128 / 177
第八章 終末のようなものについて
第百十八話 悪魔は何処へ 前編
しおりを挟む
数時間後。
一通りの処置が終わり、「信奉者たち」の教典と、剣の欠片をテーブルの上に置いた俺達は、全員で酒場の円卓につく。
「ソ、レ、で。この言葉が何で書いてあるんだったかしら、ジィンちゃん?」
アドラさんが立ち上がり、説明を求めるところから、話は始まった。
「これには、俺とガラテヤ様が生きていた世界で……『地の果てにて、友と待つ。ロディアより』と書いてあります」
「友というのは……心当たりがある者はいるか?」
「友……ロディアのお友達で、ロディアについている人なんて、おいら知らない」
「学校にいた、ロディアの個人的な友達かしら?……でも、全然、これっぽっちも心当たりが無いわね。それに、わざわざ日本語で書くってことは……私かジィンに気づいて欲しくて書いている訳だろうから……私達が知っている人……に、なるのかしら?」
ロディアがメッセージに残していった「友」とやらが誰を指しているのか、さっぱり分からない。
「私達がパワードスーツの使い方を探し回って、アンドレアのとこに行ったタイミングを狙って教会を襲った可能性もあるかもしれないわよ!だとすれば、ロディア君が言ってる『友』っていうのは、アンドレアの手紙に書いてあった……『アンドレアの友』のことを指してる、とか!ありそうじゃないかしら!」
「ほほう……その説、私は支持しますぞ。ケーリッジ先生。相手は悪魔です、こちらの動きを把握することも容易でしょう」
「ロディア・マルコシアスが、ジィン君とガラテヤちゃんの世界で普及していた文字を知っていたのなら……入り口の仕掛けも難なく突破できたハズ。いつ、どのタイミングでアンドレアの『友』について知ったのかは分からないけれど、逆にいつから知っていてもおかしくは無いわね」
全員に一切の心当たりが無い以上、ロディアが言っている「友」と、アンドレアの手紙に書き残されていた「友」が、同一人物を指しているという線もあるが……。
「私達が鍾乳洞へ着く前に、ロディアが先に行って手紙を読んでいたのか……或いは、私達が町へ戻るまでの間に、超スピードで町に飛んできた……とか。だからロディアはアンドレアの手紙に書いてあった『友』が誰を指しているのか知っている。……どうかしら、ジィン?」
ガラテヤ様の言うことは筋が通っているようには聞こえるが……俺達がアンドレア鍾乳洞へ行くことを知っていたのならば、何故待ち伏せも、罠を仕掛けることもしなかったのだろうかという疑問が残る。
「多分合ってると思いますけど……うーん、とりあえず向かう先に関しては、そのアンドレアの『友』のとこで良いと思います。そこにパワードスーツの取説しか無いなら、また考えましょう」
これ以上考えても、何もヒントが残されていないだろう。
ひとまずは、アンドレアの手紙に残されていた「友」の元へ向かうことに決まった。
しかし、その「友」が誰なのか。
またロディアが、鍾乳洞でも、この町に帰ってきたタイミングでも、俺達を襲わなかったのか……その理由に関しては、全くもって分からないままである。
「じゃあ……問題の、その『友』がどこにいるのか……考えようかしら」
「ンフ、まだまだ考えることは多そうネ。マ!じっくり考えまショ!」
もう少し、考える時間は続くのであった。
一通りの処置が終わり、「信奉者たち」の教典と、剣の欠片をテーブルの上に置いた俺達は、全員で酒場の円卓につく。
「ソ、レ、で。この言葉が何で書いてあるんだったかしら、ジィンちゃん?」
アドラさんが立ち上がり、説明を求めるところから、話は始まった。
「これには、俺とガラテヤ様が生きていた世界で……『地の果てにて、友と待つ。ロディアより』と書いてあります」
「友というのは……心当たりがある者はいるか?」
「友……ロディアのお友達で、ロディアについている人なんて、おいら知らない」
「学校にいた、ロディアの個人的な友達かしら?……でも、全然、これっぽっちも心当たりが無いわね。それに、わざわざ日本語で書くってことは……私かジィンに気づいて欲しくて書いている訳だろうから……私達が知っている人……に、なるのかしら?」
ロディアがメッセージに残していった「友」とやらが誰を指しているのか、さっぱり分からない。
「私達がパワードスーツの使い方を探し回って、アンドレアのとこに行ったタイミングを狙って教会を襲った可能性もあるかもしれないわよ!だとすれば、ロディア君が言ってる『友』っていうのは、アンドレアの手紙に書いてあった……『アンドレアの友』のことを指してる、とか!ありそうじゃないかしら!」
「ほほう……その説、私は支持しますぞ。ケーリッジ先生。相手は悪魔です、こちらの動きを把握することも容易でしょう」
「ロディア・マルコシアスが、ジィン君とガラテヤちゃんの世界で普及していた文字を知っていたのなら……入り口の仕掛けも難なく突破できたハズ。いつ、どのタイミングでアンドレアの『友』について知ったのかは分からないけれど、逆にいつから知っていてもおかしくは無いわね」
全員に一切の心当たりが無い以上、ロディアが言っている「友」と、アンドレアの手紙に書き残されていた「友」が、同一人物を指しているという線もあるが……。
「私達が鍾乳洞へ着く前に、ロディアが先に行って手紙を読んでいたのか……或いは、私達が町へ戻るまでの間に、超スピードで町に飛んできた……とか。だからロディアはアンドレアの手紙に書いてあった『友』が誰を指しているのか知っている。……どうかしら、ジィン?」
ガラテヤ様の言うことは筋が通っているようには聞こえるが……俺達がアンドレア鍾乳洞へ行くことを知っていたのならば、何故待ち伏せも、罠を仕掛けることもしなかったのだろうかという疑問が残る。
「多分合ってると思いますけど……うーん、とりあえず向かう先に関しては、そのアンドレアの『友』のとこで良いと思います。そこにパワードスーツの取説しか無いなら、また考えましょう」
これ以上考えても、何もヒントが残されていないだろう。
ひとまずは、アンドレアの手紙に残されていた「友」の元へ向かうことに決まった。
しかし、その「友」が誰なのか。
またロディアが、鍾乳洞でも、この町に帰ってきたタイミングでも、俺達を襲わなかったのか……その理由に関しては、全くもって分からないままである。
「じゃあ……問題の、その『友』がどこにいるのか……考えようかしら」
「ンフ、まだまだ考えることは多そうネ。マ!じっくり考えまショ!」
もう少し、考える時間は続くのであった。
0
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる