【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

第1章：家族の愛と葛藤

第4話：三人の兄たち、それぞれの独占欲

アベルの言葉に、俺は思わず息をのんだ。
彼もまた、俺の秘密に気づいていた。そして、兄たちそれぞれの独占欲が、俺を中心に渦巻いていることを、俺はまざまざと実感した。
その日から、俺の周りには常に兄たちの誰かがいた。
朝、目を覚ますと、ベッドの横にはアルフレッドが座っていた。

「ユウマ、おはよう。体調は大丈夫か？」

優しい眼差しで俺を見つめ、熱を測るように俺の額に手を当てる。だが、その手はまるで俺を逃がさないように、俺の頭を包み込む。
昼、庭で創造魔法の練習をしていると、セレスが駆け寄ってきた。

「ユウマ兄ちゃん！　これ、僕が作ったんだよ！」

そう言って、俺に小さな花束を差し出す。そして、俺の隣に座り込み、他の誰にも見られないように、そっと俺の手に触れた。
夜、自室で読書をしていると、アベルが紅茶を持って現れた。

「ユウマ、疲れただろう？　温かい紅茶でもどうだい？」

優しい笑みを浮かべながら、俺の隣に座る。アベルは他の二人とは違い、言葉は多くなかった。だが、その視線は常に俺を捉えて離さなかった。
三人はそれぞれ、俺を独占しようと必死だった。
アルフレッドは、兄としての威厳と、男としての情熱で俺を支配しようとする。
セレスは、無邪気なわがままで俺の注意を引きつけ、自分のものだと主張する。
アベルは、静かな優しさと、秘めたる情欲で俺を閉じ込めようとする。
ある日の夕食時、小さな事件が起きた。
俺が作った料理を、アルフレッドが

「ユウマは本当に才能があるな」

と褒めると、セレスが

「ユウマ兄ちゃんは僕だけのシェフだよ！」

と叫んだ。
それにアベルが

「セレス、ユウマは僕たちの弟だよ。独り占めは良くない」

と諭す。

「でも、アベル兄さんも、ユウマ兄ちゃんとばっかり一緒にいるじゃないか！」

セレスの言葉に、アベルは静かに微笑んだ。

「それは違うよ、セレス。僕はただ、ユウマの才能を誰よりも早く見つけてあげたいだけなんだ」

その言葉に、アルフレッドが低い声で割り込んだ。

「……二人とも、ユウマを困らせるな。ユウマは、誰のものでもない。いや……ユウマは、俺が守る」

張り詰めた空気が、ダイニングルームに満ちる。
俺は三人の間に挟まれ、どうすることもできなかった。
このままでは、兄たちの関係まで壊れてしまうのではないか。そう思っていた、その時だった。

「ご馳走様でした。僕は部屋に戻ります」

俺がそう言うと、三人はハッとした表情で俺を見た。

「ユウマ、待て！」

アルフレッドが俺の腕を掴む。

「ユウマ兄ちゃん、僕も一緒に行く！」

セレスが俺の服の裾を引っ張る。

「ユウマ、待って……」

アベルが、悲しそうな瞳で俺を見つめる。
俺は三人の手から逃れ、自室へと駆け込んだ。ドアの向こうから、三人の言い争う声が聞こえてくる。
俺はベッドに腰を下ろし、深くため息をついた。
このままではいけない。何とかしなければ。
俺は、部屋に一人になったことで、創造魔法の練習を再開した。

「そうだ……。創造魔法なら、きっと何とかなるはずだ……」

その夜、俺は創造魔法を使って、あるものを創り出した。
それは、兄たちの歪んだ独占欲を、少しでも和らげられるかもしれない、そんな希望を込めた、あるものだった。