40 / 150
第9章:奈落からの脱出
第40話:門番エルゴと《昨日の天気予報》
しおりを挟む
俺たちの反逆の物語は、まだ始まったばかりだ。
そして、その最初のページには、絶望をまとった謎の門番が静かに立ちはだかっていた。
◇ ◇ ◇
寝ぐらである洞窟に戻った俺たちは、揺れる焚き火の炎を挟んで向かい合っていた。
斥候で得た情報は、あまりにも絶望的だった。
「……どうするんだ、ケント?
あのジジイ、ただ者じゃないぞ。
アタシの勘が言ってる。
背後にいる三体の魔物なんかより、ずっと危険な匂いがする」
ルナが、黒曜石の短剣を磨きながら低い声で言った。
彼女の琥珀色の瞳には、俺と出会ってから初めての強い警戒の色が宿っている。
「ああ、分かっている」
俺は、地面に描いた出口周辺の見取り図を睨みつけながら頷いた。
「あの老人の魂は、深い絶望と諦めに満ちている。
だが同時に、その魂の周りを分厚い霧のような何かが覆っていて、俺の《物語の観測者》ですら、遠くからではその本質を簡単には読み解かせない」
それは、ルナが張っていた憎悪の氷壁とも違う。
リュウガが患者たちにかけた暗示の壁とも違う。
もっと自然で、それでいて捉えどころのない、まるで天候そのもののような不可解な防御壁だった。
「力押しで魔物を突破しようとしても、あのジジイが何かをしてくるはずだ。
だが、先にジジイを狙おうにも、三体の魔物が壁になる。
完璧な布陣だ。
……さすが、リュウガが用意した番人だけのことはある」
「じゃあ、どうするんだよ!
このままじゃ、ここから一歩も出られないじゃないか!」
ルナが、焦れたように声を上げる。
だが、俺の心は不思議なほど静かだった。
この絶望的な状況こそが、俺の「頭脳」が最も冴えわたる舞台だったからだ。
「策はある。
だが、そのためには情報が足りなすぎる」
俺は、見取り図の中心、門番の老人を示す石ころを指で弾いた。
「まずは、あのジジイの天賦の正体を暴く。
それが、全ての始まりだ。
もう一度行くぞ、ルナ。
今度は斥候じゃない。
『観測』のための、最初の接触だ」
◇ ◇ ◇
再び、俺たちは奈落の谷の最北端、出口へと続く洞窟の入り口へと向かっていた。
だが今度は、息を潜めてはいない。
俺たちは、あえて堂々とその姿を晒していた。
俺たちの存在に気づいた三体の巨大な魔物が、威嚇するように地を揺るがす。
だが、彼らが動くより先に、静かな声が響いた。
「……何用だ、小童ども」
洞窟の入り口の前。
腰の曲がった老人が、古びた傘を杖代わりに突きながら、静かにそこに立っていた。
その瞳は、嵐の前の海のように静まり返っている。
「ここは、生きて通れる場所ではないぞ。
……おとなしく、己の巣穴へ帰れ」
その声には、敵意も殺意もなかった。
ただ、どうしようもないほどの深い諦めと、変えようのない運命を告げるかのような響きだけがあった。
「あんたが、この谷の門番か」
俺は、一歩前に出た。
「俺たちは、ここを出る。邪魔をするなら、容赦はしない」
「……アタシは、あんたに何の恨みもない」
今度は、ルナが前に出た。
「だが、邪魔をするなら……力ずくで通るまでだ!」
ルナが地を蹴ろうとした、その瞬間。
老人は、俺たちの言葉などまるで聞いていないかのように、ゆっくりと顔を上げた。
そして、この奈落の谷にはそぐわない、場違いな言葉を呟いた。
「……昨日は、良い天気だった」
「……は?」
ルナが、怪訝な声を上げる。
「雲一つない快晴。
肌を焼くような日差し。
……ああ、実に懐かしい、砂漠の天気だったわい」
老人は、まるで遠い日の思い出を語るかのように、そう言った。
そして、古びた傘を天に掲げ、静かに告げた。
「――《昨日の天気予報》」
その言葉が、引き金だった。
ゴウッ!
俺たちを中心に、空気が陽炎のように揺らめいた。
次の瞬間、俺たちの世界は一変していた。
「なっ……!?」
足元の湿った岩盤が、一瞬にして乾いた砂へと変わる。
瘴気に満ちていたはずのよどんだ空気は、肺を焼くほどの熱波へと変わっていた。
見上げれば、二つの太陽が憎らしいほどにさんさんと輝き、空には雲一つない。
ここは、奈落の谷の底のはずだ。
なのに、俺たちは今、灼熱の砂漠の真ん中に立っていた。
「……なんだ、これは……幻覚か!?」
ルナが、狼狽したように叫ぶ。
「いや、違う!」
俺は、額から噴き出す汗をぬぐいながら叫び返した。
「これは、現実だ!
空気が、地面が、この場の環境そのものが、完全に書き換えられているんだ!」
足が、砂に沈んで思うように動けない。
呼吸をするたびに、熱い空気が喉を焼く。
体中の水分が、急速に奪われていくのが分かった。
このままでは、戦う前に干からびてしまう。
「くっ……!」
ルナが、獣の身体能力で無理やり砂を蹴り、老人へと突進しようとする。
だが、揺らめく陽炎が距離感を狂わせ、容赦ない熱波が彼女の動きを鈍らせる。
老人は、ただ静かにそこに立っているだけだった。
彼の周りだけは、まるで嘘のように穏やかな奈落の谷のまま。
この灼熱地獄の影響を、一切受けていない。
「無駄だ、小娘」
老人が、静かに言った。
「この砂漠は、昨日儂が体験したばかりの天気じゃ。
儂の記憶と、寸分違わぬ。
……お前たちが、この熱に勝てるはずがなかろう」
昨日、体験した天気。
その言葉が、俺の頭に突き刺さった。
(……そういうことか。
こいつの天賦は……!)
俺の分析が、結論にたどり着くよりも早く。
灼熱の砂漠は、蜃気楼のように掻き消えた。
そして、次の瞬間。
俺たちは、全く別の地獄に突き落とされていた。
「――三日前は、ひどい吹雪でのう」
ヒュウウウウウウウウッッ!
肌を刺すような、極寒の風。
視界を白く染め上げる、猛烈な吹雪。
灼熱地獄から一転、俺たちの体感温度は氷点下へと叩き落とされた。
「……う……ぐ……っ」
汗で濡れた体が、急速に冷やされていく。
歯の根が、ガチガチと鳴って止まらない。
さっきまで灼熱の砂に埋もれていた足元は、今や膝まで積もった深い雪に覆われていた。
「……なんだよ……これ……!」
ルナの言葉も、震えている。
獣人である彼女の体毛も、この急激な温度変化には対応しきれていない。
動きが、明らかに鈍くなっていた。
灼熱の砂漠。
極寒の吹雪。
老人は、ただそこにいるだけでこの奈落の谷を、自在に別の環境へと作り変えてみせた。
なんて、厄介な能力だ。
直接的な攻撃力はない。
だが、相手の土俵を完全に奪い、じわじわと体力を削り殺す、最悪の能力。
このままでは、ジリ貧だ。
奴が思い出す天候次第で、俺たちは為すすべもなく消耗させられていくだけ。
(……だが、必ず穴はあるはずだ)
猛吹雪の中で、俺は必死に思考を巡らせた。
《昨日の天気予報》。
その名前が、ヒントだ。
彼は、過去に「体験した」天候しか再現できない。
そして、その力は「環境」を変えるだけで、生物は再現できない。
ならば、攻略の糸口は……。
俺は、最後の力を振り絞るように、猛吹雪の向こう側に立つ老人に意識を集中させた。
もはや、躊躇はない。
(過去の天候を再現する……?
厄介な能力だが、必ず穴があるはずだ。
その物語、観測させてもらうぞ!)
《物語の観測者》――発動!
脳内に、冷たい情報の奔流が流れ込む。
今度はもう、霧のような防御壁に阻まれることはなかった。
俺の覚悟が、彼の魂の扉をこじ開けたのだ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
名前:エルゴ
状態:諦観、任務の遂行、過去への固執
魂の物語:
【誇り】:かつて帝国気象院の長官として、未来の天候を予測し人々を救っていたこと。
【絶望】:自らの予測がリュウガの計画の邪魔となり、全てを奪われたこと。
【願い】:もう誰も信じず、ただ静かに過去の世界で生き続けたい。
天賦:
《昨日の天気予報(イエスタデイズ・ウェザー)》
能力概要:術者が体験した「過去の環境」を、指定したエリアに再現する。再現できるのは気象や地形などの環境だけで、生物は再現できない。
[制約・ルール]:再現できるのは、あくまで術者が「過去に体験した」天候のみ。未来の事象は再現不可能。
攻略の糸口:
【時間軸】:彼の力は「過去」にしか干渉できない。これから訪れる「未来」の天候(濃霧など)を予測し利用すれば、能力の前提を覆せる。
【精神】:彼の魂は未来ではなく過去に縛られている。彼が失った「未来を予測する誇り」を刺激することが、対話の鍵となる。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「…………」
情報を得た俺は、吹雪の中で静かに目を開けた。
そして、口の端を吊り上げる。
「……ははっ」
乾いた笑いが、凍てつく空気の中に漏れた。
「……見えたぞ、あんたの物語の『穴』がな」
そう。
あんたの力は、過去にしか干渉できない。
ならば俺たちは、「未来」で戦えばいい。
ただ、それだけのことだ。
俺の不敵な笑みに、エルゴの眉が初めてピクリと動いた。
そして、その最初のページには、絶望をまとった謎の門番が静かに立ちはだかっていた。
◇ ◇ ◇
寝ぐらである洞窟に戻った俺たちは、揺れる焚き火の炎を挟んで向かい合っていた。
斥候で得た情報は、あまりにも絶望的だった。
「……どうするんだ、ケント?
あのジジイ、ただ者じゃないぞ。
アタシの勘が言ってる。
背後にいる三体の魔物なんかより、ずっと危険な匂いがする」
ルナが、黒曜石の短剣を磨きながら低い声で言った。
彼女の琥珀色の瞳には、俺と出会ってから初めての強い警戒の色が宿っている。
「ああ、分かっている」
俺は、地面に描いた出口周辺の見取り図を睨みつけながら頷いた。
「あの老人の魂は、深い絶望と諦めに満ちている。
だが同時に、その魂の周りを分厚い霧のような何かが覆っていて、俺の《物語の観測者》ですら、遠くからではその本質を簡単には読み解かせない」
それは、ルナが張っていた憎悪の氷壁とも違う。
リュウガが患者たちにかけた暗示の壁とも違う。
もっと自然で、それでいて捉えどころのない、まるで天候そのもののような不可解な防御壁だった。
「力押しで魔物を突破しようとしても、あのジジイが何かをしてくるはずだ。
だが、先にジジイを狙おうにも、三体の魔物が壁になる。
完璧な布陣だ。
……さすが、リュウガが用意した番人だけのことはある」
「じゃあ、どうするんだよ!
このままじゃ、ここから一歩も出られないじゃないか!」
ルナが、焦れたように声を上げる。
だが、俺の心は不思議なほど静かだった。
この絶望的な状況こそが、俺の「頭脳」が最も冴えわたる舞台だったからだ。
「策はある。
だが、そのためには情報が足りなすぎる」
俺は、見取り図の中心、門番の老人を示す石ころを指で弾いた。
「まずは、あのジジイの天賦の正体を暴く。
それが、全ての始まりだ。
もう一度行くぞ、ルナ。
今度は斥候じゃない。
『観測』のための、最初の接触だ」
◇ ◇ ◇
再び、俺たちは奈落の谷の最北端、出口へと続く洞窟の入り口へと向かっていた。
だが今度は、息を潜めてはいない。
俺たちは、あえて堂々とその姿を晒していた。
俺たちの存在に気づいた三体の巨大な魔物が、威嚇するように地を揺るがす。
だが、彼らが動くより先に、静かな声が響いた。
「……何用だ、小童ども」
洞窟の入り口の前。
腰の曲がった老人が、古びた傘を杖代わりに突きながら、静かにそこに立っていた。
その瞳は、嵐の前の海のように静まり返っている。
「ここは、生きて通れる場所ではないぞ。
……おとなしく、己の巣穴へ帰れ」
その声には、敵意も殺意もなかった。
ただ、どうしようもないほどの深い諦めと、変えようのない運命を告げるかのような響きだけがあった。
「あんたが、この谷の門番か」
俺は、一歩前に出た。
「俺たちは、ここを出る。邪魔をするなら、容赦はしない」
「……アタシは、あんたに何の恨みもない」
今度は、ルナが前に出た。
「だが、邪魔をするなら……力ずくで通るまでだ!」
ルナが地を蹴ろうとした、その瞬間。
老人は、俺たちの言葉などまるで聞いていないかのように、ゆっくりと顔を上げた。
そして、この奈落の谷にはそぐわない、場違いな言葉を呟いた。
「……昨日は、良い天気だった」
「……は?」
ルナが、怪訝な声を上げる。
「雲一つない快晴。
肌を焼くような日差し。
……ああ、実に懐かしい、砂漠の天気だったわい」
老人は、まるで遠い日の思い出を語るかのように、そう言った。
そして、古びた傘を天に掲げ、静かに告げた。
「――《昨日の天気予報》」
その言葉が、引き金だった。
ゴウッ!
俺たちを中心に、空気が陽炎のように揺らめいた。
次の瞬間、俺たちの世界は一変していた。
「なっ……!?」
足元の湿った岩盤が、一瞬にして乾いた砂へと変わる。
瘴気に満ちていたはずのよどんだ空気は、肺を焼くほどの熱波へと変わっていた。
見上げれば、二つの太陽が憎らしいほどにさんさんと輝き、空には雲一つない。
ここは、奈落の谷の底のはずだ。
なのに、俺たちは今、灼熱の砂漠の真ん中に立っていた。
「……なんだ、これは……幻覚か!?」
ルナが、狼狽したように叫ぶ。
「いや、違う!」
俺は、額から噴き出す汗をぬぐいながら叫び返した。
「これは、現実だ!
空気が、地面が、この場の環境そのものが、完全に書き換えられているんだ!」
足が、砂に沈んで思うように動けない。
呼吸をするたびに、熱い空気が喉を焼く。
体中の水分が、急速に奪われていくのが分かった。
このままでは、戦う前に干からびてしまう。
「くっ……!」
ルナが、獣の身体能力で無理やり砂を蹴り、老人へと突進しようとする。
だが、揺らめく陽炎が距離感を狂わせ、容赦ない熱波が彼女の動きを鈍らせる。
老人は、ただ静かにそこに立っているだけだった。
彼の周りだけは、まるで嘘のように穏やかな奈落の谷のまま。
この灼熱地獄の影響を、一切受けていない。
「無駄だ、小娘」
老人が、静かに言った。
「この砂漠は、昨日儂が体験したばかりの天気じゃ。
儂の記憶と、寸分違わぬ。
……お前たちが、この熱に勝てるはずがなかろう」
昨日、体験した天気。
その言葉が、俺の頭に突き刺さった。
(……そういうことか。
こいつの天賦は……!)
俺の分析が、結論にたどり着くよりも早く。
灼熱の砂漠は、蜃気楼のように掻き消えた。
そして、次の瞬間。
俺たちは、全く別の地獄に突き落とされていた。
「――三日前は、ひどい吹雪でのう」
ヒュウウウウウウウウッッ!
肌を刺すような、極寒の風。
視界を白く染め上げる、猛烈な吹雪。
灼熱地獄から一転、俺たちの体感温度は氷点下へと叩き落とされた。
「……う……ぐ……っ」
汗で濡れた体が、急速に冷やされていく。
歯の根が、ガチガチと鳴って止まらない。
さっきまで灼熱の砂に埋もれていた足元は、今や膝まで積もった深い雪に覆われていた。
「……なんだよ……これ……!」
ルナの言葉も、震えている。
獣人である彼女の体毛も、この急激な温度変化には対応しきれていない。
動きが、明らかに鈍くなっていた。
灼熱の砂漠。
極寒の吹雪。
老人は、ただそこにいるだけでこの奈落の谷を、自在に別の環境へと作り変えてみせた。
なんて、厄介な能力だ。
直接的な攻撃力はない。
だが、相手の土俵を完全に奪い、じわじわと体力を削り殺す、最悪の能力。
このままでは、ジリ貧だ。
奴が思い出す天候次第で、俺たちは為すすべもなく消耗させられていくだけ。
(……だが、必ず穴はあるはずだ)
猛吹雪の中で、俺は必死に思考を巡らせた。
《昨日の天気予報》。
その名前が、ヒントだ。
彼は、過去に「体験した」天候しか再現できない。
そして、その力は「環境」を変えるだけで、生物は再現できない。
ならば、攻略の糸口は……。
俺は、最後の力を振り絞るように、猛吹雪の向こう側に立つ老人に意識を集中させた。
もはや、躊躇はない。
(過去の天候を再現する……?
厄介な能力だが、必ず穴があるはずだ。
その物語、観測させてもらうぞ!)
《物語の観測者》――発動!
脳内に、冷たい情報の奔流が流れ込む。
今度はもう、霧のような防御壁に阻まれることはなかった。
俺の覚悟が、彼の魂の扉をこじ開けたのだ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
名前:エルゴ
状態:諦観、任務の遂行、過去への固執
魂の物語:
【誇り】:かつて帝国気象院の長官として、未来の天候を予測し人々を救っていたこと。
【絶望】:自らの予測がリュウガの計画の邪魔となり、全てを奪われたこと。
【願い】:もう誰も信じず、ただ静かに過去の世界で生き続けたい。
天賦:
《昨日の天気予報(イエスタデイズ・ウェザー)》
能力概要:術者が体験した「過去の環境」を、指定したエリアに再現する。再現できるのは気象や地形などの環境だけで、生物は再現できない。
[制約・ルール]:再現できるのは、あくまで術者が「過去に体験した」天候のみ。未来の事象は再現不可能。
攻略の糸口:
【時間軸】:彼の力は「過去」にしか干渉できない。これから訪れる「未来」の天候(濃霧など)を予測し利用すれば、能力の前提を覆せる。
【精神】:彼の魂は未来ではなく過去に縛られている。彼が失った「未来を予測する誇り」を刺激することが、対話の鍵となる。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「…………」
情報を得た俺は、吹雪の中で静かに目を開けた。
そして、口の端を吊り上げる。
「……ははっ」
乾いた笑いが、凍てつく空気の中に漏れた。
「……見えたぞ、あんたの物語の『穴』がな」
そう。
あんたの力は、過去にしか干渉できない。
ならば俺たちは、「未来」で戦えばいい。
ただ、それだけのことだ。
俺の不敵な笑みに、エルゴの眉が初めてピクリと動いた。
20
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
「元」面倒くさがりの異世界無双
空里
ファンタジー
死んでもっと努力すればと後悔していた俺は妖精みたいなやつに転生させられた。話しているうちに名前を忘れてしまったことに気付き、その妖精みたいなやつに名付けられた。
「カイ=マールス」と。
よく分からないまま取りあえず強くなれとのことで訓練を始めるのだった。
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
家族と魔法と異世界ライフ!〜お父さん、転生したら無職だったよ〜
三瀬夕
ファンタジー
「俺は加藤陽介、36歳。普通のサラリーマンだ。日本のある町で、家族5人、慎ましく暮らしている。どこにでいる一般家庭…のはずだったんだけど……ある朝、玄関を開けたら、そこは異世界だった。一体、何が起きたんだ?転生?転移?てか、タイトル何これ?誰が考えたの?」
「えー、可愛いし、いいじゃん!ぴったりじゃない?私は楽しいし」
「あなたはね、魔導師だもん。異世界満喫できるじゃん。俺の職業が何か言える?」
「………無職」
「サブタイトルで傷、えぐらないでよ」
「だって、哀愁すごかったから。それに、私のことだけだと、寂しいし…」
「あれ?理沙が考えてくれたの?」
「そうだよ、一生懸命考えました」
「ありがとな……気持ちは嬉しいんだけど、タイトルで俺のキャリア終わっちゃってる気がするんだよな」
「陽介の分まで、私が頑張るね」
「いや、絶対、“職業”を手に入れてみせる」
突然、異世界に放り込まれた加藤家。
これから先、一体、何が待ち受けているのか。
無職になっちゃったお父さんとその家族が織りなす、異世界コメディー?
愛する妻、まだ幼い子どもたち…みんなの笑顔を守れるのは俺しかいない。
──家族は俺が、守る!
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる