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第14話 ラクーン
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「ラクーン族は伝説の九尾族と異なり、ただ珍しいだけに過ぎないのだが、狸に似た耳と尻尾を持つ種族のことだ」
「狸なら知ってる。ラクーン族は精霊? を扱うに適した特性を持っている?」
「いかにも。精霊術のことは?」
「シャーマニズムは遥かな古代に精霊を操るシャーマンや巫女がいて、だっけ」
「間違ってはいないが、古代の話ではないな」
ここで言葉を切ったイデアが店の扉ではなく、トレーラーハウスの後部に周り、勝手口を開く。
案内されるままに中へ入ると、丸い窓が一つある小部屋になっていた。そこには、三人で座るには少し窮屈であったが小さなテーブルと丸椅子がおかれている。
内装はこげ茶色の板張りで、床は明るい琥珀色のフローリングになっていた。壁に棚が打ち付けられていて、そこにコップやポットが並べてある。
何この素的空間。まるでキャンピングカーのような一室に俺の男心がくすぐられまくったぞ。
「見た方が理解が早い」
イデアがポットを水甕に突っ込み、盆の上にそれを置く。
盆をテーブルに置いた彼女は立ったまま目を閉じ、ポットに右手をかざす。
彼女のオレンジに金色が混じった髪がフワリと浮き、手のひらがぽうとオレンジ色に光る。
オレンジ色の光からは魔力を感じた。
「おお、無詠唱」
「興味深いです」
俺の感想に重なるようにしてペネロペも感嘆の声を出す。ま、まあ彼女の方は抑揚のない声だったのだけど、彼女なりに感嘆しているってことで。
無詠唱で魔法を発動させる人は稀だ。あ、そうか、彼女の発動した魔法は魔法陣魔法ではないのか。
間もなくしてポットから湯気があがりはじめていた。
「これが精霊術だ」
「見せてくれてありがとう。魔法にはこのようなやり方もあるんだって感動したよ」
俺の反応にイデアが鋭い目を更に細める。
「おもしろい。『このようなやり方』ときたか」
「あ、まあ」
「まずは話の整理から、だったな。先にそちらから解決することにしよう」
「うん、俺としても順番に整理したい」
紅茶を淹れながらイデアが精霊術のことを詳しく解説してくれた。
精霊術は大気中に漂う元素やエレメンタルといわれる力を取り込み発動させる魔法とのこと。
火、水、風とか元素にはそれぞれ力の特性があって、ポットを温めたのは火の元素を体内に取り込み水を温める力に変えた。
「精霊術を使うには元素やエレメンタルとよばれる魔力の塊を感じ取る能力が必要になる」
「ラクーン族は種族特性として元素を感じ取る力があるってことかな?」
「概ね認識の通りだ。ラクーン族の多くは元素を感じ取る力がある。といっても、ラクーン族だけの特性ではないから、特別というほどでもない」
「おお。さっき口にしてた九尾族とか、俺の想像だと他にはエルフ族とかかな」
精霊術、おもしろいな。
ふむふむと感心して頷く俺にイデアが「誤解を解いておく」と前置きして続ける。
「九尾族は認識通りだ。彼らは取り込むことができる元素量が無尽蔵だ。故に伝説のような大精霊術を使うことができる。もっとも、私は50年間、これまで一度たりとも九尾族実在の噂はあるものの、実在が確認できたという話は聞かない」
「なんだかすごそうな種族だな。実在が疑われるなら、おとぎ話の伝説というのも頷ける」
「一方、エルフは元素を感じ取る力を持つ者は半々くらいだ。一部のエルフは『他の』魔法を使うとも聞く」
「精霊術とラクーン族についてはだいたい分かったよ。ありがとう」
エルフや九尾の話になると、また話が明後日の方向に行ってしまいそうだったので、ここで話を切ることにした。
精霊術を聞いたことがない理由も分かったよ。俺が生きていた過去はマナ密度が枯渇寸前の世界だった。
元素なる力が形成されるほどのマナがないもの。
緻密な魔法陣を構築し発動する魔法陣魔法とは真逆の術理を持つのが精霊術ってところか。
精霊術は魔法陣という複雑な回路を脳内で構築する必要もなく、元素を取り込み発動するというシンプルなものだ。習得に時間がかからないのがメリットであるが、元素を感じ取るという才能が必要になる。一方の魔法陣魔法は学習に時間を要するが魔力を持つ者なら誰でも発動することができるのが利点か。
この魔力を持つ者ってのも才能といえば才能なのだけど、魔力を持たない者は過去において全人口の0.1パーセントだったと思う。
とまあそんな割合なので魔法陣魔法は誰でも扱うことのできる魔法と言って差しさわりがない。ちなみにであるが、0.1パーセントの人は報われないわけじゃあないぞ。むしろその逆である。魔力を持たない、というのはある種の特殊能力で、魔力の流れを遮断したり、とその特性を生かした仕事についていた。
「理解できて何よりだ。店に案内する前に私からも二つ教えてくれないか? もちろん、強制ではない」
「魔法について、だったかな?」
紅茶を一口飲み、首肯するイデア。つられるように俺も紅茶を口元に近づける。
おお、紅茶の良い香りがするじゃないか! 甘い香りも交じっているな、これ。やはりこの時代、いや、フェンブレンの街の食文化は素晴らしい。
「いかにも。このような魔法とは、精霊術以外の術理があると示していると受け取った。特に秘匿するでもないし、君も知っていることかもしれないが、認識合わせをさせてほしい。その前に君はこの街の者ではないな」
「その通りだ。だから街の常識と異なる見解を持っているよ」
「素晴らしい。私は知見を広げることに目がなくてね」
「俺も博識なイデアに出会えて幸運だったよ」
俺の素性を訝しむではなく、純粋な好奇心で接してくれるのはありがたいことだ。
「私の知る魔法は4種ある。精霊術、古代魔法、魔法陣魔法、そして、アーティファクトだ」
「アーティファクトを魔法に入れる、は面白い。俺の知るものは魔法陣魔法と魔道具だな」
「ふむ。フェンブレンや周辺地域で一般的に認知されているものは精霊術のみだ。つまり、魔法といえば精霊術と同じになる」
「使い分けされておらず、精霊術といったり魔法といったりするのかな?」
「概ねその通りだ」
続いてイデアが俺の知らぬといった古代魔法について補足してくれた。
古代魔法は長命種の種族――主にエルフ族のうちでも特に長命なハイエルフとかフォレストエルフと呼ばれる種族が使う魔法である。
どのように魔法を構築し発動させているのかは不明。原始に近い魔法の使い方をしているのでは、というのがイデアの推測だ。
原初や原始と言われても難しいところだなあ。2000年前には魔法陣魔法が栄えていたのだけど、それでも十分な過去だよな。
古代魔法が2000年より後なのか更に前なのかも不明で実際に古代魔法とやらを見てみるまで何とも言えない。
「狸なら知ってる。ラクーン族は精霊? を扱うに適した特性を持っている?」
「いかにも。精霊術のことは?」
「シャーマニズムは遥かな古代に精霊を操るシャーマンや巫女がいて、だっけ」
「間違ってはいないが、古代の話ではないな」
ここで言葉を切ったイデアが店の扉ではなく、トレーラーハウスの後部に周り、勝手口を開く。
案内されるままに中へ入ると、丸い窓が一つある小部屋になっていた。そこには、三人で座るには少し窮屈であったが小さなテーブルと丸椅子がおかれている。
内装はこげ茶色の板張りで、床は明るい琥珀色のフローリングになっていた。壁に棚が打ち付けられていて、そこにコップやポットが並べてある。
何この素的空間。まるでキャンピングカーのような一室に俺の男心がくすぐられまくったぞ。
「見た方が理解が早い」
イデアがポットを水甕に突っ込み、盆の上にそれを置く。
盆をテーブルに置いた彼女は立ったまま目を閉じ、ポットに右手をかざす。
彼女のオレンジに金色が混じった髪がフワリと浮き、手のひらがぽうとオレンジ色に光る。
オレンジ色の光からは魔力を感じた。
「おお、無詠唱」
「興味深いです」
俺の感想に重なるようにしてペネロペも感嘆の声を出す。ま、まあ彼女の方は抑揚のない声だったのだけど、彼女なりに感嘆しているってことで。
無詠唱で魔法を発動させる人は稀だ。あ、そうか、彼女の発動した魔法は魔法陣魔法ではないのか。
間もなくしてポットから湯気があがりはじめていた。
「これが精霊術だ」
「見せてくれてありがとう。魔法にはこのようなやり方もあるんだって感動したよ」
俺の反応にイデアが鋭い目を更に細める。
「おもしろい。『このようなやり方』ときたか」
「あ、まあ」
「まずは話の整理から、だったな。先にそちらから解決することにしよう」
「うん、俺としても順番に整理したい」
紅茶を淹れながらイデアが精霊術のことを詳しく解説してくれた。
精霊術は大気中に漂う元素やエレメンタルといわれる力を取り込み発動させる魔法とのこと。
火、水、風とか元素にはそれぞれ力の特性があって、ポットを温めたのは火の元素を体内に取り込み水を温める力に変えた。
「精霊術を使うには元素やエレメンタルとよばれる魔力の塊を感じ取る能力が必要になる」
「ラクーン族は種族特性として元素を感じ取る力があるってことかな?」
「概ね認識の通りだ。ラクーン族の多くは元素を感じ取る力がある。といっても、ラクーン族だけの特性ではないから、特別というほどでもない」
「おお。さっき口にしてた九尾族とか、俺の想像だと他にはエルフ族とかかな」
精霊術、おもしろいな。
ふむふむと感心して頷く俺にイデアが「誤解を解いておく」と前置きして続ける。
「九尾族は認識通りだ。彼らは取り込むことができる元素量が無尽蔵だ。故に伝説のような大精霊術を使うことができる。もっとも、私は50年間、これまで一度たりとも九尾族実在の噂はあるものの、実在が確認できたという話は聞かない」
「なんだかすごそうな種族だな。実在が疑われるなら、おとぎ話の伝説というのも頷ける」
「一方、エルフは元素を感じ取る力を持つ者は半々くらいだ。一部のエルフは『他の』魔法を使うとも聞く」
「精霊術とラクーン族についてはだいたい分かったよ。ありがとう」
エルフや九尾の話になると、また話が明後日の方向に行ってしまいそうだったので、ここで話を切ることにした。
精霊術を聞いたことがない理由も分かったよ。俺が生きていた過去はマナ密度が枯渇寸前の世界だった。
元素なる力が形成されるほどのマナがないもの。
緻密な魔法陣を構築し発動する魔法陣魔法とは真逆の術理を持つのが精霊術ってところか。
精霊術は魔法陣という複雑な回路を脳内で構築する必要もなく、元素を取り込み発動するというシンプルなものだ。習得に時間がかからないのがメリットであるが、元素を感じ取るという才能が必要になる。一方の魔法陣魔法は学習に時間を要するが魔力を持つ者なら誰でも発動することができるのが利点か。
この魔力を持つ者ってのも才能といえば才能なのだけど、魔力を持たない者は過去において全人口の0.1パーセントだったと思う。
とまあそんな割合なので魔法陣魔法は誰でも扱うことのできる魔法と言って差しさわりがない。ちなみにであるが、0.1パーセントの人は報われないわけじゃあないぞ。むしろその逆である。魔力を持たない、というのはある種の特殊能力で、魔力の流れを遮断したり、とその特性を生かした仕事についていた。
「理解できて何よりだ。店に案内する前に私からも二つ教えてくれないか? もちろん、強制ではない」
「魔法について、だったかな?」
紅茶を一口飲み、首肯するイデア。つられるように俺も紅茶を口元に近づける。
おお、紅茶の良い香りがするじゃないか! 甘い香りも交じっているな、これ。やはりこの時代、いや、フェンブレンの街の食文化は素晴らしい。
「いかにも。このような魔法とは、精霊術以外の術理があると示していると受け取った。特に秘匿するでもないし、君も知っていることかもしれないが、認識合わせをさせてほしい。その前に君はこの街の者ではないな」
「その通りだ。だから街の常識と異なる見解を持っているよ」
「素晴らしい。私は知見を広げることに目がなくてね」
「俺も博識なイデアに出会えて幸運だったよ」
俺の素性を訝しむではなく、純粋な好奇心で接してくれるのはありがたいことだ。
「私の知る魔法は4種ある。精霊術、古代魔法、魔法陣魔法、そして、アーティファクトだ」
「アーティファクトを魔法に入れる、は面白い。俺の知るものは魔法陣魔法と魔道具だな」
「ふむ。フェンブレンや周辺地域で一般的に認知されているものは精霊術のみだ。つまり、魔法といえば精霊術と同じになる」
「使い分けされておらず、精霊術といったり魔法といったりするのかな?」
「概ねその通りだ」
続いてイデアが俺の知らぬといった古代魔法について補足してくれた。
古代魔法は長命種の種族――主にエルフ族のうちでも特に長命なハイエルフとかフォレストエルフと呼ばれる種族が使う魔法である。
どのように魔法を構築し発動させているのかは不明。原始に近い魔法の使い方をしているのでは、というのがイデアの推測だ。
原初や原始と言われても難しいところだなあ。2000年前には魔法陣魔法が栄えていたのだけど、それでも十分な過去だよな。
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