異世界転生と『天賦（ギフト）』で最強になったが親友に裏切られ追放されたので、銀狼少女と『双星』として成り上がる！

第12章：記憶の美術館と影の暗殺者

第63話：芸術都市アリアへ

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名前：ジン
状態：覚悟、忠誠心、わずかな不安
​魂の物語：
【起源】：病弱な妹を守るため、暗殺者としての道を選んだ過去。
【裏切り】：リュウガの非道な命令（妹を人質にした反乱分子の粛清しゅくせい）に逆らい、帝国から追われたこと。
【渇望かつぼう】：自らの汚れた力を、本当に守るべき誰かのために使いたい。
​天賦ギフト：
《魂の指揮者ソウル・コンダクター》
能力概要：自らの魂の波長を相手の魂に共鳴させ、一時的に思考や行動に影響を与えることができる。リュウガの《絶対王の勅令アブソリュート・オーダー》のような絶対的な支配力はないが、より繊細せんさいな心理誘導や連携の強化に特化している。
[制約・ルール]：相手の魂が完全に自分を拒絶している場合、効果は著しく低下する。
​攻略の糸口：
【精神】：彼の力の源は「守るべき存在」への忠誠心。その対象を失うか、裏切られることで彼の魂は大きく揺らぐ。
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​「…………」

　​俺は、静かに観測を終えた。
彼の物語は、血塗られたものではあったが、その根底に流れているのはただ一つの、あまりにも純粋な願いだった。

​（……妹を、守るため……）

　​彼は、光を求めて影になった男なのだ。
そして、その光であるはずの帝国に裏切られ、全てを失った。

​「……いいだろう」

　俺は、静かに告げた。

​「お前の覚悟、確かに受け取った」

　​俺は、ジンに向かってゆっくりと手を差し伸べた。

​「ようこそ、《アケボシ》へ。
俺たちの、四人目の仲間」

　​俺の言葉に、ジンの鋭い目つきが驚きに見開かれる。
そして、次の瞬間。

　その瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
​彼は、震える手で俺の手を力強く握り返した。

​「……この命、あなたのために」

​「俺のためじゃない。
俺たちの、物語のためにだ」

　​こうして、俺たちのギルドに新たな仲間が加わった。

　最高の「頭脳」である俺。
最強の「剣」であるルナ。
頼れる「道標」であるエルゴ。
そして、全てを支える「影」である、ジン。

　​俺たちの反撃の準備は、着実に整いつつあった。

​◇　◇　◇

​　数日後。
俺たち四人は、賭博都市カジノ・ロワイヤルを後にして、新たな旅路についていた。

　​ディーラーの支配から解放された街は、一時的な混乱はあったものの、宿の主人である羊のお婆さんや自警団の手によって、少しずつ新しい秩序を取り戻し始めていた。

​「次の目的地だが……」

　​野営の焚き火を囲みながら、俺は切り出した。

​「ジン、お前が持っている帝国の情報と、エルゴ殿の《未来への羅針盤フューチャー・コンパス》を組み合わせれば、より正確に俺たちの仲間となり得る人物の居場所を絞り込めるはずだ」

​「承知した」

　ジンは、懐から一枚の羊皮紙を取り出した。
それは、帝国に追われる重要人物のリストだった。

　​エルゴは、そのリストの上に古びた傘をかざし、静かに目を閉じる。
​やがて、彼はゆっくりと目を開けた。

​「……見えるぞ。
このリストの中で、ひときわ大きな『物語の揺らぎ』を持つ者が二人。
その者たちは、西にある芸術の都、アリアにおる」

​「芸術都市、アリアか」

　ジンが、その名に反応した。

​「リュウガが最も嫌う街の一つだな。
自由な表現と思想が、彼の管理された秩序を乱すと」

​「決まりだな」

　俺は、立ち上がった。

​「次の目的地は、芸術都市アリアだ。
そこで、俺たちの五人目、六人目の仲間を見つけ出す」

　​俺の言葉に、三人が力強く頷いてくれる。
四つの魂が、一つの目的のために輝き始めた。

　​だが、その時の俺たちはまだ知らなかった。
自由と芸術の都アリアで、俺たちを待ち受けている新たな事件の影を。