50 / 165
当て馬にされた公爵令息は、今も隣国の王太子に愛されている
北への進軍⑦
しおりを挟む
王宮の中庭。
花々が秋風に揺れている。
僕はひとり、花壇の世話をしていた。
その背中に、ささやき声がかすかに届く。
「異国の方が王太子妃とは……」
「お美しいけれど、どこか冷たいわね」
侍女たちのその声を聞いても、僕は表情を変えずに、ただ手を止めずに、静かに言った。
「花は、どこの国で生まれても、同じように咲きます」
囁きが途切れたその瞬間、
凛とした声が響いた。
「――口が過ぎるな」
侍女たちが振り向くと、そこにアンドリア王子が立っていた。
「兄上が不在の今、王宮の秩序を守るのは私の務めだ。
王太子妃殿下に不敬があれば、見過ごせない」
その言葉に、侍女たちは慌てて頭を下げて去っていく。
僕は姿勢を正し、静かに微笑んだ。
「……ご迷惑をおかけしました」
「迷惑だなんて。むしろ、エリアスはよく耐えているよ」
アンドリア王子は少しだけ笑みを浮かべた。
「兄上は、エリアスのそういう強さを誇りに思っている。
だからこそ、エリアスのことをを案じているんだよ」
その言葉に、僕は少しだけ胸が締めつけられた。
「……ありがとうございます」
深く頭を下げ、空を仰いだ。
秋の雲が流れてゆく。
その下で、誰もいない夜を思った。
――マクシミリアン殿下は、今どこを見ているのだろう。
風が花々を揺らし、白い花弁が一枚、落ちた。
僕が自室の前に行くと、扉の前に、マルクがいた。
整えられた荷を最後に確認していたが、僕の姿を見ると、ぴたりと手を止めた。
「……本当に、行かれるのですね」
その声は震えていた。
僕はゆっくりと頷いた。
「うん、僕が行かなきゃ。
ヴァルデシアの封印は、僕の力に反応してる。
マクシミリアン殿下と一緒に、確かめたいんだ」
「ですが――」
マルクは言いかけて、唇を噛む。
「王太子殿下がいらっしゃるとはいえ、戦場は……。
貴方様のような方が行く場所ではありません」
「知ってるよ。僕は非力だ」
僕はそっと笑った。
少し寂しい気持ちがあった。
「本当は……殿下と一緒に戦いに行くなんて、震えるくらい怖いんだ。
でも、僕は王太子妃になった。
守られるだけじゃなく、守りたいって思うようになったんだ」
マルクはたまらず、膝をついた。
「……坊ちゃま」
子どもの頃と同じ呼び方が、無意識に口をついていた。
それを自分でも気づいたのか、慌てて頭を下げる。
「申し訳ございません、殿下……っ」
「いいよ」
僕は微笑んで、マルクの肩に手を置いた。
「マルクにとって、僕はずっと“坊ちゃま”なんでしょう?
僕も……マルクがいなかったら、ここまで来られなかったと思うから」
マルクの目に、涙が溢れた。
「小さな頃、夜が怖くて泣いておられたのに。
風の音にも怯えて、私の手を握って離さなかったエリアス様が……
今では、国を守るために戦へ行くなんて……」
「泣かないでよ。僕まで泣いちゃう」
僕はそっと笑いながら、マルクの頬を拭った。
「マルク、ありがとう。
マルクが僕のそばにいてくれたから、僕はここまで来られたんだ」
そう言って、胸元から小さな青い護符を取り出す。
マルクが昔、旅の守りにと作ってくれたものだ。
「これ、僕にくれたでしょ? 今度は返すよ。
僕の代わりに、この城を守ってて」
「……エリアス様」
マルクはそれを両手で受け取り、胸に抱いた。
僕は静かに微笑みながら、涙を滲ませているマルクを見ていた。
「僕は、もう大丈夫。――僕は、行くよ」
目に涙が溜まって、流れないようにこらえた。
扉の向こう、まだ暗い夜。
マルクはその背に深く頭を下げ、声にならない祈りを捧げた。
「どうか……どうか、ご無事で――」
マルクとの別れの涙をまだ頬に残したまま、僕は広い寝室に戻った。
マクシミリアン殿下の不在が、ふだんよりもずっと重く胸にのしかかる。
「……どうしよう……、眠れない」
ドアの方から静かな足音が近づく。
「エリアス様……」
マルクが布団の端にそっと座り、長年の相棒のように目を細める。
僕はのことはなんでもお見通しなんだね。
僕は小さく息をつき、布団の中で体を丸める。
マルクも無言で隣に入り、背中をそっと寄せてきた。
ぬくもりが、言葉にならない安心を運んでくる。
「……ありがとう、マルク」
「いつでも、エリアス様のそばにおりますよ」
大きなベッドに二人だけ。
夜は静かで、しかしその静けさの中で、少しずつ心が落ち着いていった。
夜が深くなるほど、エリアスの目は冴えて眠れなかった。
「どうしても……眠れない」
そっと布団に入ってきたマルクが、肩越しに微笑む。
「そうでしたね、昔も夜になると眠れないことがありましたね」
僕は小さく笑った。
「覚えてる?……あの時、僕、泣いてたんだよ」
「はい。まだあどけなく、腕の中で泣いていました」
「僕ね、怖いよ。王太子妃なことも、戦いに行くことも、ドラヴァールにいることも。
涙が出るくらい、震えるくらい、怖いんだ。
……だから今日は、今日だけは一緒に眠って」
「……はい。今日は甘えたさんですね。
エリアス様はとても頑張っておられますよ。
みんな、エリアス様が頑張っているのをわかっておりますよ」
マルクはずっと、僕の背中をさすってくれていた。
どんなに悲しい気持ちも、どんな不安も、マルクと一緒なら安心できた。
気づけば夜はすっかり明け、朝の光が寝室を満たしていた。
僕は大きなベッドに横たわり、マルクの温もりを感じながら、今日という日を迎える準備をしていた。
花々が秋風に揺れている。
僕はひとり、花壇の世話をしていた。
その背中に、ささやき声がかすかに届く。
「異国の方が王太子妃とは……」
「お美しいけれど、どこか冷たいわね」
侍女たちのその声を聞いても、僕は表情を変えずに、ただ手を止めずに、静かに言った。
「花は、どこの国で生まれても、同じように咲きます」
囁きが途切れたその瞬間、
凛とした声が響いた。
「――口が過ぎるな」
侍女たちが振り向くと、そこにアンドリア王子が立っていた。
「兄上が不在の今、王宮の秩序を守るのは私の務めだ。
王太子妃殿下に不敬があれば、見過ごせない」
その言葉に、侍女たちは慌てて頭を下げて去っていく。
僕は姿勢を正し、静かに微笑んだ。
「……ご迷惑をおかけしました」
「迷惑だなんて。むしろ、エリアスはよく耐えているよ」
アンドリア王子は少しだけ笑みを浮かべた。
「兄上は、エリアスのそういう強さを誇りに思っている。
だからこそ、エリアスのことをを案じているんだよ」
その言葉に、僕は少しだけ胸が締めつけられた。
「……ありがとうございます」
深く頭を下げ、空を仰いだ。
秋の雲が流れてゆく。
その下で、誰もいない夜を思った。
――マクシミリアン殿下は、今どこを見ているのだろう。
風が花々を揺らし、白い花弁が一枚、落ちた。
僕が自室の前に行くと、扉の前に、マルクがいた。
整えられた荷を最後に確認していたが、僕の姿を見ると、ぴたりと手を止めた。
「……本当に、行かれるのですね」
その声は震えていた。
僕はゆっくりと頷いた。
「うん、僕が行かなきゃ。
ヴァルデシアの封印は、僕の力に反応してる。
マクシミリアン殿下と一緒に、確かめたいんだ」
「ですが――」
マルクは言いかけて、唇を噛む。
「王太子殿下がいらっしゃるとはいえ、戦場は……。
貴方様のような方が行く場所ではありません」
「知ってるよ。僕は非力だ」
僕はそっと笑った。
少し寂しい気持ちがあった。
「本当は……殿下と一緒に戦いに行くなんて、震えるくらい怖いんだ。
でも、僕は王太子妃になった。
守られるだけじゃなく、守りたいって思うようになったんだ」
マルクはたまらず、膝をついた。
「……坊ちゃま」
子どもの頃と同じ呼び方が、無意識に口をついていた。
それを自分でも気づいたのか、慌てて頭を下げる。
「申し訳ございません、殿下……っ」
「いいよ」
僕は微笑んで、マルクの肩に手を置いた。
「マルクにとって、僕はずっと“坊ちゃま”なんでしょう?
僕も……マルクがいなかったら、ここまで来られなかったと思うから」
マルクの目に、涙が溢れた。
「小さな頃、夜が怖くて泣いておられたのに。
風の音にも怯えて、私の手を握って離さなかったエリアス様が……
今では、国を守るために戦へ行くなんて……」
「泣かないでよ。僕まで泣いちゃう」
僕はそっと笑いながら、マルクの頬を拭った。
「マルク、ありがとう。
マルクが僕のそばにいてくれたから、僕はここまで来られたんだ」
そう言って、胸元から小さな青い護符を取り出す。
マルクが昔、旅の守りにと作ってくれたものだ。
「これ、僕にくれたでしょ? 今度は返すよ。
僕の代わりに、この城を守ってて」
「……エリアス様」
マルクはそれを両手で受け取り、胸に抱いた。
僕は静かに微笑みながら、涙を滲ませているマルクを見ていた。
「僕は、もう大丈夫。――僕は、行くよ」
目に涙が溜まって、流れないようにこらえた。
扉の向こう、まだ暗い夜。
マルクはその背に深く頭を下げ、声にならない祈りを捧げた。
「どうか……どうか、ご無事で――」
マルクとの別れの涙をまだ頬に残したまま、僕は広い寝室に戻った。
マクシミリアン殿下の不在が、ふだんよりもずっと重く胸にのしかかる。
「……どうしよう……、眠れない」
ドアの方から静かな足音が近づく。
「エリアス様……」
マルクが布団の端にそっと座り、長年の相棒のように目を細める。
僕はのことはなんでもお見通しなんだね。
僕は小さく息をつき、布団の中で体を丸める。
マルクも無言で隣に入り、背中をそっと寄せてきた。
ぬくもりが、言葉にならない安心を運んでくる。
「……ありがとう、マルク」
「いつでも、エリアス様のそばにおりますよ」
大きなベッドに二人だけ。
夜は静かで、しかしその静けさの中で、少しずつ心が落ち着いていった。
夜が深くなるほど、エリアスの目は冴えて眠れなかった。
「どうしても……眠れない」
そっと布団に入ってきたマルクが、肩越しに微笑む。
「そうでしたね、昔も夜になると眠れないことがありましたね」
僕は小さく笑った。
「覚えてる?……あの時、僕、泣いてたんだよ」
「はい。まだあどけなく、腕の中で泣いていました」
「僕ね、怖いよ。王太子妃なことも、戦いに行くことも、ドラヴァールにいることも。
涙が出るくらい、震えるくらい、怖いんだ。
……だから今日は、今日だけは一緒に眠って」
「……はい。今日は甘えたさんですね。
エリアス様はとても頑張っておられますよ。
みんな、エリアス様が頑張っているのをわかっておりますよ」
マルクはずっと、僕の背中をさすってくれていた。
どんなに悲しい気持ちも、どんな不安も、マルクと一緒なら安心できた。
気づけば夜はすっかり明け、朝の光が寝室を満たしていた。
僕は大きなベッドに横たわり、マルクの温もりを感じながら、今日という日を迎える準備をしていた。
52
あなたにおすすめの小説
一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。
しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。
全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。
クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
姉の聖女召喚に巻き込まれた無能で不要な弟ですが、ほんものの聖女はどうやら僕らしいです。気付いた時には二人の皇子に完全包囲されていました
彩矢
BL
20年ほど昔に書いたお話しです。いろいろと拙いですが、あたたかく見守っていただければ幸いです。
姉の聖女召喚に巻き込まれたサク。無実の罪を着せられ処刑される寸前第4王子、アルドリック殿下に助け出さる。臣籍降下したアルドリック殿下とともに不毛の辺境の地へと旅立つサク。奇跡をおこし、隣国の第2皇子、セドリック殿下から突然プロポーズされる。
美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。
竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。
男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。
家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。
前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。
前世の記憶チートで優秀なことも。
だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。
愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる