘れるな。
もう一度、集中して、その温かさを捉えろ。
今度は、それを少しだけ、長く維持してみろ」
カイさんの指示に従い、再び意識を集中させる。
さっき感じた、あの温かい感覚。
それを、もう一度……。
難しい。
意識すればするほど、かえって遠ざかってしまうようだ。
「力を入れるな。
掴まえようとするのではなく、ただ、そこにあることを、受け入れろ」
カイさんのアドバイスが飛ぶ。
そうだ。
力んではいけない。
自然に、ただ、感じるだけ……。
何度も、何度も、挑戦する。
集中力が途切れそうになるのを、必死で繋ぎ止める。
汗が、額を伝った。
そして……。
(……あった……!)
さっきよりも、もう少しはっきりと。
お腹の奥に、小さな、でも確かな温かさが宿っているのを感じる。
それは、まるで、暗闇の中に灯った、小さな蝋燭の炎のようだ。
頼りないけれど、温かくて、優しい光。
「……感じています……!」
目を開けずに、そう報告する。
「よし。そのまま、維持しろ。
呼吸を意識しろ。
その温かさが、呼吸と共に、体の中を巡るイメージを描け」
言われた通りに、イメージする。
吸う息と共に、温かい光が体に取り込まれ、吐く息と共に、それが全身に広がっていく……。
難しいけれど、なんとなく、体全体が、ほんのりと温かくなっていくような気がした。
どれくらいの時間が経ったのか。
カイさんの「……そこまでだ」という声で、私はゆっくりと目を開けた。
体は、どっと疲れていたけれど、心は不思議と満たされていた。
「……どう、でしたか……?」
おそるおそる尋ねる。
カイさんは、腕を組んだまま、私をじっと見ていた。
「……初日としては、上出来だ。
君には、魔力を感知する素質があるらしい。
魔力量そのものは、おそらく、多くはないだろうがな」
「……そうですか……」
魔力量が多くない、というのは少し残念だけど、それでも、素質があると言われたのは嬉しかった。
「だが、油断するな。
これは、ほんの入り口に過ぎん。
魔力を感じ取れても、それを制御し、魔法として形にするには、更なる訓練が必要だ」
「はい!」
「今日の訓練は、ここまでとする。
疲れているだろう。少し休め」
カイさんは、そう言うと、踵を返した。
「明日も、同じ時間に始める。
遅れるなよ」
それだけ言い残して、彼は部屋を出て行った。
一人残された部屋で、私はまだ、自分の内に感じた、あの微かな温かさの余韻に浸っていた。
疲労感はあるけれど、それ以上に、大きな達成感と、未来への希望が胸を満たしている。
(私にも、できるかもしれない……!)
カイさんの訓練は厳しいだろう。
三ヶ月という時間は、短い。
それでも、私は、諦めない。
自分の内に灯った、この小さな光を、もっと大きく、強くしていくんだ。
そして、いつか必ず……。
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