Kyo-Ka ~12歳の恋人~

ゲイの青年・美澄亮平は、恋人のミュージシャン・長谷海健介に別れを切り出して二週間が経っていた。その引き金となったのは、たった十二歳の少女――キョウカの存在だ。とあるアイドルグループのコンサートが延期になって街中で途方に暮れていた彼女をひと晩かくまったのがきっかけで、半年経った今では、毎日届くSNSのメッセージが美澄にとって唯一の癒しになっていた。

 別れの理由を詳しく語らない美澄へ、健介は執拗に迫っていた。が、美澄の心は幼いキョウカへと向かっており、復縁は無理だと何度も言い聞かせる日々が続いていた。美澄は美澄で彼女への思いを募らせていたが、横浜と長野では会う暇もない。

 そんなある日、キョウカから「クリスマスイブの日に東京のコンサートへ来る」と聞いた美澄は、繁忙期のクリスマスシーズンに、職場であるバーガーショップを休むことにした。すでに彼の生活の優先順位はキョウカ優先になっており、それ以外はどうでもよくなっていたのだ。

 一方、美澄を諦めきれない健介は合鍵を使い部屋へ入り、コンセントへ盗聴器を仕掛けたりと、嫉妬心を露わにしていた。美澄は日に日にストーカー染みてゆく健介に怒りと怖れを抱くが、それでも彼はしつこくつきまとうのだった。

 クリスマスイブの当日、半年ぶりにキョウカとの再会を果たした美澄は再び彼女を部屋へ招くことになった。だが、コンサート後に帰ったマンションには、いないはずの健介が待ち構えていた。キョウカのことを美澄の新しい恋人の娘だと勘違いした健介は、明日出直すと言ってマンションを出て行った。そして翌日、ついに「彼女こそが僕の思い人だ」と告げた美澄に、ようやくで健介は去って行った。

 また変化のない毎日に戻り、バーガーショップで働く美澄。そんな折、新人バイトでシングルマザーの瀬ノ宮と大学生の岩永の仲を疑った男が深夜に店を襲撃する。そこへ割って入ったのは、誰あろう健介だった。
ある日の休日、店へ忘れ物を取りに来た美澄は、不意に駅ビルで瀬ノ宮の娘・ルイと出会う。美澄は、彼女がキョウカとSNSで繋がっていることを知っていた。そこでルイから援助交際紛いの台詞を聞いて愕然とした美澄だったが、彼女が言うには「それはキョウカが入れ知恵をした」ということだった。

 その事実を受け止められず、キョウカへの疑念が晴れぬまま、三月の長野へ向かった美澄は、ついに彼女と決別することにする。
24hポイント 0pt
小説 80,330 位 / 80,330件 ライト文芸 3,660 位 / 3,660件