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第九章 在るべき姿の世界
第百四十三話 天国は何処に? 後編
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人間の考え方と、神の考え方は違う。
こと「クダリ」の本体である神は、特にそうであるらしい。
「じゃあ、ロディア。お前は……その天国が、人間にとっては地獄だって……そう言いたいのかよ……?」
「うん、そうだよ。僕が悪魔だからっていうのを抜きにしても……。君がまだ呼んでくれている、人間のロディアとして生きてきた中で、この世界を見る限り……天国は、少なくとも今の人間には似合わない」
「悪魔が、そこまで真剣に天国のことを考えてるなんてな」
「この世界が神の方に傾くのは、悪魔としても納得がいかないからね。餌場がなくなるようなものだし。だから……君とガラテヤには、大人しく死んで欲しいんだ」
「そうか。……でも、俺は死なない」
「君って、そんなに理解力無い人だったっけ?」
「天国とか地獄とか、どうでも良いんだ、俺。俺はガラテヤ様と、仲間達と、この世界で一緒に生きるために戦ってきた。だから、俺は死にたくない。ただ、それだけだ」
「へぇ。てっきり、この世界の人間だったら無条件で守る的な意識高い系かと思ってたけど……思ってたより薄情なんだね」
「言ってろ。……お前は確かに裏切り者だし、俺を殺した仇だ。でも、そうじゃなくても、俺とガラテヤ様が世界のために死ぬかどうかは関係ない。もしガラテヤ様が死ぬって言っても、俺は嫌だって言う」
「どうせ名ばかりの天国、人間にとってのディストピアに幽閉されて終わりなのに」
「だったら、神様を殺せば良いだけだ。俺は神に逆らったソドム生まれで、蛮族と呼ばれた武士で、特攻した新兵で、そして尊姉ちゃんの弟で……ガラテヤ様の騎士だから。だから魂だけになっても、神様を止めてみせる」
俺は刀を抜き、風を纏わせる。
「そんなに簡単にいかないと思うけどね。……その自信満々の顔が、神の前で曇る前に、僕がそれを止めてあげるって言ってるのに。……出でよ、邪なる獣……【死屍累々来礼退廃毎舞!!!」
あれは『死屍舞』の強化版だろうか。
ロディアは獅子と蛇を合わせたような、獣を模した形の闇を放った。
「【十文字】……ぅぐおっ!」
十字の刃は、確かに闇へ食い込んだハズだ。
しかし、刃がそれを貫通する事は無く、内側で弾き返される。
「危ない!受け止めて、【飛風】!」
ファーリちゃんの拘束を解いていたガラテヤ様に風で受け止められたことで、何とか事故は免れたが……瞬く間に、十五メートルは吹き飛ばされてしまったのだろう。
「助かりました!」
「いいの!気をつけて、ジィン」
「ええ!次はそうはいきません!」
「やれやれ、美しい姉弟愛だねぇ。でも、いつまで続くかな。僕じゃなくて、世界的な問題で」
「うるせぇ!とりあえず、俺はここでは死ねないんだ。天国がどんなものかなんて知るかよ。つーか、お前もお前で分かってるのか?」
「ん?何を?」
俺は一つ、ロディアの話におかしな点を覚えた。
「お前が悪魔だって事」
「え?いや、分かってるけど。それが何かしたのかい?」
ロディアは、もうすっかり自身が悪魔マルコシアスになった、「つもり」でいる。
しかしどうやら、コイツは俺達と学生をやっていたせいか、人間社会に染まってしまってしまったらしい。
「人と神との価値観が違うなら、悪魔であるお前の思う天国と、人が思う天国が違う可能性を否定しないんだ?」
その事実を今、俺はここで突きつけた。
こと「クダリ」の本体である神は、特にそうであるらしい。
「じゃあ、ロディア。お前は……その天国が、人間にとっては地獄だって……そう言いたいのかよ……?」
「うん、そうだよ。僕が悪魔だからっていうのを抜きにしても……。君がまだ呼んでくれている、人間のロディアとして生きてきた中で、この世界を見る限り……天国は、少なくとも今の人間には似合わない」
「悪魔が、そこまで真剣に天国のことを考えてるなんてな」
「この世界が神の方に傾くのは、悪魔としても納得がいかないからね。餌場がなくなるようなものだし。だから……君とガラテヤには、大人しく死んで欲しいんだ」
「そうか。……でも、俺は死なない」
「君って、そんなに理解力無い人だったっけ?」
「天国とか地獄とか、どうでも良いんだ、俺。俺はガラテヤ様と、仲間達と、この世界で一緒に生きるために戦ってきた。だから、俺は死にたくない。ただ、それだけだ」
「へぇ。てっきり、この世界の人間だったら無条件で守る的な意識高い系かと思ってたけど……思ってたより薄情なんだね」
「言ってろ。……お前は確かに裏切り者だし、俺を殺した仇だ。でも、そうじゃなくても、俺とガラテヤ様が世界のために死ぬかどうかは関係ない。もしガラテヤ様が死ぬって言っても、俺は嫌だって言う」
「どうせ名ばかりの天国、人間にとってのディストピアに幽閉されて終わりなのに」
「だったら、神様を殺せば良いだけだ。俺は神に逆らったソドム生まれで、蛮族と呼ばれた武士で、特攻した新兵で、そして尊姉ちゃんの弟で……ガラテヤ様の騎士だから。だから魂だけになっても、神様を止めてみせる」
俺は刀を抜き、風を纏わせる。
「そんなに簡単にいかないと思うけどね。……その自信満々の顔が、神の前で曇る前に、僕がそれを止めてあげるって言ってるのに。……出でよ、邪なる獣……【死屍累々来礼退廃毎舞!!!」
あれは『死屍舞』の強化版だろうか。
ロディアは獅子と蛇を合わせたような、獣を模した形の闇を放った。
「【十文字】……ぅぐおっ!」
十字の刃は、確かに闇へ食い込んだハズだ。
しかし、刃がそれを貫通する事は無く、内側で弾き返される。
「危ない!受け止めて、【飛風】!」
ファーリちゃんの拘束を解いていたガラテヤ様に風で受け止められたことで、何とか事故は免れたが……瞬く間に、十五メートルは吹き飛ばされてしまったのだろう。
「助かりました!」
「いいの!気をつけて、ジィン」
「ええ!次はそうはいきません!」
「やれやれ、美しい姉弟愛だねぇ。でも、いつまで続くかな。僕じゃなくて、世界的な問題で」
「うるせぇ!とりあえず、俺はここでは死ねないんだ。天国がどんなものかなんて知るかよ。つーか、お前もお前で分かってるのか?」
「ん?何を?」
俺は一つ、ロディアの話におかしな点を覚えた。
「お前が悪魔だって事」
「え?いや、分かってるけど。それが何かしたのかい?」
ロディアは、もうすっかり自身が悪魔マルコシアスになった、「つもり」でいる。
しかしどうやら、コイツは俺達と学生をやっていたせいか、人間社会に染まってしまってしまったらしい。
「人と神との価値観が違うなら、悪魔であるお前の思う天国と、人が思う天国が違う可能性を否定しないんだ?」
その事実を今、俺はここで突きつけた。
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