聖女の力を姉に譲渡し国を出て行った元聖女は実は賢者でした~隣国の後宮で自重せずに生きていこうと思います~

高井繭来

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【閑話・小話詰め7】

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【小話9】

※15年以上昔のお話
 ルーク→ル・アンドュアイス→ア

 それはルークとアンドュアイスが、王族の避暑地の別荘に来ていた時の話し。

ル「兄さん!あっちに魔獣が居る!早く騎士に報告しないと!!」

ア「魔獣?おかしいな、このへん結界はってるから魔獣がはいれるはずないのに?」

ル「おっきい魔獣だったよ!早く知らせないと!」

ア「ん~大きい魔獣が結界の中に入ってきたってことは弱ってるのかも?」

 魔術師が張る結界は、高位魔獣などが入って来ないために太いロープで網を編むような結界構成を使う。
 なので目が粗く、隙間から弱い魔獣なら入り込めるのだ。
 ガフティラベル帝国は実力のある騎士が揃っているので、弱い魔獣なら簡単に倒す事が出来る。
 旅人の国ガフティラベル帝国が聖女が存在しなくても国を魔物から護っていけているのは、このシステムのおかげである。

ル「兄さんどこ行くの!そっち魔獣が居るからあぶないよ!?」

ア「ルークはさきに帰ってもいーよ?」

 そう言うとアンドュアイスはトコトコとルークが魔獣が居ると言った方向に歩いて行ってしまった。
 残されたルークは大切な兄を1人で行かせることなど出来ないと、その後を付いて行く。

ア「グリフォンだ。怪我してるね。どうしよ、僕の法術じゃ治せる怪我じゃない…」

 悲しそうな声でアンドュアイスが言った。
 アンドュアイスは怪我をしたグリフォンを癒すつもりであったらしい。
 魔獣に迄に慈愛の精神をかけるアンドュアイスを、ルークはとても尊いモノのように感じた。

 グリフォンがアンドュアイスが敵意が無いと気付いたのだろう。
 くちばしをその頬へ寄せて、ゆっくり擦り付けるようにした。
 弱弱しいその行動にアンドュアイスはグリフォンの命が長くない事に気付いた。
 同時にこのグリフォンが自分に何かを頼みたいのであるとも、アンドュアイスは感じ取った。

ア「どうしてほしいの?」

 蹲って身を縮めていたグリフォンが横に倒れる。
 腹があった位置に大きな卵が存在した。

ア「この子を守ればいいの?」

 グリフォンが”そうだ”と言うようにクゥ、と小さく鳴いた。

ア「うん、この子は僕がちゃんと面倒見るからね。よく頑張ったね。もう大丈夫だから、痛いの我慢しなくて良ーよ」

 アンドュアイスの言葉にグリフォンが安心したように目を閉じて、そのまま動かなくなった。

ア「この子はちゃんと僕が育てるからね」

 魔獣と心を通わせるアンドュアイスをルークは眩しいモノを見るかのように目を細めた。

 その日からアンドュアイスは部屋に籠りきりだった。
 食事も部屋で摂り、いっさい部屋から出てこない。
 ベッドに籠りきりで卵を抱いて、法力を絶え間なく注ぎ込む。
 魔獣は卵の時、親から温めて貰うだけでなく魔力も注がれるのだ。
 その力が強ければ強いほど、強い個体が生まれる。
 アンドュアイスは魔力は無かったが、ソレを法力で補ってグリフォンの卵を温めた。

 そして10日。
 卵にヒビが入り中からヒヨコほどの雛が出て来た。

ア「ルーク!生まれたよ!!」

ル「可愛い……」

ア「名前つけなきゃね。偉いグリフォンだから丁寧に上に”お”をつけて”オグリ”だね。君は今日からオグリだよ。僕と一緒に大きくなろーね」

ル「いい名前ですねオグリ」

ア「ルークもオグリと仲良くしてね」

ル「オグリ、よろしくね」

 2人の少年の言葉に答える様に、オグリは「クゥーッ!」と小さな体で大きく鳴いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 アンドュが法力で育てたのでオグリは凶暴性がありません。
 すっかりアンドュを兄だと思っております。
 拙い法力で育てたので、大きな卵でしたが産まれた時の大きさは普通のグリフォンと違いヒヨコ大。
 この日から小鳥連れてるアンドュを見て大人たちは微笑ましいな、と思っていたのですが留まることを知らず大きくなるオグリに驚愕する日々。

ア「オグリはグリフォンだからー(^^♪」

 爆弾発言かますアンドュ。
 まだまだピュアピュアだった頃のアンドュとオグリとの馴れ初めでした(*´▽`*)

 ちなみにアンドュは自覚無いですが「テイマー」の才能があります。
 魔物にやたら好かれます。
 その内サイヒが自覚させるかも?
 何か気付いた人はお口ミッフィーちゃん✖で!
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