四つの前世を持つ青年、冒険者養成学校にて「元」子爵令嬢の夢に付き合う 〜護国の武士が無双の騎士へと至るまで〜

最上 虎々

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第八章 終末のようなものについて

第百十九話 悪魔は何処へ 後編

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 数時間後。

 しばしの休憩を挟んで、頭を捻らせ続けたが……。

「なーんにも思い浮かばない」

「何かヒントがあれば良いのだけれど……もしかすると、今の私達が知るだけの情報じゃあ、分かる訳無いのかな……」

 アンドレアの「友」が誰を指すのか、俺達どころか先生達も分からないまま、ただ思考力を使い続けるだけの時間が過ぎただけであった。

「錬金術師アンドレアに関する記録は、その技術に関するものを除いて、多くが出版差し止めか焚書になっておりますからのぅ……。我々のような大人も、錬金術に貢献したというこ以外は、あまり存じ上げないのが実情でございます」

「これは参っちゃうわね。学園の書庫とか……探してみる?」

「その場合、全員で学園まで戻るか……この町に残って情報を収集するグループと、学園に戻って書庫を漁った後、再び戻るグループに分かれるかをしなければならないわね」

 確かに学園は戻るとすれば、どちらの手段を選んでも、大幅な時間のロスにはなるが……最も情報に近づきやすいという点では、やはりそれが推されるべきだろうか?

「まあ待てや。学園に戻るのは一旦、この町にある書庫とか教会とか……そういうトコを探してからでも、遅くないんじゃあねーのか?」

 確かに、この町にまだ探していない書庫やアンドレアゆかりの場所が無いとは言い切れないだろう。
 それに、消し飛んだ町の中心部にある教会以外にも、町の端になら小さな教会があったかもしれない。

「私はバグラディの言う通り、もう少しこの町で情報収集を行った方が良いと思う。それに学校も、わざわざ私達の都合に合わせて、ここについて来た先生達の穴を埋めるように、担当を代わってくれているんだ。……学園に戻るとして、誰が戻るのかは知らないが……特に今、先生達が戻ろうものなら、面倒なことになりかねん」

「ん。先生達、みんなもう帰ってきたものだと思わせそう。そうなったら、ややこしい。でも、おいら達が戻っても、ちゃんと情報を持って帰れるか分からない。だから、学園に戻るのは、どうしてもこの町で情報が見つからなかった後で良いと思う」

「じゃ、とりあえず……もう少し、この町で頑張るってことで」

 会議を終えた俺達は、それぞれ探していない場所へ散り、夕暮れまで再度、情報収集を続ける。
 案の定、この日も何か手がかりとなりそうなものを見つけることはできず、日が暮れてしまったのだった。

 しかし、こうして町の中心部にこだわっているのも今日までである。
 書庫や消し飛んだもの以外の小規模な教会を訪ねてからでも遅く無いと、そう言い出したのはバグラディだ。

 敵だったとはいえ、彼が革命団のリーダーとして動いてきた経験は本物だろう。
 故に、「どうせ情報なんてあるハズが無い」と踏んでいる、町の端にある教会や、忘れられた書庫なんかを探した方が良いという話は信じられる。

 よって俺達は明日から、町の端にある小さな教会や、路地裏の小さな店、廃墟となった病院跡など、今まで手がかりを探そうとも思わなかった場所を、手当たり次第探していくことにした。

 そろそろアンドレアの「友」が何なのか、知っておきたいところである。

 ゴールが見えない不安と、迫る真実への期待に騒ぐ胸を押さえつけながら、俺達は夜を超えるのであった。
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