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公爵令息を当て馬にした僕は、王太子の胸に抱かれる(番外編)
当て馬の恋が実るとき
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王立学園の広い中庭は、いつも学生たちの笑い声で満ちていた。
春風が通り抜け、木々の葉がざわめく。
アンドリュー殿下は片手に本を持ち、隣を歩く僕に穏やかに微笑んだ。
「また首席だって聞いたよ、ジュリ。さすがだな」
「……アンディ様こそ。剣術も政治史も、完璧です」
僕ははそう言うと、照れくさくなって目をそらす。
アンドリュー殿下は小さく笑って、彼の肩にそっと手を置いた。
「完璧なわけなんてないさ。君がそばにいるときだけ、すべてがうまくいく気がするんだ」
「そ、そんなこと……!」
僕は、慌てて手を振りながら頬が赤くなるのを感じる。
すぐそばで、同級生たちが笑いながら囁いた。
「まただよ、殿下がジュリアンをからかってる!」
「ほんとだ。仲良さそうだね」
からかい半分の声に、僕はさらに顔を伏せた。
でも、心のどこかがあたたかくて、嬉しくて――
ふと、(本当に、僕なんかでいいんだろうか……)
そんな小さな不安が胸をかすめる。
けれど、アンドリュー殿下の隣を歩くたびに、
僕に笑いかけてくれるたびに、
その不安が少しずつ溶けていく気がした。
アンドリュー殿下は僕を見て、静かに言った。
「ジュリ、僕は君を選んだんだ。他の誰でもなく、君を、ジュリアン」
「……でも、僕、怖いんです。いつかアンディ様に迷惑をかけてしまうんじゃないかって」
「そんなこと、私がさせないよ」
アンドリューは真剣な瞳で言い切った。
少しの沈黙のあと、ジュリアンはふっと笑った。
「アンディ様って、ずるいです。そんな風に言われたら、信じてしまうじゃないですか」
「信じてほしいから言ってるんだよ。
私を信じて、そばにいればいい」
風が僕たちの間をすり抜け、白い花びらが舞った。
僕は、アンドリュー殿下と目を合わせ、照れたように笑い合う。
その笑顔はまるで春の陽だまりのようで、
きっと周りの学生たちも見る者すべてが
「この二人はきっと、どんな未来でも一緒にいる」と信じたくなるような、そんな温かさに満ちていた。
この日、僕は知らなかった。
微笑むアンディ様と過ごした春の午後が、永遠に心に刻まれる平穏になることを――。
王宮の庭園は、昼間の光を浴びてきらきらと輝いていた。
僕はアンドリュー殿下の手を握りながら、少し緊張した笑顔で歩く。
「ジュリ、こっちの花壇も見てみようか」
「うん、アンディ様……」
呼び方だけで心臓が跳ねる。
長年の親しさの延長ではなく、今は恋人としての距離感が、僕たち二人の間にあった。
僕が小さな段差に躓きそうになると、アンドリュー殿下はすっと腕を回して支える。
「大丈夫か?」
「うん……ありがとう、アンディ様」
二人で笑い合うだけで、世界がふわりと軽くなる。
手を繋いだまま歩くうちに、アンドリュー殿下は少し立ち止まり、僕の肩を抱き寄せた。
「ジュリ、お前だけだよ……」
「アンディ様、僕も愛しています」
アンドリュー殿下の瞳は真剣で、優しさに満ちている。
自然と唇が近づき、軽く触れ合う。
僕の心臓は跳ね上がり、目の前が一瞬で真っ白になるほどドキドキした。
…………
その瞬間、生垣の向こうから小さな物音がした。
「……っ!」
二人で、顔を上げると、白い衣装のエリアス様が倒れていくのが、見えた。
「見られた……!」
僕は真っ赤になり、アンドリュー殿下を見る。
アンドリュー殿下も慌てて僕の手を強く握る。
崩れるように倒れたエリアス様は、従者たちに抱えられるようにして、去っていった。
しばらく動けないでいた僕たちは、それから程なく帰らされた。
春風が通り抜け、木々の葉がざわめく。
アンドリュー殿下は片手に本を持ち、隣を歩く僕に穏やかに微笑んだ。
「また首席だって聞いたよ、ジュリ。さすがだな」
「……アンディ様こそ。剣術も政治史も、完璧です」
僕ははそう言うと、照れくさくなって目をそらす。
アンドリュー殿下は小さく笑って、彼の肩にそっと手を置いた。
「完璧なわけなんてないさ。君がそばにいるときだけ、すべてがうまくいく気がするんだ」
「そ、そんなこと……!」
僕は、慌てて手を振りながら頬が赤くなるのを感じる。
すぐそばで、同級生たちが笑いながら囁いた。
「まただよ、殿下がジュリアンをからかってる!」
「ほんとだ。仲良さそうだね」
からかい半分の声に、僕はさらに顔を伏せた。
でも、心のどこかがあたたかくて、嬉しくて――
ふと、(本当に、僕なんかでいいんだろうか……)
そんな小さな不安が胸をかすめる。
けれど、アンドリュー殿下の隣を歩くたびに、
僕に笑いかけてくれるたびに、
その不安が少しずつ溶けていく気がした。
アンドリュー殿下は僕を見て、静かに言った。
「ジュリ、僕は君を選んだんだ。他の誰でもなく、君を、ジュリアン」
「……でも、僕、怖いんです。いつかアンディ様に迷惑をかけてしまうんじゃないかって」
「そんなこと、私がさせないよ」
アンドリューは真剣な瞳で言い切った。
少しの沈黙のあと、ジュリアンはふっと笑った。
「アンディ様って、ずるいです。そんな風に言われたら、信じてしまうじゃないですか」
「信じてほしいから言ってるんだよ。
私を信じて、そばにいればいい」
風が僕たちの間をすり抜け、白い花びらが舞った。
僕は、アンドリュー殿下と目を合わせ、照れたように笑い合う。
その笑顔はまるで春の陽だまりのようで、
きっと周りの学生たちも見る者すべてが
「この二人はきっと、どんな未来でも一緒にいる」と信じたくなるような、そんな温かさに満ちていた。
この日、僕は知らなかった。
微笑むアンディ様と過ごした春の午後が、永遠に心に刻まれる平穏になることを――。
王宮の庭園は、昼間の光を浴びてきらきらと輝いていた。
僕はアンドリュー殿下の手を握りながら、少し緊張した笑顔で歩く。
「ジュリ、こっちの花壇も見てみようか」
「うん、アンディ様……」
呼び方だけで心臓が跳ねる。
長年の親しさの延長ではなく、今は恋人としての距離感が、僕たち二人の間にあった。
僕が小さな段差に躓きそうになると、アンドリュー殿下はすっと腕を回して支える。
「大丈夫か?」
「うん……ありがとう、アンディ様」
二人で笑い合うだけで、世界がふわりと軽くなる。
手を繋いだまま歩くうちに、アンドリュー殿下は少し立ち止まり、僕の肩を抱き寄せた。
「ジュリ、お前だけだよ……」
「アンディ様、僕も愛しています」
アンドリュー殿下の瞳は真剣で、優しさに満ちている。
自然と唇が近づき、軽く触れ合う。
僕の心臓は跳ね上がり、目の前が一瞬で真っ白になるほどドキドキした。
…………
その瞬間、生垣の向こうから小さな物音がした。
「……っ!」
二人で、顔を上げると、白い衣装のエリアス様が倒れていくのが、見えた。
「見られた……!」
僕は真っ赤になり、アンドリュー殿下を見る。
アンドリュー殿下も慌てて僕の手を強く握る。
崩れるように倒れたエリアス様は、従者たちに抱えられるようにして、去っていった。
しばらく動けないでいた僕たちは、それから程なく帰らされた。
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