58 / 67
58☆あなたはわたしの光②《エミリー・ウォルナット視点》
しおりを挟む
「べっっっっ…………!!!!!!!」
思わず叫びだしそうになって、慌てて両手で口を塞ぐ。
同様にベアトリーチェも赤い唇に人差し指をあてて、「しー」とジェスチャーしていた。
そんな仕草も麗しい。
さすがベアトリーチェ様。木を登っていらしても森の女神のよう――と、うっとりしている場合ではない。
(ベアトリーチェ様! ご無事で何よりです! はやくこちらへ……!!)
(ありがとう、エミリー。無事で安心したわ)
エミリーが窓を開け放ち、小声で訴えつつ室内へ入って身を隠すよう促す。しかし、ベアトリーチェは太い枝に乗ったまま、その場から動かない。
(――巻き込んでしまって、ごめんなさいね)
怖かったでしょう?
ベアトリーチェの穏やかな声を聴いた瞬間、温かい涙が静かに頬を伝った。
――ああ、ベアトリーチェ様だ。
出会って間もない上に、離れていたのはほんのわずかな時間。なのに、とめどもなく涙が溢れる。
(だ、だいじょうぶです……わたしは……グイード様が、よくしてくださってます)
(そう……それならよかったわ)
丁重に扱ってもらえているのね。
心から安心したようにほほ笑む姿に嗚咽まで出そうになる。
でも、ここで泣いてはいられない。まだ何も解決していないのだ。
エミリーはツンと鼻の奥を刺激する痛みを何とか堪え、新調したばかりの眼鏡をはずし、ごしごしと目じりを拭いながら「……ここは危険です、早く身を隠されてくださいませ!」とベアトリーチェに涙声で伝える。
(私はこの身がどうなろうと、ベアトリーチェ様が不利になる発言は決して致しません! 安心してください!)
(……その事だけどね、エミリー)
エミリーの決意のこもった瞳に、ベアトリーチェはなんとも言えない表情を浮かべながら何かを投げ飛ばしてきた。
二人の間を弧を描いて飛ぶソレ。
きらきらと太陽の光を纏ったそれを、手を伸ばして慌てて受け取る―――手のひらに、硬くてずっしりとした感触。恐る恐る指を開けてみると、じゃらりとした金属音―――赤く煌めく宝石がはめ込まれた、豪華なネックレスだ。
(こ、これは――?)
(身を守るものよ。いい? 決してその身から離さないで)
いいつつ、ベアトリーチェが自身の首を指さす。今すぐつけろと言う事だろうか。
エミリーはこんな高価そうなものを私なんかが……と、躊躇しつつも、言われるがまま頷き、ネックレスをつけるとベアトリーチェをみた。
(ありがとう。それでいいわ)
ベアトリーチェはそこで初めて、心から安堵したような笑顔を浮かべた。
(ですが、ベアトリーチェ様。これは本来ベアトリーチェ様がつけられるべきなのでは―――)
(あら? わたくしをあなどらないでもらえるかしら)
わたくし、強いのよ。
ふふ、と微笑む彼女は妖艶で、その美しい頬が土や煤で汚れていたとしても絶対的な優美さを身に纏っていた。
(………もう行くわね、エミリー)
(……あ、はい……ッ!?)
確かにベアトリーチェは「もう行く」と言った。
なのに、一旦エミリーのいる窓枠までジャンプし、飛び移ってきた。なんてかろやかな跳躍。
ベアトリーチェ様は小鳥だったのだろうか。
木々が揺れ、木の葉が舞い散る。
目の前にベアトリーチェの美顔が迫り、あまりの迫力にどきまぎしていると、つけたばかりのネックレスを服の中に直し込まれながら「――これは人に見られないようにね」と言われた。
「は、はひ……承知しまし……」
「……エミリー。お前は一目で薬草を見分けられるのと同じように、人を見る目がある」
「……え?」
「自分の直感を信じるのよ。そして、常に警戒しなさい」
真剣なベアトリーチェの瞳。
強気な瞳の中に、また不安げな色が混ざっていた。
「わたくしの代わりに、そのネックレスを持っておくこと。いいわね」
「……はい!」
「約束よ」
言いながら、ベアトリーチェはなんと自分の紅髪を一本引き抜いた。まるでシルクのようなその絹髪。ああ、なんともったいない――と、おもっていると、なんとその髪の毛を「約束ね」と言いつつ、エミリーの小指に絡ませ、結び付けてきた。
「あ、あわわ……」
「気持ち悪いだろうけど、次会う時までこのままでいてほしい」
普通の人間なら気持ち悪いとおもうだろう。
しかし、相手があの憧れのベアトリーチェで、さらにその髪は赤い糸のようにつややかで神々しい。心なしか、キラキラと光を纏っているようにも見える。自分のかさついた茶髪とは大違いの、美しい艶髪。
まるで『運命の赤い糸』のよう。
エミリーはどの宝石よりも、その髪の毛が美しく、嬉しいと感じてしまい――さすがに「自分、気持ち悪すぎるのでは?!」と恥じて唇を噛みしめてしまった。その様子を違う意味に捉えたのか、ベアトリーチェが小首をかしげて苦笑する。
「……悪いわね、つき合わせてしまって」
「い、いえ!! 断じてそんな……!! 」
むしろご褒美で……!!
そう言いきらないうちに、ぽんと、頭に手を置かれて撫でられた。
「いい子ね。―――では、また会いましょう」
ボンっと爆発するように赤面している間に、頭にぬくもりをのこしたままベアトリーチェの手が離れた。
かと思うと、彼女は美しい跳躍を見せ、なんと二階から飛び降りたのだ。
エミリーが恐怖で叫ぶ間もなく、ベアトリーチェは華麗な着地を披露し、まるで諜報員かのような身のこなしで風のように去っていった。
「す、ごい………」
そして、美しい。
高い位置でくくられた赤髪が、まるで神獣、フェニックスの尾のようにも見えた。
それこそ、夢見心地な気持ちでベアトリーチェが去っていった背中を眺めていると―――。
「エミリー様」
「は、はいぃ!??」
こんこん、と控えめにノックされ、心臓が飛び出しそうになった。
「今、よろしいでしょうか?」
「あ……はい! 大丈夫です!」
エミリーの返事を聞いて、穏やかな顔をした執事が扉を開ける―――もしや、ベアトリーチェとの会話を聞かれただろうかと動悸が早まり、無意識に服の中のネックレスをぎゅうっと握ってしまう。
「………あの、どうかされましたか……?」
「エミリー様に、お客様が来られておりますよ」
「え? 私に、ですか?」
「ええ、応接間にいらしておいでです。もしよろしければ、このままご案内しても?」
「は、はい……」
誰だろう。
促されるままに、執事の後ろについていくと、この別邸で一番豪華な応接間に案内された。それだけで、上位階級の方だと察して、背筋が伸びる。
執事がうやうやしく扉を開け――その先の光景に、目を見開いた。
「こんにちは、エミリー・ウォルナット嬢」
「あ………」
「はじめてお目にかかりますわね、私は、リリィ・ハルモニアと申します」
そこにいたのは、夢の中の《大聖女様》と同じ髪と瞳をした聖女様がほほ笑んでいた。
思わず叫びだしそうになって、慌てて両手で口を塞ぐ。
同様にベアトリーチェも赤い唇に人差し指をあてて、「しー」とジェスチャーしていた。
そんな仕草も麗しい。
さすがベアトリーチェ様。木を登っていらしても森の女神のよう――と、うっとりしている場合ではない。
(ベアトリーチェ様! ご無事で何よりです! はやくこちらへ……!!)
(ありがとう、エミリー。無事で安心したわ)
エミリーが窓を開け放ち、小声で訴えつつ室内へ入って身を隠すよう促す。しかし、ベアトリーチェは太い枝に乗ったまま、その場から動かない。
(――巻き込んでしまって、ごめんなさいね)
怖かったでしょう?
ベアトリーチェの穏やかな声を聴いた瞬間、温かい涙が静かに頬を伝った。
――ああ、ベアトリーチェ様だ。
出会って間もない上に、離れていたのはほんのわずかな時間。なのに、とめどもなく涙が溢れる。
(だ、だいじょうぶです……わたしは……グイード様が、よくしてくださってます)
(そう……それならよかったわ)
丁重に扱ってもらえているのね。
心から安心したようにほほ笑む姿に嗚咽まで出そうになる。
でも、ここで泣いてはいられない。まだ何も解決していないのだ。
エミリーはツンと鼻の奥を刺激する痛みを何とか堪え、新調したばかりの眼鏡をはずし、ごしごしと目じりを拭いながら「……ここは危険です、早く身を隠されてくださいませ!」とベアトリーチェに涙声で伝える。
(私はこの身がどうなろうと、ベアトリーチェ様が不利になる発言は決して致しません! 安心してください!)
(……その事だけどね、エミリー)
エミリーの決意のこもった瞳に、ベアトリーチェはなんとも言えない表情を浮かべながら何かを投げ飛ばしてきた。
二人の間を弧を描いて飛ぶソレ。
きらきらと太陽の光を纏ったそれを、手を伸ばして慌てて受け取る―――手のひらに、硬くてずっしりとした感触。恐る恐る指を開けてみると、じゃらりとした金属音―――赤く煌めく宝石がはめ込まれた、豪華なネックレスだ。
(こ、これは――?)
(身を守るものよ。いい? 決してその身から離さないで)
いいつつ、ベアトリーチェが自身の首を指さす。今すぐつけろと言う事だろうか。
エミリーはこんな高価そうなものを私なんかが……と、躊躇しつつも、言われるがまま頷き、ネックレスをつけるとベアトリーチェをみた。
(ありがとう。それでいいわ)
ベアトリーチェはそこで初めて、心から安堵したような笑顔を浮かべた。
(ですが、ベアトリーチェ様。これは本来ベアトリーチェ様がつけられるべきなのでは―――)
(あら? わたくしをあなどらないでもらえるかしら)
わたくし、強いのよ。
ふふ、と微笑む彼女は妖艶で、その美しい頬が土や煤で汚れていたとしても絶対的な優美さを身に纏っていた。
(………もう行くわね、エミリー)
(……あ、はい……ッ!?)
確かにベアトリーチェは「もう行く」と言った。
なのに、一旦エミリーのいる窓枠までジャンプし、飛び移ってきた。なんてかろやかな跳躍。
ベアトリーチェ様は小鳥だったのだろうか。
木々が揺れ、木の葉が舞い散る。
目の前にベアトリーチェの美顔が迫り、あまりの迫力にどきまぎしていると、つけたばかりのネックレスを服の中に直し込まれながら「――これは人に見られないようにね」と言われた。
「は、はひ……承知しまし……」
「……エミリー。お前は一目で薬草を見分けられるのと同じように、人を見る目がある」
「……え?」
「自分の直感を信じるのよ。そして、常に警戒しなさい」
真剣なベアトリーチェの瞳。
強気な瞳の中に、また不安げな色が混ざっていた。
「わたくしの代わりに、そのネックレスを持っておくこと。いいわね」
「……はい!」
「約束よ」
言いながら、ベアトリーチェはなんと自分の紅髪を一本引き抜いた。まるでシルクのようなその絹髪。ああ、なんともったいない――と、おもっていると、なんとその髪の毛を「約束ね」と言いつつ、エミリーの小指に絡ませ、結び付けてきた。
「あ、あわわ……」
「気持ち悪いだろうけど、次会う時までこのままでいてほしい」
普通の人間なら気持ち悪いとおもうだろう。
しかし、相手があの憧れのベアトリーチェで、さらにその髪は赤い糸のようにつややかで神々しい。心なしか、キラキラと光を纏っているようにも見える。自分のかさついた茶髪とは大違いの、美しい艶髪。
まるで『運命の赤い糸』のよう。
エミリーはどの宝石よりも、その髪の毛が美しく、嬉しいと感じてしまい――さすがに「自分、気持ち悪すぎるのでは?!」と恥じて唇を噛みしめてしまった。その様子を違う意味に捉えたのか、ベアトリーチェが小首をかしげて苦笑する。
「……悪いわね、つき合わせてしまって」
「い、いえ!! 断じてそんな……!! 」
むしろご褒美で……!!
そう言いきらないうちに、ぽんと、頭に手を置かれて撫でられた。
「いい子ね。―――では、また会いましょう」
ボンっと爆発するように赤面している間に、頭にぬくもりをのこしたままベアトリーチェの手が離れた。
かと思うと、彼女は美しい跳躍を見せ、なんと二階から飛び降りたのだ。
エミリーが恐怖で叫ぶ間もなく、ベアトリーチェは華麗な着地を披露し、まるで諜報員かのような身のこなしで風のように去っていった。
「す、ごい………」
そして、美しい。
高い位置でくくられた赤髪が、まるで神獣、フェニックスの尾のようにも見えた。
それこそ、夢見心地な気持ちでベアトリーチェが去っていった背中を眺めていると―――。
「エミリー様」
「は、はいぃ!??」
こんこん、と控えめにノックされ、心臓が飛び出しそうになった。
「今、よろしいでしょうか?」
「あ……はい! 大丈夫です!」
エミリーの返事を聞いて、穏やかな顔をした執事が扉を開ける―――もしや、ベアトリーチェとの会話を聞かれただろうかと動悸が早まり、無意識に服の中のネックレスをぎゅうっと握ってしまう。
「………あの、どうかされましたか……?」
「エミリー様に、お客様が来られておりますよ」
「え? 私に、ですか?」
「ええ、応接間にいらしておいでです。もしよろしければ、このままご案内しても?」
「は、はい……」
誰だろう。
促されるままに、執事の後ろについていくと、この別邸で一番豪華な応接間に案内された。それだけで、上位階級の方だと察して、背筋が伸びる。
執事がうやうやしく扉を開け――その先の光景に、目を見開いた。
「こんにちは、エミリー・ウォルナット嬢」
「あ………」
「はじめてお目にかかりますわね、私は、リリィ・ハルモニアと申します」
そこにいたのは、夢の中の《大聖女様》と同じ髪と瞳をした聖女様がほほ笑んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
一般人になりたい成り行き聖女と一枚上手な腹黒王弟殿下の攻防につき
tanuTa
恋愛
よく通っている図書館にいたはずの相楽小春(20)は、気づくと見知らぬ場所に立っていた。
いわゆるよくある『異世界転移もの』とかいうやつだ。聖女やら勇者やらチート的な力を使って世界を救うみたいな。
ただ1つ、よくある召喚ものとは異例な点がそこにはあった。
何故か召喚された聖女は小春を含め3人もいたのだ。
成り行き上取り残された小春は、その場にはいなかった王弟殿下の元へ連れて行かれることになるのだが……。
聖女召喚にはどうも裏があるらしく、小春は巻き込まれる前にさっさと一般人になるべく画策するが、一筋縄では行かなかった。
そして。
「──俺はね、聖女は要らないんだ」
王弟殿下であるリュカは、誰もが魅了されそうな柔和で甘い笑顔を浮かべて、淡々と告げるのだった。
これはめんどくさがりな訳あり聖女(仮)と策士でハイスペック(腹黒気味)な王弟殿下の利害関係から始まる、とある異世界での話。
1章完結。2章不定期更新。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる