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第一章 兄の代役?望まれぬ結婚は誰も得しないのですが
14・この馬車は地獄行き
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朝、光がカーテン越しに差し込んだ。
ライネルはうっすらと目を開ける。
(……あれ、眩しい。どうして?)
目を擦りながら起き上がったライネルは、まだ目覚めていない頭で周りを見渡した。
ふかふかの布団、柔らかい寝巻き、静かな部屋。
「そっか……もう侯爵邸じゃないんだ」
ほうっと安堵のため息を吐くが、どれもまだ、ライネルには落ち着かない贅沢だった。
「おはようございます、ライネル様」
控えめなノックの音とともに、フィオナが顔をのぞかせる。
彼女の手には銀の盆。パンとスープと温かいミルクの香りが広がった。
「ひゃっ……!? す、すみません!居候なのにいつまでも寝てて!」
「……何を仰っているんです?ライネル様はいずれ男爵夫人になられる方です。お気になさらず、お顔を洗っていらしてください」
「は、はい……」
(男爵夫人……なんというパワーワード)
ライネルは複雑な気持ちで朝の支度を始めた。
洗面台の水は冷たすぎず熱すぎず。
タオルは絹みたいに柔らかい。
――貴族の朝って、こういうものなんだ。
「得難い経験をさせてもらってるなぁ……短い間だけだろうけど」
言葉にしてしまった瞬間、胸の奥にひんやりとした風が吹く。そしてその冷たさは、紛れもない“現実”なのだ。
食事を終え廊下に出ると、ちょうどアルヴェリオが向こうから歩いて来た。
淡い朝の日差しに金の髪が透けて、まるで絵画の一部みたいだった。
「おはよう。眠れたか?」
「はい!ふかふかの布団のおかげで、ぐっすりです」
「それは良かった」
アルヴェリオが微かに笑う。
(あ、今の笑顔、反則……!)
「今日は少し庭を歩いてみるといい」
「庭を散歩?」
(そんな優雅な朝の時間の過ごし方ある?)
「いえ、アルヴェリオ様。そろそろ僕に何か仕事をさせてください」
だっていたたまれない。こんな贅沢しながら一日ぼんやりしてるなんて。
「……今、君は俺の婚約者という立場なのだからゆっくりしてくれ」
「ゆっくりとは……?」
ライネルの辞書にそんな言葉はない。あるのは『炊事』『洗濯』『掃除』それから『アシュレイの意地悪に耐える』ことだ。
「何かしたいことはないのか?例えば本を読むとか買い物とか」
「買い物ならできます!野菜ですか肉ですか?!」
「……落ち着いてくれ」
アルヴェリオは指でこめかみを押さえるが、ライネルは何を間違えたのか分からず項垂れた。
「すまない、俺がもう少し時間があれば一緒に遊んでやれるんだが。……今、西にある領地にかかりっきりでな」
「領地?西にもあるんですか?男爵邸の周りだけかと……」
「あるんだよ。まるで発展していない負の遺産が」
「負の遺産……」
男爵家の西にある領地は前当主がこだわりを持って作った集落だ。
規模こそ小さいが、宝石加工や工芸品、ガラス工芸など、それぞれ一流の職人たちが工房を構えて暮らしている。
だが……
「住民たちの癖が強くてな。頑固だし気難しいし。職人村なんて呼ばれているが、こだわり抜いた仕事しかしないから利益はまったく出ていない。それどころか、別の領地の収入をその村に充てているから主要な街も発展が遅れている……ああ、すまない。朝からこんな愚痴を」
「いえ、僕に何か手伝えることがあればいいんですが……」
「気にしないでくれ。当主の仕事だ。じゃあまた、夕食で」
「はい!行ってらっしゃいませ!」
振り返ったアルヴェリオの笑顔は、どこか遠いところを見ていた。
「当主って大変だなぁ……」
けれど、自分に何ができるわけでもないし、そもそも男爵夫人と言う地位はアシュレイのものだ。今後二人がうまくいけば自分はこの場所から去るのだから。
「ライネル様どうしました?」
後ろに控えていたフィオナの声でライネルは、はっと我にかえる。
「なんでもないです。本を読んでみたいので、何か貸していただけますか?」
「もちろんでございます。それでは当男爵家の自慢の書庫にご案内いたしましょう」
少し気持ちは沈んだが本を読めるのは嬉しい。ライネルはフィオナの後について歩き出した。
それからしばらくして、アルヴェリオが侯爵家に送った手紙の返事が届いた。
「なんて書いてありますか?アルヴェリオ様」
「待てよ。えーと……まあ、訪問は許可された」
含みのある言い方に、ライネルは気付いた。
(きっととんでもなく無礼な上から目線の返事なんだろうな。まったくあの家族は……)
こんな状態では大した歓迎もされないだろう。ライネルはアルヴェリオに言った。
「当日は僕もご一緒させてください」
そんなライネルの言葉に複雑な顔を見せたアルヴェリオだが、ライネルの真剣な表情に渋々と頷く。
(あ、もしかして僕が二人の邪魔をするって心配してるんだろうか。そんな事ないのに何だか哀しいな……それにしてもアルヴェリオ様はなんて愛情深いんだろう)
これだけ愛されれば、あのねじ曲がった性根も直るに違いない。いや、絶対直るはず。
ライネルは不可能に近いと分かっていながらもそんな希望を持つことにする。
そして当日。
予定通り馬車に乗り、二人で侯爵邸に向かった。生憎の雨模様で、冷たい雨と共に厚い雲が低く垂れこめていてる。
(一体どんな失礼なことをしてくるつもりだろう)
ライネルは鬱々と考えた。
……まるで、これからの行く末を映すように、馬車の車輪がぬかるみを踏みしめる音だけが、車内に響いていた。
ライネルはうっすらと目を開ける。
(……あれ、眩しい。どうして?)
目を擦りながら起き上がったライネルは、まだ目覚めていない頭で周りを見渡した。
ふかふかの布団、柔らかい寝巻き、静かな部屋。
「そっか……もう侯爵邸じゃないんだ」
ほうっと安堵のため息を吐くが、どれもまだ、ライネルには落ち着かない贅沢だった。
「おはようございます、ライネル様」
控えめなノックの音とともに、フィオナが顔をのぞかせる。
彼女の手には銀の盆。パンとスープと温かいミルクの香りが広がった。
「ひゃっ……!? す、すみません!居候なのにいつまでも寝てて!」
「……何を仰っているんです?ライネル様はいずれ男爵夫人になられる方です。お気になさらず、お顔を洗っていらしてください」
「は、はい……」
(男爵夫人……なんというパワーワード)
ライネルは複雑な気持ちで朝の支度を始めた。
洗面台の水は冷たすぎず熱すぎず。
タオルは絹みたいに柔らかい。
――貴族の朝って、こういうものなんだ。
「得難い経験をさせてもらってるなぁ……短い間だけだろうけど」
言葉にしてしまった瞬間、胸の奥にひんやりとした風が吹く。そしてその冷たさは、紛れもない“現実”なのだ。
食事を終え廊下に出ると、ちょうどアルヴェリオが向こうから歩いて来た。
淡い朝の日差しに金の髪が透けて、まるで絵画の一部みたいだった。
「おはよう。眠れたか?」
「はい!ふかふかの布団のおかげで、ぐっすりです」
「それは良かった」
アルヴェリオが微かに笑う。
(あ、今の笑顔、反則……!)
「今日は少し庭を歩いてみるといい」
「庭を散歩?」
(そんな優雅な朝の時間の過ごし方ある?)
「いえ、アルヴェリオ様。そろそろ僕に何か仕事をさせてください」
だっていたたまれない。こんな贅沢しながら一日ぼんやりしてるなんて。
「……今、君は俺の婚約者という立場なのだからゆっくりしてくれ」
「ゆっくりとは……?」
ライネルの辞書にそんな言葉はない。あるのは『炊事』『洗濯』『掃除』それから『アシュレイの意地悪に耐える』ことだ。
「何かしたいことはないのか?例えば本を読むとか買い物とか」
「買い物ならできます!野菜ですか肉ですか?!」
「……落ち着いてくれ」
アルヴェリオは指でこめかみを押さえるが、ライネルは何を間違えたのか分からず項垂れた。
「すまない、俺がもう少し時間があれば一緒に遊んでやれるんだが。……今、西にある領地にかかりっきりでな」
「領地?西にもあるんですか?男爵邸の周りだけかと……」
「あるんだよ。まるで発展していない負の遺産が」
「負の遺産……」
男爵家の西にある領地は前当主がこだわりを持って作った集落だ。
規模こそ小さいが、宝石加工や工芸品、ガラス工芸など、それぞれ一流の職人たちが工房を構えて暮らしている。
だが……
「住民たちの癖が強くてな。頑固だし気難しいし。職人村なんて呼ばれているが、こだわり抜いた仕事しかしないから利益はまったく出ていない。それどころか、別の領地の収入をその村に充てているから主要な街も発展が遅れている……ああ、すまない。朝からこんな愚痴を」
「いえ、僕に何か手伝えることがあればいいんですが……」
「気にしないでくれ。当主の仕事だ。じゃあまた、夕食で」
「はい!行ってらっしゃいませ!」
振り返ったアルヴェリオの笑顔は、どこか遠いところを見ていた。
「当主って大変だなぁ……」
けれど、自分に何ができるわけでもないし、そもそも男爵夫人と言う地位はアシュレイのものだ。今後二人がうまくいけば自分はこの場所から去るのだから。
「ライネル様どうしました?」
後ろに控えていたフィオナの声でライネルは、はっと我にかえる。
「なんでもないです。本を読んでみたいので、何か貸していただけますか?」
「もちろんでございます。それでは当男爵家の自慢の書庫にご案内いたしましょう」
少し気持ちは沈んだが本を読めるのは嬉しい。ライネルはフィオナの後について歩き出した。
それからしばらくして、アルヴェリオが侯爵家に送った手紙の返事が届いた。
「なんて書いてありますか?アルヴェリオ様」
「待てよ。えーと……まあ、訪問は許可された」
含みのある言い方に、ライネルは気付いた。
(きっととんでもなく無礼な上から目線の返事なんだろうな。まったくあの家族は……)
こんな状態では大した歓迎もされないだろう。ライネルはアルヴェリオに言った。
「当日は僕もご一緒させてください」
そんなライネルの言葉に複雑な顔を見せたアルヴェリオだが、ライネルの真剣な表情に渋々と頷く。
(あ、もしかして僕が二人の邪魔をするって心配してるんだろうか。そんな事ないのに何だか哀しいな……それにしてもアルヴェリオ様はなんて愛情深いんだろう)
これだけ愛されれば、あのねじ曲がった性根も直るに違いない。いや、絶対直るはず。
ライネルは不可能に近いと分かっていながらもそんな希望を持つことにする。
そして当日。
予定通り馬車に乗り、二人で侯爵邸に向かった。生憎の雨模様で、冷たい雨と共に厚い雲が低く垂れこめていてる。
(一体どんな失礼なことをしてくるつもりだろう)
ライネルは鬱々と考えた。
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