アイデンティティは奪われましたが、勇者とその弟に愛されてそれなりに幸せです。

金大吉珠9/12商業商業bL発売

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カルマイン編

いざ鍛冶屋へ

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 翌日、イェネドによって先に起こされたシグムントは、風呂場に連れて行かれて丸洗いをされた。さっぱりとして部屋に戻れば、二人揃って目が覚めていたらしい。死にそうな顔をしたイザルとルシアンが壁に張り付いていた。
 イェネドはいい気味だと言っていたが、宿を出る間もずっと吐きそうな顔をした二人に挟まれたシグムントからしてみれば、見ていて気が気ではなかった。

「ルシアン、いいな。今朝のことは忘れろ」
「いうな。お前の余計な一言でまた思い出した。死ね」
「お前が死ね」

 曰く、二人して互いをシグムントだと認識して触れ合ってしまったようだ。しっかりと拭ったのだろう、二人の唇は摩擦で赤くなっていたし、イザルは時折思い出したように寒気に身を震わせていた。

「女性じゃ無いから、俺にはおっぱいなんぞないといっておろうに」
「俺はイザルに巨乳と言われて辱められたわけか。唇だけじゃ飽き足らずに。ふざけるな慰謝料をよこせ」
「てめえだって人の口ん中舐めまわしやがって。気味の悪いことするんじゃねえ」
「やめろ思い出させるな‼︎」

 悲鳴混じりのルシアンの声が響く。宿を出た三人と一匹は、シグムントの装備を揃えるために鍛冶屋へと向かっている。堕界で盛大に汚した服も、元が白かったことも忘れるように黄ばみだらけだ。
 昨日元気だったシグムントの尾はというと、尾の付け根に認識阻害の布を巻きつけて消している。結局鄙びたリボンにもまた出番はあったと言うわけだ。

「俺は今随分と調子がいい! きっと走っても転ばぬだろうよ!」
「いやお前の元気の基準どうなってんだよ」
「だって、足の筋力まで魔力が行き届いている気がするんだ。俺は種族柄二足歩行は苦手だしなあ」
「お前魔力関係なく鈍臭いだろうが」
「むうう! イザルの意地悪が朝から冴え渡っておる!」

 シグムント曰く、二人分の魔力が体の中で循環しているのだという。なんでも、肉体の中にある核が魔力で満たされていると、踏ん張りが効くのだそうだ。
 
「魔物や魔族は魔力を失うと体を保っていられないのに、なんでシグムントは生きていられるの?」
「うん?」
「いや、こいつは魔力は失ったがみそっかす程度には残ってんだ」
「みそっかすっていうな」

 失礼なことを吐かすイザルの隣で、シグムントがブスくれる。
 魔力は大気からツノを通して取り込んでいるのだ。その仕組みを聞かれても困ってしまうが、魔力タンクに当たる片方のツノが無いだけである。
 
「本当は、もーーっといっぱいあったんだ。だけどイザルが王様にあげちゃったから、俺はこうして不便を強いられているというわけだ」
「ああ、こいつが死んだら討伐部位のツノが魔素になって消えちまうだろう。そしたらこいつが生きてることがバレて、俺も殺される」
「なるほど。そんでさらに隊長から面倒ごと押し付けられたと」

 納得したらしいルシアンが、走り出そうとしたイェネドの紐を引っ張る。どうやら目的地である鍛冶屋が見えてきたらしい。
 宿を出て随分と歩いたが、ここが一番種類を多く扱っていると聞いたのだ。
 本当は道中立ち寄ったギルドで適当な服を買おうと思ったのだが、目を離したすきにシグムントが屈強な男に囲まれていたのでやめた。相変わらず徘徊ジジイのような面倒臭さがある。

「てめえが絡まれなければもっと早く手に入れてたってのによ」
「よくいう。イザルがあいつを殴ったからギルドに入られなくなったってのに」

 ギルド内での喧嘩は御法度だ。それももちろん理解していたはずだった。しかし、シグムントの髪に触れる太い指を見たらもうダメだった。
 散々っぱら抱き潰した翌日というのもあるかもしれない。ルシアンも弓を持ち出したのでほぼ同罪だが。

「アゥア」
「ああ、なんというか……随分雰囲気のあるところだなあ」

 鍛冶屋へと到着するなり、シグムントはくたびれた建物を前にポカンとしていた。壁の塗装は所々はげている。そこを補うように張り巡る蔦が、なんとも言い難い雰囲気を醸し出している。
 ブンブンと尾を振り回すイェネドは、早く用事を済ませたいらしい。かしかしと地べたを引っ掻くように催促していた。

「……まあ、腕のいい職人が住んでるってんだから、こうもなるだろう」
「その理屈は一体どこからきたんだ」
「とにかく入るぞ、……マラキア、あってんな店の名前も」

 壊れたドアベルに一体なんの意味があるんだろうか。そんなことを思いながら、イザルを先頭にして店の中に入った。
 中は外とは違い、随分と整えられていた。おそらく修繕魔法は内側にだけ施したのだろう。しかし、鍛冶屋を名乗るのに必要な武器は一つも見当たらなかった。

「鍛冶屋ってか……薬屋みてえだな」
「なんで壁にいっぱい引き出しがあるんだ」
「それは俺にもわからない」

 生活空間も混ざっているのだろうか。青灰色の石畳の床には、観葉植物の為の木のベンチが壁際に置かれていた。
 格子窓が日差しを取り込んでいるので店内は少しは明るいが、それでも日差し任せで必要な光源はついていない。興味深そうに室内を見渡したシグムントが、観葉植物の一つに鼻先を近づけるように見つめる。

「イカリシデだ。なんで小型の植物魔物がここに……」
「え、これ観葉植物じゃねえの?」
「違うぞ。これは刺激すると砂を吐き出すんだ」

 赤い葉で、蓋をしているかのような筒状の植物魔物は、実害はあまりない下級の魔物だ。人間が魔物と気づかずに育てている場合もあるそれは、つつくとサラサラとした砂を吐き出す。
 シグムントの銀灰の瞳が映したのは、イカリシデだけではない。内側に火の玉を蓄えた炎の実と呼ばれるオオホオズキ、すり潰して使うと魔力インクになるマゼラン虫。水を与えれば接着性のある体液を吐き出すオオミズアオイなどの、錬金術にも使うような珍妙な生き物や植物が育てられていた。
 鍛冶屋というより、錬金術師のようだ。そんなことを思っていれば、イザル達の頭上から埃が降ってきた。

「うわっ、きったね!」
「なんだ、地震か?」
「ひゃ、っ」

 イザルの声に振り向いたシグムントの髪の一筋が、イカリシデに当たったらしい。細かな砂がもわりと煙幕のように部屋に広がった。視界が不明瞭になると、人間の警戒心は増すらしい。小さな悲鳴にいち早く気がついたイザルが、シグムントの立っていた場所へと手を伸ばした時だった。

「動くな。動いたらこいつを殺す」

 冷たい声が、イザル達の動きを止めた。
 煙幕のような細かな砂が、ゆっくりと下へ落ちていく。揺らいでいた二人分の影の輪郭がはっきりとしてくると、シグムントを拘束する見知らぬ男が現れた。
 鳥の巣のような茶色の髪に、鷲っ鼻の三白眼。髭を蓄えたずんぐりとした男は、シグムントの喉元に千枚通しを当てていた。

「てめえ……、誰だ」
「この店の店主さ。店を閉めてるってのに中に入ってきやがって。お前ら強盗か? ああ?」
「閉めている……? 何も看板は出ていなかったが。……不躾な訪問は詫びるから、彼を離してくれないか」
「……もしかして、客か?」

 ルシアンの言葉に、男は眉を上げるようにして反応を示した。目つきの悪い視線を、拘束するシグムントへと向ける。必死で頷く様子を前に渋い顔をすると、ゆっくりと持っていた千枚通しを下げた。

「ふはあ‼︎ びっくりした‼︎」
「すまねえ、先日盗みに入られたばかりでな。だから警戒してたんだ」
「……閉まってんなら看板でも出しとけよ。なんもなかったぞ」
「ギルドには休業届を出してたはずだぜ。看板はねえが、紙が……風で飛ばされちまったのかもしれん」

 ギルド、という言葉に、イザルとルシアンが反応を示した。二人揃って碌な説明も聞かずに後にした仇がここに響いたのだ。鍛冶屋や旅の備品などを扱う店はギルドと提携している場合が多く、休業していれば説明があるはずだ。ろくすっぽ聞かずに出たイザル達に非がある。

「それより盗みって? もしかして外のドアベルが壊れているのもそのせいなのか」
「俺が店を空けてるうちにやられたよ。全部じゃないが、取られていったのは魔鉄だな」
「魔鉄?」

 聞き慣れない言葉に、シグムントが首を傾げる。武器を持つものなら知らないものがいない言葉だ。イザルは無知なシグムントが妙に思われないように、慌てて付け足した。

「すまん、箱入りなんだこいつ」
「ああ、どうりで……。魔鉄ってのは鍛治用に扱いやすく加工された鉄のことさ。普通の鉄に、剣を握るやつの魔力を馴染ませる。俺ら鍛冶屋は、依頼を受けたらその依頼者に鉄を渡すんだ。早く剣をなじませるためには、使用者の魔力に慣れさせんのが一番だからな」
「なんだかすごいなあ、それは鍛冶屋では普通のことなのか」
「古いやり方だよ。時間はかかるが、その分質の良い武器を打ってくれる。今の量産されてる魔鉄よりも、ずっといい」
「……若いのに随分詳しいんだな。武器が好きなのか」
「ああ、城の遊撃隊として働いていた」

 ルシアンの言葉に、親父はそうか、とだけ口にする。灰色の瞳に、三人を写す。一瞬ではあったが、親父の目が微かに細まったような気がした。

「?」
「それで、せっかくきたんだから見ていくんだろう。あんたらは何を求めにきた」
「ああ、彼の服を。できれば清潔魔法がついているものがいいんだが」
「構わねえよ、奥に服も扱ってる。武器はいいのか」
「あんのか?」
「奥に隠してる」

 親父の名は、店の名前と同じでマラキアというらしい。マラキアは、壁の一部分を押すようにして横にずらす。仕掛け扉は商品を守るための知恵なのだろう。カウンターの中へ入ったイザル達は、招かれた秘密の部屋を前に感心していた。

「見事なもんだな。いいもん揃ってるぜ全く」
「タグがついているのはよしてくれ。それは騎士団に納品するもんだ」
「騎士団にも下ろしているのか……」

 チャカチャカと足音を立てて中に入るイェネドの尻を、マラキアがポンと叩いた。挨拶のつもりらしい、先ほどとは打って変わり気さくな笑みを浮かべると、火かき棒のようなものを取り出して天井に引っ掛けた。
 引き下ろすように出てきたのは、服が吊るされたラックだ。天井に収納していたその中から一着の外套を選ぶと、シグムントへと手渡した。
 
「魔物素材はスライムだ。やつの浄化作用はお墨付きだからな。黄ばみ知らずだ。使うか?」
「え、いいのか?……というか、真っ白だな」
「お前さんには白がいいだろう。ちなみに迷子防止の札もオプションでつけられるがどうする」
「つけよう」

 イザルの言葉に、シグムントがギョッとする。そんなもの必要ないだろうと言わんばかりの抗議の視線を向けるも、どこ吹く風である。
 迷子防止札には特別な魔法がかかっているらしい。受け取った白い外套を渋々身に纏うシグムントの横では、ルシアンが肩を揺らして笑っていた。

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