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6話
しおりを挟む「いやぁぁあああ!行きたくないぃいい!」
「はぁ?またお前は我儘いって」
呆れた顔をする兄ユリウスに、エレノアは必死で縋りつく。
「た、体調が悪いのもあるし……!」
「全然元気そうじゃないか。それに、リアンは宮廷魔術師なんだぞ。お前みたいに暇じゃないんだ」
貴重な時間を割いて教えてくれているのだから我儘を言うな、とエレノアはユリウスに小脇に抱えられた。
「やだやだやだぁ!」
「……なんで嫌なのか理由を言えばいいだろう」
はぁ、と呆れたため息をついて問いかけられ、エレノアは押し黙った。まさか、そのリアンから前回の授業で辱められたなど、どの口が言えよう。しかも、その原因が自分自身にあるのだから、自業自得でしかない。
幼い頃、リアンの股間にある陰茎を扱いて嫌々喘がせるのが好きだったせいで、今復讐されているなんて……!
まったくもって過去の自分を殴り飛ばしたい気持ちになる。
正直に言おう、リアンがあの時やめてほしいと思っていたことは薄々エレノアだって感じていた。だけど、嫌々ながらも自分が触れることを許してくれる、リアンとの距離感もまた、エレノアにとっては心地よいものだった。
嫌がっている顔も可愛いんだもの……
エレノアは妖精姫と呼ばれていたが、あの頃のリアンは自分なんかよりもよっぽど可憐で可愛かったと声を大にして言える。
すっかり大人の男になってしまっていたことと、誘拐事件の影響でちょうどあの頃の記憶が曖昧になっていたせいで、名前を聞いただけでは思い出せなかったのだ。
私の優しくて可愛いリアンがあんな怪物になっているだなんて……
めそめそと泣く妹を、兄ユリウスは小脇に抱えたまま、勉強室の扉を開けた。
「……ユリウス、さすがにその運び方はまわりが驚いているんじゃないか」
入ってきた兄妹を見て、少し呆れたようにリアンが指摘した。ユリウスはエレノアを降ろすと、肩をすくめる。
「こいつの勉強嫌いは筋金入りだから仕方ない。忙しいのに悪いな、リアン」
「いや、僕はかまわない」
こっちがかまうわよ!
と心の中で盛大に突っ込む。
「じゃぁ俺は執務に戻るから、しっかりやるんだぞ」
ユリウスはそう言ってエレノアの頭をぽんぽんと叩いて笑顔で出て行った。
待って!お兄様、私も連れていって!
そう思って手を伸ばすも、無情にも扉はエレノアの目の前で硬く閉じた。
「さて、始めましょうか。殿下」
背後から声をかけられて、びくり、と肩を揺らす。おそるおそる振り返れば、そこには嘘のように紳士然とした男が立っている。
けれどエレノアの目には、悪魔に見えた。
そうして数分後、エレノアは先日と同じく椅子に縛り付けられて、嬌声を上げさせられていた。
「ぁ……んん……っ」
本日の魔道具は、二つの小さな湿布薬のような形をしていた。見た目は湿布薬そのものなのだが、変わっているのはその表面に短い毛足がついているところだ。それが、リアンが呪文を唱えるとまた胸元に入り込み、胸の先端に毛足がある方がぺたりと張り付く。
嫌な予感がして、何かと尋ねたら、「人々の疲れを癒すマッサージ機能がついています。魔力を流すと細かく振動し、筋肉のこりを……」なんて説明している間にそれは震えだし、エレノアは悲鳴を上げた。
信じられない……!魔道具省はなんてものを認可しているのだ……!
「まぁ、本来こんな風に使うことはないですけどね」
「んん……っお願い……止めて……っ」
細動するそれに性感帯である乳頭を刺激されて、エレノアは息も絶え絶えに訴えるが、リアンが頷くことはない。それどころか。
「失礼します」
いや、断ったからって入っていい場所じゃない、と叫びたかったけれど、スカートの裾をめくられ、そこに潜り込んでしまったリアンを拒絶する余裕はなく。
下腹部に渦巻く熱の膨張ですでに濡れた下着を、リアンが脱がせるのが伝わってくる。下着は基本左右で結ぶ紐パンなので、簡単に脱がせるのだ。先日同様椅子の足に膝が開くように固定されているせいで、抵抗らしい抵抗も出来ない。
スカートの中で何をされるかわからない恐怖と、胸を苛む魔道具にじわりと涙が浮かぶ。いつもなら泣けばまわりはエレノアを助けてくれるが、この男がそういう類ではないことはわかっていた。
ひやり、と秘部に何かが触れた感触がする。上の方……おそらく陰核の上に何かを貼られた。
確認せずともわかる、おそらく今自分の胸についているものと同じだ。そう自覚した瞬間、神経の集まったそこを細動が襲った。
「ぁああ……っ」
喉を反らせて、我慢できずに嬌声が上がる。
「や……いや、外して!お願い……あぁ……っ」
先日の紐の攻めよりも細かい刺激が絶え間なく与えられ、一気に身体に熱が溜まっていく。ぶるぶると内腿が震える。
自分の胎の奥から、愛液がこぷりとあふれ出してくるのがわかる。それを、スカートの中に入ったままのリアンに見られているのかと思うと羞恥でどうにかなってしまいそうだ。
「お願い………んんっ」
か細い声で懇願するが、刺激が強すぎて言葉を紡ぐのも難しい。
あぁ……頭がおかしくなりそう……もしかして、あの時のリアンもこんな気持ちだったのかしら……
いや、今の自分よりひどいかもしれない。彼は三歳も年下の幼女に翻弄されたのだ。プライドなんてズタズタだっただろう。
けれど、だからって、こんな蛮行が許されていいはずがない。
「ぁ……あぁああああっ」
たまらず嬌声を上げながら、絶頂する。達した瞬間、膣が収縮し、蠢くのを感じる。スカートの中は真っ暗なはずだ。そう思うのに、恥部にリアンの視線を浴びている気がしてしまい、奥からとろとろと愛液が零れてくるのを止められない。
どれくらい、その余韻に息を整えていたかわからないが、しばらくして、スカートの中からリアンが出てくると、ちろり、とエレノアと目を合わせる。
「魔道具としては簡単に解除できる部類なんですが……本当に勉強サボっていらしたんですね」
ちょっと呆れを含んでいるのが居た堪れない。
「ぜ……絶対、解除するわ」
リアンはどうやら、エレノアが自力で解除する分には問題ないと考えているようだった。エレノアは歯噛みしながら、魔術に関する勉強をやり直そうと心に誓った。そうでなければ、こんなこと毎回されるのだとしたら自分が持たない。
しかし、エレノアの決心に、リアンが少し思案顔になった後、かすかに口角を持ち上げた。
「……なら、次回は課外授業といきましょうか」
嫌な予感が、した。
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