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第18話 生意気だモ
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そろそろ腹も膨れて、エールもたんまり飲んだところでふと思い出す。
リアナが言霊魔法を使うってことに。
「一つ、お願いしたいことがあるんだ。お礼は弾むよ」
「私たちにできることなら」
とやり取りがあり、その日は暗くなっていたので翌朝さっそく付き合ってもらうことにしたんだ。ちょうどリアナたちが翌日を休日にするつもりだったみたいなのでちょうどよかった。俺としては急がないので、いつでもよかったのだけどね。
やってきたのはマーモが出現した門である。
「ここに古代文字が描かれていて」
しゃがんで足元辺りに描かれている古代文字を指す。
ん? あのふてぶてしい顔がいない。
と思ったらカティナに抱っこされていたじゃあないか。自分で歩けよ。
「ダメだった?」
「いや、本人が嫌がらなければ大丈夫だよ」
どうやらカティナが進んで抱っこしていたようだった。彼女は昨日からアレにご執心である。昨日も膝の上にマーモを乗っけていたし。
ともかく……言霊魔法を操るリアナは予想した通り古代文字が読めるようで見える部分を読み上げてくれた。地面に埋まっているところを読まないと意味が繋がらないようだったら掘り返さなきゃな。
「100階ごとに役に立つパートナーを取得することができるようです。種類は……ここで途切れています」
「門に触れれば出てくるのかあ」
チラリとカティナに抱かれたマーモを見やる。相変わらずのふてぶてしさ。俺の感覚でふてぶてしく見えるだけで、実際は違うのかもしれないけどね。なにしろマーモットに表情なんてものがあるのかも分からん。
100階のボーナスがこの門でもらえるとか長年探索者をやっているが知らなかった。
俺が知らなかっただけで探索者の間では有名な話なのかも? リアナたちは探索者を始めたばかりだから知らなくて当然として、ブルーノあたりは知っているのかもな。
餌やりが必要とはいえ、マーモの持つ空間魔法のような箱の能力は有用だ。100階でこれなら200階だとどんなペットが手に入るのかワクワクする。
興味がなかったから知ろうともしなかったけど、Aランクの上、SランクやSSランクの探索者たちは何階くらいまで潜るものなのだろうか。
これまでの最高記録はどんなもんなんだろう? 探索者センターで聞いてみるか。
『箱出していいかモ?』
「ニンジンはもうちょい待って」
『生意気モ』
全言撤回。俺だけの感覚じゃなく、ふてぶてしいで確定だ。
「ありがとう、助かったよ」
お礼を述べるとマーモに目を落としたリアナが神妙な顔で俺を見上げてくる。
「クラウディオさん、100階まで進まれたのですか?」
「うん、今のところ110階まで進んでいるよ」
「ソロで……ですよね」
「そそ」
ここで会話が途切れ、妙な沈黙が気まずい。
彼女はヘクトール、ギリアン、カティナと順に目を合わせ、意を決したように頷き口を開く。
「クラウディオさん、私たちに同行していただけませんか……?」
「同行って、ザ・ワンに?」
「はい、私たちはより早く確実に深層まで進みたいんです」
「リアナたちなら50階辺りでも平気だよ」
実力の一旦しか見ていないけど、バランスがよく、パーティ間の信頼も厚い。30階まで到達できたことから個々の実力と連携が優れていると分かる。
チラ見程度であるものの、ギリアンの剣筋は見事だった。言霊魔法と精霊魔法によって遠距離攻撃やデバブ、バフも可能だろうし、何より麻痺や怪我を癒すことができるヘクトールの存在も大きい。俺から見た彼らは探索者が求めてやまない理想的なパーティだ。
焦らずともまだまだ成長していくだろうし、俺の出る幕なんてないんじゃないかな?
「ダンジョンは困難だと分かってはいたのですが、モンスターの強さと広さで」
「想定していたより進んでいない、と」
「はい」
「幾人もの探索者が挑んでいるからなあ……」
ダンジョンはそう、ホイホイ進むことができるものではない。敵も強くなるし、広い。俺は中で籠っていたから、10階区切りを気にせず進むことができた。物資が現地調達できないからエレベーターもあるし、日帰りでダンジョンを攻略する者が大半だ。
丸一日かけて10階層を進めれば御の字なんじゃないだろうか。単純に強い敵も厄介であるものの、この場合は力比べになる。ところが、麻痺などの嫌らしい攻撃をしてくるのがいたら、パーティの構成によっては対応策がなく引き返しにもなるものなあ。それに9階層進んだ後とかだと、単に進むより引き返した方が距離が長くなることも多々ある。
死と隣り合わせのダンジョンという極限状況の中でパーティの意思統一やら、他にも色々手間がかかるのよな。
「私たちは何としても120階以上に進まなければなりません」
「120……そこに何かあるの?」
「私たちには無理だ、とはおっしゃらないんですね」
「まあそりゃ」
俺一人で何とかなるものならソロで行って戻ってくる方が気が楽だ。120階なら既に到達済みで、エレベーターを使えば即120階より深い階層を攻めることができる。しっかし、彼女らは120階以深で何を求めているんだろう?
疑問を抱くも、すぐにリアナが彼女らの目的に語り始めた。
「解呪の書を求めています。重要度はかなり落ちますが120階の称号も手に入れたいと思ってます」
「解呪の書? 道具屋に売ってないのかな」
「残念ながら、流通に乗ったという話を聞いたことがありません。今も手を尽くしているのですが流通しているものが発見できてません」
「宝箱から出るのかな……?」
恐らく……と彼女が頷く。
ううむ、宝箱か。宝箱を開けるのは命懸けになるんだよなあ。
「箱開けなら任せてくれ」
ビッと親指を立てるギリアンである。
120階までなら迷わないために書いたメモがあるから効率良く進むことは可能。彼女らに同行することで不快な気持ちになることも後ろから刺される可能性もない。
「宝箱から出るものを含め魔石と解呪の書以外は全てクラウディオさんの取り分でいかがでしょうか……」
おずおずとリアナが問いかけてくるが、答えは決まっている。
「楽しそうだ。同行させてくれ。それこら、報酬は五人で分けよう」
「報酬はクラウディオさんに頼りっぱなしになりますし」
「この前は緊急事態だったから……今回は俺にパーティでの闘い方を学ばせて欲しい」
「よっしゃ、そうこなくっちゃな! クラウディオと俺が前だよな、うん」
割って入り、さっそくパーティでの戦い方で一人盛り上がるギリアンであった。
リアナが言霊魔法を使うってことに。
「一つ、お願いしたいことがあるんだ。お礼は弾むよ」
「私たちにできることなら」
とやり取りがあり、その日は暗くなっていたので翌朝さっそく付き合ってもらうことにしたんだ。ちょうどリアナたちが翌日を休日にするつもりだったみたいなのでちょうどよかった。俺としては急がないので、いつでもよかったのだけどね。
やってきたのはマーモが出現した門である。
「ここに古代文字が描かれていて」
しゃがんで足元辺りに描かれている古代文字を指す。
ん? あのふてぶてしい顔がいない。
と思ったらカティナに抱っこされていたじゃあないか。自分で歩けよ。
「ダメだった?」
「いや、本人が嫌がらなければ大丈夫だよ」
どうやらカティナが進んで抱っこしていたようだった。彼女は昨日からアレにご執心である。昨日も膝の上にマーモを乗っけていたし。
ともかく……言霊魔法を操るリアナは予想した通り古代文字が読めるようで見える部分を読み上げてくれた。地面に埋まっているところを読まないと意味が繋がらないようだったら掘り返さなきゃな。
「100階ごとに役に立つパートナーを取得することができるようです。種類は……ここで途切れています」
「門に触れれば出てくるのかあ」
チラリとカティナに抱かれたマーモを見やる。相変わらずのふてぶてしさ。俺の感覚でふてぶてしく見えるだけで、実際は違うのかもしれないけどね。なにしろマーモットに表情なんてものがあるのかも分からん。
100階のボーナスがこの門でもらえるとか長年探索者をやっているが知らなかった。
俺が知らなかっただけで探索者の間では有名な話なのかも? リアナたちは探索者を始めたばかりだから知らなくて当然として、ブルーノあたりは知っているのかもな。
餌やりが必要とはいえ、マーモの持つ空間魔法のような箱の能力は有用だ。100階でこれなら200階だとどんなペットが手に入るのかワクワクする。
興味がなかったから知ろうともしなかったけど、Aランクの上、SランクやSSランクの探索者たちは何階くらいまで潜るものなのだろうか。
これまでの最高記録はどんなもんなんだろう? 探索者センターで聞いてみるか。
『箱出していいかモ?』
「ニンジンはもうちょい待って」
『生意気モ』
全言撤回。俺だけの感覚じゃなく、ふてぶてしいで確定だ。
「ありがとう、助かったよ」
お礼を述べるとマーモに目を落としたリアナが神妙な顔で俺を見上げてくる。
「クラウディオさん、100階まで進まれたのですか?」
「うん、今のところ110階まで進んでいるよ」
「ソロで……ですよね」
「そそ」
ここで会話が途切れ、妙な沈黙が気まずい。
彼女はヘクトール、ギリアン、カティナと順に目を合わせ、意を決したように頷き口を開く。
「クラウディオさん、私たちに同行していただけませんか……?」
「同行って、ザ・ワンに?」
「はい、私たちはより早く確実に深層まで進みたいんです」
「リアナたちなら50階辺りでも平気だよ」
実力の一旦しか見ていないけど、バランスがよく、パーティ間の信頼も厚い。30階まで到達できたことから個々の実力と連携が優れていると分かる。
チラ見程度であるものの、ギリアンの剣筋は見事だった。言霊魔法と精霊魔法によって遠距離攻撃やデバブ、バフも可能だろうし、何より麻痺や怪我を癒すことができるヘクトールの存在も大きい。俺から見た彼らは探索者が求めてやまない理想的なパーティだ。
焦らずともまだまだ成長していくだろうし、俺の出る幕なんてないんじゃないかな?
「ダンジョンは困難だと分かってはいたのですが、モンスターの強さと広さで」
「想定していたより進んでいない、と」
「はい」
「幾人もの探索者が挑んでいるからなあ……」
ダンジョンはそう、ホイホイ進むことができるものではない。敵も強くなるし、広い。俺は中で籠っていたから、10階区切りを気にせず進むことができた。物資が現地調達できないからエレベーターもあるし、日帰りでダンジョンを攻略する者が大半だ。
丸一日かけて10階層を進めれば御の字なんじゃないだろうか。単純に強い敵も厄介であるものの、この場合は力比べになる。ところが、麻痺などの嫌らしい攻撃をしてくるのがいたら、パーティの構成によっては対応策がなく引き返しにもなるものなあ。それに9階層進んだ後とかだと、単に進むより引き返した方が距離が長くなることも多々ある。
死と隣り合わせのダンジョンという極限状況の中でパーティの意思統一やら、他にも色々手間がかかるのよな。
「私たちは何としても120階以上に進まなければなりません」
「120……そこに何かあるの?」
「私たちには無理だ、とはおっしゃらないんですね」
「まあそりゃ」
俺一人で何とかなるものならソロで行って戻ってくる方が気が楽だ。120階なら既に到達済みで、エレベーターを使えば即120階より深い階層を攻めることができる。しっかし、彼女らは120階以深で何を求めているんだろう?
疑問を抱くも、すぐにリアナが彼女らの目的に語り始めた。
「解呪の書を求めています。重要度はかなり落ちますが120階の称号も手に入れたいと思ってます」
「解呪の書? 道具屋に売ってないのかな」
「残念ながら、流通に乗ったという話を聞いたことがありません。今も手を尽くしているのですが流通しているものが発見できてません」
「宝箱から出るのかな……?」
恐らく……と彼女が頷く。
ううむ、宝箱か。宝箱を開けるのは命懸けになるんだよなあ。
「箱開けなら任せてくれ」
ビッと親指を立てるギリアンである。
120階までなら迷わないために書いたメモがあるから効率良く進むことは可能。彼女らに同行することで不快な気持ちになることも後ろから刺される可能性もない。
「宝箱から出るものを含め魔石と解呪の書以外は全てクラウディオさんの取り分でいかがでしょうか……」
おずおずとリアナが問いかけてくるが、答えは決まっている。
「楽しそうだ。同行させてくれ。それこら、報酬は五人で分けよう」
「報酬はクラウディオさんに頼りっぱなしになりますし」
「この前は緊急事態だったから……今回は俺にパーティでの闘い方を学ばせて欲しい」
「よっしゃ、そうこなくっちゃな! クラウディオと俺が前だよな、うん」
割って入り、さっそくパーティでの戦い方で一人盛り上がるギリアンであった。
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そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
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追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
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『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
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