固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ

文字の大きさ
21 / 44

第21話 500階はあるモ

しおりを挟む
「ザ・ワンっの最深部って何階なの?」
『500階はあるモ。今も深く深くなっているはずモ』

 500だと!?
 深層に興味の無かった俺であったが、リアナたちと一緒に潜ることになったので探索者センターで多少のお金を払って情報を仕入れてきたのだ。
 まず探索者ランクについてなのだけど、ランクを決定づけるのは何階まで進んだのか、の一点だけである。
 ランク自体は知っていたが、どうやって上がるのかってのに興味がなく(1階専門だったもので)、資質やらは考慮されてないと知って少し驚いた。
 現在の俺のランクであるEランクからDランクにあがるには4階に到達すればよいとのこと。4階だと証明するものがないのだけど、自己申告でよいのだろうか?
 時間もなく興味もなかったので詳しくは聞いていない。
 間を飛ばして10階到達でCランク、20階到達でBランク、30階到達でAランクにあがることができる。この辺りは分かりやすいな、うん。
 そして、Sランクになるには100階到達になるんだ。それ以降はどこまで潜ってもSランクのママとなる。
 このことから探索者ランクAとSは同じランクだろうが、実力にかなり開きがあることが分かってもらえたと思う。
 ブルーノたちのように30階辺りがせいぜいなパーティとリアナたちは大きな開きがあるけど、同じランクであってもランクの仕組みから仕方がない。
 あとはだな、到達さえすりゃいいのでパーティにくっついて30階踏破の証明書さえ取れればAランクにあがることができるのだ。
 ランクアップの条件を満たしていてもランクアップするかしないかは本人に任される。ランクアップの申請をせずに「上がらない」選択もできるってわけさ。
 なんか穴だらけなランク制度だし、ランクがあがったことによる恩恵はパーティメンバーの斡旋くらいだから俺は現在もEランクのままである。
 Aランクだったら定期的に探索者センターからお金がもらえるとかなら、即飛びついたけど……。
 ここまでの情報は探索者センターで配られている無料冊子にも書かれているのだということだ。
 有償の情報だったのは、現在のAランクの最深部記録とSランクの最新記録だった。
 それぞれ、Aランクは79階、Sランクは132階とのこと。
 ただし、探索者センターに申告があったものに限る。俺のように変に騒がれたくないから申告してない者もいるだろうから、あくまで参考値だな。
 それにしても500階以上か……。

「キリがないなあ」
『根気の無いクラウディオだモ。縮地とランナーを使えば少しはマシになるんじゃないかモ』
「マーモ、俺の持っているスキルの性能が分かるの?」
『クラウディオは一応、マーモのマスターだモ。分かって当然モ』
「そいつは……めっちゃ助かる」
『自分のスキルがどういうものか分からないとか、頭がわいてるんじゃないかモ』

 こ、こいつ言わせておけば。ま、まあ、俺のスキル情報が試さずとも分かるなら許してやろう。
 話に出た「縮地」の方は使ったことがあるが、イマイチ使い勝手が悪かったんだよなあ。切る候補の一つである。
 縮地は一歩の距離が三歩分に伸びるのだけど、感覚的には一歩進んだままで、距離だけが伸びるから気持ち悪くてね。
 直線にしか進めないし、間に何か遮蔽物があると回避もできずぶつかる。
 距離感がつかめなくて戦闘での使用に耐えないんだよね。使いこなせれば戦闘でも活用できそうだが、結構な修練が必要だと思う。
 もう一方のランナーは走った時の疲れが三分の一になるスキルなのだって。歩くと走るの境界線をちゃんと把握できれば移動の時には良いかもしれない。
 走りながらモンスターの気配をどうやって掴むかが肝だな。
 
 ◇◇◇
 
「マーモ、あれは?」
『メタルドラゴンだモ』
「まんまだな……」
『硬い、熱線吐くだモ』
「さんきゅー」
『早く倒して箱開けるモ』
「りょーかい」
 
 鉄ぽい光沢の表皮を持つドラゴンぽいモンスターを熱線に注意しつつ、ちまちま削って倒す。
 マーモがモンスターの名称に加え、簡単な特徴も教えてくれるから何も知らないより戦いやすくなった。
 そんなこんなで140階も突破。
 食事休憩して更に進むぞ。ランナーの運用にも慣れてきたし、縮地も使いどころによっては戦いに生かすことができるようになってきた。
 
 141階に入るなり、ランナーを発動。ランナー発動中は全力疾走しても驚くほど疲れないんだよね。
 ただ全力で走ると周りがおろそかになる。
 直線の回廊の先にモンスターらしき影を発見。ゆらゆら影が動いていることから浮遊しているのかと予想する。

「マーモ、前方のあれ、飛んでる?」
『グレートモンバットだモ。コウモリの親玉みたいなモンスターだモ。柔らかいけど、素早いモ。魔法も使うモ』
「りょーかい」

 見てろよ、こいつが俺の新スタイルだ。
 グレートモンバットが近づくも 全力疾走のまま速度を落とさない。
 相手も俺に気が付きコウモリの翼をはためかせ、全身がぴかぴかと発光しはじめた。
 
「スキル『縮地』」

 ここで縮地により速度が三倍になる。
 突然速度が倍以上変わったため、グレートモンバットの認識がズレている間にファングによって下から上へ斬り上げ、仕留めた。
 これぞ、ランナーと縮地を使った不意打ちである。
 難点は直線上でしか使えないことだな。それでも、不意を打つことで楽々モンスターを仕留めることができるので、随分と楽になった。
 この階層までくると忍び寄って不意を打つことはほぼ成功しない。高度な忍び足系のスキルを持っていたら可能かもしれないけど、残念ながらまだそのようなスキルには巡り敢えていない。
 
 そんなこんなで結局5日間ザ・ワンに籠り、一旦帰還した。
 リアナたちは120階以上に進み、解呪の書? をゲットしたいと言っていたので予習としてはこんなところで十分かな。
 あと二日あるから、一日ゆっくり休むとしても一日残るからもうちょい進んでみるか。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...