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第二十五話:深き森への誘(いざな)い
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三日後の早朝。
まだ空が白み始めたばかりの頃、私は硬い決意を胸に、旅の支度を整えていた。
カイ様が用意してくれた、丈夫な革の服とブーツは、私の体にぴったりと合っていた。まるで、あつらえたかのようだ。背中には、保存食や薬草が詰められた革袋を背負う。腰には、リリアさんが用意してくれた水筒と、魔除けの銀の護符を下げた。
部屋の扉の前には、リリアさんが静かに立っていた。
彼女は、この早朝にも関わらず、私を見送るために来てくれたのだ。
「……リリアさん、今まで、本当にありがとうございました」
深々と頭を下げる。
彼女がいなければ、私はとっくに挫けていただろう。
「……いいえ。私は、何も……」
リリアさんは俯き、何かを差し出した。
それは、小さな、星の形をした銀細工の髪飾りだった。古びているけれど、丁寧に磨かれている。
「これは……?」
「……妹の、形見です。
あの子が、大切にしていたものでした」
彼女の声が、微かに震える。
「……お守りになるかは、分かりません。でも……持っていってください。
あなたが、無事に帰ってくることを……祈っていますから」
「リリアさん……!」
胸が熱くなる。
私は、その髪飾りを、しっかりと受け取った。
銀の星が、ひんやりと、でも確かな重みを持って、私の手のひらに収まる。
「……ありがとうございます。大切にします。
そして、必ず、戻ってきます」
リリアさんは、涙を堪えるように、強く頷いた。
別れを惜しむ時間は、ない。
私は、彼女にもう一度深く頭を下げ、部屋を後にした。
カイ様との待ち合わせ場所は、城の裏手にある、普段は使われていない小さな門だった。
人目を避けるためだろう。
私が着くと、彼は既に、黒を基調とした旅装に身を包み、馬を二頭連れて待っていた。
その隣には、大きな荷物を背負った、見慣れない男性が一人立っている。
「……時間通りだな」
カイさんは、私を一瞥して言った。
彼の表情は、いつも通り冷静だ。
「隣の方は……?」
私が尋ねると、カイさんが紹介した。
「騎士団の斥候を務めている、フィンだ。
森の入り口まで、我々を案内してくれる」
フィンと名乗った男性は、無口そうだが、鋭い目をした、年の頃は三十代くらいの人物だった。彼は私に軽く会釈した。
「……斥候、ということは、カイ様お一人で、私に同行してくださるのですか?」
「……ああ。その方が、何かと都合がいい」
カイさんは、それ以上は説明しなかったけれど、おそらく、私の力のことを知っている人間を、最小限に留めたいという意図があるのだろう。
そして、彼ほどの騎士が一人いれば、並大抵の危険はどうにかなる、という自信の表れなのかもしれない。
彼が、たった一人で、私を守りながら、あの危険な森を進む……。
その事実に、私の心臓は、不安と、そして、ほんの少しの期待で、ドキドキと音を立てた。
「行くぞ。もう時間がない」
カイさんに促され、私は差し出された馬に跨る。
乗馬なんて、もちろん初めてだ。
最初は戸惑ったけれど、カイさんが手綱の持ち方や姿勢を簡単に教えてくれ、なんとか格好だけはつけることができた。
フィンを先頭に、私たちは静かに城を出発した。
朝日が昇り始め、王都の街がゆっくりと目覚めていく。
石畳の道を行き、やがて街の外壁を抜け、緑の草原へと出た。
振り返ると、巨大な城壁と、その向こうに聳える王城が見える。
私が、この数ヶ月間を過ごした場所。
(……行ってきます)
心の中で呟き、前を向く。
目指すは、南方に広がる、忘却の森。
馬に揺られながら、景色は次第にのどかな田園風景へと変わっていった。
しかし、森が近づくにつれて、その雰囲気は一変する。
空気が、重く、湿っぽくなっていくのを感じる。
鳥の声も少なくなり、代わりに、どこか不気味な、生き物の気配のようなものが漂い始めた。
そして、ついに、私たちの目の前に、その森は姿を現した。
「……これが、忘却の森……」
息を呑むほどの、圧倒的な存在感。
天を突くような巨大な木々が、鬱蒼と生い茂り、太陽の光を完全に遮っている。
森の入り口は、まるで巨大な獣の口のように、暗く、不気味に開いていた。
ただならぬ気配が、森全体から発せられている。
ここが、人が足を踏み入れることを拒む、禁断の場所なのだと、肌で感じた。
森の入り口で、フィンが馬を止めた。
「……カイ様、ユキ様。ここからは、馬は進めません。私の案内も、ここまでとなります」
彼は、カイさんに地図のようなものを手渡した。
「これは、私が最近偵察した、比較的、魔物の少ないと思われるルートです。
しかし、森の中は何が起こるか分かりません。くれぐれも、ご注意ください」
「……感謝する、フィン。あとは、我々だけで行こう」
カイさんは、フィンから地図を受け取り、馬から降りた。
私も、それに倣う。
フィンは、私たちに深々と一礼すると、馬首を返し、来た道を引き返していった。
残されたのは、私とカイさん、そして、目の前に広がる、底知れぬ深淵のような森だけだ。
「……準備はいいか、ユキ」
カイさんが、静かに問いかける。
彼の紫色の瞳は、森の闇を見据え、鋭く光っている。
「……はい」
私は、唾を飲み込み、頷いた。
もう、後戻りはできない。
「森の中では、常に警戒を怠るな。
何が潜んでいるか分からん。
そして、俺から、絶対に離れるな」
「はい!」
「よし……行くぞ」
カイさんを先頭に、私たちは、ついに、忘却の森へと足を踏み入れた。
一歩、森の中に足を踏み入れた瞬間、空気が、さらに重くなったのを感じた。
湿った土と、腐葉土の匂い。
そして、濃密な、瘴気の気配。
背筋が、ぞくりと粟立つ。
木々の枝葉が、空を覆い尽くし、昼間なのに、まるで夜のように薄暗い。
異様な静寂が、辺りを支配している。
時折、遠くで、獣とも鳥ともつかない、不気味な鳴き声が聞こえるのが、かえって不安を煽った。
私たちは、カイさんが持つ古い地図と、フィンがくれた新しい情報を頼りに、慎重に進んでいく。
足元は、木の根や苔で滑りやすく、歩きにくい。
しばらく進んだ、その時だった。
ガサッ!
前方の茂みが、大きく揺れた。
そして、そこから、緑色の粘液のようなものを滴らせた、巨大な蜘蛛のような魔物が、複数、姿を現したのだ!
その数は、五匹……いや、六匹!
複眼が、不気味に光り、私たちを捉えている。
「……っ! グロテスク・スパイダーか……!」
カイさんが、忌々しげに呟く。
資料で見た魔物だ。
動きはそれほど速くないが、毒を持つ糸を吐き、集団で襲ってくる、厄介な相手だと書かれていた。
「ユキ! 俺の背後に!」
カイさんは、私を庇うように前に立ち、腰の剣に手をかける。
「訓練の成果を見せてみろ! まずは、障壁だ!」
「は、はい!」
私は、震える手で、必死に魔力を練り上げ、『魔力障壁』を展開する!
なんとか、形にはなった。
蜘蛛たちが、一斉に、ネバネバとした糸を吐きかけてくる!
数本の糸が、私の障壁に当たり、ジュッ、という音を立てる。
障壁が、みるみるうちに溶かされていく!
「くっ……!」
必死で魔力を注ぎ込み、障壁を維持する!
その間にも、カイさんは、目にも留まらぬ速さで剣を抜き放ち、蜘蛛たちに斬りかかっていた!
彼の剣技は、訓練の時とは比べ物にならないほど、鋭く、そして、美しい。
まるで、舞うように、蜘蛛たちの攻撃をかわし、的確に急所を切り裂いていく。
あっという間に、三匹の蜘蛛が、緑色の体液を撒き散らして、動かなくなった。
しかし、残りの三匹が、カイさんの隙を突いて、私の方へと迫ってくる!
「ユキ! 弾を!」
カイさんの声が飛ぶ!
私は、障壁を維持しながら、もう片方の手に魔力を集中させ、『魔力弾』を放つ!
パシュン! パシュン!
狙いは定まらないけれど、とにかく、数を撃つ!
一発が、蜘蛛の一匹の足に当たり、動きを鈍らせる!
「よし!」
その隙を、カイさんは逃さない。
翻身し、残りの蜘蛛たちを一閃のもとに切り伏せた。
「……はぁ……はぁ……」
全ての魔物が動かなくなったのを確認し、私はその場にへたり込んだ。
初めての、実戦。
心臓は、まだバクバクと音を立てている。
手も、足も、震えが止まらない。
「……立てるか?」
カイさんが、剣を鞘に収めながら、私に手を差し伸べてくれた。
「は、はい……。ありがとうございます……」
彼の手を借りて立ち上がる。
足が、まだ少し、ふらつく。
「……初めてにしては、まあまあだ。
だが、今の魔物はこの森では、まだ序の口だぞ」
カイさんは、厳しい表情で言った。
「ここからが、本番だ。
気を引き締めろ」
彼の言葉に、私は改めて、この森の恐ろしさと、自分たちの旅の過酷さを思い知らされた。
忘却の森は、まだ、そのほんの入り口を見せたに過ぎないのだ。
私たちの、本当の試練は、まだ始まったばかりだった。
まだ空が白み始めたばかりの頃、私は硬い決意を胸に、旅の支度を整えていた。
カイ様が用意してくれた、丈夫な革の服とブーツは、私の体にぴったりと合っていた。まるで、あつらえたかのようだ。背中には、保存食や薬草が詰められた革袋を背負う。腰には、リリアさんが用意してくれた水筒と、魔除けの銀の護符を下げた。
部屋の扉の前には、リリアさんが静かに立っていた。
彼女は、この早朝にも関わらず、私を見送るために来てくれたのだ。
「……リリアさん、今まで、本当にありがとうございました」
深々と頭を下げる。
彼女がいなければ、私はとっくに挫けていただろう。
「……いいえ。私は、何も……」
リリアさんは俯き、何かを差し出した。
それは、小さな、星の形をした銀細工の髪飾りだった。古びているけれど、丁寧に磨かれている。
「これは……?」
「……妹の、形見です。
あの子が、大切にしていたものでした」
彼女の声が、微かに震える。
「……お守りになるかは、分かりません。でも……持っていってください。
あなたが、無事に帰ってくることを……祈っていますから」
「リリアさん……!」
胸が熱くなる。
私は、その髪飾りを、しっかりと受け取った。
銀の星が、ひんやりと、でも確かな重みを持って、私の手のひらに収まる。
「……ありがとうございます。大切にします。
そして、必ず、戻ってきます」
リリアさんは、涙を堪えるように、強く頷いた。
別れを惜しむ時間は、ない。
私は、彼女にもう一度深く頭を下げ、部屋を後にした。
カイ様との待ち合わせ場所は、城の裏手にある、普段は使われていない小さな門だった。
人目を避けるためだろう。
私が着くと、彼は既に、黒を基調とした旅装に身を包み、馬を二頭連れて待っていた。
その隣には、大きな荷物を背負った、見慣れない男性が一人立っている。
「……時間通りだな」
カイさんは、私を一瞥して言った。
彼の表情は、いつも通り冷静だ。
「隣の方は……?」
私が尋ねると、カイさんが紹介した。
「騎士団の斥候を務めている、フィンだ。
森の入り口まで、我々を案内してくれる」
フィンと名乗った男性は、無口そうだが、鋭い目をした、年の頃は三十代くらいの人物だった。彼は私に軽く会釈した。
「……斥候、ということは、カイ様お一人で、私に同行してくださるのですか?」
「……ああ。その方が、何かと都合がいい」
カイさんは、それ以上は説明しなかったけれど、おそらく、私の力のことを知っている人間を、最小限に留めたいという意図があるのだろう。
そして、彼ほどの騎士が一人いれば、並大抵の危険はどうにかなる、という自信の表れなのかもしれない。
彼が、たった一人で、私を守りながら、あの危険な森を進む……。
その事実に、私の心臓は、不安と、そして、ほんの少しの期待で、ドキドキと音を立てた。
「行くぞ。もう時間がない」
カイさんに促され、私は差し出された馬に跨る。
乗馬なんて、もちろん初めてだ。
最初は戸惑ったけれど、カイさんが手綱の持ち方や姿勢を簡単に教えてくれ、なんとか格好だけはつけることができた。
フィンを先頭に、私たちは静かに城を出発した。
朝日が昇り始め、王都の街がゆっくりと目覚めていく。
石畳の道を行き、やがて街の外壁を抜け、緑の草原へと出た。
振り返ると、巨大な城壁と、その向こうに聳える王城が見える。
私が、この数ヶ月間を過ごした場所。
(……行ってきます)
心の中で呟き、前を向く。
目指すは、南方に広がる、忘却の森。
馬に揺られながら、景色は次第にのどかな田園風景へと変わっていった。
しかし、森が近づくにつれて、その雰囲気は一変する。
空気が、重く、湿っぽくなっていくのを感じる。
鳥の声も少なくなり、代わりに、どこか不気味な、生き物の気配のようなものが漂い始めた。
そして、ついに、私たちの目の前に、その森は姿を現した。
「……これが、忘却の森……」
息を呑むほどの、圧倒的な存在感。
天を突くような巨大な木々が、鬱蒼と生い茂り、太陽の光を完全に遮っている。
森の入り口は、まるで巨大な獣の口のように、暗く、不気味に開いていた。
ただならぬ気配が、森全体から発せられている。
ここが、人が足を踏み入れることを拒む、禁断の場所なのだと、肌で感じた。
森の入り口で、フィンが馬を止めた。
「……カイ様、ユキ様。ここからは、馬は進めません。私の案内も、ここまでとなります」
彼は、カイさんに地図のようなものを手渡した。
「これは、私が最近偵察した、比較的、魔物の少ないと思われるルートです。
しかし、森の中は何が起こるか分かりません。くれぐれも、ご注意ください」
「……感謝する、フィン。あとは、我々だけで行こう」
カイさんは、フィンから地図を受け取り、馬から降りた。
私も、それに倣う。
フィンは、私たちに深々と一礼すると、馬首を返し、来た道を引き返していった。
残されたのは、私とカイさん、そして、目の前に広がる、底知れぬ深淵のような森だけだ。
「……準備はいいか、ユキ」
カイさんが、静かに問いかける。
彼の紫色の瞳は、森の闇を見据え、鋭く光っている。
「……はい」
私は、唾を飲み込み、頷いた。
もう、後戻りはできない。
「森の中では、常に警戒を怠るな。
何が潜んでいるか分からん。
そして、俺から、絶対に離れるな」
「はい!」
「よし……行くぞ」
カイさんを先頭に、私たちは、ついに、忘却の森へと足を踏み入れた。
一歩、森の中に足を踏み入れた瞬間、空気が、さらに重くなったのを感じた。
湿った土と、腐葉土の匂い。
そして、濃密な、瘴気の気配。
背筋が、ぞくりと粟立つ。
木々の枝葉が、空を覆い尽くし、昼間なのに、まるで夜のように薄暗い。
異様な静寂が、辺りを支配している。
時折、遠くで、獣とも鳥ともつかない、不気味な鳴き声が聞こえるのが、かえって不安を煽った。
私たちは、カイさんが持つ古い地図と、フィンがくれた新しい情報を頼りに、慎重に進んでいく。
足元は、木の根や苔で滑りやすく、歩きにくい。
しばらく進んだ、その時だった。
ガサッ!
前方の茂みが、大きく揺れた。
そして、そこから、緑色の粘液のようなものを滴らせた、巨大な蜘蛛のような魔物が、複数、姿を現したのだ!
その数は、五匹……いや、六匹!
複眼が、不気味に光り、私たちを捉えている。
「……っ! グロテスク・スパイダーか……!」
カイさんが、忌々しげに呟く。
資料で見た魔物だ。
動きはそれほど速くないが、毒を持つ糸を吐き、集団で襲ってくる、厄介な相手だと書かれていた。
「ユキ! 俺の背後に!」
カイさんは、私を庇うように前に立ち、腰の剣に手をかける。
「訓練の成果を見せてみろ! まずは、障壁だ!」
「は、はい!」
私は、震える手で、必死に魔力を練り上げ、『魔力障壁』を展開する!
なんとか、形にはなった。
蜘蛛たちが、一斉に、ネバネバとした糸を吐きかけてくる!
数本の糸が、私の障壁に当たり、ジュッ、という音を立てる。
障壁が、みるみるうちに溶かされていく!
「くっ……!」
必死で魔力を注ぎ込み、障壁を維持する!
その間にも、カイさんは、目にも留まらぬ速さで剣を抜き放ち、蜘蛛たちに斬りかかっていた!
彼の剣技は、訓練の時とは比べ物にならないほど、鋭く、そして、美しい。
まるで、舞うように、蜘蛛たちの攻撃をかわし、的確に急所を切り裂いていく。
あっという間に、三匹の蜘蛛が、緑色の体液を撒き散らして、動かなくなった。
しかし、残りの三匹が、カイさんの隙を突いて、私の方へと迫ってくる!
「ユキ! 弾を!」
カイさんの声が飛ぶ!
私は、障壁を維持しながら、もう片方の手に魔力を集中させ、『魔力弾』を放つ!
パシュン! パシュン!
狙いは定まらないけれど、とにかく、数を撃つ!
一発が、蜘蛛の一匹の足に当たり、動きを鈍らせる!
「よし!」
その隙を、カイさんは逃さない。
翻身し、残りの蜘蛛たちを一閃のもとに切り伏せた。
「……はぁ……はぁ……」
全ての魔物が動かなくなったのを確認し、私はその場にへたり込んだ。
初めての、実戦。
心臓は、まだバクバクと音を立てている。
手も、足も、震えが止まらない。
「……立てるか?」
カイさんが、剣を鞘に収めながら、私に手を差し伸べてくれた。
「は、はい……。ありがとうございます……」
彼の手を借りて立ち上がる。
足が、まだ少し、ふらつく。
「……初めてにしては、まあまあだ。
だが、今の魔物はこの森では、まだ序の口だぞ」
カイさんは、厳しい表情で言った。
「ここからが、本番だ。
気を引き締めろ」
彼の言葉に、私は改めて、この森の恐ろしさと、自分たちの旅の過酷さを思い知らされた。
忘却の森は、まだ、そのほんの入り口を見せたに過ぎないのだ。
私たちの、本当の試練は、まだ始まったばかりだった。
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